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周知のように、わが国の糖尿病患者数が増加の一途をたどっています。 厚生労働省の平成19年国民健康・栄養調査によれば糖尿病が疑われる患者も合わせると糖尿病患者数は約2,210万人にもなります。 一方,糖尿病専門医は約3,700人に過ぎません。 CKDにおける腎臓病専門医と同様に,糖尿病専門医もかかりつけ医との緊密かつ円滑な地域連携のもとで診療を進めることが求められているのです。 こうした状況下,外来導入や患者指導が容易なインスリン療法としてBOT(Basal-supported Oral Therapy)に期待が寄せられています。 きょうは、以下の先生方による座談会で勉強しました。 製薬メーカーの提供記事のため、注意しながら読む必要もありそうです。 司会: 渥美 義仁 氏 東京都済生会中央病院 副院長 出席者(発言順): 金子 至寿佳 氏 高槻赤十字病院糖尿病・内分泌・生活習慣病科 部長 福井 道明 氏 京都府立医科大学大学院内分泌・代謝内科学 講師 細井 雅之 氏 大阪市立総合医療センター 糖尿病センター代謝・内分泌内科 部長 ##患者満足度の高い糖尿病治療を行うために求められること ■糖尿病治療における課題の1つとして,インスリン導入の遅れが指摘されていますが,これはインスリン治療に対する医師,患者さんの不安を反映していると言えます。 この不安を払拭し,いかにして患者満足度の高い糖尿病治療を提供することができるのか,というのが本日のテーマです。(渥美) ■今年,糖尿病患者のニーズと満足度を調査する目的でCANDO (Candid Needs and Satisfaction of Diabetic Patients with OHA or Insulin Therapy)というアンケートを行いました。 対象は,経口血糖降下薬もしくはインスリンを用いている全国の糖尿病患者1,070例です。 アンケート対象者のうち,インスリン治療を行っている群に,インスリン導入時の血糖コントロールを質問したところ,HbA1Cが平均10.0%とかなり高く,インスリン導入の遅れが確認されました。 また,経口血糖降下薬のみで治療を行っている群にインスリン治療に対する不安を尋ねたところ,「注射(針)が怖い,痛い」19.3%,「毎日,一生打ち続けること」16.7%,「低血糖」9.0%などが多く挙げられました。 しかし,いずれもさほど高率とは言えず,むしろ患者さんのインスリン治療に対する認知度は向上したと見ることもできます。 ただし,不安を抱いたときに医師に相談した経験を持つ患者さんは37.8%に過ぎず,相談しなかった理由としては「相談しても解決しない」が50.8%と半数以上にのぼっています。インスリン治療について欲しい情報は,「治療費」49.3%,「生活スタイル」44.7%に次いで,「成功事例」が37.7%を示していました(図1)。 インスリン治療に対する患者満足度を層別解析した結果を見ますと,指示通りに注射できている患者さん,注射開始時によく説明を受けた患者さんは満足度が高いことがわかっています。 したがって,患者満足度の高い糖尿病治療を行うためには,医師がインスリン導入の際,患者に十分に服薬指導をするだけでなく,治療費や成功事例なども含めて丁寧に説明し,不安を解消する必要があると考えられます。(渥美) #効果的なインスリン治療のために早期からの導入を ■患者さんの不安によりインスリン導入が遅れている可能性が示唆されるわけですが,より優れた治療効果を求めるのであれば,早期からのインスリン導入が勧められます。 小林正氏らによる調査では,インスリン新規導入時のHbA1Cが低いほど導入後のHbA1C6.5%未満の達成率が高いことが明らかになっています〔糖尿病データマネジメント研究会: 糖尿病診療マスター 2007; 5(4): 401-406〕。 また,同調査では,インスリン治療中であっても,血糖コントロールに課題があることが示されました。 それでは,インスリン治療で目標が達成できないのはなぜでしょうか。 その理由として (1)インスリン分泌能の低下 (2)食事・運動療法の遵守が困難(日常生活の変化に対してインスリン投与のタイミングを合わせることが難しい) (3)インスリン治療開始の遅れ (4)インスリン製剤の作用パターンと生理的インスリン分泌の違い (5)低血糖リスク (6)治療コスト ―などが挙げられます(表)。 これまで,達成しがたい治療目標を達成するために,わが国の専門医は強化インスリン療法を積極的に行ってきました。 しかし,すべての患者が早期療法を受け入れられるわけではありませんでした。 そのようななか,わが国でも,経口血糖降下薬に併用して,1日1回基礎インスリンを投与するBOT(Basal-supported Oral Therapy)が広く普及してきました。 そして,従来のインスリン療法が抱えていた課題を解決する方法の1つとして期待が寄せられています。(厚美) #患者満足度の向上に貢献するBOT ■以前は,SU薬で効果が不十分な患者さんに対してインスリンを1日複数回投与する治療を行っていましたが,患者さんは注射回数が多い点に抵抗を持たれているようでした。 BOTを試みるようになってからは,患者さんの抵抗感が軽減され,より早期からの,外来でのインスリン導入が可能になりました。 また,患者さんのアドヒアランスが良好となり,患者さんご自身が食後の運動療法の効果を意識するなど,治療のモチベーション向上にも好影響が見られます。(金子) ■より早期から,持効型インスリングラルギン(グラルギン)を基礎インスリンに用いてBOTを行うと,β細胞とα細胞のクロストークがうまく機能できるからか,多くの患者さんで低血糖を来すことなくHbA1C,血糖プロファイルが改善します。 グラルギンは明らかな作用のピークを持たず約24時間作用が持続するため,このような効果があるのだと思います。 血糖プロファイルの改善により,インスリン分泌が正常に近づき,インスリン投与量を減量しうる症例も多数経験しています。(金子) ■日の血糖変動という観点から申しますと,混合型インスリン製剤や,中間型インスリン製剤などの懸濁製剤を用いる際には,効果のばらつきがないように,指示通りに混和する必要があります。しかし,患者さんによっては,適正使用を遵守できていない場合もあります。 無色澄明なグラルギンを用いるのであれば混和の必要がなく,こうした懸念も不要だと思います。 (細井) ■従来は,朝の空腹時血糖値が不安定なために,用量調整をちゅうちょすることがありました。 グラルギンを用いたBOTでは朝の空腹時血糖値が安定し,低血糖の心配が少ないため,100mg/dLを目標に積極的な用量調整をすることが可能になりました。(福井) ■海外の検討では, SU薬を朝食後に服用し,就寝前にグラルギンを投与している症例に連続血糖測定(CGMS)を用いて1日の血糖プロファイルを測定したところ,中間型インスリンに比べて夜間低血糖が少なかったと報告されています(図2)。 当院では朝にグラルギンを投与するようにしていますが,当臨床試験と同様に,BOTは低血糖を起こしにくいという印象を持っています。(金子) ■これまでのインスリン治療では,午前中に出かけたり,夕食後に入浴した際に低血糖を起こすといったケースがありました。 一方,グラルギンを投与している患者さんでは,日中の血糖値が安定し,低血糖を来す回数も減り,良好な血糖コントロールを得られています。(福井) ■そのほかにも,グラルギンの安全性に関しては多くの報告がされています。 例えば,超速効型インスリン3回/日+経口血糖降下薬による治療群とグラルギン1回/日+経口血糖降下薬による治療群を比較検討したAPOLLO 試験では,両群におけるHbA1Cの改善度には差が認められませんでしたが,全体の低血糖発現率(回/患者/年)は,グラルギン群5.21回に対して超速効型インスリン群24.0回でした(p<0.0001,ANOVA)。 (Bretzel RG, et al. Lancet 2008; 371: 1073-1084)。 また,LAPTOP 試験では,グラルギン+経口血糖降下薬群と混合型インスリン2回/日投与群の効果を比較しています。 HbA1Cの改善についてはほぼ同等でしたが,全体の低血糖発現率(回/患者/年)においては,グラルギン群4.07回,混合型インスリン群9.78回でした(p<0.0001,Cochran-Mantel-Haenszel test)。 〔Janka HU, et al. Diabetes Care 2005; 28(2): 254-259〕。(細井) ■低血糖については,特に日常から注意して診ていかなければいけないと考えています。 BOTは低血糖を起こしにくい治療法ではありますが,無症候性の低血糖もありますし,絶対に起こらないわけではありません。 食事・運動療法の指導に努めるとともに,今後はCGMSにより24時間の血糖値の推移を把握し,低血糖を起こしにくいインスリン治療を実践していくことが求められます。(厚美) #従来のインスリン療法でコントロールが不十分な場合にはグラルギンで治療の見直しを ■BOTの開始のタイミングについては早期からの導入が重要だと考えています。 若い患者さんでHbA1Cが8%を越えている場合にはインスリン治療を開始します。 それにより,良好なコントロールを得られているという感触があります。(金子) ■SU薬で最高投与量の半量を投与してもHbA1Cが7.5%以下にならないような場合には,SU薬の増量を行わずに,BOTを開始しています。 また,初診で空腹時血糖値が200mg/dLを超えて高値を示しているような場合には,経口血糖降下薬の投与を待たず,インスリンの投与を開始します。 ただし,70歳前後の高齢者では,ライフスタイルの改善に取り組みつつ経口血糖降下薬の投与から開始します。 また,混合型インスリンを2回/日投与していて,生活環境の面から,どうしても注射回数を減らしたいというような患者さんに対して,BOTへの切り替えを試みることもあります。(金子) ■海外では,混合型インスリンからグラルギンへ切り替えた際の有効性が検討されています。 混合型インスリン2回/日投与±経口血糖降下薬で治療されている2型糖尿病患者6,308例を,グラルギン1回/日投与±経口血糖降下薬に切り替えたところHbA1C,空腹時血糖値が有意に改善したと報告されています(図3)。 さらに特筆すべきことに,グラルギンへの変更により有意な体重減少(p≤0.001,Wilcoxonの符号付検定)が認められたということです。 当科でも,同様の切り替えを行ったところ,低血糖を来すことなく良好な血糖コントロールを得ることができました。 混合型インスリン製剤で効果が不十分であった症例に対しては,グラルギンを用いたBOTへの切り替えを治療の選択肢として考えていったらよいのではないかと考えています。 ただし,混合型インスリン製剤からBOTへの切り替えは,ある程度インスリン分泌能が保たれ,インスリン使用量が少ない症例で奏効しやすいといえます。(福井) #空腹時血糖値100mg/dLを目指した治療を ■空腹時血糖値を100mg/dLまで低下させることを1つの指標にしています。 1998年のDiabetes Careには,空腹時血糖値を110~120mg/dLに維持すると食後血糖値が改善するというデータが示されています(図4)。 実際,当科でもグラルギン1回/日投与により,空腹時血糖値が100mg/dL前後に落ち着くのに伴い,食後血糖値が改善する症例を多数経験しています。 このような効果が認められるのは,インスリン分泌能が残存する時期に限られるのだろうと考えています。(金子) 出典 Medical Tribune 2009.12.24,31 版権 メディカルトリビューン社
by wellfrog4
| 2010-05-07 00:08
| 糖尿病
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