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北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟先生のADDITION-EUROPE研究に関する記事で勉強しました。 2型糖尿病発症早期での多因子介入は有効か? ADDITION-EUROPE研究から 研究の背景:微量アルブミン尿を伴う患者で有効,より早期の患者では? 糖尿病の大血管障害の予防については,血糖のみの厳格な管理では困難なことが多く(ACCORD, ADVANCE, VADT各試験),多因子介入が有効であることが知られている(Steno-2;N Engl J Med 2003; 348: 383-393, N Engl J Med 2008; 358: 580-591)。 このSteno-2試験は微量アルブミン尿を伴う2型糖尿病患者を対象としていたが,より早期の2型糖尿病患者を対象に多因子介入を実施すれば,より大きな介入効果を得ることができるかもしれない。 そこで,Steno-2試験を実施したステノ糖尿病センター(デンマーク)とケンブリッジ大学(英国),ユトレヒト大学(オランダ)とが共同で実施したのがADDITION-EUROPE研究である。 その結果がLancet(2011; 378: 156-167)に報告された。 研究のポイント1:参加施設ごとに割り付けたランダム化多因子介入試験 ADDITION-EUROPE研究では英国の2施設,デンマークの1施設,オランダの1施設が試験施設となり,各施設の周囲160km範囲の実地医家の診療所に試験参加を呼びかけた。 参加に応募した診療所では,これまで糖尿病と診断されたことのない40~69歳の患者(オランダだけ50~69歳)にスクリーニングを実施し,空腹時血糖(FPG)126mg/dL以上,随時血糖200mg/dL以上,経口糖負荷試験(OGTT)2時間値200mg/dL以上のいずれかによって糖尿病と診断した。 ランダム化割り付けは診療所ごとになされ,通常の糖尿病治療を行う診療所と多因子介入を行う診療所とに割り付けられた。 糖尿病と診断された患者は,診断を受けた診療所の割り付けに基づいて治療が行われた。 <私的コメント> 通常の糖尿病治療を行う診療所に割り付けられた場合、血圧や脂質値が高くとも降圧剤や脂質低下剤は使用しないということになるのでしょうか。 もし、そうなら人道上の問題も生じます。 かなり、試験デザインに無理があります。 また、多因子介入群の降圧剤のファーストラインの一つがサイアザイド利尿剤になっています。 このプロトコールも疑問ではないでしょうか。 通常治療群では,試験施設から供与された勧告(日本でいえば「糖尿病治療ガイド」と考えるとよい)に従った通常の糖尿病治療が家庭医により実施された。 多因子介入群では,糖尿病教育セッションや小グループディスカッションに加えて血糖,血圧,コレステロール,アスピリンについて下記のような介入がなされた(表1)。 1次エンドポイントは,複合心血管イベント(心血管死,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中,再灌流,非外傷性下肢切断術)とし,2次エンドポイントは1次エンドポイントの各項目と全死亡とした。 研究のポイント2:318診療所で3,057人の患者が登録 本研究では,379診療所に試験参加の招待がなされ,最終的に318施設から患者の登録が行われた。 通常治療群の165施設から1,379人の患者が,多因子介入群の162施設から1,678人の患者が登録され(計3,057人),平均5.3年のフォローアップが実施された。 その結果,フォローアップ期間中に多因子介入群で多くの治療薬が開始され(表2),各項目の治療目標を達成している患者の比率は多因子介入群の方が高かった(図1)。 なお,通常治療群においても収縮期血圧では12mmHgの低下が,LDL-Cでは46mg/dL程度の改善が生じ,HbA1cやBMIについての悪化は見られなかった。 研究のポイント3:多因子介入の効果は統計学的には有意でなかった 238件の複合心血管イベントがあり,通常治療群と多因子介入群とで統計学的な差異はなかったが,4年を超えたあたりから両群に差異が生じているような印象があり(図2),イベントの中身で分類しても多因子介入群の方が良さそうな感があった(図3)。 山田先生の考察:有意でない17%の差に意味を感じずにはいられない ACCORD試験(N Engl J Med 2008; 358: 2545-2559)では,既に動脈硬化症がある程度進行したような高リスク糖尿病患者への治療介入によっては介入効果を見ることが困難であることが示された。 しかし,本研究のような診断直後の糖尿病患者への治療介入でも統計学的に有意でない 17%の心血管イベント抑制効果しか得られなかった。 このことは一見不本意な結果のようにも思われるが,わたしはそうは思わない。 図2に示されるように4年目以降では両群に差異が生じかけている。 患者の2型糖尿病との付き合いは生涯のものであり,初期の5.3 年程度までで合併症発症に差異がなくとも,これから差異がより大きく広がっていく可能性がある。 特にmetabolic memoryやlegacy effectと呼ばれるような厳格治療の意義が後から現れる可能性があることを考えると,今回の発表において有意差がなくとも,両群の有意でない17%の差に意味を感じずにはいられない。 しかし,本研究で最も重要なことは,図1に示されるように通常治療群でも比較的治療目標達成患者比率が増えており,多因子介入群とさほど差異がないことである。 このことは厳格な治療を意識せずとも,診断直後の2型糖尿病患者を定期通院させることにより,少なくとも数年の期間においてはさまざまな心血管リスク因子を改善させうることを示している。 この図を見ると,血糖がさほど高くない患者であっても,あるいは厳格な治療ということを意識せずとも,糖尿病診断直後の患者に教育を実施することこそが合併症予防の鍵となることが理解できるように思う。 糖尿病における教育の重要性を謳ったJoslin博士の慧眼にあらためて恐れ入るばかりである。 出典 MT Pro 2011.7.29 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/ 「井蛙」内科メモ帖 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科関係の専門的な内容)
by wellfrog4
| 2011-08-04 04:34
| 糖尿病
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