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この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。 犠牲になられた方々、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。 また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方々、そして計画停電中の首都圏の方々にお見舞い申し上げます。 また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くしてみえる皆様に敬意を表します。 ナテグリニドの食後高血糖に対する有用性や心血管保護作用についての座談会で勉強しました。 食後高血糖を標的とした早期からの糖尿病治療の重要性 近年,2型糖尿病患者において食後の高血糖が心血管イベント発症のリスクとなることが明らかになってきた。 食後高血糖や食事に伴う血糖変動は,酸化ストレスを惹起して,内皮機能障害,炎症反応,血栓傾向をもたらし,動脈硬化症を進展させる。 したがって,2型糖尿病患者の心血管イベントを未然に防ぐためには,食後高血糖に対する適切なマネージメントが必要である。 速効型インスリン分泌促進薬であるナテグリニド(スターシス®)は,食後のインスリンの初期分泌の遅れを是正し,食後高血糖を改善させる経口糖尿病薬である。 出席者 小田原 雅人教授 東京医科大学内科学第三講座 主任教授 (司会) 山岸 昌一 教授 久留米大学糖尿病性血管合併症病態・治療学講座 弘世 貴久准教授 順天堂大学内科学・代謝内分泌学 血管合併症予防には食後高血糖を含めた初期からの血糖管理が重要 山岸 (大血管障害抑制の観点から,血糖管理の重要性について) DCCTやUKPDS研究などの大規模臨床試験では,血糖を厳格に管理しても有意差をもって心血管イベントや死亡を抑制できないことが報告されています。 これらの事実から,大血管障害抑制の観点からは,血糖管理の重要性はあまり大きくないと考えられる傾向にあったと思います。 しかし,最近報告されたDCCTやUKPDS研究後のフォローアップ試験(DCCT/EDIC,UKPDS 80)では,長期にわたって経過を観察すると,初期からの厳格な血糖管理の遺産的効果が現れ,心血管イベントや死亡のリスクが低下することがわかってきました。 大血管障害への効果を判定するには,十分な長さの観察期間を設けることが必要なのかもしれません。 山岸 (食後高血糖と心血管イベントとの関連について) DECODE研究では,75gブドウ糖負荷試験時の2時間血糖値が心血管疾患による死亡の独立した危険因子であること,本邦の舟形町研究では,IGTは糖尿病とともに心血管イベント死亡の独立した危険因子となるが,IFGはそうでないことが報告されています。 大血管障害を抑えていくためには初期からの血糖管理,特に食後高血糖に焦点をあてたきめの細かい管理が必要です。 おそらく,食後高血糖には,食事に伴う高中性脂肪血症や高遊離脂肪酸血症などの他の代謝異常症も随伴し,これらが複合的に作用して心血管イベントのリスクを上昇させるのではないかと考えています。 食後代謝異常がtoxic AGEsの形成を介して酸化ストレスを惹起 山岸 (なぜ食後の代謝異常が血管障害をもたらすのか) 2型糖尿病患者さんでは,食前から食後にかけての血糖値の変動幅が大きいほど,酸化ストレスマーカーである8-isoPGF2αのレベルが高いことがわかっています。 食後の代謝異常症は酸化ストレスを惹起させて血管障害を引き起こすものと考えられます。 山岸 (食後の代謝異常症が酸化ストレスを惹起するメカニズム) メカニズムの一つとして,食後の代謝異常に伴う糖化蛋白の産生亢進が挙げられます。 人間の組織を構成するさまざまな蛋白は還元糖によって糖化修飾反応を受け,最終的には「終末糖化産物」(Advanced glycation end products:AGEs)と呼ばれる血管障害性の強い糖化・劣化蛋白となります(図1)。 食後の代謝異常症では,高血糖や脂質の代謝異常により生体内でさまざまな蛋白がAGEs化されるわけです。 AGEsは血管構成細胞や血球細胞に存在するAGE受容体(RAGE)により認識され,酸化ストレスを惹起させて動脈硬化関連遺伝子の発現を高め,心血管イベントの発症リスクを上昇させることが予想されています。 さらに最近になり,グルコースに由来するAGEsよりもグリセルアルデヒドやグリコールアルデヒドなどのα-ヒドロキシアルデヒドに由来するAGEsのほうが,RAGEとの結合能も高く血管障害性が強いことがわかってきました。 これらtoxic AGEsは,食後の代謝異常症に伴って形成されやすい様ですので,食後高血糖に伴う血管障害のメカニズムの一つとしてtoxic AGE-RAGE系を介した酸化ストレスの産生亢進が挙げられると思います。 小田原 血管障害を抑えていく上では,これらAGEsの産生を抑制し酸化ストレスを惹起させないようにする必要性があるわけですね。 山岸 そうです。 私たちは,2型糖尿病モデル動物であるGKラットに1日2回だけ給餌を行い食後高血糖を惹起させ,速効型経口血糖降下薬であるナテグリニド投与のtoxic AGEsに及ぼす影響について検討いたしました。 その結果,ナテグリニドの投与で食後高血糖が改善されるだけでなく(図2a),6週間後のグリセルアルデヒド由来AGEsレベルの上昇が有意に抑えられることがわかりました(図2b)。 (1)グリセルアルデヒド由来AGEsが食後高血糖のマーカーになりうること, (2)ナテグリニドが食後高血糖や食後の高中性脂肪血症などの代謝異常症を改善すること で毒性の高いAGEsの形成を抑え,血管保護的に作用することが考えられます。 食後高血糖の改善を図る際は低血糖による悪循環に注意 小田原 食後高血糖を改善するという点では少量のスルホニル尿素(SU)薬やαグルコシダーゼ阻害薬(α-GI)を使うという手段もありますが,それらの違いを弘世先生はどのようにお考えですか。 弘世 (食後高血糖を改善する際のSU薬やα-GI)との違い) グリニド薬は1日3回食直前服用のコンプライアンスの遵守の懸念から,SU薬を低用量処方すれば同じ効果を得られかつ1日1回の服用で済むのではないか,という見方が確かにあります。 しかし,低用量SU薬を服用して血糖値は下がっても,軽い低血糖から空腹感を生じ,そのために間食などによって肥満が助長される患者さんも少なくありません。 そして血糖値の上昇がインスリン感受性の低下を招き,血糖コントロールが乱れるとSU薬を増量せざるをえなくなる,という悪循環に陥る危険性があります。 弘世 (この悪循環について) われわれの研究では,同一患者に対し,ナテグリニドと比較して低用量SU薬のほうがHbA1c値の低下はやや大きかったのですが(ナテグリニド6.4±0.4% vs 低用量SU薬6.2±0.5%),その半面,低血糖の発現はナテグリニド群で24例中0例であったのに対し低用量SU薬群で7例と多く見られました〔Miwa S, et al: Endocrine Journal, 51(4): 393-398, 2004〕。 低用量SU薬とナテグリニドで同じようなHbA1c値低下効果が得られたとしても,その背景にある血糖コントロールの「質」には大きな違いがあると考えてよいと思います。 副作用によりコンプライアンスが損なわれることも 弘世 (食後高血糖を治療ターゲットとしたナテグリニドとα-GIの違い) それについてもわれわれは研究を行いました。 対象は糖尿病治療歴がなく,HbA1c値7.0〜7.9%の2型糖尿病患者さん29例で,ナテグリニド90mg/回(1日3回)とα-GI通常用量(1日3回)をそれぞれ3か月ずつ投与して比較するクロスオーバー試験を実施しました。 結果はどちらもHbA1c値を治療前に比べて有意に改善し,薬剤間に有意差はありませんでした(図3a)。 ただし,副作用には違いがあり,ナテグリニドに比べてα-GIでは放屁・膨満感などの副作用が多い傾向にありました。 そして,試験後に今後継続したい薬剤について質問したところ,服用感の差を反映してナテグリニドのほうが優勢という結果でした(図3b)。血糖コントロールを良好に保つためにも,治療薬のコンプライアンスは重要です。この結果から,服用感の比較的よいナテグリニドはコンプライアンス向上に貢献する可能性があります。 ピオグリタゾン適応例に対するナテグリニド併用は強力な一手 小田原 最近,ナテグリニドはチアゾリジン系薬剤のピオグリタゾン塩酸塩(以下,ピオグリタゾン)との併用の保険適用が認められました。作用の異なるインスリン分泌促進薬とインスリン抵抗性改善薬の併用は優れた組み合わせだと思います。この新たな組み合わせについてどのようにお考えですか。 山岸 ライフスタイルの欧米化に伴い,日本人でも肥満が顕著で,インスリン抵抗性を改善するような薬剤を最初に使用したほうがよいと考えられる患者さんが増加傾向にあるのは確かです。しかし,そのような患者さんにピオグリタゾンを単独で投与しても,HbA1c値を6.5%未満にコントロールできない症例も多々見うけられます。そのような場合,日本人では遺伝的にインスリンの初期分泌が低下している症例が多いと思いますので,ナテグリニドを追加する治療手段が有効と思われます。この点からピオグリタゾンとの併用が保険承認された意義は大きいと考えます。 勿論,従来行われてきたようにピオグリタゾンにSU薬を併用するという治療手段も有効だとは思います。しかし,その場合は低血糖や体重増加等のリスクが増す可能性が予想されますので,十分な配慮が必要でしょう。これに対してナテグリニドは,比較的に安心して使いうる併用手段なのではないでしょうか。 弘世 ピオグリタゾンを単独で投与しているような患者さんは,もともとインスリンの総量はある程度維持されている方ではないかと思います。 ただ,食後早期のインスリン分泌が遅延している方が多いので,ナテグリニドによってインスリン分泌を前倒しにすれば,後々引き出されてしまう大量のインスリンの「無駄使い」も防ぐことができます。 したがって,ピオグリタゾンで空腹時血糖の改善を図ってみたが,HbA1c値の改善が乏しい,あるいは食後1時間や2時間の血糖値を測ってみて,明らかに食後高血糖があるという場合には,積極的にナテグリニドを併用していくべきだと考えます。 インスリン抵抗性の改善を図るピオグリタゾンと,インスリン分泌パターンを改善するナテグリニドの併用はお互いの治療効果を高め合える相性のよい組み合わせと考えます。 小田原 ナテグリニドとピオグリタゾンの併用療法に関する開発時の第II/III相試験では,ピオグリタゾン単独療法で血糖管理不十分な2型糖尿病患者さんにおいて,ナテグリニドの併用により食後血糖推移が改善し食後血糖の有意な低下が認められています(図4a,b)。 また,それを受けてHbA1c値も有意に改善しました(p<0.001,t検定)。 日常診療においてもインスリン抵抗性改善薬と分泌刺激薬という相補的な併用を積極的に活用して,血糖管理の改善を図っていただきたいと思います。 出典 Medical Tribune 2009.3.26 版権 メディカル・トリビューン社 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/ 「井蛙」内科メモ帖 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科関係の専門的な内容)
by wellfrog4
| 2011-04-11 00:01
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