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ビグアナイド薬は古くて新しい薬剤である。 ブホルミン、フェンホルミン、メトホルミンという3種のビグアナイド薬が発売されたのは1950年代のことだ。 しかし、フェンホルミンで致死的な副作用である乳酸アシドーシスの症例が相次いで報告されたため、同薬は70年代に発売中止。 他の2剤も世界的に使用が激減し、日本におけるビグアナイド薬は実質的に使用禁忌薬の扱いとなっていた。 その流れが大きく変わったのは、イギリスにおける2型糖尿病を対象とした大規模スタディーであるUKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)において、メトホルミン投与群の血糖改善度は強化療法群と同等であり、大血管症も含めて糖尿病血管合併症の発症抑制に有効であることが1998年に示されてからである(UKPDS34、図1)。 以降、欧米でも日本でもメトホルミンの使用頻度が増加し、現在ではインスリン抵抗性を認める2型糖尿病では第1選択薬と評価されている。 図1 UKPDS34におけるメトホルミンの効果 食事療法単独と比較して、メトホルミン群は合併症の発症を抑制。Lancet 1998;352:854-865.より引用 「ビグアナイド薬=乳酸アシドーシス」のイメージは払拭 メトホルミンの特徴は、単独投与では低血糖を起こすことがほとんどない、体重減少効果がある、食欲抑制効果がある、大血管障害を抑制する十分なエビデンスがある—といった点である。 作用機序は、AMPキナーゼ(5-アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ)の活性化を介した、肝臓での糖新生の低下、筋での糖取り込み率の亢進が主要なものである。 現在50歳以上で糖尿病が専門ではない先生方にとっては、どうしても「ビグアナイド薬=乳酸アシドーシス」というかつてのイメージが残存していると思われる。 しかし、メトホルミンによる乳酸アシドーシスの発生率は年間10万人当たり3人ときわめて低く、後述するリスクの高い患者への使用さえ避ければ、安全性の高さは確認されていると言える。 第4回で解説したSU薬服用で生じる低血糖昏睡、そこから引き起こされる遷延性意識障害・死亡例のほうが、ずっと頻度が高いことを念頭に置いていただきたい。 表1 メトホルミン投与の際の注意点 インスリン抵抗性の指標であるHOMA-Rが2.5以上などで、「インスリン抵抗性あり」と判断された患者ではメトホルミンが第1選択薬となる。 しかし日本人の場合は、やせ型でもメトホルミンが有効なことが2006年のMOREスタディ(Melbin Observation Research Study)で示されている。 このスタディーは日本人の2型糖尿病患者を対象とした1年間の観察研究で、メトホルミンの有効性評価の対象とした619例のうち、試験開始時のBMIが25未満の群と25以上の群で、HbA1c値(JDS値)の低下はそれぞれ0.9±1.2%と1.0±1.4%。両群間で差は認めなかった。 また、投与1年後の体重も有意に減少していた。 メトホルミンの有効性は欧米で多数のエビデンスが報告されているが、そのほとんどは1500〜2250mg/日という用量で行われた研究である。 一方、日本では長い間、メトホルミンの最大用量は750mg/日。この点が日本におけるメトホルミン使用の問題点であった。 しかし、2010年には、1日最大2250mgまで使用できるメトグルコ(商品名)が発売され、今年5月からは長期処方も可能となった。 ちなみに、メトグルコは従来使われてきたメトホルミンと同じ薬剤で、変わったのは最大用量のみと言える。 しかも、その用量は欧米ではずっと通常使用されてきている用量だ。 にもかかわらず、全くの新薬と同じ扱いで、長期処方できるようになるまで1年もかかるという、厚生労働省の杓子定規な対応は甚だ疑問である。 【使用例】 メトグルコ錠 1日500mg 分2(朝、夕)食後 メトホルミンの主な副作用は消化器症状であるが、少量(500mg 分2)から開始して徐々に増量していけば、通常は問題なく継続できる。 筆者も750mg 分3では効果が不十分な症例に対して、1500mg 分3まで増量して血糖コントロールが改善した症例を複数経験している。 また、従来のメトホルミンでは「腎機能障害」「肝機能障害」「高齢者」については投与禁忌であったが、メトグルコでは国内臨床試験の結果に基づき、「軽度の腎機能障害」「軽度〜中等度の肝機能障害」「高齢者」について、慎重投与という位置づけになっている。 いずれにせよ、これらの患者への投与は、腎機能と肝機能を定期的にモニタリングして慎重に進める必要がある。 表2 メルビン錠とメトグルコ錠の違い 大日本住友製薬の資料を基に作成。なお、メルビン錠250mgは、2011年9月頃を最終出荷時期として、販売中止の予定。 【参考文献】 1)UK Prospective Diabetes Study(UKPDS) Group:Effect of intensive blood-glucose control with metformin on complications in overweight patients with type 2 diabetes(UKPDS 34).Lancet 1998;352:854-865. 2)加来浩平ほか:2型糖尿病治療におけるメトホルミン使用実態に関する観察研究(MORE study).糖尿病 49:325-331,2006. 船橋市立医療センター代謝内科部長 岩岡 秀明先生 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/iwaoka2/201106/520353.html
by wellfrog4
| 2011-07-25 00:37
| 糖尿病
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