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小児プライマリケアにおける予防接種の実情 乳幼児や小児の細菌性髄膜炎をはじめとする肺炎球菌性感染症を予防するのに極めて有用な沈降7価肺炎球菌結合型ワクチン(以下,PCV7,商品名:プレベナー)が導入され,乳幼児や小児が受ける予防接種のスケジュールがますます過密になってきた。 諸外国では当たり前のように複数ワクチンの同時接種が行われているが,わが国では副反応の心配など,さまざまな理由から同時接種の実施がなかなか進んでいない。 (コメンテーター たはらクリニック・田原卓浩院長) 細菌性髄膜炎は小児プライマリケア医として最も注意すべき疾患 ワクチン接種は,免疫の未熟な乳幼児や免疫力が低下している高齢者を感染症から防御する点で極めて有用な予防法である。 特に小児プライマリケア医として,乳幼児や小児の細菌性髄膜炎を防御できるワクチンの導入を心待ちにしていた。 というのも,多くの小児科医と同様に,勤務医時代に何度か細菌性髄膜炎症例の治療に難渋した経験があり,感染症の予防がいかに大切であるか身をもって知っているからである。 乳幼児や小児の細菌性髄膜炎は,発症初期は特異的な症状が現れにくく確定診断がしにくい上に,適切な治療を行っても一定の確率で不幸な転帰をもたらす重篤な感染症で,小児プライマリケア医として最も注意すべき疾患の1つである。 乳幼児や小児の細菌性髄膜炎の起炎菌は,インフルエンザ菌b型(Hib)が約6割,肺炎球菌が約3割を占めることが分かっている。 わが国でも,2008年12月にHibワクチンが,2010年2月にPCV7が導入され,乳幼児や小児の細菌性髄膜炎を予防できる体制が整いつつある。 ワクチンのメリットよりもデメリットに注目しがちな国民性 ワクチン接種の目的は,当該疾患の免疫を獲得し感染を防ぐことであるが,ワクチンには免疫付与以外の作用,すなわち副反応が起こることがある。 わが国では副反応に対して敏感に反応する傾向があり,接種後に1人でも後遺症などが残るような副反応を起こした場合,そのワクチンの接種が中止に追い込まれることさえある。 また,自然に当該疾患に罹患した方が免疫が付きやすいという風評が根強く,ワクチンでの免疫付与に抵抗感を示す人がいる。 さらには,ワクチン接種によるごくまれな合併症の出現を大々的に報じるなど,ワクチンのメリットよりはデメリットを強調した報道が行われてきた経緯がある。 わたしは保護者に対して,副反応に関しては一定の確率で起こるものであり,起こった場合にはどのように対処すればよいか分かっていることを丁寧に説明し,副反応を懸念して接種をためらう保護者に安心してワクチン接種の有用性を理解してもらえるよう心掛けている。 接種率向上のためにはワクチンに対する知識・情報不足を解消することが重要 わが国の予防接種は,定期接種と任意接種に大別されており,定期接種は予防接種法によって対象疾病,対象者および接種期間などが定められ,対象として相当する場合は無料で接種できる。 定期接種には,自治体などにより決められた日に保健センターなどで受ける集団接種と,指定医療機関で受ける個別接種がある。 自治体により集団接種となるワクチンは異なる。 定期接種に関しては,保護者の約7割はきちんと接種させている印象があり,残りの約3割は集団接種日の日時を忘れた,予定が合わなかった,あるいは子供の健康状態が優れなかった場合と接種を迷っている場合だと思われる。 その約3割の保護者への対応をきちんと行えば接種率は向上すると期待している。 一方,任意接種については,希望者が原則,全額自己負担にて受けるよう定められており,経済的負担が大きいために接種率は低い。 細菌性髄膜炎予防として導入されたHibワクチンやPCV7も,現在,任意接種として位置付けられている。 予防接種をためらっている保護者から,「ワクチンのことがよく分からない」,「どうして接種しなければいけないのか理由がよく分からない」といった声をよく聞く。 そこで,乳幼児健診などの機会に保護者に説明することや,診察の待ち時間などを利用してパンフレットや新聞記事などを読んでもらうことでワクチンについて興味を持ってもらうことが重要だと考え,待合室には資料をそろえるようにしている。 小児プライマリケアではスタッフのチームワークの善しあしが鍵を握る 子供と保護者への対応で慌ただしい小児プライマリケアの現場では医師とコメディカルとの連携(スキルミクス)が満足度を高める鍵となる。 特に,予防接種や乳幼児健診に関しては勉強会などを随時開催し,知識の共有および啓発に努めている。 当院はスタッフが10人おり,ワクチンの説明や接種スケジュールのプランニングなどの対応をスタッフが中心となって行っている。 接種スケジュールについては,保護者の希望に沿って個別にプランニングを行い,次の接種予定のワクチンの説明も併せて行う。 わたしからも保護者にワクチンに関する説明を行っているが,個々の診療時間内に詳細な説明を行う時間が十分に取れないことが多く,診療が終わった後に,スタッフから分かりやすく説明をしてもらうことで非常に助かっている。 予防接種後,次の接種プランニングをしているうちに,保護者がワクチンの追加を依頼してくれることも少なくない。 こんなときに,スタッフとのチームワークにより小児医療サービスは支えられていると実感している。 複数ワクチンのスケジュールについて わが国では,予防接種には厳密な接種間隔が定められており,生ワクチン接種後は中27日以上,不活化ワクチン接種後は中6日以上の間隔を空けることとされている。 そのため,ワクチンを1種類ずつ接種していくと,乳幼児や小児が受けなければならない予防接種のスケジュールが過密にならざるを得ない。 接種日に子供が発熱すると予定を変更せざるを得なくなる,あるいは集団接種日が後から決まりスケジュールをし直さなければならないなど,スケジュール調整は保護者の悩みの種となっている。 当院では,スタッフが半年から1年先まで個別にプランニングし,接種スケジュールを表にして渡すようにしている。 わが国の予防接種は8種類のワクチンが定期接種として定められているが,米国ではわが国よりも多く,14種類のワクチンが定期接種となっている(図1)。 ただし,複数のワクチンを同時に接種する体制を整えているため,接種はスムーズに行われている。なお,同時接種による効果や安全性の変化はないと考えられている。 米国をはじめ諸外国では当たり前のように行われている同時接種であるが,わが国では積極的には実施されていない。 同時接種を避ける理由としては,予防接種法では単独接種が原則であることや副反応の問題に敏感に反応する国民性が挙げられる。 しかしながら,予防接種法においても例外規定として,医師の判断で必要と認められた場合には複数接種を同時に行うことが可能とされており,同時接種を行うことを本人や保護者に説明し了承を得ることで,同時接種が認められている。 当院でも,同時接種に抵抗感を示さない保護者にはスケジュールに余裕ができるというメリットを伝え,複数ワクチンの同時接種を提案している。 同時接種を組み込むことで急な発熱など突発事項が起こってもスムーズな対処が可能となっている。 同時接種に対する心配や抵抗感を払拭する工夫 過密な接種スケジュールに加え,共働きで仕事を休めないなど何度も来院できない保護者の負担を軽減するために,同時接種を積極的に啓発している。 当院では,さまざまな種類のワクチンを同時接種しているが,ジフテリア・百日咳・破傷風の三種混合(DPT),Hibワクチン,PCV7の組み合わせが多く,麻疹・風疹(MR)ワクチンやインフルエンザワクチンとの組み合わせも少なくない。 2010年は7カ月余りで約350回の同時接種を行っている。 ただし,初めて同時接種を受ける保護者に対しては,保護者自身が希望していても心配している様子がうかがえるため,わたしは2種類のワクチンを同時接種するときには「まさにニホンジン(2本人)ですね」,3種類を同時接種するときには「今日はサンボンジン(3本人)ですね」などと声掛けをして保護者の緊張をほぐすようにしている。 また,わたしやスタッフが単独接種の人にも同時接種の人にも同じように接することで,同時接種は特別なものではないと理解していただけるのではないかと期待している。 PCV7接種による副反応は局所反応がほとんどで,2~3日で消失する PCV7接種後の副反応としては,発赤(紅斑),腫脹または腫瘤/硬化(硬結)といった局所反応や発熱などが主だといわれている。 PCV7承認時に行われた安全性の検討では,PCV7接種後4日間以内に発現した重要な局所反応は,直径2.4cm超の紅斑および腫脹/硬結で,接種後1日目に多く認められたが3日目より低下し,経時的に回復しているとされている(図2)。 実際,わたしがPCV7接種後の乳幼児や小児の保護者に副反応の有無をアンケート用紙に記入してもらったところ,重大な副反応の出現はなく,接種部位の発赤(紅斑)や腫脹/硬結といった局所反応についても,接種後2~3日で消失しているとの回答が多かった。 また,PCV7接種で発現する紅斑は,洗面器に絵の具をポンッと落としたようなにじむ感じの赤さであり,DPT接種後に遭遇する強い発赤や強く感じる硬結もほとんど見られていないようである。 今後,副反応について詳細なデータを得るため,全国10施設1,500例を目標にした安全性調査を実施したいと考えている。 小児科医としていかに子供とその家族を守るか 小児科医は「いかに子供とその家族を守るか」という観点から,地域・行政・園/学校などと共に非常に重要な役割を担っている。 特に,医学的・医療的立場から子供を守ること,すなわち予防接種を勧奨することは小児科医の重要な仕事といえる。 わたしは,ワクチンで防御できる疾患からわが子を守ることは保護者や大人の責任であり,その責任を果たすよう強く保護者や子供たちと接することの多い大人へ働き掛けを行っている。 接種率向上のためには,「ワクチンを接種することで罹患する確率が圧倒的に低くなる」あるいは「ワクチン接種で感染しても軽症化できる可能性がある」ということをすべてのワクチンに共通して啓発していくことが重要と考える。 その際,理解されるまで焦らず何度も繰り返して伝え,ワクチンに対する迷いを一掃することが不可欠であると日々実感している。 出典 MT pro 2010.11.18 版権 メディカルトリビューン社 キリチ リトグラフ カラケスの風景 http://habitat-vert.jp/osCommerce/catalog/default.php/cPath/21_30 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/ 「井蛙」内科メモ帖 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科関係の専門的な内容)
by wellfrog4
| 2010-12-07 00:45
| 感染症
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