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GLP-1受容体作動薬としてわが国初の薬剤であるリラグルチド(製品名:ビクトーザ皮下注18mg)についての川崎医大 加来浩平教授の解説記事で勉強しました。 GLP-1受容体作動薬を安全かつ有効に使用するためのポイント より早朝から低血糖、体重増加を考慮した厳格な血糖コントロールを 英国の大規模臨床試験UKPDS33で、2型糖尿病と診断された直後の患者に対しSU薬やインスリンによる強化療法を行った群では、運動や食事による従来療法を行った群に比べ細小血管症は有意に抑制されたが、大血管症発生の有意な抑制は認められなかったと報告された 。 その後、従来療法群も強化療法群と同じ治療内容に変更可として10年間フォローアップした研究(UKPDS80)では、両群間の血糖コントロールに差はなくなったが、細小血管症は有意差が維持され、心筋梗塞や総死亡も強化療法群で有意に低下していたことが示された 。 この結果を受け、ある程度進行した2型糖尿病患者を対象に、厳格な血糖コントロールでHbA1cを正常値に近いレベルまで改善することで大血管症が抑制できるかを検討した3つの大規模臨床試験、ACCORD試験 、ADVANCE試験 、VADT試験 が行われ、2008年にその成績が報告された。 いずれの試験でも強化療法群で心血管系疾患は減少したものの有意差はなかったが、ACCORD試験とVADT試験では強化療法群の重症低血糖の発現や体重増加が顕著であり、死亡率も増加していた(表1)。 一方、ADVANCE試験では、強化療法群における重症低血糖の発現率および体重の増加は認められず、総死亡率の増加もみられなかった。 以上から、大血管症を抑制するためには、なるべく早期から介入し、重症低血糖や体重増加を来さないよう考慮した厳格な血糖コントロールが重要と考えられる。 膵β細胞の機能改善・アポトーシス抑制作用(マウスでの成績)、強力な血糖降下作用そ有するリラグルチド 消化管ホルモンの1つGLP-1は、血糖依存性のインスリン分泌促進作用やグルカゴン分泌抑制作用などの膵島への作用と、胃内容物排出遅延作用や中枢神経系における食欲抑制といった膵外作用を有する 。 GLP-1は、体内に広範囲に存在する酵素であるDPP-4によって速やかに分解され、半減期が短いことから、DPP-4による分解・不活性化の影響を受けにくいGLP-1受容体作動薬が開発された。 GLP-1受容体作動薬はSU薬とは異なる機序で膵β細胞からのインスリン分泌を促すと考えられている 。 そのため、膵β細胞のインスリン分泌能が十分ではない場合には効果があらわれない。 つまり、GLP-1受容体作動薬はインスリン補充の代替とはならず、すでにインスリン依存状態にある症例には適さない。 我々の教室では、GLP-1受容体作動薬であるリラグルチドを肥満2型糖尿病モデルであるdb/dbマウスに2週間投与し、膵β細胞量がコントロール群に比べ約1.5倍増加したことを報告した 。 このことからリラグルチドは、マウスの膵β細胞の増殖・分化を促進し、アポトーシスを抑制して糖尿病で減少した膵β細胞を増生する作用があることが示唆された(図1)。 一方、臨床では第Ⅲ相臨床試験において、リラグルチド単独療法の有効性・安全性について、グリベンクラミド単独療法との比較試験が実施されている 。 対象は食事療法または食事療法+経口糖尿病薬の単独療法を8週間以上実施した日本人2型糖尿病患者400例である(表2)。 その結果、リラグルチド群のHbA1c(JDS値)はベースラインから24週までに1.74%低下し(図2)、投与後24週のHbA1c(JDS値)においてリラグルチド群のグリベンクラミド群に対する非劣性および優越性が示され、既存のSU薬と比較して優れた血糖改善効果が認められた。 また、膵β細胞のインスリン分泌能を示す指標であるHOMA-βは、グリベンクラミド群との間に有意差はないもののベースラインから改善が認められた。 さらに、空腹時血糖値に左右されずにインスリン分泌能を反映する指標で、耐糖能の悪化に伴い上昇するプロインスリン/インスリン比においても、リラグルチド群で有意に低かった(図3)。 これら膵β細胞機能の指標も改善していることから、リラグルチドによる治療では、SU薬に比べて膵β細胞に負担を掛けずに、良好な血糖コントロールが期待できるわけである。 膵β細胞の機能指標を改善したい、体重を増やしたくない、SU薬で効果が不十分である患者にリラグルチドを リラグルチドは、単独で使用した際には、低血糖を起こしにくく、体重の増加も来しにくいという特徴もある。 過食しがちで、内因性インスリン分泌が保たれている患者に有用であると思われる。 また、膵β細胞機能指標を改善するという観点から、より早期の2型糖尿病患者に対しリラグルチドを使用することで、良好な血糖コントロールが長期間得られると考えられる。つまり、食事・運動療法で血糖コントロール不良の患者に対してリラグルチドを第一選択薬とすることが望ましい。 しかしながら、リラグルチドは注射薬であることから、まず経口糖尿病薬が選択されるのが現状である。 通常、SU薬で血糖コントロール不良になると、次のステップとしてインスリン導入を検討するが、その前にこのリラグルチドの使用をお勧めしたい。 リラグルチドは、インスリン療法を行っている患者、インスリン依存状態の患者に対しては効果があらわれないため注意が必要であるものの、低血糖を起こしにくく、長期間良好な血糖コントロールが得られるという可能性をもつ、非常に有用性の高い薬剤である。 現在、さまざまな角度から臨床研究が進められており、リラグルチドの新たな可能性にも多いに期待を寄せている。 出典 NM online CLOSE UP (日経メディカルオンライン) 版権 日経BP社 http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/novo/vic2/2-1.html (図表のすべてはこのサイトでみることが出来ます。要パスワード)
by wellfrog4
| 2011-09-08 00:47
| 糖尿病
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