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北里研究所病院糖尿病センター長・山田悟先生による“糖質制限食 vs. カロリー制限食”問題の本質と展望についての解説記事で勉強しました。 “糖質制限食 vs. カロリー制限食” 山田悟氏に聞く 熱い議論が展開されそうな今年の注目テーマ 今年(2012年),糖質制限食(低炭水化物食)※をめぐる議論が熱くなりそうだ。 ※ 炭水化物は糖質と食物繊維から成る。 糖尿病食事療法において,摂取制限の対象となるのは糖質であり,低炭水化物食は実質的に糖質制限食だが,英語に低糖質食に相当する言葉がないため,低炭水化物食と糖質制限食が混用されている(この概念を示す英語はlow-carbohydrate diet)。 他に,低糖質食,ローカーボ食という表現も見られる。 わが国において,学会公認の糖尿病食事療法はカロリー制限食である。 しかし近年,糖質制限食の有用性を示すエビデンスも蓄積されつつあり,米国糖尿病学会(ADA)の2011年のガイドラインでは,カロリー制限食と糖質制限食がともに糖尿病食事療法の選択肢として推奨されている。 一方,わが国でも,一部専門家の間では糖質制限食が高く評価されている。 糖質制限食に引かれる糖尿病患者も多いようで,出版界においてはちょっとしたブームとなっている。 このような動向を受けてか,カロリー制限食一辺倒であったわが国の医学界も糖質制限食に目を向け始めており,今年開催のいくつかの学会では,“糖質制限食 vs. カロリー制限食”をテーマとしたディベートなどが企画されている。 カロリー制限食は有効だが,継続できない患者が少なくない ――糖尿病食事療法の基本はカロリー制限食だ。それに何も問題がなければ,糖質制限食が注目されるはずがない。カロリー制限食の何が問題なのか。 カロリー制限食の臨床的有効性は確立済み。 ただし,継続できない患者が少なからずいるのも事実だ。 入院中は実践できても,外来に移行した途端に放棄してしまう患者をわれわれは数多く見ている。 わたしの担当する外来患者でも,半数程度は自分の守るべき摂取カロリー量すら答えられないのが現状だ。 そのような患者に対して,糖質制限食は試みるべき価値のある選択肢だと思う。 糖尿病患者の食事療法において,わが国には日本糖尿病学会の「食品交換表」というバイブルが存在し,これに基づいた指導が広く行われている。 食品交換表では標準体重に基づいて摂取カロリー(エネルギー)量を設定しており,男性では1,400~1,800kcal,女性では1,200~1,600kcalが推奨されている。 しかし,国際的にも専門的にも,基礎代謝量から摂取カロリー量を設定するのが一般的だ(基礎代謝量の実測が困難な場合はその人の現体重から推測する)。 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」でも,この方法に基づいて摂取カロリー量が設定され,男性で2,400~3,000kcal,女性で2,200±200kcal(18~69歳,普通以上の身体活動量の場合)が推奨されている。 「食品交換表」が推奨する内容は一般の人の健康増進食ともなるとしているだけに,「日本人の食事摂取基準(2010年版)」と同等の摂取カロリー量であるべきだが,両者の乖離はあまりにも大きい。 現時点ではどちらが糖尿病患者にとって適切か判断するエビデンスがないが,わたしは一部の患者(除脂肪体重量の大きい人など)には過小な摂取カロリー量を押し付けている可能性があるのではないかと考えている。 このことは患者の自己効力感の低さにつながり,ことによってはうつの原因ともなりかねない。 食事療法は生涯にわたり行うべきものだけに,“楽しくて続けたくなる”ようでなければならない。 “カロリー無制限”でも糖質を制限すれば摂取カロリー量も抑えられる ――糖質制限食とはカロリー摂取量は無制限にして,糖質だけを制限する食事療法のこと。糖質制限食を批判する意見の中で必ず見られる論点が「糖質以外からのカロリー摂取量が過剰になって悪影響を及ぼすのではないか」ということだ。そのような懸念はないのだろうか。 わたし自身の経験から,糖質を制限すればカロリー摂取量も抑えられると考えている。 DIRECT試験などの臨床試験の結果を見ても,糖質制限食におけるカロリー摂取量はカロリー制限食に比べると多いが,導入前に比べると低下している。 “カロリー無制限”というのは“摂取カロリーを設定しない”という意味で,“カロリー摂取が過剰になる”ことを意味しない。 患者への指導上のスキルとしては「カロリーに制限はかけないが,常識的に食べ過ぎは体によくないですね」くらいで十分であろう。 長期的予後に関するエビデンスは糖質制限食にもカロリー制限食にもない ――糖質制限食に関するエビデンスを概括すると,どのようなことが言えるのか。 食後高血糖の是正という点では,糖質制限食が非常に優れた食事療法であることは明らかだ。 また,体重減少,HbA1cの改善,トリグリセライド(TG),HDLコレステロール(HDL-C)など血清脂質値の改善においてもカロリー制限食と同等かそれ以上の効果を示している。 長期的な予後改善効果は不明だが,それはカロリー制限食も同様だ。 なお,サルを用いた研究では,カロリー制限食に寿命延長効果が認められている。 ――糖質制限食を批判する意見の中では,動脈硬化を促進するという指摘もあるが。 少なくともヒトを用いた研究では,そのようなデータはないと理解している。 確かに糖質制限食による動脈硬化の促進を示したとする論文は存在する。 しかし,それらの研究は,データの強引な曲解が目立つ。 “ここまで強引な解釈をしないと糖質制限食による動脈硬化の促進は示しえない”わけで,逆に糖質制限の安全性を示唆する内容になっている。 むしろ,上述のように短期的には脂質代謝の指標は改善している。 ――米国では最近,糖質制限食を高く評価する方向にあるのか。 ADAが毎年,年初に発表する臨床ガイドラインの栄養指導に関する勧告内容の変化に如実に示されている。2007年までは「1日130g以下の糖質制限は勧められない(専門家のコンセンサス)」であったのが徐々に変化し,2009年には「糖質制限食もカロリー制限食も短期的には減量に有効(明確なエビデンスあり)」となった。2011年にはその有益性を保証できる期間を1年から2年に延長しており,研究の進展に合わせて糖質制限食を評価しようという柔軟な姿勢を取っている。 ――それにしても,食事療法に関する臨床試験では症例数が少ない。カロリー制限食と糖質制限食の効果を比較した代表的な試験でも1群数十例程度の規模だ。 製薬企業の絶大な支援のある薬剤の臨床試験とは事情が異なる。 試験参加者に対する謝礼も支払われないことが多いようだ。 食事療法は糖尿病治療の基本であるだけに,今後の課題といえる。 アトキンスダイエットは適切な糖質制限食とはいえない ――糖質制限食の安全性という点では,動脈硬化発症の懸念以外にも,ケトアシドーシスを惹起する可能性も指摘されている。 それは糖質制限のレベルによる。 これまでにケトアシドーシスの発生が報告されたのは, 20g/日の極端な糖質制限を行った事例だ(Lancet 2006; 367: 958,N Engl J Med 2006; 354: 97-98)。 日本でも有名なアトキンスダイエットでも導入期糖質摂取量20g/日(1食7g)を推奨している。 これらの方法では安全性に問題があるといえるし,そもそもおいしく食事できず,継続が困難であろう。 1食20~40gくらいの糖質制限ならおいしく食べて継続できる ――適切と考える糖質制限のレベルは。 1食20~40gくらいが適当だろう。 これなら患者もおいしく食事ができ,続けられる。 「糖尿病の解決」などの著書で知られるBernstein博士も130g/日(1食40g)を糖質制限食の定義としている。同博士は自身,糖尿病患者であるだけに,患者の立場に立って考えている。 ――先生の外来ではどのようにして,糖質制限食を実施しているのか。 初診の糖尿病患者に対しては,まず標準的な食事療法としてカロリー制限食を指導している。 それでうまくいく場合はカロリー制限食を継続してもらうが,カロリー制限を心がけながらも血糖コントロールがうまくいかない患者や,体重が増加してしまう患者には糖質制限食への切り替えを提案している。 場合によっては3食の中でカロリー制限食と糖質制限食を使い分けることも可としている。 このような方法で,上記のようなカロリー摂取量が過剰になった患者はこれまでのところ皆無だ。 遵守面でも,管理栄養士が指導を行った場合は,ほぼ全例が継続できている。 ――糖質制限の表示方法としては,全体の摂取カロリーに占める糖質の割合で表示することもあるようだが。 糖質制限食では,カロリー制限を行わないのだから,全体のカロリーの何%といっても意味がない。患者にとっても何gと指導された方が理解しやすいはずだ。 ――糖質制限食を禁忌とすべき症例はあるのか。 糖質制限による蛋白質の摂取増加を懸念するなら,3期以上の糖尿病腎症患者には行わない方がよいだろう。また,1型糖尿病患者に糖質制限を導入する場合はインスリン量の調節が必要になるので専門医に任せてもらいたいと思う。 学会として臨床試験を行うのが理想 ――“糖質制限食 vs. カロリー制限食”の議論を深め,臨床に役立てるためには,今後どのようなことが必要か。 糖尿病治療の基本であるはずの食事療法の検証がこれまでおろそかにされてきた。 食事療法を科学的に検証するという姿勢が必要だ。 “糖質制限食 vs. カロリー制限食”の議論では,糖質制限食派は糖質制限食の利点のみを強調し,カロリー制限食派は糖質制限食の欠点を突くことに走りがちだ。 エビデンスに基づいた冷静な議論が求められるが,糖質制限食にもカロリー制限食にもエビデンスが不足している。 現在,日本のガイドラインで示されているカロリー設定量は,専門家の経験に基づいたコンセンサスでしかない。最初はそれで仕方がないかもしれないが,盲目的に受容し続けるのは問題で,本当に適切なのか検証する必要がある。 糖質制限食にしても,どの程度の糖質制限が適切なのかなど検証すべき問題は多い。 検証のポイントとしては,血糖などの検査値や体重だけでなく,患者の精神的・社会的満足感も考慮すべきだ。理想的には,日本糖尿病学会などが主導して臨床試験を行うべきだろう。 わたしは現状では,糖質制限食もカロリー制限食も同等に有用であり,カロリー制限食が合う患者にはカロリー制限食を,糖質制限食の方が向く患者には糖質制限食を勧めればよいと思っている。 (平田 直樹) 出典 MT pro 2012.1.5 版権 メディカル・トリビューン社 <関連サイト> カロリー制限は霊長類においても寿命延長法なのか? ■カロリー制限は寿命延長法として注目されており,酵母(Science 2000;289:2126-2128),線虫(Aging Cell 2006;5:514-524),ハエ(Science 2001;292:104-106),マウス(J Gerontol 1985;40:657-670)と多くの種において寿命延長効果が証明されていた。 しかし,これまで霊長類での証明はなされていなかった。 今回,ついに霊長類(アカゲザル)でのカロリー制限の効果が報告された(Science 2009;325:201-204)。 ■脳や筋肉の萎縮に対してもカロリー制限が予防的であった。 → カロリー制限により単に寿命が延長されるのみでなく,生産性を持った状態の維持も見込める可能性がある。 出典 MT pro 2009.8.24 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
by wellfrog4
| 2012-01-10 00:35
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