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東大グループが発表,血糖悪化の悪循環に膵β細胞のPI3Kが関与 新規治療薬の開発に期待 東京大学病院(糖尿病・代謝内科)准教授の植木浩二郎氏は,シグナル伝達酵素の一種であり,インスリンによって活性化されるPI3K(ホスホイノシチド3キナーゼあるいはホスファチジルイノシトール3キナーゼ)の発現や活性が低下すると,β細胞量の減少やインスリンの分泌低下が増強されるという血糖悪化のメカニズムを突き止めた(Cell Metabolism 2010; 12: 619-632)。 PI3Kの働きを高める薬物は,この悪循環を断ち切る新しい糖尿病治療薬として開発が期待されるという。 #膵β細胞の機能や量の低下を防ぎ,長期予後を改善する可能性も 植木氏らは,肥満糖尿病マウスでは,PI3Kの発現や活性の低下が,インスリン分泌の低下に先立って認められ,それが徐々に進行しインスリンの分泌量が減ることで糖尿病が悪化することを発見。 PI3Kの働きを膵β細胞でのみ欠失させた肥満糖尿病マウスを作製したところ,このマウスでは,ブドウ糖応答性のインスリン分泌量が低下。 同時にインスリンの分泌に重要と考えられている分子の発現が軒並み低下し,β細胞のアポトーシスも亢進していた。 一方,PI3K によって活性化される酵素の1つである活性型Akt※をβ細胞に発現させると,これらの分子の発現が回復し,インスリン分泌が改善した。 この結果,β細胞ではインスリン作用低下によりPI3K活性が低下し,インスリン分泌がさらに減少。このことにより,PI3K活性がさらに低下して,β細胞量の減少やインスリン分泌低下を増強していると考えられた(図)。 植木氏らは,糖尿病は放置すれば膵β細胞の機能や量の低下が進行するが,PI3Kの活性を強める薬剤はこれを防ぎ,糖尿病の発症を予防したり,糖尿病の長期予後を改善させる可能性があるとしている。 ※ Akt はPI3Kによって活性化され、糖代謝やアポトーシスの抑制を調節する酵素である。活性型Akt はPI3Kの作用がなくても常時活性化されているAkt の変異体。 (木下 愛美) 出典 MT pro 2010.12.2 版権 メディカルトリビューン社 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/ 「井蛙」内科メモ帖 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科関係の専門的な内容)
by wellfrog4
| 2010-12-04 00:24
| 糖尿病
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