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慢性頭痛の診療 特に求められる片頭痛の的確な診断スキル (解説 慶應義塾大学神経内科・鈴木則宏教授) 慢性頭痛はプライマリケアで遭遇する頻度が最も高い症状の1つだが,種々の検査によっては異常が認められないため,それ以上の鑑別診断はなされず,治療も一般的な非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)で漫然と対処されていることが少なくない。 しかし,慢性頭痛の中でも痛みによる生活支障度の極めて高い片頭痛に対してNSAIDsが奏効することはまれで,トリプタンを投与して初めて効果が得られることが多い。 プライマリケアで慢性頭痛はどこまで診断し,どのように治療すればよいのか。 わが国の慢性頭痛の有病率は30%以上 頭痛は2004年発表(2007年新訂増補)の国際頭痛分類第2版(ICHD-Ⅱ)により,一次性頭痛の4群,二次性頭痛の8群,頭部神経痛,中枢性・一次性顔面痛およびその他の頭痛の2群の,全14群に分類されている(表)。 一次性頭痛は原因となる器質性疾患のない原発性頭痛で,片頭痛,緊張型頭痛,群発頭痛,その他の一次性頭痛の4群が含まれる。慢性頭痛といわれているのは,この一次性頭痛のことを指す。 二次性頭痛は原因となる器質性疾患のあるもので,症候性頭痛,続発性頭痛などとも呼ばれる。 原因となる器質性疾患としては,頭頸部の外傷や血管障害,非血管性頭蓋内疾患,感染症,精神疾患などが挙げられている。 わが国における慢性頭痛の頻度については,15歳以上の日本人では片頭痛が約8.4%,緊張型頭痛が22%と報告されている(Sakai F, Igarashi H. Cephalalgia 1997; 17: 15-22)。 片頭痛と緊張型頭痛では,有病率は緊張型頭痛が高いが,医療機関の受診率は逆転し,圧倒的に片頭痛の受診率が高くなる。 これは,「それだけ片頭痛の方が痛みによる生活支障度が高いということの表れ」と鈴木教授。 すなわち,片頭痛の痛みは仕事や学校を休んででも受診しようと思うほど強いが,緊張型頭痛の痛みはそれほどでもないということである。 最初に必要な二次性頭痛の除外診断 慢性頭痛を訴えて患者がプライマリケア医の元を訪れたとき,まず必要なことは,二次性頭痛との鑑別である。その最初のステップは「頭痛が突然に起こったのか,そうでないのか」を聞くこと。頭頸部外傷による頭痛や,くも膜下出血を含む頭頸部血管障害による頭痛の多くは突然出現する。 脳腫瘍など非血管性頭蓋内疾患による頭痛はもう少し緩やかに起こってくるが,これも「最近起こった頭痛か,前からある頭痛か」と聞くことで判定できる。 一次性頭痛の多くは30歳ころまでに初発する。 したがって,30歳以降に初発した頭痛ということも,二次性頭痛を疑う1つの材料になる。 一次性頭痛の中の鑑別診断はきめ細かい問診がすべて 二次性頭痛が除外されたら,一次性頭痛のうちの片頭痛,緊張型頭痛,群発頭痛の鑑別に進むが,鈴木教授によると「これは問診がすべてで,それ以外の信頼できる診断方法はない」という。 問診の初めは「痛みの部位および性状」である。片頭痛の痛みは片側の側頭部や前頭部に見られることが多い。 群発頭痛の痛みの部位は常に一側であることが特徴的で,眼窩部や眼窩上部,側頭部に見られることが多い。 片頭痛の痛みは発作性であり,脈打つ感じがある。 また,痛みは歩いたり階段を昇ったりすることで増悪する。 これに対し,緊張型頭痛の痛みは脈打つ感じはしない。 群発頭痛の痛みは「アイスピックで眼を突くような」などと形容される。 次に問診で聞くことは「痛みがどのようなときに起こるか」。 片頭痛の痛みの出現にはストレスが関係すると考えられており,ストレスを感じる朝の起床時,あるいはストレスから解放される週末に出現しやすい。 緊張型頭痛の痛みの出現には一定の特徴は認められない。 群発頭痛の痛みはほぼ同じ時間に見られ,就寝後1~2時間に起こることが多い。 そのため,患者は眠ると頭痛に襲われるという恐怖感を抱いていることもある。 片頭痛では頭痛が出現する前に,肩の張りや凝りを自覚することがある。 また,光をまぶしいと感じ,音やにおいに対して嫌悪感を抱くこともある。 前出のICHD-Ⅱでは,片頭痛をこうした前兆の有無によって「前兆のある片頭痛」と「前兆のない片頭痛」に細分している。 慢性頭痛の中でも片頭痛は痛みの程度が強く,寝込んでしまったりすることで,生活支障度が最も高い。 したがって,「慢性頭痛の診断では,まず片頭痛の特徴をしっかりと理解し,それと比較する形で緊張型頭痛および群発頭痛の特徴を把握するようにするとよい」と同教授は言う。 そして,問診による慢性頭痛の鑑別診断を補助するツールとして「頭痛ダイアリー」の活用を勧める。 これは,慢性頭痛の痛みや随伴症状の程度,および治療薬や予防薬の服薬状況を患者自身に日記風に記録してもらうもので,一定期間の記録を見ることで,慢性頭痛のタイプが明確になってくることが多い。 また,これにより患者自身が慢性頭痛に対する理解を深め,治療へのモチベーションを高めるといった面での効果も大きい。 トリプタンの登場で大きく変ぼうした頭痛治療 慢性頭痛の治療は十数年前にトリプタンが開発されたことで大きく変ぼうした。 なぜなら,それまで慢性頭痛の中心的治療薬であったNSAIDsやエルゴタミン製剤は,慢性頭痛の中でも最も重要といえる片頭痛に対する効果は全く満足のいくものではなかったが,トリプタンは十分な効果を示すからである。 「それまでの片頭痛の治療は,一応はNSAIDsなどを投与するものの,実際は片頭痛が自然に鎮静化するのを待つといったものだった。しかし,トリプタンの登場により,片頭痛を文字通り治療することができるようになった」と鈴木教授も,同薬登場の意義を高く評価する。 ただし,トリプタンは服用するタイミングが効果に大きく影響し,片頭痛が始まって1~2時間(前兆だけのときや,頭痛が始まってかなりたってからではなく)に服用しないと十分な効果は得られないことに留意が必要だ。 慢性頭痛の診断には問診しか手段がなく,また,問診にはかなりの時間がかかることから,これまで慢性頭痛の診断はおろそかにされてきたことは否めない。 しかし,有効な治療法がなかった以前ならともかく,有効な治療法が開発された現在では,それは許されないというべきだろう。 「世間には『頭痛さえなければ』と思っている片頭痛の患者とその家族が大勢いる。そうした人々に生きがいと希望をもたらすために,プライマリケア医には慢性頭痛の診療に力を入れてほしい」と同教授は結んだ。 MEMO/薬物乱用頭痛 二次性頭痛の中の「物質またはその離脱による頭痛」群には,薬物乱用頭痛が含まれる。 これは頭痛治療薬の過剰な使用のために,だんだんその効果が薄れ,かえって頭痛が増悪してしまったケースを指す。 そうなる詳細な機序については不明な部分が多いが,最近増加しており,注目されている。 SUMMARY 1. 頭痛の分類には国際頭痛分類第2版(ICHD-Ⅱ)が用いられ,その中の一次性頭痛4群が慢性頭痛と呼ばれている 2. わが国の慢性頭痛の有病率は30%以上と報告されているが,痛みによる生活支障度が高く,受診率の最も高いのは片頭痛である 3. 慢性頭痛の診断では,まず二次性頭痛を除外し,その後,一次性頭痛の鑑別診断に進むが,それにはきめ細かな問診が不可欠である 4. 慢性頭痛の問診では「痛みの部位と性状」,「いつ起こるか」,「随伴症状」,「生活支障度」などについて聞く 5. トリプタンの登場により,それまでは困難であった片頭痛の完治が望めるようになってきた 出典 Medical Tribune 2011.8.25 版権 メディカル・トリビューン社
by wellfrog4
| 2011-09-24 00:44
| 神経内科
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