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2型糖尿病の薬物治療を考える -「良質な」血糖コントロールを実現するDPP-4阻害薬ビルダグリプチン- 出席者(発言順) 八幡 和明 氏(司会) 新潟県厚生連長岡中央綜合病院 副院長 小田原 雅人 氏(コメンテーター) 東京医科大学内科学第三講座 主任教授 小川 理 氏 亀田総合病院糖尿病内分泌内科 部長 永井 隆 氏 公立富岡総合病院内科 主任医長 水谷 正一 氏 小沢眼科内科病院副院長 板橋 直樹 氏 いたばし糖尿病内科皮フ科クリニック 院長 松田 彰 氏 流山中央病院内分泌・糖尿病内科 部長 ジペプチジルペプチダーゼ(DPP)-4阻害薬は,膵β細胞におけるインスリン分泌促進作用と膵α細胞におけるグルカゴン分泌抑制作用により優れた血糖降下作用を発揮する,新たな経口血糖降下薬である。 特にビルダグリプチン(エクア®)は,DPP-4との強固な共有結合によりDPP-4の活性を長時間阻害し,低血糖の発現や体重変動などの副作用を抑制しつつ安定した血糖コントロールを得ることができる薬剤として,臨床現場から大きな期待が寄せられている。 血糖値に応じた血糖降下作用に加え膵β細胞保護作用にも期待 ■DPP-4阻害薬ビルダグリプチンは,2011年5月に上市から1年を迎えて投薬期間制限が解除された。 ■既存の経口血糖降下薬の多くは,食後血糖値,空腹時血糖値のどちらかを主なターゲットとしており,低血糖,消化器症状,体重増加などの副作用があった。 そうした中で新たに登場したのがDPP-4阻害薬などのインクレチン関連薬である。 消化管ホルモンであるインクレチンは,グルカゴン様ペプチド(GLP)-1やグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)が知られており,このうちGLP-1は,膵β細胞のインスリン分泌を促進し,膵α細胞のグルカゴン分泌を抑制して血糖を低下させる。 DPP-4阻害薬はこのGLP-1を短時間で分解する酵素DPP-4を阻害し,内因性のGLP-1濃度を高めることで血糖降下作用を発揮する。 ■GLP-1のインスリン分泌促進作用は血糖値に応じて増強するため,DPP-4阻害薬も高血糖時のみインスリン分泌を促進し,単独投与では低血糖や体重増加を起こしにくいと考えられている。 最近では海外の論文でGLP-1の血糖降下作用にインスリン分泌促進とグルカゴン分泌抑制が同程度に寄与していることが示唆され1,DPP-4阻害薬の持つグルカゴン分泌抑制作用が注目されるようになった。 ■DPP-4阻害薬には,ラットの実験からも膵β細胞保護作用もあるのではないかといわれており,この点にも期待が寄せられている。 ■ラットの実験では,ビルダグリプチンの投与により膵β細胞の複製が増強,アポトーシスが抑制され,膵β細胞量が増加することが分かっている。 また,軽度高血糖患者/2型糖尿病患者にビルダグリプチンの1年間投与と4週間休薬を2年間行った海外の臨床試験では,休薬期間のインスリン分泌能の低下幅が1年目よりも2年目の方が小さく,ビルダグリプチンが膵β細胞の機能に好影響を与えているのではないかと考えられている。 膵β細胞は高血糖への曝露によって経時的に疲弊し,インスリン分泌能が低下するため,長期にわたる薬物療法では二次無効への対応が課題とされてきたが,DPP-4阻害薬はこの課題を克服する可能性を秘めている。 DPP-4阻害薬は非肥満型,インスリン分泌不全の日本人糖尿病患者に有用 ■日本人の2型糖尿病患者に多く見られる病態は,インスリン分泌能が低く,早期に高血糖状態,特に食後高血糖を来す非肥満型のインスリン分泌不全である。 最近では,食生活の変化とメタボリックシンドロームの増加を背景として肥満型の患者も増えているが,インスリン分泌能が低いため,発症後には徐々に体重が減少する。 罹病期間10年以上の2型糖尿病患者のBMIを日本人と米国人で比較すると,米国人ではBMIが30を超え,明らかにインスリン抵抗性が関与する肥満型を呈していたのに対し,日本人では一般人口のBMIとほぼ変わらず,罹病期間が長くなるほどBMIが低くなる傾向があった。 ■2型糖尿病患者にビルダグリプチンを投与し,グルコースに対する急性インスリン反応を12週間投与後に評価した結果から,ビルダグリプチンは食後高血糖の改善に寄与すると考えられている。 また,国内第Ⅲ相試験にて,ビルダグリプチン単独投与で食後2時間血糖が低下したことが示されている。 試験条件が類似した米国と国内の試験結果を比べると,日本人ではビルダグリプチン投与後のHbA1cの低下が米国人に比べて大きく,食後血糖も低下させることで血糖プロフィール全体を改善するDPP-4阻害薬は,インスリン分泌能が低い日本人に適した薬剤といえる。 ■ビルダグリプチンの特長 共有結合によりDPP-4と強固に結合することで,その活性を長時間阻害し,かつ血中の活性GLP-1濃度を高めて血糖のコントロールに寄与する。 海外のデータでは夕方の単回投与で夜間を通じて内因性糖産生が抑制されたことが報告されている。 また1日2回投与では,病態が異なる日本人,欧米人のどちらでもHbA1cの低下が持続し,体重への影響も比較的少なく,安定した血糖状態を維持することができる。 早期未治療症例へのDPP-4阻害薬の積極的な投与を考慮 薬物療法の開始時期や薬剤選択 ■永井 VADT,ADVANCE,Kumamoto study,EDIC/DCCT,UKPDSなどの大規模臨床試験の結果,糖尿病の合併症である細小血管症および大血管症の予防には,早期からの長期に及ぶ厳格な血糖コントロールが重要であるという結論が導き出された。 その一方,ACCORDでは厳格な血糖コントロール群で体重,低血糖症例,重症低血糖症例における心血管疾患の発症と死亡が増加し,「厳格な」というよりも「良質な」血糖コントロールが必要,といわれるに至っている。 「良質な」血糖コントロールのための血糖降下薬には低血糖のリスクが少なく,血糖変動幅を平坦化して肥満を助長せず,膵β細胞に負担をかけないことが求められるが,インクレチン関連薬はこれらの条件を満たす薬剤と考えられる。 日本では今後,軽症糖尿病患者が増加すると思われるが,このような早期未治療症例には食事・運動療法を行った上でHbA1c7%以上が持続するようであれば薬物療法を開始するのが妥当ではないかと考えられる。肥満型にはビグアナイド(BG)薬,DPP-4阻害薬,α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI),非肥満型にはDPP-4阻害薬,α-GIの使用が増加すると予想される。 ■水谷 3カ月の食事・運動療法で経過を見てHbA1c 6.5~7%であれば,比較的穏やかに血糖を低下させる薬剤を使って薬物療法を開始する。 投与する薬剤は空腹時血糖値,食後血糖値,HOMA-R,HOMA-βなどの測定で患者の病態を評価して選択する。 インスリン抵抗性がある症例ではBG薬,インスリン分泌不全型では少量のスルホニル尿素(SU)薬またはグリニド薬,食後高血糖が主体であればα-GIを考慮するが,最近ではDPP-4阻害薬の投与が増え,現時点で患者の3割に投与している。 2型糖尿病のさまざまな病態で血糖を低下させうるDPP-4阻害薬は,今後,薬物療法開始時の第一選択薬となる可能性もあると期待している。 ■板橋 HbA1cだけでなく,年齢や合併症の進行度,血管の動脈硬化の進展度など,患者さんの背景を踏まえて薬物療法の開始時期を判断するようにしている。 2009年10月に糖尿病専門のクリニックを開業して,これまでに糖尿病患者1,200人中400人以上にDPP-4阻害薬を処方しており,現在は若年の肥満症例でBG薬を選択する以外,ほとんどの未治療例にDPP-4阻害薬を投与している。 特に初診の患者さんでは生活背景を把握できていないため,低血糖を起こしにくく,安全性が高い薬剤としてDPP-4阻害薬を選択している。 DPP-4阻害薬単独で肥満や年齢に関係なく多くの患者さんで良好な血糖状態を維持できている。 ■ビルダグリプチンはBMI,性,年齢,罹病期間などの患者背景にかかわらず優れた血糖降下作用を示すことが,国内の臨床試験で明らかにされている。 ■糖尿病治療は,まだプロトコル確立の途上にあるが,患者さんの背景に関係なく安定して血糖を低下させ,低血糖を引き起こしにくく,膵β細胞の保護も期待できるDPP-4阻害薬は,非専門医,一般開業医が安心して処方できるという意味で糖尿病治療の理想に一歩近付いた薬剤ではないかと考えられる。 SU薬+ビルダグリプチンで血糖状態が著明に改善 ビルダグリプチンと他剤の併用 ■国内第Ⅲ相併用投与試験でも,グリメピリドの単独療法で十分な血糖コントロールが得られていない2型糖尿病患者へのビルダグリプチンの追加投与によって,さらにHbA1cが1%低下することが示されている。 なお,重篤な低血糖発現を予防してSU薬とDPP-4阻害薬を安全に併用するためにSU薬の減量が勧められており,日本糖尿病学会による勧告を参照する必要がある。 ■DPP-4阻害薬については,今後,使用経験を蓄積し,どの段階でどの薬剤の投与を開始すべきか,また,開始用量の選択や他剤との併用・切り替えのタイミングについて議論を重ねていく必要がある。 ビルダグリプチンあるいはDPP-4阻害薬全体に対する印象や今後の展望,期待 ■永井 DPP-4阻害薬は,非肥満型では第一選択薬,肥満型でもBG薬に次ぐ第二選択薬として,ますます多くの患者さんに処方されるようになると思う。 ■水谷 DPP-4阻害薬は,新規2型糖尿病への第一選択薬としても他剤との併用療法でも著明な効果が期待でき,安心して使用できる薬剤である。 ■小川 これまで,ビルダグリプチンの使用経験は比較的少なかっが,今後はさまざまな背景の患者さんにDPP-4阻害薬を処方してみたいと思う。 ■板橋 DPP-4阻害薬は,広い範囲の2型糖尿病症例に有効な,現時点でかなり完成度の高い経口血糖降下薬である。高齢の患者さんでは,DPP-4阻害薬の投与によりインスリン治療から離脱してインスリン治療に対応できない老人ホームや介護施設に入所できた事例があり,社会的貢献度も高い薬剤だと思う。 ■松田 DPP-4阻害薬の最大の特徴は,高血糖状態ではグルカゴンを抑制し,血糖が下がると膵α細胞の反応性が亢進してグルカゴンを分泌する作用があることである。 この作用によって狭い範囲で血糖を制御し,低血糖の発生を抑制することが期待できる。 DPP-4阻害薬の使用が「良質な血糖コントロール」の達成につながるのではないかと期待している。 出典 MT pro 2011.11.17 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
by wellfrog4
| 2011-11-21 00:20
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