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膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN) 膵がんの早期発見に道を拓く 田中雅夫先生(九州大学大学院 臨床・腫瘍外科教授、日本膵臓学会理事長)による解説 膵臓がんは予後の悪いがんの筆頭であるが、その理由の1つが早期診断の難しさにある。 最近、膵管内乳頭粘液性腫瘍intraductal papillary mucinous neoplasm(IPMN)の発見が一部の膵臓がんの早期診断の手がかりになるとして注目されている。 膵臓に「嚢胞」という大小の袋がよくできます。 急性膵炎や慢性膵炎のためにできる嚢胞は炎症や膵管閉塞のためですが、それ以外のものの多くは膵管の粘膜に粘液をつくる腫瘍細胞が発生したことによります。 専門的にはこれを膵管内乳頭粘液性腫瘍intraductal papillary mucinous neoplasm(IPMN)といいますが、この疾患が今、注目の的となっています。 そもそも、このような疾患があることが認識される端緒となったのは、1982年に本邦の大橋らによってなされた予後の良い粘液産生膵がん4例の報告でした。 なぜ各種のがんの中でも最も悪性度が高く治療成績が悪いと言われている膵がんなのに予後が良かったのか、そこにこの疾患の1つのポイントがあります。 IPMNは、概念が次第に整理されるとともに、現在では大きく主膵管型、分枝型、混合型の3つの型に分類されるようになっています(図)。 大橋らが最初に報告したものは主膵管型で組織学的には腺がんにあたり、粘液産生量が多かったために膵管の出口である十二指腸乳頭が開大して鯉の口のような特徴的な所見を呈していました。 この特徴のために内視鏡で発見される例が増加し、超音波やCTなどの画像診断法の発達普及とあいまって、腫瘍が産生する粘液量が少ないときはこの特徴を呈さない症例があることが理解され、主膵管の拡張のないIPMNの分枝型の存在も認識されるようになってきました。 IPMNは良性の過形成・腺腫から悪性の腺がんまで組織学的にさまざまのものがあり、良性から悪性へと次第に変化して行くことがわかっています。4) 悪性化しても膵管内に留まる間は良いのですが、一旦膵管の外、つまり膵の実質へと浸潤し始めると通常型の膵がんと同様に強い浸潤傾向と転移能を持つようになることも明らかになってきました。にも拘わらず膵がんなのに予後が良かったのは、この腫瘍が産生する粘液によって膵管分枝や主膵管の拡張をきたすために発見され易かったためと思われます。発がんの頻度もわかって来ていて、主膵管型では平均70%、分枝型では平均25%と、主膵管型にずっと多く、内部に充実性の大きい隆起を持つものはがんが多いことも判明しました。 IPMNのもう1つのポイントは、それ自体ががん化するという特徴ばかりでなく、IPMNを有する患者は胃・大腸などの他の臓器にがんをつくり易いこと、さらに膵臓のIPMN以外の部位にも膵がんをつくり易いということです。7他臓器がんは胃がん、大腸がん、肝がん、乳がん、肺がん、子宮がん、前立腺がんなど様々ですが、IPMN診断と同時に発見される同時性がんと、手術の既往歴やIPMN診断後の経過観察中に見られたりする異時性がんがあります。 その発生頻度は24-32%と報告されています。 IPMNは高齢者に多いのでがんの発生が多いのは理解できるのですが、同様に高齢者に多いはずの膵がん症例で他臓器がんを合併する確率が7%であったのと比較するとやはりかなり高いのです(未発表データ)。 そのために、手術を要しないIPMN例でも、またIPMN切除後の症例であっても、1-2年毎に全身臓器の検診が必要と言うことができると思います。 膵の上皮内がんを診断する唯一の契機 私どもがこれまでに切除したIPMN 105例のうちに、膵がんを別の箇所に発生した例は同時性と異時性を合わせて10例(9.5%)存在しました。 この9.5%という頻度は、膵がんの一般人口における発生頻度10万人に10名前後(約0.01%)と比較すると極めて高値であることがわかります。 しかも重要なことは、そのうちの2例は上皮内がんであったことです。 現在のところ、IPMNは膵の上皮内がんを診断する唯一の契機なのです。 他に、このように膵がんを早期に診断できる契機となる疾患はこれまでに見つかっていません。 糖尿病についても私どもは研究し、診断から3年以内の糖尿病患者に膵がん検診をERCPで行うと14%もの高率に膵がんが発見されることを既に報告しました。 しかし、その全例が2cm以上の膵がんで、とても早期の膵がんの発見に結びつくようなものではありませんでした。 このIPMNの国際診療ガイドラインが、国際膵臓学会のワーキンググループ(日本から座長と他に4名、米国から3名、イタリアから1名)および国内の専門家19名から成るチームによって完成し、2006年1月に国際学術誌Pancreatologyに公表されました。 日本ではその座長を務めた私自身が英文を和訳し、不足しがちだった画像データを多く追加して解説書を出しました。英文ガイドラインも無論掲載されています。 日本で概念が発見され、国際的に関心が高まっている本疾患が、各臓器とくに膵臓におけるがん発生のマーカーである可能性は極めて高く、その遺伝学的研究に早く着手し、家族性大腸腺腫症のような責任遺伝子を解明することが急務です。 これが解明されると、がん全般の責任遺伝子の研究の糸口となり得るばかりか、最も難治とされる膵がんの高危険群のふるい分けに役立ち、早期診断への道をも拓くものと思われます。 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/nmk/cr/report/200801/505257.html <関連サイト> 膵臓腫瘍|慶應義塾大学病院 KOMPAS http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000058.html ■膵管内腫瘍; 膵管内粘液性乳頭腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm, IPMN)とも呼ばれます。 高齢男性に多く、膵管(膵臓の中にある膵液の流れる管)に粘液を有する腫瘍細胞が乳頭状に増殖する腫瘍です。 ブドウの房状に多房性の嚢胞の形を呈する「分枝型IPMN」と主膵管がびまん性あるいは部分的に拡張を呈する「主膵管型IPMN」、および両者の混合型があります。 主膵管型IPMNは悪性である例が多く、治療として手術が考慮されます。 分岐型IPMNは、悪性化することがありますが、変化は比較的ゆっくりであるため、大きさや形の変化に注意しながら経過観察することができます。 「IPMN/MCN国際診療ガイドライン」によれば、分枝型IPMNの手術適応は、嚢胞径が3cm以上の場合、または嚢胞径が1-3cmで嚢胞内部に腫瘤様の結節(壁在結節)を認める場合とされています。 他に、主膵管の拡張を伴なうものや膵液を採取して細胞を調べる検査(細胞診)で陽性(悪性)の所見がでた場合も、手術の適応となります。 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/ 「井蛙」内科メモ帖 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科関係の専門的な内容)
by wellfrog4
| 2011-10-06 00:26
| 消化器
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