カテゴリ
全体 その他 感染症 骨粗鬆症 呼吸器科 神経内科 リハビリテーション科 脳外科 糖尿病 腎臓病 産婦人科 消化器 COVID-19 循環器 認知症 アレルギー科 精神科 血液内科 皮膚科 泌尿器科 内分泌 乳腺外科 がん 小児科 耳鼻咽喉科 生活習慣病 耳鼻咽喉科 一般外科 老年病科 再生医療 ゲノム医療 未分類 以前の記事
2023年 04月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 06月 2020年 01月 2019年 11月 2019年 06月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 03月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 05月 2017年 04月 2016年 12月 2016年 10月 2016年 08月 2016年 05月 2016年 01月 2015年 11月 2015年 08月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 02月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2012年 12月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 お気に入りブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
#一般住民でLDL-C低値と脳内出血死亡が関連 血清LDLコレステロール(LDL-C)低値は脳内出血死亡に関連することを示す,茨城県住民約9万人の前向き観察研究の結果が報告された(Circulation 2009; 119: 2136-2145)。 このなかで,LDL-C値80mg/dL未満の脳内出血死亡リスクは,100mg/dL以上の約2倍に上昇することが認められた。 LDL-C低値の影響を詳細に検討した今回の研究から,一般住民においてはLDL-C適正下限値を検討する必要があるかもしれないという新たな問題が提起された。 #100mg/dL未満で有意なリスク上昇 2007年度の人口動態統計によると,国内の脳内出血の粗死亡率は10万人当たり26.3人で,ピーク時の1960年(123.3人)の約5分の1になっている。 その背景として,日本人の総コレステロール(TC)値が1990年ごろに米国人並みに増加したことが影響したと推測されている。 国内外の疫学研究で,TC低値,あるいはバターや動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸の摂取量が少ないと,脳内出血のリスクを高めることが明らかにされている。 また,低飽和脂肪酸食摂取から,TC低値,細動脈硬化を経て,脳内出血に至るメカニズムはマウスを用いた実験でも同様に示されている。 脂質輸送型のなかでも,LDL-C低値が脳内出血の原因として最も疑わしいと見られていたが,一般住民においてLDL-C低値の影響を検討した研究は少なかった。 そこで,大阪大学公衆衛生学の野田博之氏らは,茨城県住民健診受診者生命予後追跡調査事業の一環として1993年にこの研究を開始した。 脳卒中や虚血性心疾患の既往のない40〜79歳の9万1,219人(男性3万802人,女性6万417人)を対象にベースライン時の調査を実施。 LDL-C値(Friedewaldの式を用いて算出)が80mg/dL未満は8,788人(9.6%),80〜99mg/dLは1万6,776人(18.4%)で,両者を合わせた100mg/dL未満の人は全体の約3割を占めていた。 これらのLDL-C低値の集団の特徴としては,喫煙や過剰飲酒(日本酒換算3合以上/日)が多い傾向が見られた。 2004年末までの約12年間にわたる追跡期間中,264人の脳内出血死亡が確認された。 Cox比例ハザードモデルによる多変量回帰分析の結果,多変量調整後の脳内出血死亡リスクは,LDL-C値80mg/dL未満に比べて,80〜99mg/dLで0.65倍,100〜119mg/dLで0.48倍,120〜139mg/dLで0.50倍,140mg/dL以上で0.45倍だった(図1)。 同リスクは,LDL-C値が100mg/dL未満から有意に上昇し,80mg/dL未満では約2倍になることが判明した。 さらに,LDL-C値が100mg/dL未満では,同値と脳内出血死亡リスクとの間に負の相関が見られ,60mg/dL未満のリスクは,100mg/dL以上の3倍に上昇した。 脳内出血死亡との関連を示す弱い傾向は,TC値には見られたが,中性脂肪(TG)値,HDL-C値には見られなかった。 一方,TG高値の人を除いた分析や時間依存性変数を考慮した分析,競合リスクを考慮した感度分析,交絡因子の層別化解析の結果でも,LDL-C値と脳内出血死亡との関連は同様に認められており,LDL-C低値が脳内出血の独立した危険因子であることが示唆された。 #LDL-C値100〜140mg/dLでCVD死亡リスク上昇せず 脳卒中の病型分類別を含む心血管疾患(CVD)死亡との関連を見ると,くも膜下出血,脳梗塞は,LDL-C値の増減による有意なリスク上昇は認められなかったが,虚血性心疾患の死亡リスクは140mg/dL以上で有意に上昇した(80mg/dL未満に対する多変量調整ハザード比1.5,95%信頼区間1.07〜2.10,P=0.02)。 人口10万人当たりの脳内出血と虚血性心疾患の粗死亡率を検討すると,LDL-C値が100〜140mg/dLの範囲では両疾患とも上昇しないことが示された(図2)。 #COMMENT 大阪大学公衆衛生学 野田 博之 氏 脳内出血死亡リスクはLDL-C値100mg/dL未満で上昇したが,虚血性心疾患死亡リスクは140mg/dLまで上昇しなかったことから,LDL-C値100〜140mg/dLの範囲が,日本人一般住民における適正値である可能性が示された。 コレステロールと脳内出血との因果関係の検討には,無作為介入研究の実施が望ましいが,脳内出血死亡率や今回の結果を踏まえると,約2万人を対象に10年程度介入する必要があり,実際には困難が多い。 有害事象発生の恐れがある介入には倫理的問題も生じる。 このため,今後も観察研究などのデータを積み重ね,メタアナリシスを含めたさまざまな角度からの検証が必要だ。 一般住民におけるLDL-C適正値の下限を検討する時期に来ているのではないか。 出典 Medical Tribune 2009.6.25 版権 メディカルトリビューン社 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科関係の専門的な内容) 「井蛙」内科メモ帖 http://wellfrog.exblog.jp/
by wellfrog4
| 2010-07-21 00:07
| 循環器
|
ファン申請 |
||