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脳梗塞患者においてシロスタゾールの脳卒中再発予防効果が大規模試験で証明された ─有効性だけでなく安全性も示される─ 脳梗塞患者の脳卒中再発予防における抗血小板薬シロスタゾールの有用性を世界で最もよく使用されているアスピリンと比較検討した大規模臨床試験CSPS(Cilostazol Stroke Prevention Study)Ⅱの結果が明らかになった。 要約すると、発症後26週以内の非心原性脳梗塞患者2757例をシロスタゾール(100mgを1日2回投与)またはアスピリン(81mgを1日1回投与)による治療にdouble-dummy 法を用いて無作為割付し、1~5年間治療を継続、脳卒中発症に対する抑制効果および安全性を比較するというもの。 CSPSⅡは日本で実施された試験であり、日本人のエビデンス構築に寄与することが期待されてきた。 その成績が、米国サンアントニオで開催された国際脳卒中学会(International Stroke Conference)2010のLate-Breaking Science Sessionにおいて2010年2月26日、主任研究者である立川病院院長の篠原幸人氏により発表された。 日本人非心原性脳梗塞患者2700例が最終解析の対象に CSPSⅡの目的は、脳梗塞二次予防におけるシロスタゾールのアスピリンに対する非劣性を検証し、さらにその有効性および安全性を評価することである。 非劣性についてはあらかじめ、シロスタゾールのアスピリンに対する脳卒中再発ハザード比の95%信頼区間上限値が1.33以下の場合と定義した。 設定された条件に該当する非心原性脳梗塞患者2757例が上記2群のいずれかに無作為割付され、二重盲検法により経過が観察された。 中止例、脱落例などが除かれ、最終解析の対象となったのは2672例(シロスタゾール群1337例、アスピリン群1335例)である。 シロスタゾールにより脳卒中再発リスクが26%有意に低下 全治療期間はシロスタゾール群が2965.9人・年、アスピリン群が3203.6人・年であった。 観察期間中に一次エンドポイントの脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)はシロスタゾール群で82例、アスピリン群で119例に発生した。 すなわち、一次エンドポイントのハザード比は0.743(95%信頼区間:0.564-0.981)であり、シロスタゾールのアスピリンに対する非劣性が証明された。 さらに重要なのは、シロスタゾール群の脳卒中再発率はアスピリン群に比べ有意に低いことが証明されたことである(表1)。 二次エンドポイントとして検討した項目の中で、脳卒中、TIA、狭心症、心筋梗塞、心不全、入院を要する出血などの複合エンドポイントの発生も、シロスタゾール群で有意に低下した(表2)。 出血性イベントのリスクは54%有意に低下 出血性イベントとしては脳出血、くも膜下出血および入院を要する出血を集計したが、発症例数はシロスタゾール群23例(年間発症率0.77%)、アスピリン群57例(同1.78%)、ハザード比は0.458(95%信頼区間:0.296-0.711)であり、出血リスクはシロスタゾール群で有意に低かった(表2)。 出血以外の有害事象で両群の頻度に有意差が認められたのは、頭痛(シロスタゾール群23.4%、アスピリン群16.3%、p<0.001)、下痢(12.3%、6.4%、p<0.001)、動悸(11.7%、5.3%、p<0.001)、めまい(9.6%、7.3%、p=0.03)、頻脈(6.7%、1.6%、p<0.001)、高血圧(9.0%、13.9%、p<0.001)、便秘(8.2%、11.6%、p=0.003)であった。 脳梗塞二次予防における治療選択肢の1つに 以上の成績により、脳梗塞二次予防におけるシロスタゾールのアスピリンに対する非劣性が証明されたばかりでなく、さらにシロスタゾールにより脳卒中再発がアスピリンに比し有意に抑制された。加えて出血リスクも低かったことから、篠原氏は、「シロスタゾールは非心原性脳梗塞患者の治療における第一選択薬の1つとして評価できる」との見解を示した。 http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/csps2/result.html (日経メディカル開発) <関連サイト> CSPS(Cilostazol Stroke Prevention Study)Ⅱ http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/csps2/outline.html Cilostazol Stroke Prevention StudyⅡ 日本のエビデンス、世界へ http://csps2.jp/ 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科関係の専門的な内容)
by wellfrog4
| 2010-10-13 00:17
| 循環器
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