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北里研究所病院糖尿病センター・山田 悟先生による「インスリン・DPP-4阻害薬併用」の記事で勉強しました。 GIP最新研究が示唆するインスリン・DPP-4阻害薬併用の有用性 研究の背景:わが国でも両薬剤の併用が可能に 2009年12月にわが国に登場したDPP-4阻害薬であるが,長らくインスリン製剤との併用は(保険診療上)できないでいた。 しかし,今年(2011年)9月にDPP-4阻害薬の1つであるシタグリプチンがインスリン療法との併用の承認を取得した。 ちょうど今の時期にインスリン製剤とDPP-4阻害薬の併用の臨床的有効性についての実感を得ている先生も多いのではなかろうか。 そんな中,まさにDPP-4阻害薬によって血中濃度が高くなるGIPの臨床的意義についての報告が米国糖尿病学会(ADA)の機関誌Diabetes(2011; 60: 3103-3109)になされた。 Glucose-dependent insulinotropic polypeptide: a bifunctional glucose-dependent regulator of glucagon and insulin secretion in humans. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21984584 研究のポイント1:高血糖,正常血糖,低血糖条件下でのGIPの意義を検討 本研究はデンマーク・コペンハーゲン大学のグループがなしたもので,Christensen,Holst,Knopといったインクレチンの世界で名をはせている人たちが集まっているグループである。 19~30歳の健康男性10人〔BMI 19.8~25.4,空腹時血糖(FPG)81~104mg/dL,HbA1c 5.1~5.8%(国際標準値,JDS値では4.7~5.4%)〕を対象に,6回のグルコースクランプ試験が行われた。 すなわち,GIP(4pmoL/kg/分;生理的な食後の血中濃度のレベル)あるいは生理食塩水の持続静注下において,高血糖(216mg/dL),正常血糖(90mg/dL),低血糖(45mg/dL)条件でのグルコースクランプ試験である。 1回のクランプ試験の時間は90分であったが,60分でGIPもしくは生理食塩水の持続静注は終了とした。 試験開始前10分,開始時,開始後5, 10, 20, 30, 45, 60, 90分で採血をし,インスリンおよびグルカゴンの濃度を測定した。 研究のポイント2:GIPは高血糖時にのみインスリン分泌を高めた その結果,インスリン分泌については,どのような条件でのクランプ試験でもGIPにより分泌が促進されていた。ただし,正常血糖および低血糖クランプにおいては最初の30分(低血糖クランプでは30分かけて45mg/dLまで血糖を低下させていた)までしか,インスリン分泌についての生理食塩水とGIPの差異は認められなかった。 一方,高血糖クランプにおいては投与終了(60分)までGIP投与群でのインスリン分泌は高まっており,高血糖下においてはGIPが有効にインクレチン作用を発揮できることが示された。 研究のポイント3:GIPは低血糖時のグルカゴン分泌と高血糖時のグルカゴン分泌抑制を早めた 一方,グルカゴン分泌についてはクランプ条件により反応が異なっていた。 すなわち正常血糖クランプにおいてのみGIP投与によるグルカゴン分泌の増加が示され,低血糖クランプ(低血糖そのものによりグルカゴン分泌がなされ,生理食塩水投与下でもグルカゴン分泌が増加していた)や高血糖クランプ(高血糖そのものによってグルカゴン分泌が抑制され,生理食塩水投与下でもグルカゴン分泌が低下していた)では,生理食塩水投与とGIP投与とに一見差異を見いだすことはできなかった。 しかし,ここで最初の30分間でのグルカゴン分泌の変化量に限定してみると,低血糖クランプ(最初の30分をかけて血糖値45mg/dLまで低下させた)では,生理食塩水投与下に比べて,GIP投与下の方がグルカゴン分泌が早く生じていた。 また,高血糖クランプでは,生理食塩水投与下に比べてGIP投与下の方がグルカゴン分泌抑制が早く生じていた。 つまり,GIPはグルカゴン分泌を高める(正常血糖クランプ下)という作用を持ってはいるものの,それ以上に低血糖に対するグルカゴン分泌反応や高血糖に対するグルカゴン分泌抑制反応を早く生じさせるという作用を発揮しているホルモンなのであった。 山田先生の考察:GIPはインスリン分泌促進ホルモンというより血糖安定化ホルモンか どうしてこんなにインクレチンの世界は面白いのであろうか。 正直なことを言うと,Diabetes 4月号のドイツのNauckらの論文(Diabetes 2011; 60: 1270-1276)を見てから,血糖コントロールに対するGIPの効果というものに興味がなくなっていた。 この論文では血糖を固定しない条件下でのGLP-1単独,GIP単独,GLP-1/GIP併用における,2型糖尿病患者の血糖,インスリン,グルカゴンへの影響を見ており,GLP-1とGIPの併用は,GLP-1単独投与に比べてインスリン分泌や血糖値に対して差異をもたらさず,GLP-1によるグルカゴン分泌抑制を減弱させるという結果だったのである。 したがって,GIPのメリットは,せいぜい骨密度を上げるとか骨折を減らせるとかいったことくらいしかないだろうと思っていたのだ〔最近,Diabetes Care(2011; 34: 2474-2476)に有効性を示唆するメタ解析論文が報告された〕。 しかし,今回ご紹介したDiabetes 12月号の論文により,生理的濃度のGIPの存在が,低血糖に対するリカバリーとしてのグルカゴン分泌を早め,高血糖に対する防御としてのグルカゴン分泌抑制を早めることが分かった。 4月号の論文にも共著者として名を寄せるHolstの面目躍如といったところであろう。 もし,インスリン製剤にDPP-4阻害薬を併用することにより,インスリン療法単独に比べてHbA1cが低下するだけでなく,(重症)低血糖が予防できるようになるとすれば,それは素晴らしいことである。 これからはそのような視点で観察してみることにしたい。 <参考> glucose-dependent insulinotropic peptide(GIP)は,グルカゴン様ペプチド(GLP)-1とともに並び称されるインクレチン(消化管由来のインスリン分泌促進ホルモン)であり,ジペプチジルペプチダーゼ(DPP)-4によって分解されるところもGLP-1と共通であるため,DPP-4阻害薬によって血中濃度が高まることが知られている。 しかし,GLP-1と異なり,直接的な投与による血糖改善作用が芳しくなく,また肥満促進効果も知られているため,GLP-1受容体作動薬の開発はなされてもGIP受容体作動薬の開発はなされていないという状況である 。 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
by wellfrog4
| 2011-12-03 00:36
| 糖尿病
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