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2007年12月というちょっぴり古い「ピオグリタゾン」に関する記事で勉強しました。 動脈硬化抑制を目指した新しいコンセプトにもとづく糖尿病治療 過剰なインスリン分泌を促さない治療とその実践 岩本 安彦 氏(司会)東京女子医科大学糖尿病センター センター長 門脇 孝 氏 東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科 教授 横山 宏樹 氏 自由が丘横山内科クリニック 院長 森 豊 氏 国立病院機構宇都宮病院 外来診療部長 わが国における糖尿病の病態と合併症の変化 岩本 近年,わが国では,糖尿病やその予備群が急増しています。 糖尿病の経口薬治療は長年にわたりSU薬を中心に行われてきましたが,1990年代以降,新しい作用機序の薬剤が次々と登場し,病態に応じた治療も可能になっています。 ところが,JDDMの報告によると,経口血糖降下薬で良好な血糖コントロールが達成できているのはわずか30%程度であり,その背景の1つとして,糖尿病の病態の変化が指摘されています。 門脇 (わが国における糖尿病の発症機序や病態の変化) 日本人は,欧米人と比較してインスリン分泌能が約1/2程度であることはよく知られており,以前はこのインスリン分泌不全が糖尿病の病態の大半を占めていました。 しかし,近年では中年男性を中心にBMI 25以上の肥満者や内臓脂肪蓄積者が増加していることから,従来のインスリン分泌不全という素因に,肥満がもたらすインスリン抵抗性の増大が加わって発症していると考えます。 門脇 (糖尿病患者の合併症の近年の変化) わが国では細小血管障害が多く,その一方で大血管障害が少ないとされていましたが,2004年のJDCSのデータでは,糖尿病患者1000人・年あたりの心血管イベント発症率は16.7であることが示されました。 これはFramingham studyやUKPDS 33の結果にも匹敵し,わが国の糖尿病患者も欧米並みに心血管イベントが増加しています(図1)。 その背景には,肥満・内臓脂肪蓄積を基盤とするメタボリックシンドロームがあり,それが糖尿病予備群の段階から,アディポネクチンの低下やインスリン抵抗性,高血圧・脂質代謝異常など心血管イベントのリスクファクターの集積を引き起こし,動脈硬化を進展させると考えられています。 メタボリックシンドロームによる動脈硬化の進展 森 端野・壮瞥町研究によると,メタボリックシンドロームがある場合では,ない場合と比較して心血管イベントの発症率は2.1倍高まることが明らかにされています。 また,メタボリックシンドロームの中心的病態である内臓脂肪の蓄積があると,インスリン抵抗性,耐糖能異常などの合併リスクが高まることも示されています。 ある企業でOGTTを実施した結果を解析したところ,メタボリックシンドロームの頻度は,非IGTと比較してIGTで有意に高く,メタボリックシンドロームの関連リスクファクターの平均保有数もIGTで多いことが明らかになりました。 加えて,高インスリン応答群のIGTにおいて,内臓脂肪面積高値,アディポネクチン低値,リスクファクター保有数が多く,メタボリックシンドロームの頻度が高いという特徴が認められています。 横山 (動脈硬化の予知マーカーとメタボリックシンドロームとはどのように関与しているか) 動脈硬化の予知マーカーである,微量アルブミン尿,IMT,PWVの3つがある種のトライアングルを形成しているといえます。 微量アルブミン尿が認められる早期腎症の段階でもIMTは明らかに上昇しています。また,PWVも早期腎症の段階で既に高値を示しています。 また,これらのマーカーとメタボリックシンドロームとの関連を検討したところ,メタボリックシンドロームの関連リスクファクター数の増加に比例して,PWVも上昇することが明らかになっています(図2)。 動脈硬化の進展抑制を目指した糖尿病治療 岩本 UKPDSでは,インスリン分泌を促進する薬剤による厳格な血糖コントロールによって細小血管障害のリスクは低下しましたが,大血管障害のリスクは低下しませんでした。 このことを契機に,糖尿病治療における動脈硬化の進展抑制の重要性がクローズアップされ,その後,様々な糖尿病治療薬が使用可能となり,そのエビデンスも蓄積されてきました。 門脇 (動脈硬化の進展抑制を見据えた糖尿病治療) 動脈硬化の進展抑制を目指した糖尿病治療では,食後高血糖の是正に加え,内臓脂肪の減少,さらには高血圧・脂質代謝異常などの是正が重要となります。 たとえ血糖がコントロールできても,アディポネクチン低下などの基盤病態を改善しない限り,動脈硬化は十分に抑制できないと考えます。 また,インスリン抵抗性の改善も重要だと考えます。 UKPDSで大血管障害を抑制できなかった背景として,インスリン分泌を促進する薬剤だけでは食後高血糖,インスリン抵抗性,アディポネクチン低下の改善が十分でなかった可能性が推測されます。 森 内臓脂肪蓄積,インスリン抵抗性により食後高血糖をはじめとする食後代謝異常が惹起され,血管内皮機能の障害やアディポネクチンの低下を来し,動脈硬化が進展すると考えます。 したがって,インスリン抵抗性や食後代謝異常を改善し,しかもインスリンの過剰分泌を来さない薬剤を選択することがポイントになると考えます。 ピオグリタゾンは,HbA1cの低下のみならず食後代謝異常も改善しますので(図3),動脈硬化の進展を抑制できると考えています。 門脇 (アディポサイトカインの観点から) 内臓脂肪蓄積がインスリン抵抗性を惹起するメディエータとして,アディポカインが注目されています。 インスリン抵抗性だけでなくメタボリックシンドローム,さらには糖尿病や心血管イベントを引き起こす上流には,炎症や酸化ストレスが高まり,悪玉のMCP-1などが上昇して善玉のアディポネクチンが低下するという悪循環が明らかにされています。 門脇 (ピオグリタゾンのアディポサイトカインに及ぼす影響) ピオグリタゾンは,MCP-1や炎症マーカーである高感度CRPを改善することが示されています。 また,アディポネクチンの中で最も活性が高いとされる多量体型をピオグリタゾンは有意に増加させます。 ピオグリタゾンは,インスリン抵抗性を改善するとともに,脂肪細胞・血管・マクロファージのPPARγに作用してアディポネクチンの増加や内皮機能,炎症の改善などにより,動脈硬化の進展抑制を示すのではないかと考えます。 横山 (IMTについて) 糖尿病の有無にかかわらず,IMTは心血管イベントの重要な予知マーカーであることが示されています。 2 型糖尿病患者に対し,薬剤介入によるIMTの変化を検討したところ,HbA1cの厳格なコントロールがIMTの改善に強く相関することが示されました。 内因性インスリンを活かす糖尿病治療 膵保護を考慮したピオグリタゾンによる治療 岩本 現在,日本人糖尿病患者の病態にはインスリン抵抗性の増大が大きく関与していることから,インスリンの過剰分泌を来さない治療が重要になると思います。 そこで,私は膵保護の面から糖尿病治療を考察したいと思います。 プロインスリンは糖尿病発症の予測マーカーであり,その上昇は膵β細胞機能の障害を反映します。 ピオグリタゾンは,空腹時のインスリンやプロインスリンを低下させることが報告されており,膵β細胞保護の面からも好ましいと考えます。 さらに,メトホルミンからピオグリタゾンに切り替えたところ,アディポネクチンの上昇,プロインスリンの低下,高感度CRPの低下を示すことも報告されています。 以上からピオグリタゾンは膵β細胞機能を保護し,内因性インスリンを保持できる薬剤であると考えます。 森 (実際のピオグリタゾンの使用法) ピオグリタゾン投与中の症例に対し,グリニド薬を追加投与した群と低用量SU薬を追加投与した群について検討したところ,HbA1c値は両群で有意に低下しました。 体重に関してはグリニド薬投与群では食前空腹感の出現もなく体重変化も認めませんでした。 また,SU薬の先行投与例において,SU薬減量後にピオグリタゾンを追加投与したところ,HbA1cは良好にコントロールされ,低血糖や体重増加を来たさなかったという報告もあります。 横山 われわれの検討では,ピオグリタゾンにα-GIを併用したところ,体重を増加させることなく良好な血糖コントロールが得られました。 また,SU薬を減量してピオグリタゾンを使用することが,体重増加のみならず動脈硬化抑制の面からも好ましいと思われます。 またカロリーと塩分摂取量ごとに4群に分けて体重変化をみたところ,低カロリー・低塩群は高カロリー・高塩群に比べて有意差を認められたことから,ピオグリタゾンを使う上で食事制限や塩分制限といった患者指導が重要であり,それらに留意することで体重増加は防げると考えます。 J-DOIT3 心血管イベントの発症・進展抑制に対するピオグリタゾンの有用性を検討 門脇 (J-DOIT3について) J-DOIT3は,HbA1c6.5%以上で高血圧や脂質代謝異常を合併したハイリスク患者に対して強化治療を行い,3年間で死亡・心筋梗塞・脳卒中を30%抑制することを目標にしています。 本試験の強化治療群では,ピオグリタゾンをベース薬としていますが,その理由としてピオグリタゾンはPROactive試験で示されたように心血管イベントの発症抑制のエビデンスを有する糖尿病治療薬であること(図4),また,強化治療群の主要な治療目標であるHbA1c5.8%未満を達成するために低血糖を来たしにくい薬剤が必須であること,さらに,わが国で行われた2万例以上の前向き市販後臨床調査PRACTICAL試験においてピオグリタゾンは,どの薬剤と併用しても有効であることが示されているからです。 岩本 J-DOIT3はわが国で初となる心血管イベントの発症・進展抑制に対する大規模な介入試験であり,その結果が期待されます。 本日の先生方のお話から,わが国の糖尿病の病態においてインスリン抵抗性が重要となっていること,動脈硬化抑制を目指した新しい治療戦略が必要であり,その手段として心血管イベント抑制のエビデンスを有するピオグリタゾンが有用であることがわかりました。 また,臨床におけるピオグリタゾンの実践的な使い方もお示しいただき,非常に参考になりました。 出典 Medical Tribune 2007.12.20 版権 メディカルトリビューン社 蓼科山山頂(2530m)より八ヶ岳連峰を眺望する 2010.9.19 14:56 撮影 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科関係の専門的な内容)
by wellfrog4
| 2010-09-21 00:34
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