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2010年から2011年にかけて相次いで新薬が登場し、大きな転換期を迎えた骨粗鬆症治療。 「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」2011年版の改訂作業も大詰めになっています。 多様性を増した骨粗鬆症薬のそれぞれの特徴を専門家に聞いた記事で勉強しました。 2010年、骨吸収抑制薬しかなかった骨粗鬆症治療薬に、骨新生を促進するという新たな機序の骨形成促進薬が登場し、大きな注目を集めた。 2011年には新規の活性型ビタミンD3製剤に加えて、週1回製剤が主流だったビスホスホネート製剤で初めて4週1回製剤が発売となり、さらにはテリパラチド週1回製剤も登場した。 この2年間で、骨粗鬆症薬はまさに百花繚乱の状態になった。 さらに今後も、新しい作用機序の骨吸収抑制薬や異なる剤形のビスホスホネート製剤の発売が続くとみられている(表1)。 表1●現在使用できる主な骨粗鬆症治療薬 導入にはビタミンD3やSERM 活性型ビタミンD3製剤は腸管からのカルシウム吸収を促進することから、カルシウム不足の患者に適している。 また、骨折抑制効果はさほど大きくないものの服用が簡便なので、閉経前患者や男性患者、軽度骨粗鬆症患者の導入薬剤としてよく使用される。 2011年1月に承認されたエルデカルシトールは従来のビタミンD3製剤よりも血中濃度を長時間維持できることが特徴だ。 ビタミンD受容体との親和性は低く、有害事象の減少も見込まれている。 骨密度を増加させ、椎体骨折を防ぐ効果についても、従来薬のアルファカルシドールよりも有意に優れていることが明らかになっている。 東京大学整形外科学准教授の田中栄氏は、「米国ではビタミンD3を含む牛乳やジュースが販売されており、サプリメントでビタミンD3を補充する動きが盛んだ。日本ではまだビタミンD3製剤の他の薬剤への上乗せ効果が十分に解明されているとは言い難い。今後研究が進めば、より優れた有効性が明らかになる可能性もある」と見込む。 SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)は骨内のカルシウムが血液中に溶け出すことを防ぐ。 女性ホルモンのエストロゲンと似た作用のため、更年期症状を悪化させることがあり、適応は閉経後女性に限られる。 近年、心血管イベントや乳癌の発生を抑制する効果があるとの報告がなされ、副次的な効果に注目が高まっている。 服用も簡便で、閉経後比較的早期の患者への導入薬剤として適している。 骨折リスク高い患者にPTH 2010年に登場したテリパラチドは、骨芽細胞を増加させ骨新生を促進する。 最初に発売された1日1回製剤に加え、2011年には週1回製剤が登場した。 1日1回製剤は自己注射、週1回製剤は病院や診療所での注射となる。 腰椎骨密度の増加ではビスホスホネート製剤を上回る効果が示されており、高い骨折予防効果を有する。 「骨粗鬆症患者がいったん骨折すると、骨は元には戻らない。骨折後の患者や骨密度が非常に低く骨折リスクの高い重症患者、骨形成が大きく抑制されているステロイド性骨粗鬆症患者など、骨量を増やす必要性の高い患者に対し、テリパラチドを積極的に使用すべき」と田中氏は話す。 週1回製剤と1日1回製剤では、薬物動態が異なる可能性も指摘されている。 臨床試験での骨代謝マーカーの推移をみると、1日1回製剤では骨形成マーカー・骨吸収マーカーともに増加していたのに対し、週1回製剤では骨形成マーカーが高値を示し、骨吸収マーカーは低値を示すという結果だった。 メカニズムは明らかになっておらず、今後の臨床経験の蓄積が待たれる。 新たな機序の薬剤開発も進む 従来とは異なる機序の薬剤としては今後、どのような薬剤が登場するのだろうか。 まずは、破骨細胞分化因子(receptor activator of nuclear factor κB ligand:RANKL)の完全ヒト型モノクローナル抗体であるデノスマブが挙げられる。デノスマブはRANKLと受容体の結合を阻害し、骨吸収を抑制する。 半年に1回の皮下注射剤という点も特徴だ。 9月に米国で開催された第33回米国骨代謝学会では、8年間投与を続けても骨密度の改善が継続したとする結果が発表された。 2010年に欧米では骨粗鬆薬として認可されており、日本で承認されれば骨粗鬆症薬で初の生物学的製剤となる。 介護施設の入所者などビスホスホネート製剤の使用が難しかった患者や全身性疾患である関節リウマチ患者への使用が考えられる。 カテプシンK阻害薬であるオダナカチブも、従来薬とは異なる作用機序の薬剤だ。 カテプシンKは破骨細胞に特異的に発現し、骨のコラーゲン分解に関与しているプロテアーゼ。 この酵素を選択的に阻害するため、破骨細胞への直接的な作用は少ない。 従来の骨吸収抑制薬のように骨代謝回転を過剰に抑制することなく、骨吸収を抑制できるのではないかと期待されている。 ビスホスホネート製剤が第1選択 鳥取大学保健学科教授の萩野浩氏は、「新しい薬剤が登場しているとはいえ、ビスホスホネート製剤が多くの患者に対する第1選択薬であることは変わらない」との見方を示す。 その理由として挙げられるのが、ビスホスホネート製剤では、骨粗鬆症の治療目標である各部位の骨折抑制効果が明確に示されていることだ。 例えば、アレンドロン酸とリセドロン酸には、椎体骨折・非椎体骨折・大腿骨近位部骨折の抑制効果を示すエビデンスレベルの高い試験結果がある。 2011年内に発行される予定となっている新しい「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」でも、最も高い推奨度が示される見通しだ。 他の薬剤では、椎体骨折または椎体骨折と非椎体骨折の抑制効果は示されていても、大腿骨近位部骨折の抑制効果まで検討した報告はないことが多い。 これを踏まえて萩野氏は、「ビスホスホネート製剤は幅広い部位の骨折を確実に抑制できることが明らかになっている。安価な薬剤でもあり、治療の中心と位置付けられる」とする。 4週1回製剤が今後の主流に? ただし、ビスホスホネート製剤にはいくつか未解決な課題がある。 1つ目は、服用しにくく服薬コンプライアンスが悪いという点だ。 ビスホスホネート製剤は、骨表面に吸着すると骨半減期が非常に長い一方で、血液中でカルシウムイオンなどと結合すると速やかに体外に排泄されてしまう。 このため、食後に服用することが多い他の薬剤とは異なり、朝起きてすぐに服用し、30分は上体を起こしたまま水以外の飲食を控えなければならない。 「週1回製剤の登場で、毎日服用するよりも投与間隔は空いたが、今でも服用する際には緊張すると話す患者がいる。起床後すぐに服用し、その後30分は飲食を控えるというのは、やはり患者にとって大きな負担に感じられるようだ」と田中氏。 そこで期待されているのが、2011年7月に承認されたミノドロン酸の4週1回製剤だ。 他のビスホスホネート製剤でも4週1回経口剤や注射剤の開発が進んでおり、いずれは4週1回製剤が主流になるとみられる。 「1カ月に1回の服用で済むことから、週1回製剤よりも服薬コンプライアンスは上がると推測される。投与間隔が空くことで、胃腸障害などの副作用も減少する可能性があるのではないか」と萩野氏はみる。 52週での骨折発生頻度を1日1回製剤と比較したところ、4週1回製剤で総骨折発生数が1日1回製剤より低下する傾向が得られており、長期の間欠投与で骨折抑制効果が増強する可能性もありそうだ。 長期の服薬は休薬の検討が必要 2つ目の課題は、骨表面に吸着して破骨細胞の活性を低下させ、骨吸収を抑制して骨破壊を抑制するというビスホスホネート製剤の機序自体に関連している。 骨半減期が非常に長いビスホスホネート製剤は、服薬を中止しても一定期間は効果が続くとされている。 裏を返せば、骨形成が低下して骨代謝回転が過剰に抑制され、骨脆弱性が増悪する危険性の高い状態が継続するとも言える。 2010年に米国University of CincinnatiのNelson B. Watts氏らはビスホスホネート製剤の骨への蓄積を考慮すると、患者の骨折リスクに応じた休薬期間が必要ではないかと提言した(表2、J Clin Endocrinol Metab 2010;95:1555-65.)。 表2●ビスホスホネート製剤の休薬期間に関する提言 だがその後、休薬によって骨折リスクが上昇したとの報告も出され、ビスホスホネート製剤を休薬すべきかどうかについては、日本でもまだコンセンサスは得られていない。 「漫然と長期にわたり投与するのではなく、5年ほど使用した段階でいったん骨代謝マーカーや骨密度を計測し、ビスホスホネート製剤の有効性を評価する必要はあるのかもしれない」と萩野氏は指摘している。 もう1つは、ビスホスホネート製剤の長期服用中に非定型大腿骨骨折を来す患者が発生するのではないかという疑念だ。 海外では約0.05%の頻度とされているが、日本での発生頻度は不明だった。 そこで、日本整形外科学会骨粗鬆症委員会は全国調査を行い、このほど結果を公表した(下図)。 非定型大腿骨骨折患者が大腿骨近位部骨折全患者に占める割合は約0.5%だった。 ビスホスホネート製剤の使用割合は約30%で、ビスホスホネート製剤と非定型大腿骨骨折の関連性について明確な結論は出なかった。 萩野氏は、「関連性を明らかにするためには今後、コホート研究などを実施する必要があるだろう。また、非定型大腿骨骨折の手術成績についてもデータ収集を行うべきではないか」と指摘している。 ビスホスホネート製剤と非定型大腿骨骨折との関連は判明せず 日本整形外科学会骨粗鬆症委員会では、ビスホスホネート製剤と非定型大腿骨骨折との関連性を調べるため、全国調査を行った。 対象は日本整形外科学会臨床研修認定施設2016施設および臨床整形外科有床診療所1100施設で、2010年1~12月に非定型大腿骨骨折と診断し治療した症例の情報を収集した。 解析対象は398例で、ビスホスホネート製剤を使用していたのは119例(29.9%)、使用期間は3年以上が45.4%と最も多かった。 第33回米国骨代謝学会より 第33回米国骨代謝学会(ASBMR)が9月16~20日に米国サンディエゴで開催された。 新しい治療薬に関しては、2011年9月に日本で承認されたテリパラチド週1回製剤の最新の臨床試験成績を、産業医科大学整形外科教授の中村利孝氏が発表した。 試験は脆弱性椎体骨折を来す危険性が高い65~95歳の骨粗鬆症患者を対象にしたランダム化二重盲検プラセボ対照多施設比較試験で、全国65施設が参加した。 プラセボ群286人(男性10人、女性276人、平均年齢75.5歳)、テリパラチド群286人(男性13人、女性273人、平均年齢75.1歳)が解析対象となった。 観察期間は72週、主要エンドポイントはX線撮影による新規椎体骨折累積発生率だった。 新規椎体骨折の累積発生率は、プラセボ群14.5%に対しテリパラチド群3.1%と、相対危険度を79.9%減少させる著明な低下がみられた(P<0.001)。 72週を24週ごとに分けて検討したところ、いずれの週でもプラセボ群では約5%の骨折発生がみられたのに対し、テリパラチド群では2.3%、0.9%、0%と徐々に減少していた。 安全性に関しては、死亡および重篤な有害事象の発生率において、両群に有意差はなかった。 吐き気や嘔吐、頭痛といった有害事象に関して、プラセボ群よりもテリパラチド群で多い傾向がみられたが、一過性であり制吐剤の投与などで対応可能だった。 また、骨吸収抑制作用を持つ抗RANKL抗体であるデノスマブの臨床試験成績も注目を集めた。 RANKLとは、破骨細胞の分化・活性化に必須の蛋白質であり、日本でもデノスマブの臨床試験が進行中だ。 閉経後骨粗鬆症女性患者200人にデノスマブを半年おきに60mg最長8年間投与したところ、ベースライン時に比べて腰椎骨密度は16.8%、大腿骨近位部骨密度は6.9%増加した。 米国オレゴン骨粗鬆症センターのMichael McClung氏は、「骨粗鬆症は長期の治療を必要とする疾患であり、今回の試験でデノスマブは少なくとも8年間にわたり骨密度を改善する効果があることが示された」と結論付けた。 出典 日経メディカル2011年12月号特別編集版「特集1」 2012.1.5 小又理恵子=日経メディカル開発 版権 日経BP社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
by wellfrog4
| 2012-01-16 00:32
| 骨粗鬆症
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