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「膵島関連自己抗体の年次推移」についての論文に関する、北里研究所病院糖尿病センター・山田 悟先生による解説記事で勉強しました。 研究の背景:衛生仮説との関連は? 1型糖尿病の発症頻度が徐々に増加しつつあることが知られている(Lancet 2009; 373: 2027-2033 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19481249)。 その背景は不明であるが,清潔すぎる環境が自己免疫疾患やアレルギー疾患を増加させているという衛生仮説(hygiene hypothesis)が唱えられている。 もしこれが本当であるならば,自己抗体の頻度や種類の数についても増加の傾向が見られようというものであるが,英国における1型糖尿病発症直後の児童における膵島関連自己抗体の年次推移についての報告が米国糖尿病学会の機関誌Diabetes(2012; 61: 683-686 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/22315309)に報告された。 研究のポイント1:4つの自己抗体の陽性率の年次変化を検討 本研究は,英国のオックスフォード地区において21歳以下で1型糖尿病を発症した若年者を登録するというBOX研究の一環である。 今回の報告では,1985~2002年に登録された1,801人のうち,発症3カ月以内の血清が利用可能であった613人についての解析がなされた。 613人の登録時期を4等分して,第1期(1985~90年),第2期(1990~94年),第3期(1994~97年),第4期(1997~2002年)に分類し,それぞれの時期における以下の4つの膵島関連自己抗体の陽性率が検討された。 (1)GADA:1型糖尿病で最もよく知られている。グルタミン酸脱炭酸酵素に対する抗体 (2)IA-2A:インスリノーマ関連抗原2に対する抗体。GADAが陰性(かつ30歳未満)のときには保険診療において測定が可能 (3)ZnT8A:亜鉛輸送蛋白8に対する抗体。最近世界的に注目を集めている(Autoimmnuity 2011; 44: 394-405, http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/21244337 J Clin Endocrinol Metab 2010; 95: 707-713 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/20061424) (4)インスリン自己抗体(IAA):インスリンそのものに対する抗体。インスリン注射を開始すると反応性にインスリン抗体が陽性になるため,本研究においては発症2週間以内の血清が利用できた423人のみをIAAの解析対象とした 研究のポイント2:時代とともに自己抗体陽性率が高くなる傾向 検討の結果,時代とともに自己抗体の陽性率が変化しており,特にIA-2AとZnT8Aの陽性率が高くなる傾向があった(図1)。 さらに,抗体価を見ても,IA-2AとZnT8Aでは徐々に増加していた(図2)。 また,自己抗体が陽性の種類数を検討してみると,時代とともに4種類とも陽性の患者の比率が増え,1種類しか陽性でない患者の比率が減少する傾向にあった(図3)。 なお,第1期から第4期で,発症年齢(11歳前後),性別(男児55%前後)に変化はなく,HLAについても大きな変化は見られなかった(ただし,HLA DR4-DQ8のホモの比率が第1期の2.0%から第4期の7.8%まで増加する傾向はあった)。 山田先生の考察:1型糖尿病発症期の免疫応答が時代とともに変化,理由は不明 本研究の結果は,1型糖尿病発症期の免疫応答が時代とともに変化していることを示唆している。 もちろん,ZnT8Aは発症後すぐに低下しやすいため(Autoimmunity 2010; 43: 598-606 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/20298127),時代とともに早期発見,早期治療が行われるようになっている可能性はある。 しかし,IA-2Aは発症前から発症にかけて抗体価が上昇してくることが知られており(Diabetes Care 2011; 34: 2435-2437 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/21911777),発症後すぐに抗体価が低下していたとは思われず,さらに,論文著者らのデータでは,1型糖尿病診断時のケトアシドーシスの比率はここ20年間変化していないという。 したがって,本当に1型糖尿病発症期の免疫応答が変化しているのだと思う。 わが国では,1型糖尿病患者における自己抗体の陽性率は長崎大学のグループから精力的な報告が行われているが(J Autoimmun 1999; 13: 257-265 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/10479394),時代に伴う陽性率の変化についても検討していただきたく思う。 また,(残念ながらわたしには良い研究の系が思い浮かばないのであるが)衛生仮説が成立するか否かについての検討もお願いしたいところである。 出典 MT pro 2012.3.5 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
by wellfrog4
| 2012-04-09 00:53
| 糖尿病
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