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BPSDから広がる抑肝散 抑肝散は、認知症の周辺症状(BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)であるせん妄、衝動性(攻撃性、興奮)、不眠を改善する治療効果で、老年精神医学の専門家などから注目されている漢方薬だ。 島根大学医学部精神医学講座教授の堀口淳氏は、抗精神病薬による治療に抵抗性を示す統合失調症患者に抑肝散を追加することにより、症状を有意に緩和できるとする研究成果をまとめ、発表してきた。 抑肝散の使用を積極的に推奨する堀口氏は、暴飲暴食と嘔吐を繰り返す摂食障害(過食症)やリストカットを繰り返すなどの自傷的な症状の抑制への臨床応用の可能性を感じ、その研究に取り組み、その実効性を確認してきた。 境界性パーソナリティー障害にオープン試験実施 人格の不安定性と自己の空虚感を特徴とする思春期から成人期に生じる人格障害である境界性パーソナリティー障害は、感情面では、挿間的に強い不快気分やイライラ、不安、抑うつ状態、強い怒りの感情などが認められる。 行動面では、リストカット、大量服薬による自殺企図、性的逸脱、薬物乱用、浪費、過食などの衝動行動などが見られる。 堀口氏は、境界性パーソナリティー障害の患者20人に、抑肝散を投与するオープン試験によってその効果を評価したところ、衝動性や攻撃性が低下し、リストカットや過食発作などが減少することが認められたことを報告した。 対象症例はDSM-IV(American Psychiatric Association, 1994)の診断基準で診断された境界性パーソナリティー障害患者20人で、これまで様々な向精神薬による薬物療法で治療効果が乏しかった症例群。 対象症例に抑肝散(2.5~7.5g/日)を12週間投与した。 抑肝散の治療効果と副作用について、投与開始時、投与開始2週間後、12週間後に行った。精神症状の臨床評価としては、Clinical Global Impression Scale(CGI)、Brief Psychiatric Rating Scale(BPRS)、Global Assessment of Functioning(GAF)、Self-evaluation Aggression Questionnaire(AQ)、Hamilton Depression Rating Scale(HAM-D)を用いた。 安全性の評価としては、抑肝散投与開始時と投与開始12週後に血液生化学検査を施行し、身体理学所見や自覚的副作用の有無を評価した。 対象症例20人の患者がすべて12週間の研究期間を完了し、症例はなかった。抑肝散の1日平均投与量は6.4+-1.9g(1~3包)。 患者に「対応しやすくなった」と家族が評価 結果は、抑肝散の投与によりすべての評価尺度で有意な改善が認められた。 その治療効果はいずれも抑肝散投与後2週間目に認められ、12週間後まで持続した。 BPRSの下位尺度では、不安症状、敵意、猜疑心、非協調性、精神運動興奮の項目で著明な改善が認められた。 安全性に関しては、投与開始12週間後に施行した血液生化学検査で異常検査値の発現は認められず、臨床上問題となる有害事象はなかった。 自覚的な副作用は頭痛、吐き気が2症例、全身倦怠感が1症例で認められたが、軽微で一過性のものだった。 抑肝散を投与された患者は、衝動性や攻撃性が低下し、穏やかに会話できるようになった。 その家族や周囲から「対応しやすくなった」という評価が得られた。 抑肝散の二重盲検試験が進行中 また、堀口氏は研究代表者として、平成22年度厚生労働科学研究費補助金による、医療技術実用化総合研究事業として、「治療抵抗性統合失調症に対する抑肝散の有効性と安全性に関する多施設共同二重盲検ランダム化比較試験」を進めている。 この研究は、統合失調症の治療薬として抑肝散の有用性を検討するとともに、漢方薬医療のエビデンス創出法の確立も目指している。 平成24年度中に、試験実施、結果収集と解析を行い、論文が提出される。 抑肝散やその他の漢方薬を処方する医師にとって、その結果は興味深いものになるに違いない。 出典 NM online 2012.2.24 版権 日経BP社
by wellfrog4
| 2012-03-14 00:22
| 認知症
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