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帝京大学内科の西谷 肇先生が書かれた「糖尿病合併症としての感染症」の記事で勉強しました。 糖尿病合併症としての感染症 近ごろ,生活習慣病が問題視されていますが,そのなかでも糖尿病は合併症として感染症を発症しやすいことが大きな特徴であり,特にコントロール不良の糖尿病患者では,感染症治療にも反応しにくい感があり,十分なコントロールが必須の病態です。 進行した糖尿病では,動脈硬化などの血管病変により組織還流(私的コメント;灌流?)が悪くなり,また末梢神経障害のため皮膚疾患を発症してもわかりづらく,重症化もしやすく注意が必要です。 糖尿病患者を診療する際に注意する代表的な感染症として,結核,尿路感染症,敗血症,皮膚軟部感染症があるので,それを中心に述べます。 また,糖尿病特有の感染性疾患があることにも注意が必要です。 感染症を予防するためには,患者は自覚症状に乏しいために糖尿病を甘く見がちなので,糖尿病では感染症が起こりやすい,気付きにくい,なおしにくいという3つのポイントについて認識してもらい,プライマリケアレベルで糖尿病のコントロールの重要性をわかりやすく説明し,患者に納得してもらうことがとても大切です。 再発しやすい結核,高齢女性では腎盂腎炎からの敗血症に注意 ■2型糖尿病の人は,結核に罹患しやすく(3倍との報告あり),糖尿病と結核ともに悪化しやすく,さらに再発しやすく(治療2年後の再発率が糖尿病20%,非糖尿病5.3%との報告あり),多剤耐性結核が多い(糖尿病17.7%,非糖尿病8.4%との報告あり)と言われている。 ■治療の際には,血糖コントロールを重視し,抗結核薬の治療期間延長も考慮する。 日常診療では,結核既往のある人や,2週間以上持続する咳症状がある人には胸部X線検査をまめに行うことが大切。 ■尿路感染症では,腎盂腎炎とそれに伴う敗血症(urosepsis)が大事。 一般に,女性の発熱患者では,必ず腎盂腎炎を疑い,“肋骨脊椎角(costovertebral angle;CVA)の叩打痛の左右差”に注目する。 ■高齢者では慢性の腰痛を持つ場合があり,腰痛の問診だけでは不明なことがあるので,まずCVAを軽くたたいて左右差を見つける。 高齢の糖尿病女性ではurosepsisに注意する。 ■敗血症については,救急部門での解析(台湾の620例)では,基礎疾患は糖尿病が最も多く(39.3%),原因は大腸菌による尿路感染との報告がある。 ■まれだが,糖尿病に見る気腫性腎盂腎炎は大腸菌などのガス産生菌による壊死性腎実質や周囲の重篤な炎症で,致死率は43%との報告がある。 また,糖尿病女性では大腸菌による無症候性細菌尿もある。 この病態は,治療により感染期間の短縮は認められるものの,再感染が多いことが指摘されている。 糖尿病患者の4分の1は足や下肢に重篤な感染症 ■皮膚軟部組織感染症では,糖尿病患者の25%は経過中に重篤な足や下肢の問題を持つと言われる。 ■糖尿病の特徴として,痛みを感じにくいことがあるので,足に小さな傷がないか,熱感がないかなど,軟部組織における感染徴候を早期に捉えることを心がける。 蜂窩織炎が多く見られ,原因菌はおもに連鎖球菌だが,黄色ブドウ球菌でも見られる。 ■広範囲に組織壊死が起こり進行する症例に関しては,壊死性筋膜炎を疑う。 肛門生殖器周囲の壊死性筋膜炎はフルニエ症候群と呼ばれており,症状が増悪する。 嫌気性菌と好気性菌による複数菌感染症が多く,敗血症の合併(80%近く)も多い。 ■治療においては,糖尿病では病変組織への血流が障害されている可能性があるので,十分量の抗菌薬投与が必要となる。 ただし,腎毒性の強い抗菌薬使用には注意が必要。 ■以前は,皮膚軟部組織感染から壊疽へ進行し,足を切断するケースもよく見られた。 しかし,最近では下肢切断などの四肢障害の恐れがある感染症でも,嫌気性菌を含めた複数菌感染の可能性を考え,カルバペネム系薬などの広域スペクトル抗菌薬を使用し,クリンダマイシンなども併用し,切断せずに治療できる症例も増えてきている。 ■菌種別では,緑膿菌を含むグラム陰性桿菌(GNR)の場合には,アミノグリコシド系薬との併用,入院例では場合により,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染を考え,抗MRSA薬を併用する。 緑膿菌による悪性外耳道炎,真菌による鼻脳型ムコール症に注意 ■コントロール不良な糖尿病患者に比較的特有な感染症がある(表)。 ■悪性外耳道炎は緑膿菌によることが多く,外耳道の軟骨,骨,軟部組織を進行性に侵し,激しい耳痛が特徴。 ■接合真菌による鼻脳型ムコール症は,鼻腔に定着した菌が眼窩や脳内に侵入して組織を破壊し,眼窩蜂巣炎による眼球突出や,痙攣発作,部分麻痺や昏睡を呈する。 ケトアシドーシスを起こし,死亡率の高い疾患である。 ■短期間の抗菌薬治療に反応しない副鼻腔炎では鼻脳型ムコール症を疑い,鼻腔の壊死性組織を採取して培養する。 また,腹部単純X線で胆嚢,腎臓,膀胱内にガスが認められる場合には,それぞれ気腫性胆嚢炎,気腫性腎盂腎炎,気腫性膀胱炎を考える。 見た目よりは病変が悪化していることを念頭に診療を ■プライマリケアでは,糖尿病は他の疾患より感染症が起こりやすく,難治であり,かつ気付きにくいことを常に念頭に置く。 見逃さないポイントは,一般感染症診察の基本を通常通り確実に行うことある。 ■目で見える範囲はよく診察する。 病変部と思われる部位は触ったり,たたいたりすることも有用で,見えない範囲については採血,採尿,X線検査を行う。 ■感染症は診ただけではわからないことも多く,調子が悪い場合や,いつもと違う場合には,疑わせる症状が明らかでなくとも,とりあえず上記の検査を気軽に行うことが感染症の発見につながり,見逃し防止に重要。 ■長期のコントロール不良状態の糖尿病では,動脈硬化が著明であり,感染巣のある末梢組織へ感染防御機能を担う白血球が到達しづらく,また高血糖であることから,好中球機能も低下しやすい状態にある。 同時に,治療薬としての抗菌薬も十分な濃度に到達しない可能性がある。 ■治療については,コントロール不良の糖尿病患者を易感染患者(コンプロマイズドホスト)と捉えて,抗菌薬を選択する際はランクを上げて考える。 嫌気性菌が関与する可能性から,抗菌スペクトラムをより広くすることや,薬力学の点,好中球機能の点から,投与量の増加と投与期間の延長を考える。 ■糖尿病患者では同時に腎機能も障害されていることが多いので,投薬による副作用が出やすいことを念頭に置いたうえで,総合的に治療レジメを立てる。 患者自身がモチベーションを上げるよう工夫を ■糖尿病患者の下肢の切断は予防可能であり,プライマリケアでの患者への治療モチベーションを上げるような説明が,糖尿病での感染症予防に最も効果がある。 ■まず,患者に自身の糖尿病の現状を把握してもらうことが重要である。 「HbA1Cはいくつですか。6.5以下ですか」という医師からの質問に,「さあわかりません」や「それはなんですか」という返答をする患者の状況では予防は困難。 患者のなかには,“空腹なのになぜ食べてはいけないのか”と疑問を持つ方さえいる。 ■例えば,「あなたの細胞は糖をエネルギーとして必要ですが,糖尿病の方は食べた糖が血管から細胞に入れない状態です。おなかがすいて食べた糖は細胞でエネルギーとして利用されずどんどん血中にたまります。逆に,それが毒として働き(糖毒),血管をつくっている血管内皮細胞を障害して動脈硬化を引き起こします。その結果,組織の血流障害が進みます。狭心症など心臓病や脳梗塞など多くの病気は血流障害が原因となっています。逆に,軽く汗をかく程度の運動は末梢血管を広げ,血流をよくします。運動をされてはいかがですか」などと説明するのも一つの方法。 ■糖尿病をよくすることがいかに大切か,そのモチベーションを上げる気にさせる患者への説明が求められる。 出典 Medical Tribune 2010.4.15(一部改変) 版権 メディカルトリビューン社 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/ 「井蛙」内科メモ帖 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科関係の専門的な内容)
by wellfrog4
| 2010-12-15 00:28
| 糖尿病
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