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高齢者肺炎の予防のための肺炎球菌ワクチンについての東北大学加齢医学研究所抗感染症薬開発寄附研究部門・渡辺彰教授へのインタビュー記事で勉強しました。 肺炎球菌ワクチンの普及による高齢者肺炎の予防が急務 肺炎は日本人の死亡原因の第4位を占め,その95%以上は65歳以上の高齢者であることから,高齢化が急速に進行する日本では予防策がますます重要となる。 特に,肺炎球菌は最も頻度が高い原因菌であり,重症化しやすい。 23価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン(PPV-23)は,高齢者における肺炎球菌感染症リスクを有する患者に接種が推奨され,インフルエンザワクチンとの併用効果も期待されている。 また,2009年10月にPPV-23の再接種が日本でも可能となった。 インフルエンザワクチンとの併用により相乗効果 日本では,PPV-23の有効性に関するエビデンスが欧米に比べて乏しかった。 しかし最近,日本人における有効性を証明するランダム化比較試験(RCT)の結果が報告された。 国立病院機構三重病院呼吸器内科の丸山貴也氏らは,高齢者施設の入所者が肺炎球菌性肺炎を高率に発症することに注目し,高齢者施設の入所者1,006例を対象にPPV-23の有効性を証明するためのRCTを行った。PPV-23投与502例,プラセボ投与504例にランダムに割り付けて約3年間追跡した。 その結果,肺炎発症はPPV-23群では63例,プラセボ群では104例で,肺炎球菌性肺炎はそれぞれ14例,37例であった。 肺炎球菌性肺炎による死亡はPPV-23群のゼロに対してプラセボ群では13例(35.1%)であった。 肺炎,肺炎球菌性肺炎の発症はいずれもPPV-23群で有意に低く,肺炎球菌性肺炎による死亡も有意に低かったことから,PPV-23は高齢者施設入所者の肺炎球菌性肺炎を63.8%,肺炎全体を44.8%抑制することが示された(図)。 渡辺教授は「素晴らしい成績だと思う。日本でも,ようやくPPV-23の有効性に関する欧米並みのエビデンスが出てきた」と評価する。 PPV-23の主な接種勧告対象は,65歳以上の高齢者,慢性心・肺疾患患者,糖尿病患者などであり,インフルエンザワクチンの接種勧告対象者と重なる。 これらの集団に対して,PPV-23とインフルエンザワクチンの併用接種は相乗効果を示すことが報告されている。 Nicholは,慢性肺疾患を有する65歳以上の高齢者に対するインフルエンザワクチン単独接種は肺炎による入院を52%,死亡を70%減少させ,PPV-23単独接種ではそれぞれ27%,34%減少させたが,併用接種ではそれぞれ63%,81%減少させ,併用による効果が最も高かったと報告している。 日本でも併用接種に関してほぼ同様の結果が報告された。 同教授は「高リスクグループではインフルエンザ罹患後に肺炎球菌性肺炎を起こしやすい。したがって,インフルエンザ罹患を抑制できれば,結果的に肺炎球菌性肺炎を抑えることが可能だが,インフルエンザワクチン接種による発症抑制効果は100%ではなく,同ワクチン接種後にも少数は肺炎球菌性肺炎を発症してしまうことから,併用接種が望ましい」としている。 なお,PPV-23は重篤な副反応が少なく,妊婦以外に接種が禁忌となる対象はない。 接種に伴う副反応として,注射局所の疼痛,熱感,腫脹,発赤などが認められることはあるが,治療が必要なものは少ないという。 5年経過したら再接種すべき ワクチンの効果が持続しているかどうかを見る指標として,免疫抗体価が用いられることが多い。 MufsonらはPPV-23を接種した健康成人の免疫抗体価を接種4年後と5年後に測定したところ,接種直後に比べて4年後には平均90%であったものが,同じ集団でその1年後(接種から5年後)には平均76%に低下したと報告している。 しかし,免疫能が低下した者などではPPV-23に対する抗体濃度が急激に低下する可能性もあるため,米国予防接種諮問委員会(ACIP)は,PPV-23接種者は5年経過したら再接種すべきと勧告した。 日本ではこれまで,PPV-23の再接種は認められていなかった。 これを認めるよう2006年6月,日本感染症学会・日本化学療法学会・日本呼吸器学会・日本環境感染学会が合同で厚生労働大臣あての要望書を提出。 2009年10月には再接種が日本でも可能となった。 PPV-23の再接種対象は,初回接種から5年以上経過して,後述するような肺炎球菌感染症に罹患する危険性が極めて高い2歳以上の者と肺炎球菌特異抗体濃度が急激に低下する可能性のある者である。 すなわち,65歳以上の高齢者,機能的または解剖学的無脾症(鎌状赤血球症,脾摘出など),HIV感染,白血病,悪性リンパ腫,ホジキン病,多発性骨髄腫,全身性悪性腫瘍,慢性腎不全,ネフローゼ症候群の患者,免疫抑制化学療法(副腎皮質ステロイドの長期全身投与を含む)を受けた者,臓器移植または骨盤移植を受けた者である。 これらの内容を記載した日本感染症学会の「肺炎球菌ワクチン再接種に関するガイドライン」が同学会のホームページ上で公開されている。 渡辺教授は「日本では長年,PPV-23の再接種が禁忌であったため,接種対象者であっても高齢になってから接種しようという『打ち控え』が生じていた。そのうちに,肺炎球菌性肺炎を発症して亡くなる人もいた。しかし,再接種とインフルエンザワクチンとの同時接種が可能となったことから,『打ち控え』が生じなくなった。この点でも非常に意義は大きい」と評価する。 接種率は先進国の中では低い PPV-23は日本で1988年に認可されたが,2000年までは公費助成する自治体はなく,接種者がほとんどいない状況であった。 しかし,公費助成を導入する自治体が徐々に増加し,接種者も増加してきている。 特に2008~10年の増加は著しく,接種率も約10%に上昇した。 しかし,米国では約65%など,先進国の中では低い。 その原因として, (1)日本人を対象としたPPV-23の有効性と安全性を証明するエビデンスが少ない (2)公費助成を導入する自治体が少ない —が挙げられてきた。 これらの課題に対し,最近は日本人を対象とした臨床研究によりPPV-23の有効性と安全性のエビデンスが蓄積されつつあるとともに現在,約500カ所以上の自治体が公費助成を導入している。 3月11日に発表された厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会ワクチン評価に関する小委員会の報告書によると,PPV-23の接種による社会的負担の削減効果は5,115億円と試算されている。 渡辺教授は「2001年に日本で初の公費助成を開始した北海道桧山郡瀬棚町では,国民医療保険老人医療費の劇的な減少が確認されている。1人当たりの療養諸費用額が通常は年間140万円以上であったものが,助成開始2年後の2003年には70万円以下と半減した。PPV-23に限らず種々の予防医学の実践が成果を生んだものと評価できる」とした上で,「今後はインフルエンザワクチンと同様,PPV-23にも公費助成が広範に実現されるべきと考える。肺炎球菌性肺炎をPPV-23で予防することは患者だけでなく医療費全体を節減する大きな鍵」と強調する。 なお,宮城県医師会は日本赤十字社と共同で,東日本大震災により被災した県内の高齢者を支援するため,10月15日からPPV-23の接種費用の助成を行っている。 PCV-13の治験が進む 現在,小児の肺炎球菌感染症に対しては,7価肺炎球菌蛋白結合型ワクチン(PCV-7)が推奨されている。 PCV-7はPPV-23に比べ免疫原性に優れ,PPV-23では十分な免疫反応を誘導できないHIV感染者にも有効であることが示されている。 しかし,成人では小児に比べてPCV-7でカバーされる肺炎球菌感染症の割合が低いため,成人に対して推奨するのは問題である。 また,欧米諸国では,PCV-7でカバーされない肺炎球菌感染症が増加しているという。 こうした状況から,含有する血清型を13種類まで増やした13価肺炎球菌蛋白結合型ワクチン(PCV-13)が海外で認可されている。 日本では現在,PCV-13の治験が進められている。 渡辺教授は「早ければ2013年には日本でも使用可能となる。成人でPPV-23とPCV-13をどのように使い分けるか,あるいは組み合わせるかが将来の課題である」としている。 また,最近,肺炎球菌ワクチンの導入後,肺炎球菌がその影響を回避するため,莢膜(血清型)を変化させていることが報告された。 同教授は「今後は血清型にとらわれない肺炎球菌共通抗原を用いたワクチンの開発など,次世代のワクチンの開発を考えていくことも必要なのかもしれない」との考えを示している。 出典 MT pro 2011.12.1 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
by wellfrog4
| 2011-12-02 00:42
| 感染症
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