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きょうは、循環器科を専門としている私にとって糖尿病領域でもっとも興味のある話題で勉強しました。 ズバリ、「動脈硬化性疾患予防のためには血糖値の厳格な管理は必要か?」という内容の座談会です。 (コメンテーターの小田原教授以外は循環器専門医です) わが国では糖尿病患者の急増が問題となっており,冠動脈疾患患者の半数以上に糖代謝異常が認められるなど,動脈硬化性疾患の治療においても血糖管理の重要性が高まっている。 さらに大規模介入試験UKPDSのフォローアップ解析では早期からの血糖管理がその後の心筋梗塞や死亡リスクを抑制することが実証され,動脈硬化性疾患をきっかけとした糖尿病の早期発見ならびに早期からの的確な血糖管理が循環器専門医の新たな課題となっている。 糖尿病における動脈硬化性疾患予防のための血糖管理 ―血糖値の厳格な管理は必要か?― 司会: 青沼 和隆 氏 筑波大学大学院人間総合科学研究科 疾患制御医学循環器内科 教授 コメンテーター: 小田原 雅人 氏 東京医科大学 内科学第三講座 主任教授 出席者(発言順): 角田 恒和 氏 土浦協同病院 循環器内科 部長 前田 裕史 氏 茨城西南医療センター病院 副院長・内科部長 徳永 毅 氏 取手協同病院 循環器内科 部長 野口 祐一 氏 筑波メディカルセンター病院 統括副院長 佐藤 明 氏 筑波大学大学院人間総合科学研究科 疾患制御医学循環器内科 講師 榎本 強志 氏 筑波記念病院 副院長・循環器内科 部長 増加する2型糖尿病人口と動脈硬化性疾患の合併 青沼 まず,小田原先生から糖尿病の現状をご紹介ください。 小田原 厚生労働省の平成19年度国民栄養・健康調査によると,1997年から2007年の10年間に,糖尿病患者は690万人から890万人に増加し,IGT(耐糖能異常)も含めた糖代謝異常人口は,全体で1,370万人から2,210万人へと,激増しています。 また,日本糖尿病学会の「糖尿病の死因に関する委員会」の報告によれば,糖尿病患者の平均死亡時年齢は,日本人の平均寿命よりも男性で約10歳,女性で約13歳も短いことが明らかにされています(図1)。 こうしたデータから,循環器科の受診患者においても,糖尿病があればその治療が生命予後改善に不可欠であると考えています。 青沼 先生方のご施設の状況についてお聞かせください。 角田 心筋梗塞での入院患者の3~4割が糖尿病です。 入院中はインスリンで積極的に血糖コントロールを行っていますが,退院後の血糖管理については糖尿病専門医と相談します。 前田 当院では,心筋梗塞患者の場合,入院中はHbA1Cが10%以上であればインスリンを使い,8.5%までは食事療法を行っています。 徳永 当科も糖尿病合併例が多く,外来では冠動脈疾患患者の3~4割が糖尿病で,IGTも加えると約5割が糖代謝異常です。 野口 冠動脈疾患患者には生活習慣の改善で標準体重まで減量するように指導し,次いで,薬物治療を行うようにしています。 HbA1Cが8%を超えれば,糖尿病専門医に紹介します。 佐藤 当科では糖尿病合併がある方はすべて糖尿病専門医に紹介し,連携治療を積極的に行っています。 榎本 私たちは糖尿病治療において,低血糖を起こさないことを重視しています。 まず生活習慣の改善ならびに薬物療法を行い,HbA1Cが6.5%以上の方は代謝内科に紹介しています。 (私的コメント;循環器科と糖尿病・内分泌科の併科は患者さんにとって負担があります。時々コンサルトなのかどうかも知りたいところです。) 早期の血糖管理がその後長期にわたりイベント抑制効果を発揮 青沼 われわれ循環器内科専門医が日ごろ冠動脈硬化を中心として動脈硬化症例を診療するリアルワールドでは,おおよそ3~5割の症例がIGTもしくは高血糖を呈しているという背景が見えてまいりました。 小田原 大規模介入試験UKPDSのフォローアップ解析であるUKPDS 80では,2型糖尿病の早期における血糖管理が,その後長期にわたり心筋梗塞ならびに死亡リスクを低下させたことが実証され話題となっています。 新規2型糖尿病患者を対象として開始されたUKPDS本試験では,スルホニル尿素(SU)薬またはインスリンにより薬物介入を行う強化療法群と,食事療法を行う従来療法群が比較されました。 本試験終了時では,従来療法群に比べ強化療法群ではHbA1Cが0.9%低下しており,細小血管症や糖尿病関連のエンドポイントも有意に低下していました。 しかし,心筋梗塞については強化療法群で16%抑制されていたものの有意差は付かなかったため,血糖管理では動脈硬化性疾患,いわゆる大血管症は抑制できないという評価が一部でなされました。 ところが,本試験終了後に両群に同様の治療を受けさせ約10年間フォローアップしてみると,本試験当時のHbA1Cの差は消失したにもかかわらず,本試験時の強化療法群は同従来療法群に比べ,細小血管症や糖尿病関連のエンドポイントに加え,心筋梗塞リスクや死亡リスクについても有意に低下していました(表1)。 早期の血糖管理がもたらしたこの効果は著者らにより“Legacy Effect”(遺産効果)と名付けられ,早期からの厳格な血糖管理の重要性を示す代名詞となっています。 心血管イベントの抑制はHbA1C低下度に相関する 徳永 早期にHbA1Cを低下させればイベントリスクも長く低下するという結果でしたが,2型糖尿病治療では早期に着実に血糖を低下させることが非常に重要だと理解してよろしいでしょうか。 小田原 早期から血糖を低下させれば,その効果が長期間持続するということにほかなりません。 しかし,それは血糖コントロールを「途中でやめていい」という意味ではありません。 その後も厳格にコントロールし続ければ,リスク低下はさらに大きくなると考えられます。 青沼 血圧管理に関しては,高血圧治療ガイドライン2009において,降圧薬の心血管病抑止効果の大部分は,薬剤の種類よりもより厳格な降圧治療のほうが重要であることがうたわれています。 血糖管理についてはいかがでしょうか。 (私的コメント;鋭い質問です) 小田原 血糖管理についても,心血管イベントの抑制効果は薬物の種類ではなく,HbA1Cの低下度で規定されます。 経口血糖降下薬では,スタチンのような多面的作用に対するエビデンスは示されておらず,イベントリスクの低下は,どれほどHbA1Cを低下させたかによるのです。 (私的コメント;非常に興味深い発言です) 野口 ACCORDでは,HbA1C6%未満を目標とした強化療法群で対照群よりも死亡が増加しました。 この目標値は低すぎたのでしょうか。 小田原 ACCORDのサブ解析では,強化療法群ではHbA1Cが低下するほど死亡率も低下したことが示されています。 つまり,血糖の低下自体が死亡率の上昇につながったわけではないと言えるでしょう。 しかし,血糖コントロールの目標値は,症例ごとに病歴や低血糖発現の有無などを見て個々に決めていく必要があります。 ACCORDの対象者のように病歴が長い患者には,頻繁に治療を強化して急激に血糖値を低下させると重篤な低血糖につながる場合がありますので注意が必要です。 病歴が長い糖尿病患者では,インスリンの分泌低下に伴って,血糖値を上昇させるグルカゴンの反応も障害されるため,より低血糖を起こすリスクが高まります。 一般に,二次予防患者や糖尿病罹病期間の長い方,高齢者などでは, HbA1C 6.5%を目標に緩徐な低下を心がけるべきでしょう。 インスリン分泌不全を基盤としたやせ型の日本人2型糖尿病治療にはSU薬が奏効 青沼 次に,薬剤選択について検討したいと思います。 まず,2008年末に示された米国糖尿病学会(ADA)と欧州糖尿病学会(EASD)のコンセンサス治療アルゴリズムの改訂についてご解説ください。 小田原 従来のアルゴリズムでは,生活習慣改善とメトホルミンで治療を開始し,血糖コントロールが不良の場合の併用薬として,SU薬,基礎インスリン,チアゾリジン薬が同格に扱われていました。 しかし,近年,経口血糖降下薬の有効性と安全性に関連する報告が相次いだことを受け,改訂版では併用薬が2段階に格付けされ,SU薬と基礎インスリンが第1段階の「十分に検証された中心的治療法」に位置付けられました(図2)。 欧米では,2型糖尿病患者の大多数が肥満傾向を伴っているので,このアルゴリズムではBMI 25以上の糖尿病に良いエビデンスのあるメトホルミンが経口薬の第一選択となっています。 一方,日本人の2型糖尿病はインスリン分泌不全を基礎的病態とするやせ型が主流を占めます。 こうした患者には,インスリン分泌促進作用を発揮するSU薬が奏効することから,わが国で処方されている経口血糖降下薬の約7割はSU薬であることが知られています。 日本の糖尿病専門医は,肥満/非肥満により2型糖尿病の基盤となっている病態を選別し,BMI 25未満の非肥満の患者にはインスリン分泌を促すSU薬,肥満の患者にはメトホルミンを第一選択としています。 両薬は既に長く使われていて安全性も確立しており, 国際糖尿病連合(IDF)のガイドラインにおいても推奨されています。 循環器専門医が求める安全・的確なSU薬治療 榎本 日本人の大多数の2型糖尿病にはSU薬がよく効くというお話でしたが,循環器専門医は低血糖を懸念してSU薬をなるべく避ける傾向があると思います。 小田原 確かに旧世代のSU薬は低血糖が少なからず懸念されました。 しかし,第3世代SU薬のグリメピリド(アマリール®)は,旧世代SU薬に比べインスリン分泌刺激はマイルドであるため低血糖の頻度自体が少ないことがわかっています。 また,少量から投与することで,入院や昏睡につながる重篤な低血糖は抑制されることが知られています。 一方,グリメピリドは膵外作用によりインスリン抵抗性改善作用も発揮するという利点もあり,やせ型だけでなくBMIの高い症例にも血糖低下効果が期待できます。 榎本 SU薬による高インスリン血症は,動脈硬化を促進させるのではないでしょうか。 小田原 糖尿病においては,高インスリン血症を呈する段階よりも,インスリン分泌が低下した後の動脈硬化の進展が大きいことが知られています。 高インスリン血症そのものよりも,その原因である肥満やインスリン抵抗性自体が動脈硬化を促進する可能性が高いと思われています。 また,インスリン分泌不全の非肥満糖尿病患者にインスリン分泌刺激作用のマイルドなグリメピリドを投与しても,著しい高インスリン血症になることは多くなく,過度に高インスリン血症を恐れて,血糖コントロールが甘くなることは望ましくありません。 青沼 SU薬の刺激が膵を疲弊させ,二次無効を来すことはないですか。 小田原 UKPDSでは,二次無効はSU薬だけでなく,食事療法やメトホルミン治療においても同様に起こることが示されています。 ですから,かつてSU薬の二次無効と言われた膵の疲弊は,糖尿病の自然経過と考えられています。重要なのは血糖を低下させることであり,むしろ,SU薬を使うべき症例でSU薬の使用を避けて高血糖を放置すると,高血糖がβ細胞の疲弊を招くということにもなりかねません。 佐藤 糖尿病の先生方は,SU薬とメトホルミンを,どのように増量,併用されていますか。 小田原 私は,やせ型の方にはグリメピリドを少量から使い始め,少しずつ増量します。 そうして血糖値がある程度低下すると糖毒性が解除され,グリメピリドの効果が増強されてきますので,血糖が十分コントロールされれば,次には減量を試みるようにしています。 うまく減量することで食欲が抑えられ,体重もより良好にコントロールできます。 グリメピリドは少量~6mg/日の範囲で用量依存的に効果が高まりますが,降圧薬と同様に,併用のほうが副作用は出にくいと思います(五十嵐幹二ほか.Prog Med 2006; 26: 2257-2262) 。 グリメピリド3mg/日でコントロール不良の場合,メトホルミンの併用を考慮してもいいでしょう。 前田 どのくらいの期間で増量や併用を判断すべきでしょうか。 小田原 SU薬とメトホルミンは,早期に効果が現れるので,投与1か月後にHbA1Cが低下していなければ,増量または併用を検討すべきです。 前田 心筋梗塞後の患者さんなど糖尿病歴が長い方では,短期間でSU薬とメトホルミンが最大用量に達し,コントロール不良になることがあります。 角田 現在私も心筋梗塞後の患者さんにSU薬とメトホルミンを最大用量まで使い,HbA1C 7.1~7.2%で維持しています。このような場合,インスリンを導入すべきでしょうか。 小田原 両薬の併用でコントロール不良であれば,インスリンの導入を考慮したほうがよいケースが多いと思います。 青沼 循環器科で2型糖尿病の合併例を診察する機会が非常に増えていますが,こうした患者の生命予後を左右する動脈硬化性疾患の抑制には早期からの厳格な血糖管理が重要であり,経口血糖降下薬による動脈硬化性疾患リスクの低下はその薬剤の多面的作用ではなく血糖低下効果に依存することがよく理解できました。 糖尿病に対するこのような考えは,高血圧に対する厳格な降圧治療の考えと同様であると思われます。 また,循環器専門医は低血糖に対する懸念からSU薬の使用を避ける傾向が見受けられますが,糖尿病専門医の先生方が実践されている薬物選択は2型糖尿病の病態を踏まえたものであり,日本人患者の主流を占める非肥満型ではSU薬,肥満型ではメトホルミンを第一選択とした薬物治療がスタンダードであるというお話を伺いました。 出典 Medical Tribune 2010.6.10 版権 メディカルトリビューン社 <私的コメント> スポンサーとなった製薬メーカー名と血糖降下薬の名前がわかってしまうところがいささか鼻につくところです、 しかし、各々の質問が循環器専門医にとって共通の疑問に思っている内容であり、非常に興味深く読むことが出来ました。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科関係の専門的な内容)
by wellfrog4
| 2010-09-02 00:51
| 糖尿病
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