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北里研究所病院糖尿病センター・山田 悟先生の「糖質制限食」の記事で勉強しました。 糖質制限食はカロリー制限食・地中海食と同様にメタボ関連因子を改善 DIRECT試験サブ解析から 研究の背景:DIRECT試験本解析で示された糖質制限食の減量効果 今振り返ってみると,2008年は糖尿病食事療法の歴史における転換の年であった。 この年に米国糖尿病学会(ADA)はposition statementにおいて糖質制限食をカロリー制限食と同様に位置付けたのである。 この年にN Engl J Med(2008; 359: 229-241)に報告された糖質制限食の試験がDIRECT※である。 ※ Dietary Intervention Randomized Controlled Trial この試験は,過体重もしくは肥満のイスラエル人を (1)脂質制限かつカロリー制限食(以下,カロリー制限食), (2)カロリー制限付き地中海食(以下,地中海食), (3)カロリー無制限の糖質制限食(以下,糖質制限食) ―にランダムに割り付け,2年間観察したものである。 ご存じのように最も体重減量に成功していたのが(3)であり,糖尿病患者のHbA1cを最も低下させていたのも(3)であった。 この試験のサブ解析として,アディポネクチンなどのアディポカインを含むいくつかの代謝指標に対する影響に焦点を当てた報告が直近のDiabetes Care(2012; 35: 342-349)に掲載された。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18635428 研究のポイント1:減量による代謝指標への影響は2パターンに分かれる DIRECT試験は3つのいずれの食事介入法でも迅速な体重減量を達成した初期の6カ月(減量期)と若干のリバウンド後に減量体重を維持した後期の18カ月(維持期)に分離することができた。 そこで,本サブ解析では介入開始前,6カ月後,24カ月後の各種代謝指標の変化をパターン化し,体重減量がこれらの指標に与える影響についての検証をした。 今回選択された代謝指標は,インスリン,HDLコレステロール(HDL-C),トリグリセライド(TG),高感度C反応性蛋白(CRP),レプチン,アディポネクチン,ケメリン,単球走化性蛋白(MCP)-1,レチノール結合蛋白(RBP)4,バスピン,プログラニュリン,フェチュインAの12指標である。 検証の結果,食事介入によるこれらの代謝指標への影響には2パターン存在することが分かった。 すなわち,減量期に改善するものの,維持期には改善が部分的もしくは完全に失われるパターン(パターンA)と,減量期にも維持期にも改善し続けるパターン(パターンB)である(図1)。 図1. 食事介入による各種代謝指標への影響パターン 研究のポイント2:減量法による差異はあまりなかった 前述のように,本試験では, (1)カロリー制限食, (2)地中海食, (3)糖質制限食 ―の3つの介入法が存在した。 糖質制限食では動脈硬化症が進展しやすいのではないかという動物実験の結果があり(Proc Natl Acad Sci USA 2009; 106: 15418-15423),逆に脂質制限食では脂質プロファイルを悪化させることを示唆する研究結果が存在する(Diabetes 2009; 58: 2741-2748,Diabetes Care 2009; 32: 959-965)。 そこで,各種代謝指標の変動を介入法によって分類したところ,介入法間での差異はさほど見られず,一部の例外を除き,パターンAの指標はいずれの介入法でもパターンAを呈し,パターンBの指標はいずれの介入法でもパターンBを呈していた。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19706393 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19720791 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19407076 図2. 食事療法別の各種代謝指標の変動 研究のポイント3:パターンAとパターンBの違いは脂肪の量と質の違い? このように複数の代謝指標の変動がパターンAとパターンBとに分かれる理由は本試験では明らかにすることはできない。 しかし,結論の項の中で,論文の著者らはパターンAは脂肪量を反映したものであり,パターンBは脂肪(細胞)の質を反映したものであるという仮説を立てている。 各代謝指標の特徴は次のようになる。 パターンA(脂肪の量を反映) インスリン:膵β細胞から血中グルコースを主たる刺激として分泌される血糖低下作用を持つホルモン。 高インスリン血症は動脈硬化症と関連するものと考えられている。 TG:脂肪酸とグリセロールの結合体。高TG血症も動脈硬化症に関連するものと考えられている。 昨年(2011年),米国心臓協会(AHA)から中性脂肪に関するScientific statementが出され,脂肪摂取は少量よりも中等度(エネルギーの30~35%以上)の方が中性脂肪の減少に役立つ旨の記載がなされた(Circulation 2011; 123: 2292-2333)。 レプチン:脂肪細胞から分泌される食欲抑制および代謝亢進作用を持つホルモン。 体脂肪の蓄積と血中レプチン濃度は強い正の相関を示すことが知られている。 ケメリン:肝臓と脂肪組織で発現する炎症性蛋白。インスリン抵抗性にかかわり,糖・脂質代謝を悪化させることが知られている。 MCP-1:マクロファージ・単球系細胞から分泌される炎症性サイトカイン。MCP-1が脂肪組織から分泌されることが脂肪組織への単球浸潤を惹起し,脂肪細胞−単球間の相互作用を介して悪循環を生じるものと考えられている。 RBP4:脂肪細胞に由来するインスリン抵抗性惹起物質。 血中RBP4濃度はインスリン抵抗性と正に相関し,脂肪細胞中の糖輸送担体(GLUT4)と負の相関を示すことが知られている(N Engl J Med 2006; 354: 2552-2563)。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16775236 パターンB〔脂肪(細胞)の質を反映〕 HDL-C:いわゆる善玉コレステロール。コレステロール逆転送系を担う。 一般にインスリン抵抗性あるいは中性脂肪とは負に相関する。 アディポネクチン:脂肪細胞に由来する善玉として有名なアディポカイン。 インスリン抵抗性と負に相関し,抗炎症作用,抗動脈硬化作用を持つとされている。 高感度CRP:本来は炎症の程度を示すマーカーではあるが,最近では,LDLコレステロール(LDL-C)と並んで動脈硬化の危険度を反映するとされることもあるペントラキシンの一種。 鋭敏なマーカーではあるが,感冒などさまざまな要因で変動しやすいことが欠点。 フェチュインA:肝臓で合成される糖蛋白。インスリン抵抗性や肝臓内の脂肪沈着と正に相関。 プログラニュリン:大網の脂肪組織へのマクロファージの浸潤の程度を示すと考えられているマーカー。炎症の程度や内臓脂肪蓄積と相関するとされている。 バスピン:肥満やインスリン抵抗性と関連するとされる内臓脂肪由来の因子。 山田先生の考察:3つの食事療法は動脈硬化症予防に対して同様の良い効果を持つ 今回の報告では,肥満・脂肪細胞関連因子(メタボリックシンドローム関連因子)に対して,DIRECT試験の3つの食事療法が同様の効果を持つことが明らかとされた。 実は,昨年,DIRECT試験の3つの食事療法によるコレステロール代謝への影響の報告がなされており,コレステロール吸収あるいはコレステロール合成のマーカーに対して,やはり3つの食事療法が同様の影響を与えていたことが明らかにされている(Am J Clin Nutr 2011; 94: 1189-1195)。 LDL-Cとメタボリックシンドローム,およびその下流の糖尿病が動脈硬化症の3大要因であるというのが一般的コンセンサスであり,コレステロール代謝に対しても,メタボリックシンドローム関連因子に対しても3つの食事療法が同様の良い効果を持っていたとなると,それらの行く末としての動脈硬化症予防に対しても3つの食事療法が同様の良い効果を持つものと考えられる。 動物由来の蛋白・脂質に偏ることなく,植物由来の蛋白,魚由来の脂質に重きを置いて糖質を制限することにはなんらの問題もないことが示唆される。 今年は糖質制限食に関しての熱い議論が交わされることが予想されている。 昨年までの糖質制限食をめぐる議論は,ケトン産生食(糖質摂取量1日50g以下)の安全性についての科学的議論を避ける盲目的糖質制限信奉者と,ADAのclinical practice recommendationsの2008年における改訂を無視する盲目的糖質制限批判者との,非科学的議論であった。 今年の議論は,Westmanの糖質制限食の定義(ケトン産生が生じないよう1日の糖質摂取量の下限を50gと設定し,1日の糖質摂取量150g以下を糖質制限食と定義する;Am J Clin Nutr 2007; 86: 276-284)を踏まえ,科学的なものにしていかなければならない。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17684196 出典 Medical Tribune 2012.1.31 版権 メディカル・トリビューン社
by wellfrog4
| 2012-02-06 00:00
| 糖尿病
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