カテゴリ
全体 その他 感染症 骨粗鬆症 呼吸器科 神経内科 リハビリテーション科 脳外科 糖尿病 腎臓病 産婦人科 消化器 COVID-19 循環器 認知症 アレルギー科 精神科 血液内科 皮膚科 泌尿器科 内分泌 乳腺外科 がん 小児科 耳鼻咽喉科 生活習慣病 耳鼻咽喉科 一般外科 老年病科 再生医療 ゲノム医療 未分類 以前の記事
2023年 04月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 06月 2020年 01月 2019年 11月 2019年 06月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 03月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 05月 2017年 04月 2016年 12月 2016年 10月 2016年 08月 2016年 05月 2016年 01月 2015年 11月 2015年 08月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 02月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2012年 12月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 お気に入りブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2型糖尿病治療のパラダイムシフト -DPP-4阻害薬ビルダグリプチンの登場は何をもたらすのか- 特別企画 座談会(富山) 戸邉 一之 氏(司会) 富山大学大学院内科学第一講座 教授 門脇 孝 氏(コメンテーター) 東京大学大学院糖尿病・代謝内科 教授 薄井 勲 氏 富山大学大学院内科学第一講座 診療准教授 浦風 雅春 氏 かみいち総合病院副院長 糖尿病センター長 岩田 実 氏 富山大学大学院地域医療支援学 客員准教授 加藤 弘巳 氏 社会保険高岡病院院長 高野 敦子 氏 富山県済生会高岡病院内科 部長 新規経口血糖降下薬としてジペプチジルペプチダーゼ(DPP)-4阻害薬が相次いで承認され,2型糖尿病の治療選択肢が以前にも増して広がった。 DPP-4阻害薬には,糖尿病早期からの投与による膵β細胞保護およびグルカゴン分泌制御の正常化により,確実な血糖降下と安全性の両立,糖尿病の進展抑制と血糖コントロールの持続,さらには心血管保護や抗動脈硬化への期待が寄せられている。 DPP-4阻害薬の登場により,糖尿病治療の目標は高血糖に対する対症療法から病態進展および合併症の抑制へと,1つのパラダイムシフトを迎えている。 2型糖尿病治療目標の変化とDPP-4阻害薬の登場 戸邉 新規経口血糖降下薬であるDPP-4阻害薬ビルダグリプチンの上市から1年あまりが経過しました。 本日は,2型糖尿病の治療目標が血糖降下だけでなく合併症の抑制や膵β細胞保護などへと広がりを見せる中で,ビルダグリプチンをいかに活用すべきかを討議してまいりたいと思います。 門脇 (治療目標が変化してきた背景) 厳格な血糖管理の意義を検討した大規模臨床試験ACCORDでは,強化療法群で標準療法群に比べて重症低血糖が頻発し,全死亡率が2割上昇する結果となりました。 現行の糖尿病薬物療法では,低血糖や体重増加,高インスリン血症などの副作用による大血管症の促進が,血糖降下によって得られる大血管症抑制のメリットを上回る可能性があり,血糖を「どれだけ下げるか」に加えて「どのように下げるか」も非常に重要であることが示唆されたのです。 低血糖は,炎症や内皮機能不全,凝固異常,交感神経の亢進を介して心血管イベントに影響を及ぼすと考えられています。 また,糖尿病患者では,がんの発症リスクが高まる可能性があることが報告されているほか,最近では糖尿病とアルツハイマー病の関連も注目され,高インスリン血症がインスリン分解酵素を介したアミロイドβの分解を拮抗的に阻害することでアミロイドβのプラーク形成を促進しているのではないかとする仮説などが提唱されています。 今後の糖尿病治療では,大血管症の抑制に加えて,がんやアルツハイマー病の発症との関連も見据えながら,低血糖や体重増加,高インスリン血症を回避しつつ食後高血糖を是正するという,“質の良いHbA1c低下”を実現する必要性が高まっていくと考えられます。 門脇 (DPP-4阻害薬の登場は,どのような形で“質の良いHbA1c低下”に寄与するのか?) 食事を取ると,小腸から消化管ホルモン・インクレチンの1つグルカゴン様ペプチド(GLP)-1が分泌されます。GLP-1は膵β細胞の血糖感受性を増幅して,血糖依存性にインスリン分泌を促進するとともに,膵α細胞からのグルカゴン分泌を抑制して,血糖を降下させます。 DPP-4阻害薬は,GLP-1を分解する酵素DPP-4を阻害し,内因性GLP-1の活性を高めます。 そのためDPP-4阻害薬の作用も血糖依存性であり,食後高血糖の是正が得られるとともに単独投与では低血糖,体重増加,インスリンの過剰分泌を比較的来しにくいと考えられます。 戸邉 ビルダグリプチンの国内第Ⅲ相試験における低血糖発現率(承認時までの集計)を見ますと,単独療法では509例で低血糖の発現はなく,併用療法では155例中4例(2.6%)という成績でした。 門脇 膵β細胞保護も,糖尿病治療の大きな課題となっています。 2型糖尿病では膵β細胞の量と機能が進行性に低下しますが,従来の治療では膵β細胞の機能低下を抑制できず,長期的には血糖コントロールが悪化することが示されています。 これに対し,GLP-1は膵β細胞のアポトーシスを抑制するシグナルを増強する作用を有することが基礎研究によって示されており,DPP-4阻害薬にも同様の作用が期待できます。 DPP-4阻害薬に寄せる期待 薄井 (DPP-4阻害薬に何を期待するか) HbA1c 5.8%未満という血糖正常化を目指す上で,他剤では低血糖のリスクが少なからずありました。 そうした懸念が比較的少ないDPP-4阻害薬を用いることで,HbA1c正常化を目指すことができる症例が増えるのではないかと思います。 浦風 高インスリン血症を回避しつつ食後高血糖を是正し,患者さんのインスリン分泌能を疲弊させることなく血糖コントロールの改善が得られることに,大きな期待を寄せています。 高インスリン血症とアルツハイマー病との関連が注目されていることからも,高インスリン血症を回避できるDPP-4阻害薬の臨床的有用性は高いと思います。 また,基礎研究でも,DPP-4阻害薬の抗動脈硬化作用が報告されており,血糖降下作用とともに大血管症の抑制にも期待が持てます。 薄井 患者さんもDPP-4阻害薬の特長をよくご存じで,投与に前向きな声を聞くことがあります。 DPP-4阻害薬は,効果と安全性だけでなく服薬アドヒアランスの向上も期待できますので,他科の先生方に糖尿病診療に参画していただき早期介入を推進していく上でも良い契機となる薬剤だと思います。 門脇 血管合併症の予防や膵β細胞保護を見据える上でも,早期介入が重要です。 2010年に日本糖尿病学会は糖尿病の診断基準を改訂し,これまで補助的に用いられてきたHbA1cを「糖尿病型」の判定基準として積極的に取り入れました。 これにより,血糖値とHbA1cがともに糖尿病型であれば最初の検査で糖尿病と診断でき,早期介入が可能となりました。 ここに効果と安全性に優れるDPP-4阻害薬が使用可能になったことで,糖尿病治療がさらに大きく進歩すると期待しています。 ビルダグリプチンの優れた血糖降下作用 門脇(ビルダグリプチンの特長) ビルダグリプチンは共有結合によりDPP-4を強く阻害します。2型糖尿病患者を対象とした海外の研究では,ビルダグリプチンが長時間にわたって活性型GLP-1を高いレベルで維持し,グルカゴン分泌を抑制することが示されています。 国内臨床試験では,血糖コントロールが十分に得られていない2型糖尿病患者において,ビルダグリプチン50mg1日2回12週投与によるHbA1cのプラセボ群との変化量の差が1.2%と,良好な血糖降下作用が示されています7)。 岩田 わたし自身はまだ処方経験は少ないのですが,確かにビルダグリプチンの強い血糖降下作用を感じています。今後は,治療目標を達成できない症例においてビルダグリプチンの追加や切り替えを検討していきたいと考えています。 門脇 ビルダグリプチンの国内治験の併合データを分析したところ,ビルダグリプチン50mg1日2回の12週投与により,HbA1c 6.5%未満を達成したレスポンダー率は47.8%で,約半数が目標を達成していました。 また,HbA1cがベースラインと比べて不変または増加したノンレスポンダーの割合は4.3%と低率でした。 浦風 ノンレスポンダー率が極めて低い点から,ビルダグリプチンは,2型糖尿病患者の初期治療において,ファーストチョイスで投与する薬剤として有用性が高いと思います。 加藤 早期例の場合,インスリン分泌低下型の非肥満例ではDPP-4阻害薬,中でも血糖降下作用が強いビルダグリプチンをファーストチョイスとしたいと思います。 肥満例には,インスリン抵抗性改善系の薬剤から処方します。 門脇 さらに注目すべきは,ビルダグリプチンがインスリンの初期分泌を改善させることです。 2型糖尿病患者にビルダグリプチンを50mg1日2回12週投与した海外の試験では,グルコースに対する急性インスリン反応が3倍以上に増加していました。 インスリン初期分泌への好影響も,ビルダグリプチンの特長の1つです。 高野 食後高血糖の低下が期待できる点は興味深いです。 ご紹介いただいたビルダグリプチンの切れ味の良さを生かすためにも,ファーストチョイスとしての処方を考慮したいと思います。 戸邉 ビルダグリプチンは1日2回投与が推奨されていますが,これにはどのような根拠があるのでしょうか。 門脇 1日2回投与のビルダグリプチンは,朝の1錠で日中の食後高血糖を改善し,夜の1錠で夜間のグルカゴン分泌と糖産生を抑制します。 “暁現象”と呼ばれる早朝の血糖上昇の抑制が期待できます。 薄井 ビルダグリプチンは1日2回投与するからこそ,GLP-1活性を24時間高く維持し,強い血糖降下作用が得られるということですね。 戸邉 ビルダグリプチンは,加水分解で代謝されやすく,腎機能低下例でも未変化体の血中濃度が比較的上昇しにくいことも特長とされます。 高野 ビルダグリプチンは腎機能低下例にも使用可能であるという点は心強いです。 浦風 高齢者では,一般に腎機能が低下しており,ビルダグリプチンの未変化体血中濃度が上昇しにくいという点から,ビルダグリプチンは高齢者にも極めて有用な薬剤であると考えられます。 門脇 ただし,高齢者や腎機能低下例では,50mg1日1回から開始するなど,慎重な投与を心がけていただきたいと思います。 ビルダグリプチンはファーストチョイスおよびSU薬との併用薬として有用 門脇 (DPP-4阻害薬登場後の2型糖尿病の経口薬治療の展望) DPP-4阻害薬は,低血糖と体重増加が比較的少なく,食後高血糖の低下作用が強く,加えて膵β細胞保護作用も期待されています。 これらの四重の理由から,今後は,DPP-4阻害薬をファーストチョイスとし,効果が不十分な場合にSU薬を追加する治療戦略が浸透すると思います。 浦風 糖尿病の治療法を選択する上で有用な指標になりうるものとしてCペプチド(CPR)index(CPI)※があります。富山大学第一内科を中心に臨床研究が進められており,現在のところ,CPIが1.2超の場合は食事・運動療法に加えて経口薬治療で,CPIが0.8未満の場合はインスリン治療で,それぞれ良好な血糖コントロールが得られることが見いだされています。 わたしも,このCPIをインスリン分泌能の指標として活用していますが,インスリン分泌能が保持されている症例では,DPP-4阻害薬が特に有用であると考えています。 ※ 空腹時CPR(ng/mL)÷空腹時血糖(mg/dL)×100 戸邉 CPIとDPP-4阻害薬の関連については,これまでのところ,CPI 1.2以上ではDPP-4阻害薬がよく効くのに対し,これ未満,例えばCPIが1を切るようなインスリン分泌能が低下した症例ではSU薬などとの併用が必要という報告が多いように思います。 岩田 われわれのチームで研究を進めているテーマですので,引き続き検討していきたいと思います。 加藤 (SU薬二次無効例に対する次の一手) SU薬との併用薬としては,DPP-4阻害薬の中でも血糖降下作用の強いビルダグリプチンが適していると思います。 門脇 国内治験では,SU薬グリメピリドを投与して平均HbA1cが7.8%の2型糖尿病患者にビルダグリプチンを追加併用し,12週間でHbA1cが1%低下しています。 SU薬にDPP-4阻害薬を併用する場合は,低血糖を避けるために,「インクレチン(GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬)の適正使用に関する委員会」の勧告8)を参考にして,SU薬を減量していただきたいと思います。 出典 Medical Tribune 2011.12.15 版権 メディカル・トリビューン社 <内科・ひとくちメモ> 骨粗鬆症 ■太っている人は変形性膝関節症の確率が高く、痩せている人は骨粗鬆症の確率が高い。 ( 出典;日本医事新報 2009.8.8 P39) ■椎体骨折の2/3は無症状である。 ( 出典;日本医事新報 2009.8.8 P39) ■若い時に比べて3cm以上背が低くなっていれば(IOF 国際骨粗鬆症財団)骨折の危険性を含めて注意していく。 ( 出典;日本医事新報 2009.8.8 P44) ■大腿骨近位部骨折の発生頻度は、在宅高齢者に比べて施設内高齢者では3倍くらい高い。(80歳以上の年間発生率は約9% 国立長寿医療センターのデータ) ■前立腺癌のホルモン治療で骨粗鬆症の危険性が高まる。 ( 出典;日本医事新報 2009.8.8 P55) ■顔面と手を1日15分間日光に当てると、血液中25(OH)Dは1年間で2.2倍増加し、大腿骨近位部骨折を著明に抑制する。 ( 出典;日本医事新報 2009.8.8 P58) 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
by wellfrog4
| 2011-12-21 00:18
| 糖尿病
|
ファン申請 |
||