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北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟先生が書かれたDPP-4阻害薬と感染症リスクに関する記事で勉強しました。 DPP-4阻害薬は感染症のリスクを上昇させるのか WHOの薬剤安全性情報データベースを用いた研究から 研究の背景:DPP-4阻害薬が感染症リスクを上げることは理論的に考えうること 2009年12月にわが国に登場したDPP-4阻害薬は,最小の低血糖リスクで,体重増加を来さずに,しっかりと血糖改善作用を示すことが多く,わが国の2型糖尿病治療において幅広く使用されるようになりつつある。 しかし,その一方で消化器症状や,急性膵炎,感染症といった副作用に対する懸念がある。 特に,DPP-4という酵素がリンパ球やマクロファージ上に発現しているCD26と同一分子であるため,DPP-4阻害薬が免疫系に影響を及ぼし,感染症のリスクを上げるという懸念は,理論的にも考えうることである。 このたび,世界保健機関(WHO)の薬剤安全性情報のデータベースを用いてDPP-4阻害薬の感染症に対する影響を解析した研究が,オランダのグループから報告されたスクで,体重増加を来さずに,しっかりと血糖改善作用を示すことが多く,わが国の2型糖尿病治療において幅広く使用されるようになりつつある。 しかし,その一方で消化器症状や,急性膵炎,感染症といった副作用に対する懸念がある。 特に,DPP-4という酵素がリンパ球やマクロファージ上に発現しているCD26と同一分子であるため,DPP-4阻害薬が免疫系に影響を及ぼし,感染症のリスクを上げるという懸念は,理論的にも考えうることである。 このたび,世界保健機関(WHO)の薬剤安全性情報のデータベースを用いてDPP-4阻害薬の感染症に対する影響を解析した研究が,オランダのグループから報告された。 Use of dipeptidyl peptidase-4 inhibitors and the reporting of infections: a disproportionality analysis in the World Health Organization VigiBase. Diabetes Care 2011; 34: 369-374 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/21270195 研究のポイント1:1999~2009年に報告されたすべての感染症を検討 これまでにDPP-4阻害薬と感染症の発症の関係に注目した研究報告はなく,オランダのユトレヒト大学のグループはWHOの薬剤安全性情報のデータベースであるVigiBaseを利用してDPP-4阻害薬と感染症の発症の関係を検証することとした。 VigiBaseには98カ国の薬剤安全情報(有害事象報告)が症例報告のレベルで集められており,2010年5月の時点で500万件以上の(疑い例を含む)薬剤有害作用の症例報告が登録されていた。 この研究はnested case-control study(コホート内症例対照研究)としてデザインされ,症例群としてDPP-4阻害薬使用者,対照群としてDPP-4阻害薬以外の経口血糖降下薬およびインスリン注射製剤の使用者が選択された。 感染症関連の有害事象として,1999~2009年に報告されたすべての感染症を検討することとし,さらに,上・下気道感染症,尿路感染症別にも解析が行われた。 研究のポイント2:ビグアナイド薬に比べ上気道感染症が12倍,下気道・尿路感染症には差がない 抗糖尿病薬の有害事象としては,10万6,469例における30万5,415件の報告が見いだされた。 これらの症例は平均年齢59.7歳で,59.6%が女性であった。感染症関連の有害事象として報告されていたのは3,652件であり,うち3,411件が単剤の抗糖尿病薬使用中に生じていた。 最も頻度が高かったのは肺炎(11.8%)であり,以下,上気道感染症(10.1%),尿路感染症(6.2%)が続いていた。 これらを薬剤別に分けてみると,DPP-4阻害薬使用中の全有害事象8,083件中242件(3.0%)が感染症関連であり,ビグアナイド薬使用中の有害事象における感染症関連のものの頻度〔2万1,763件中289件(1.3%)〕を基準とすると,オッズ比は2.3(95%CI 1.9〜2.7)と有意に高値であった。 ビグアナイド薬との比較では,インスリン〔8万347件中1,703件(2.1%);オッズ比1.6(1.4〜1.8)〕やチアゾリジン薬〔5万 7,814件中919件(1.6%);オッズ比1.2(1.1〜1.4)〕も有意にオッズ比が高かったが,DPP-4阻害薬ほどではなかった。 なお,2種類以上の経口血糖降下薬の併用ではオッズ比は高くならなかったが,インスリンと経口血糖降下薬の併用ではオッズ比1.8(1.3〜 2.4)とオッズ比の上昇が認められた。 こうしたオッズ比の上昇は,年齢・性・報告年度・報告地域・報告者の職種・併用薬で調整しても同様に認められた(表1)。 これを感染症の部位に分けて検討すると,ビグアナイド薬と比較したDPP-4阻害薬における上気道感染症のオッズ比が12.3(8.6〜17.5)と著明に上昇していたが,肺炎や気管支炎といった下気道感染症や尿路感染症のオッズ比の上昇は見られなかった。 一方,インスリンによる感染症のオッズ比の上昇においては部位による相違は見られなかった(表2)。 山田先生の考察:上気道感染のリスク上昇は確かだが,処方に影響が出ることはないだろう DPP-4が免疫担当細胞上のCD26と同一分子であり,TGF-βや炎症性サイトカインの産生にかかわっていたり(Ann NY Acad Sci2007; 1110: 402-409),DPP-4ノックアウトマウスが関節炎を発症しやすかったこともあって(Am J Pathol2005; 166: 433-442),DPP-4阻害薬の免疫系への影響は長く懸念されていたところであった。 これまでのDPP-4阻害薬の臨床試験での有害事象報告では,自己免疫疾患の増加は指摘されておらず,感染症についても有意な増加はなさそうであったのだが(Diabetes Obes Metab2010; 12: 495-509),今回の研究により,実臨床の場では上気道感染症が増加することが明らかとなった。 ビグアナイド薬は50年使用してきたという安心感があって1999年以降ではDPP-4阻害薬に比べて有害事象が報告されにくかった可能性はあるが,それならばインスリンという80年使用してきた薬剤でも感染症のオッズ比が上昇していることが説明しがたい。 また,DPP-4阻害薬には感染症に対する懸念があったために感染症に関して報告されがちになった可能性や,DPP-4阻害薬が元来感染症に対して抵抗力の低い患者に選択的に投与されていた可能性もあるが,それならば著明なオッズ比の上昇が上気道感染症だけに認められていることが説明しがたい。 したがって,わたしはDPP-4阻害薬によって上気道感染症が増えるのだろうと思う。 しかし,幸いなことに下気道感染症や尿路感染症のような重篤になりがちな感染症は増加していなかった。 わたし個人としては,今回の研究の結果によりDPP-4阻害薬の処方に影響が出ることはないと思う。 今後は,DPP-4阻害薬投与後の感染症発症について,ウイルス,真菌,一般細菌,結核菌といった病原体別の情報が欲しいところである。 Dual inhibition of dipeptidyl peptidase IV and aminopeptidase N suppresses inflammatory immune responses. Ann NY Acad Sci2007; 1110: 402-409 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/17911455 Circulating CD26 is negatively associated with inflammation in human and experimental arthritis. Am J Pathol2005; 166: 433-442 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/15681827 An assessment of adverse effects of vildagliptin versus comparators on the liver, the pancreas, the immune system, the skin and in patients with impaired renal function from a large pooled database of Phase II and III clinical trials. Diabetes Obes Metab2010; 12: 495-509 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/20518805 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/ 「井蛙」内科メモ帖 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科関係の専門的な内容)
by wellfrog4
| 2011-02-25 00:34
| 糖尿病
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