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新しい超速効型インスリン製剤であるインスリングルリジン(遺伝子組換え)は,その特徴的な製剤設計により,皮下投与後のより速やかな吸収と短時間での消失を実現しています。 また,吸収が遅れがちな肥満患者においても速やかな吸収が見込まれるといわれています。 インスリングルリジンを含め,それぞれの特徴を有した各種インスリン製剤が持効型から超速効型まで出揃った今,それらをどのように組み合わせて個々の患者の病態やライフスタイルに合わせたインスリン療法を実現するかが今後の課題となっています。 きょうは、5名の糖尿病専門医の座談会の記事で勉強しました。 座長: 田中 逸 氏 聖マリアンナ医科大学病院 代謝・内分泌内科 診療部長 教授 コメンテーター: 清野 弘明 氏 せいの内科クリニック 院長 鈴木 大輔 氏 東海大学 腎・内分泌・代謝内科学 准教授 田中 彰彦 氏 戸田中央総合病院 一般内科 部長 谷口 幹太 氏 富士市立中央病院 代謝一般内科 副部長 新しい超速効型インスリン製剤「インスリン グルリジン」と「インスリン グラルギン」による強化インスリン療法が実現すること 厳格な血糖管理,そしてそのための個々の患者に合わせたインスリン療法 田中(逸) 糖尿病の合併症である細小血管障害や大血管障害の抑制のために,厳格な血糖管理が重要であることは,既にさまざまな大規模臨床試験によって証明されています。 図1は,1型糖尿病の患者さんを対象としたDCCT/EDICの結果です。 従来療法群に比べて,強化インスリン療法群では42%も心血管イベントの累積発症率が抑えられています。 また,UKPDS80では,2型糖尿病診断後早期からSU薬やインスリンを用いた薬物治療を開始して血糖値をより良好にコントロールすることが,長期にわたる細小血管障害,大血管障害,死亡リスクの抑制につながるという,いわゆるレガシーエフェクト(遺産効果)が証明されています。 一方,ACCORD,ADVANCE,VADTの結果は,厳格な血糖コントロールを行うにあたり,重症低血糖や著明な体重増加を来たさないように警告しているのではないでしょうか。 このように各種大規模臨床試験が,血糖コントロールの重要性と留意点を明らかにする一方で,強化インスリン療法が実施されていても患者さんの血糖値は十分にコントロールされていないというデータが出されています。 図2は,6か月以上インスリン療法を受けた2型糖尿病患者さん5,759例について,インスリン療法の段階別に平均HbA1C値を比較したものです。 HbA1Cはいずれの療法においても,ほとんど変わらないという予想外の結果でした。 すなわち強化インスリン療法を実施しても必ずしも良好な血糖コントロールが得られるわけではなく,われわれは,個々の患者さんに合わせた強化インスリン療法を模索していかなければならないということでしょう。 清野 血糖管理の目標値については,基本的にはHbA1C6.5%未満を目指しています。 さらに,Diabetes Interventionstudyによって,食後1時間血糖値が180mg/dLとなるグルコース・スパイクが心血管イベントのリスクを高めることが示されていますから,食後血糖値を180mg/dL以下に抑えることに特に留意しています。 空腹時血糖値とともに,食後の血糖値を意識することで,血糖の変動幅を少なくできますし,イベントの抑制にもつながると思います。 谷口 厳格な血糖コントロールの重要性については疑いの余地がありませんが,いかに体重増加,低血糖の頻度を少なく血糖を下げていくかということも重要なポイントであると思います。 さらに,患者さんのライフスタイルや食習慣に合わせ,患者さん個々に適切なインスリン製剤,インスリン投与量を設定していくことも大切であると思います。 田中(彰) 強化インスリン療法を行っても,HbA1Cが高いレベルで留まっているというのは驚きでした。 その理由としてインスリン導入が遅すぎるという問題もあるのではないでしょうか。 インスリン導入に際しては,できるだけ患者さんやご家族のご希望を伺いながらその方に合ったインスリン治療を考えなければなりません。 われわれ医師の努力により,少しでも早くインスリン療法に切り替えることで,この数値は少しずつ下がってくるのではないでしょうか。 鈴木 現在は,さまざまなインスリン製剤がありますし,患者さんに合ったインスリンを選択してあげることが重要だと思います。 自分の患者さんで,強化療法を行っていてもHbA1Cが高値の方というと,肥満の方が思い浮かびます。 新しく登場した超速効型インスリン製剤の「インスリングルリジン」(以下グルリジン)が,肥満者においても速やかな吸収が見込まれるということで,その効果に期待したいと思います。 田中(逸) 経口薬からインスリンへの移行の時期や,インスリン治療の方法やその調節について,われわれ医師は,それぞれの患者さんと向き合いながらもっと積極的に介入していく努力が求められるということだと思います。 強化インスリン療法の歩み 田中(逸) 個々の患者さんに合わせた強化療法について議論を進める前に,まずはこれまでの強化療法の歩みを振り返ってみたいと思います。 速効型インスリンとNPHが用いられていた時代,NPHを就寝前に注射した場合,夜間から早朝にその作用のピークが発生して低血糖が起こりやすいこと,そして,翌日の早い時間帯に作用が途切れてしまうことが問題点として挙げられていました。 また,日中にNPHの作用が途切れていることに関しては,速効型のテール部分がカバーしてくれていました。 そこに2001年,超速効型インスリンが登場します。 超速効型によって,食後の血糖管理は大きく前進したと言えます。 また,食直前に打てることで,患者さんの利便性が大幅に向上しました。 しかし一方で,そのテールの短さから,速効型が担ってきたNPHのカバーが疎かになるというデメリットが指摘される場合もありました。 超速効型が登場した時の印象について 清野 確かに,食直前の投与でよいという点は,患者さんから大変喜ばれました。 また,血糖コントロールがよくなった患者さんもかなりいらっしゃいました。 一方,以前の私どもの調査では,速効型の食事30分前という投与時間はなかなか守られていなかったこともわかっています。 そのような場合,速効型では,食後の急激な血糖上昇に対応できていない患者さんも多数いたのではないかと思っています。 谷口 速効型から超速効型に切り替えることによって,食後血糖値の改善のみならず,遷延性の低血糖が減ったことは大きなメリットでした。 遷延性の低血糖は空腹感を招き,体重増加につながっていました。 鈴木 一方で,やはり超速効型はテールが短いため,NPHの作用不足を補うことができず血糖コントロールが乱れてしまう症例も存在しました。 田中(逸) そしてそこに,NPHに替わる存在としてインスリングラルギン(以下グラルギン)などの持効型インスリンが登場します。 グラルギンは,明らかな作用のピークがなく,ほぼ1日にわたって効果が持続するため,基礎分泌を過不足なく補充することが可能となりました。 超速効型とグラルギンを組み合わせることによって,生理的なインスリン分泌パターンに近づけることができるようになりました(図3)。 インスリン グラルギンと超速効型インスリンで生理的なインスリン分泌の再現をめざす 田中(逸) グラルギンと超速効型インスリンを用いた強化療法について,先生方は,どのように評価されていますか? 清野 基礎インスリンとしてグラルギンを用いることで,追加インスリンを基礎の補充という役割から開放することができ,本来の役割である食後高血糖の抑制に集中させることができるようになったと言えるのではないでしょうか。 その際,超速効型はテールが短いことを考慮し,十分な量のグラルギンを用いることがポイントだと思います。 谷口 グラルギンと超速効型を組み合わせることによりインスリン動態がよりシンプルになり,インスリン量を適正化しやすくなったと思います。 田中(彰) 患者さんに合わせて,グラルギンを途切れることなく,必要充分量を投与することが大切ではないでしょうか。 鈴木 私も,グラルギンを必要充分量投与とすることによって,良好な血糖コントロールを得ています。そして,その場合,超速効型で基礎を補う必要がなくなるわけですから,より生理的な追加インスリン分泌パターンに近い,すなわち速やかに効果が発現し,短時間で消失する追加インスリン製剤が求められることになると思うのです。 田中(逸) グラルギンの登場によって,追加インスリンの役割は,本来の食後高血糖の抑制に限定できるようになった。 すなわち,超速効型インスリンの特徴が,十分に活かせる環境が整ったということですね。 新しい超速効型インスリン製剤「インスリングルリジン」の登場 田中(逸) 昨年6月,超速効型インスリンの新しい選択肢としてグルリジンが登場しました。 グルリジンは,速やかに効果が発現し,短時間で消失します。 より生理的な追加インスリン分泌に近い製剤が登場してきたのです。 清野 グルリジンは,従来の超速効型とは吸収のされ方が異なることがわかっています。 従来の超速効型は製剤中では六量体として存在し,皮下投与後,六量体から単量体へと解離することで血中に吸収されます。 一方,グルリジンは,亜鉛非存在下にて安定した単量体として存在し,製剤中において単量体を多く含んでいるため,皮下投与後速やかに血中へと吸収されて,速やかな作用発現が期待されるのです(図4)。 図5は,日本人1型糖尿病患者さん15例にそれぞれのインスリン製剤を単回投与し,正常血糖クランプ法にて血清中インスリン濃度を比較したものです。 速効型は,やはり立ち上がりが遅くテールが長いことがわかります。 一方,グルリジンは,速やかに立ち上がり,速やかに消失していることがわかります。 また,グルリジンは,インスリンの吸収が悪いとされる肥満の患者さんにおいても,速やかに吸収されることが特徴とされているのです。 実際に,私は,肥満の患者さんも含めて,超速効型のグリルジンで,HbA1Cが低下した症例を多数経験しています。 田中(逸) 肥満の方で,インスリンの投与量を増やしても上手く血糖がコントロールできないというケースには,ぜひグルリジンを試してみたいですね。 肥満の患者さんにインスリンを投与される際には,特別な針を使われていますか。 清野 通常の5mmの針を使っています。 田中(彰) 肥満者ではインスリン量ばかりではなく,インスリンの吸収にも目を配ってやらなければいけないですね。 鈴木 私は,これまでグルリジンを強化インスリン療法の150例近くに使ってきました。 もちろんグルリジンへと切り替えることで,必ずしも全例でHbA1Cが改善するわけではありません。 裏を返すと従来の超速効型インスリン製剤とは違うということがわかりますし,グルリジンが合う患者さんが確実にいらっしゃるということもわかります。 血糖コントロール不良,次の食事の前に低血糖が発現するなどの患者さんにはぜひ一度試していただきたいと思います。 最近,同用量のグルリジンに切り替えてHbA1Cが上昇してしまった症例において,グルリジンの投与量を増量することでコントロールが良くなったケースを経験しました。 次の食前に血糖値が下がるのを避けるために増量できなかった症例でも,グルリジンは速やかに消失するために増量が可能なのかもしれません。 グルリジンの増量も選択肢の1つと考えています。 田中(逸) 1日3回も打つ追加インスリンについては,特に患者さんの満足度が重要だと思います。 このように新しい特徴を持ったグルリジンが登場してきたことは,患者さんの選択肢を増やすという意味でも,喜ばしいことだと思います。 #「インスリン グルリジン」への期待と可能性 清野 グルリジンの特徴が活かせる例としては,肥満の方に加えて,例えばご飯(炭水化物)好きの方が挙げられるのではないでしょうか。 炭水化物をしっかり摂る方では,食後1~2時間で血糖が上がりますから,より適しているのではないかと思います。 鈴木 強化インスリン療法を行っていて,次の食事の前に低血糖,血糖値が下がりすぎる方にはより適しているのではないでしょうか。 また,食後血糖値が高い,一日の血糖プロファイルが安定しない患者さんなど試してみる必要はあります。今後は,CSIIでも試してみたいですね。 田中(彰) シックデイや,癌の患者さんなど食事の量が不安定な方に対しても臨機応変に対応しやすくなり,患者さんの自由度が高まるのではないかと思います。 また,日本人の食生活は多様化しています。例えば,食事の時間が極めて短い方がいらっしゃいます。 短時間で食べて,仕事に飛び出すような方には,グルリジンの特徴が活かせるのではないでしょうか。 逆に,2食を大量に食べて1日の食事を終わる患者さんもいらっしゃいます。 そのような方には,速効型インスリンなどが良いのかもしれません。今後,試して行く必要はあります。 谷口 実際にグリルジンをさまざまな患者さんに使用し,患者さん自身の感触を聞きながらその患者さんに合っているかを吟味していくことが大切だと思います。 田中(逸) グルリジンの登場により,インスリン療法にまた新たな戦略が生まれてくることになりそうですね。 われわれは,このグルリジンを含め,既に多様なインスリン製剤を手に入れています。 今後は,それらの特徴を上手く引き出しながら,それぞれの患者さんの病態やライフスタイルに合わせて,その方に最適なインスリン療法を追求していくという姿勢が求められるのだと思います。 出典 Medical Tribune 2010.6.10 版権 メディカルトリビューン社 清水信行 『富岳』 日本画 http://www.seikougarou.co.jp/sell/shimizunobuyuki/1735.html <きょうの一曲> Besame Mucho Andrea Bocelli - Besame Mucho (Tribute to Marilyn Monroe) http://www.youtube.com/watch?v=9ROsBEHOTuU&feature=related
by wellfrog4
| 2010-09-15 00:21
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