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間もなく登場,ロタウイルスワクチン(1)日本での必要度は? 安全性は? 7月1日,日本でも初めて正式承認されたロタウイルスワクチン(RV)。 世界保健機関(WHO)は定期接種プログラムへの導入を推奨しており,既に世界の多くの国で同接種が行われている。 しかし,よく見られる感染症にもかかわらず,ロタウイルスによる感染性胃腸炎の日本でのインパクトは明らかになっていない。 さらに,生ワクチン,かつ生後早期からの接種が求められることなどから,現状の接種スケジュール下でどう積極的に勧めればよいのか,戸惑う声が小児科医の中にもあるようだ。 日本でのRVの治験に開始当初から参加し,自身も70例余りの接種経験を持つ大阪労災病院小児科部長の川村尚久氏に解説をお願いした。 米では接種開始1年で重症化例が約9割減 —ロタウイルスは先進国では「死なない腸炎」。途上国に比べ,ワクチンの必要性は低い? 日本にはロタウイルスに特化したサーベイランスがないが,世界の小児の95%が5歳までに感染すること,入院を伴う重症胃腸炎の原因菌の1位であることが知られている。 また,日本は先進国中のロタウイルス胃腸炎による入院率が最も高い。 さらに冬から春に流行すること,消化器症状のほかにも脳炎・脳症や痙攣など重篤な合併症も少なくないという。 これらの特徴から,ロタウイルス感染症はインフルエンザと同じような位置付けで考えれば分かりやすいのでは,と川村氏は言う。 特に同感染症では下痢による高度の脱水や摂食不良に伴う低血糖,発熱など痙攣が起こりやすい素地があるとされ,感染者の約7%に痙攣が起こるとの報告もあるそうだ。 また,岡山大学の森島恒雄氏らの報告によると,ロタウイルスは小児の急性脳炎・脳症の原因の第3位を占める(ウイルス 2009; 59: 59-66)など,疫学的なインパクトは決して弱くないという。 —ロタウイルスは食中毒やインフルエンザのように,手洗い,うがいを励行すればある程度予防可能? 「病院勤務の小児科医ならロタウイルスの院内感染で痛い目に遭ったことがない先生はいないだろう」と川村氏。 夜間救急などで重症化例の診療に当たることも多い同氏は「脱水症状の子どもに点滴ルートを確保する難しさは相当なもの。目の前で何度も針を刺される子どもの様子を見て怒り出す親だっている。結局足からルート確保し,点滴が外れないようテープでぐるぐる巻きにされるのを目の当たりにするつらさは小児科医も親も同じ」とワクチンで防げる疾患(VPD)ならば,先手を打つべきとの考えだ。 最近の国際学会でも,手指消毒の遵守率を90%以上にしてもなお,ロタウイルスの院内感染を防げなかったが,ワクチン導入後には院内感染がなくなったとのベルギーの小児病院からの報告があったという。 ほかにも米国ではRV導入後1年で,5施設のロタウイルス入院例が前年に比べ87~95%減少したとの報告もある。 このように,病院や保育園など集団生活グループでは接種のメリットが大きいようだ。 —ロタウイルス胃腸炎はかかっても1週間くらいで治ることも多い。RVは基本的に不要では? 川村氏らの調査によると,ロタウイルス胃腸炎による経済負担は医療費,親の休業や看護や外来受診のための通院費用も含めると,年間約540億円にも上るという。 計算方法に違いはあるが,これは,ヒブ(82億円)や肺炎球菌(391億円),水痘やムンプス(それぞれ約400億円)をも上回る数字だと同氏。 合併症の重症度なども考慮の上,RVだけでなく,現在任意接種であるこれらのワクチンについても,同時に定期接種化を視野に入れるべきと強調する。 他の発症関連要因も多い腸重積…企業は第2世代ワクチン開発へ —RVは以前,米国で腸重積により販売が中止された。現在使われている第2世代はどうなのか。 第1世代RV(商品名RotaShield)は当初,腸重積の副作用が1万接種につき1例の頻度で報告され,市場から撤退した経緯があるが,この因果関係について何度か検証が行われているものの明確な結論は出ていないと川村氏。 ただ,検証の中で,接種時期の生後6カ月以降はそもそも腸重積の好発年齢で,離乳食の開始時期でもあること,また新しいワクチン登場直後に副作用報告が増加する「風評効果」も明らかになってきたのだという。 さらに,ロタウイルスの流行時期と乳幼児の腸重積発症に時間的関連はないことが分かってきたことから,危険視することなく第2世代ワクチンの開発へ他の企業が進んだ経緯がある,と同氏は分析する。 現在,世界中で用いられ,日本でも承認申請中の第2世代ワクチンは1価ワクチン(RV1,商品名Rotarix,2011年7月1日正式承認),5価ワクチン(RV5,商品名RotaTeq,承認申請中)の2種類(表)。 企業データでは,「腸重積との関連なし」とされている。 また,最近行われたメキシコ,ブラジルでのRV1に関する検討では,5万1,000〜6万8,000接種に1回の頻度で,腸重積の発症が報告された。 しかし,研究者らは接種による死亡および入院の予防効果はそれをはるかに超えるものと結論付けている(N Engl J Med 2011; 364: 2283-2292)。 また,2つのワクチンは使用しているワクチン株の違いや1価,5価などの差があるが,「交叉免疫の点からも,2つの異なるワクチンの効果に差はない」(同氏)という。 ロタウイルスワクチン(RV)が間もなく日本でも使用可能になる。RVは生後2〜6カ月に2~3回〔1価ワクチン(RV1),5価ワクチン(RV5)により接種回数と時期が異なる〕の接種が必要で,他のワクチンとの接種間隔を4週間以上空ける必要のある生ワクチンだ。 日本小児科学会は先日,生ワクチン同士を含む同時接種を推進する声明を発表している。 しかし,ヒブ・肺炎球菌ワクチン,DPT三種混合の同時接種後の死亡例報告が大きく取り上げられ,「積極的な同時接種に逆風が吹いている」との声も聞かれる。 大阪労災病院小児科部長の川村尚久氏は「RVで十分な免疫を付けるために同時接種は不可避」と懸念を示す。第2回は接種の実際について,川村氏,そして「VPDを知って,子どもを守ろう。」の会の運営委員代表をつとめる薗部友良氏(日本赤十字社医療センター小児科顧問)に聞いた。 「先にRVを飲ませてから注射」が一般的 —飲ませ方にこつは必要? 他のワクチンとの同時接種の場合,その順序は? 飲ませ方については「基本的に経口ポリオワクチン(OPV)と同じ。 この時期はビタミンK2シロップを飲ませる月齢でもあり,小児科・産婦人科スタッフであれば抵抗感はないだろう」と川村氏。 また,薗部氏は投与の順序について「米国では先にRVを経口投与し,飲み込んだのを確認したら,特に時間を置かずに5種類(B型肝炎,DPT,ヒブ,肺炎球菌,不活化ポリオ)のワクチンを注射する。これで問題はない」という。 —投与後,嘔吐した場合はどうする? 「接種直後でほぼ全量を嘔吐した場合,再接種を考慮する場合もあるが,仮に2倍量を服用したとしても副反応の心配はない。また,飲んでからある程度時間がたっていれば2度接種する必要もないし,よだれなどで摂取量が少なくてもワクチン液の流出は無視できる量と思われる」(川村氏) —生ワクチンなので,接種後の便からのウイルス排出にどの程度注意すべき? 川村氏は「RV接種を受けた子どものよだれや,おむつに付いた便から周囲の人やワクチン未接種の児が感染する可能性はないとは言えない。 しかし,OPVと違ってワクチン関連麻痺(VAPP)が出たりするものではなく,あったとしてもごく軽い下痢症状程度」と言う。 そもそも,ロタウイルス胃腸炎は細菌性腸管感染症と異なり,手指や環境の衛生改善による感染率の減少が不可能なためにワクチン開発が着手されてきた経緯がある。 他のVPDワクチン同様,一定以上のレベルの集団免疫を達成していくのが,感染者を減らす早道のようだ。 「生後2カ月から開始,6カ月までに推奨回数の接種」が必須 —投与回数と時期は必ず守らないと駄目? RVは生後6週から接種が可能で,4週間以上の接種間隔を置き,生後6カ月までに接種回数を終えるよう推奨されている。 川村氏は「RVには同時接種が必須。そのためには保護者はもちろん小児科医,産婦人科医の理解も必要」と強調する。 欧米も一般的に,生後6カ月以降の児にRVを飲ませることはない,と同氏。 米国の予防接種諮問委員会(ACIP)はRV1,RV5のいずれも生後2カ月からの接種開始を推奨している。 また,米食品医薬品局(FDA)が承認しているそれぞれの投与可能時期の限界はRV1で生後24週,RV5は同32週。ACIPが推奨する初回投与の限界は14週6日(ただし米国内の承認条件下でRV5は適応外使用),生後8カ月を超える小児には投与すべきでないとしている。 これは,第1世代RVの使用中止後の解析から,接種開始月齢が遅いと,腸重積のリスクが増えることが示唆されたことに基づく勧告とみられる。 現在の第2世代RVも「治験時から,リスクが示唆された月齢への初回投与は行われていない。そのためRVで腸重積が増えるかどうかについても,治験が行えないため,安全性は確認されていない」(薗部氏)。 効果と安全性の点からも,推奨期間内に決められた回数を終えることが求められる,と両氏は口を揃える。 —RV,実際使用した感触は? 川村氏は国内でのRV1の第Ⅲ相試験にかかわってきた。 「鍵が開いた(試験終了後,盲検解除された)時に『保育園でロタウイルスがはやりクラスのほぼ全員が罹ったのですが,うちの子だけ大丈夫でした!』と知らせてくれた子がRVを受けていたと分かった」ことで自身でもその効果を強く実感したという。 一方,昨年(2010年)の欧州小児感染症学会で日本での治験データを報告したが,既に定期接種が進んだ海外からはロタウイルス罹患者減少の報告が相次いでおり,会場で同氏への質問の声はなかった。 「日本のワクチン後進国ぶりを肌で感じ,寂しかった」と苦笑したエピソードも語ってくれた。 ロタウイルスワクチン導入後の理想的なスケジューリングとは? 現在,「VPDを知って,子どもを守ろう。」の会(VPDの会)ではRV登場後の新しい推奨スケジュールを作成,同公式サイトで公開している。 同代表の薗部友良氏に現在の問題点と今後の方針について聞いた。 「生後2カ月からの同時接種」「BCGの定期接種期間の延長」がカギ VPDの会では,これまでも保護者や小児科医にわかりやすい予防接種情報とスケジュールを届けるべく活動を行ってきた。 最近,ようやく日本でも接種可能なワクチンが増え,非常にありがたいと思う一方,子どもたちをVPDから守るためには生後2カ月からの同時接種が常識となるような方策を考えねばならない。 来年(2012年)4月頃には,DPT三種混合に不活化ポリオワクチン(IPV)を加えた四種混合ワクチンが登場する期待があるが,関係者によるとこれも現状通り生後3カ月から接種開始となるようだ。 しかし,重症化しやすい生後 3カ月未満の子どもを百日咳から守るために変更が望ましいと考えている。 具体的に今,最終案に近い形でわれわれが独自に検討しているスケジュールのポイントを示す。 RVはB型肝炎ワクチン(HBV),小児用肺炎球菌ワクチン(PCV7),ヒブワクチンと同時に生後2カ月から接種を開始 生後3カ月でDPT三種混合と上記四種のワクチンを同時接種(RV1の接種はこの時点で終了) 生後4カ月でDPT三種混合,PCV7,ヒブワクチンを同時接種 生後6カ月までにDPT三種混合とRV5を同時接種 BCGは生後3~6カ月の間と決まっているが,日本は今現在,結核の高蔓延国ではないことと,他のワクチンとの接種間隔からは,現実的には4カ月すぎの接種が望ましい。 今後,同ワクチンの定期接種の対象期間を現状の生後6カ月から11カ月に延長する必要があると考えている。 以上のような点を踏まえれば,ACIPが推奨しているような複数のワクチンを,ばらばらにならず一定期間の間に完了可能だ。 (坂口 恵) 出典 MT pro 2011.7.4 版権 メディカル・トリビューン社
by wellfrog4
| 2011-07-22 00:06
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