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NAVIGATOR試験では,境界型糖尿病であるIGTを対象に,グリニド薬のナテグリニドを用いた血糖管理試験および,ARBのバルサルタンによる血圧管理試験が実施されました。 結果は,糖尿病発症予防効果は血圧管理試験のみで認められ,心血管イベント抑制効果は両試験とも認められませんでした。 特に,経口血糖降下薬による糖尿病発症予防効果は,何種類かの薬剤で既に証明されているだけに,意外な結果とも言えます。 それを理解するには欧米と日本人のIGT像の違いを踏まえた理解が必要のようです。 きょうは東京医科大学(内科学第三講座)の小田原雅人氏主任教授の解説記事で勉強しました。 ##血糖管理試験 #日本より少ない投与量,OGTT当日の服用なし…試験デザイン上の問題も #(1)NAVIGATOR血糖管理試験では,ナテグリニド群は対照群に対し,心血管イベントだけでなく糖尿病の発症でも抑制効果を示すことができなかった NAVIGATOR血糖管理試験で使用されたナテグリニドの投与量(1回量)は60mgと,日本で一般に使われている90~120mgと比べても少ない用量設定だった。 もともと薬理作用があまり強くない薬なのに,平均BMI 30の集団に対してこの投与量…最初の試験デザインを見たときからの疑問だった。 BMI 30の人に60mgでは効果が限定的だったのかもしれない。 日本より少ない投与量が設定された理由としては,低血糖を危惧したことが考えられる。 日本人とは異なり,欧米のIGTは高インスリン血症を呈することが多いので,高用量を投与することがためらわれたのかもしれない。 #(2)経口糖負荷試験(OGTT)2時間値はナテグリニド群でむしろ悪化していた OGTT当日は試験薬を服用しないとされたことが,ナテグリニドの本来の効果を隠してしまった可能性がある。 ふだん服用していてインスリン分泌を促していたのに,OGTTを行った日はインスリン分泌を促す刺激がなかったため,OGTT当日だけインスリン分泌がむしろ抑制されてしまったのかもしれない。 #日本人では良好な結果が得られる可能性も #(3)日本人でもグリニド薬による糖尿病発症予防効果は期待できないのか 欧米のIGTは肥満でインスリン感受性が低下しており,代償性にインスリン分泌は亢進していることが多く,前述のように高インスリン血症を呈するのが一般的だ。 食直後のインスリン分泌の立ち上がりも日本人ほど障害されていない。 そのような患者に,インスリン分泌を少しだけ増強して効果があるかというと疑問だ。 一方,日本人では欧米のような肥満型のIGTは比較的少なく,インスリン抵抗性よりもインスリン分泌の低下が特徴的なタイプが多数。 特に,食直後のインスリン分泌の立ち上がりが障害されている場合が多いので,速効性にインスリン分泌を促進する作用があるグリニド薬で食直後のインスリン分泌の立ち上がりをよくすることはメリットがあるのではないか。 NAVIGATOR血糖管理試験で期待した結果が得られなかったもう1つの理由としては,ナテグリニド群では対照群に比べ体重が有意に増加していたことが考えられる。 体重を増やす介入は糖尿病の発症予防には不利だと言える。 その点,日本人のインスリン分泌能を考えると,低血糖や体重増加の懸念は少なく,十分量の投与が可能。 欧米と日本人のIGT像の違いを考えると,日本人ではグリニド薬による介入が有効な可能性は十分にあると思う。 #(4)欧米での経口血糖介入薬による糖尿病発症予防の試みは,ビグアナイド薬,αグルコシダーゼ阻害薬(αGI),チアゾリジン薬で既に実施され,有効性が証明されていた。 今回のグリニド薬による介入との違いはどこにあるのか 前述のように欧米のIGTはインスリン抵抗性のほうが特徴的なので,チアゾリジン薬やビグアナイド薬が有効なのはうなずける。 インスリン抵抗性改善薬であれば,低血糖を懸念せずに高用量を使用することが可能だ。 また,ビグアナイド薬(メトホルミン)を用いたDPP試験では,体重が減少していたことも良好な結果に結び付いたと思う。 体重減少はαGI(アカルボース)を用いたSTOP-NIDDM試験でも認められていた。 同試験では血圧も抑制されていた。さらにHbA1Cも低下していたので,αGIの血糖改善効果は,食後高血糖にとどまらなかったことが示唆される。 同試験では心血管疾患の抑制効果も認められたが,複数の危険因子がきちんと管理されていたことが大きく貢献したと思う。 ##血圧管理試験 #ガイドラインの正当性を証明,IGTや糖尿病患者の血圧管理はRA系阻害薬 #(5)NAVIGATOR血圧管理試験では,糖尿病発症累積頻度がバルサルタン群33.1%,対照群35.8%で,ARBバルサルタンによる有意な(ハザード比0.86,P<0.001)糖尿病発症抑制効果が認められた これまでに,レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬による糖尿病発症予防効果を検証した試験としては,最強のACE阻害薬とも言われるramiprilを用いたDREAM試験があった。 同試験では予防効果が示されなかったが,これは対象患者に,IGTのなかでも正常に近い患者が多かったからだと私は考えている。 血糖正常化では有意な効果が示されている。 同じバルサルタンを介入薬としたVALUE試験などのサブ解析で糖尿病発症予防効果が示されていたので,NAVIGATOR血圧試験でもよい結果が出ることはある程度予想はしていた。 ただDREAM試験の結果があったので,今回でRA系阻害薬が糖尿病発症予防に有効なことがはっきりした。 また,糖尿病患者の血圧管理における第一選択薬をRA系阻害薬としたガイドラインの正当性も証明されたことになる。 NAVIGATOR試験では,5年間に30数パーセントが糖尿病に移行しており,IGTが糖尿病の高リスク群であることがあらためて示された。 予防のためにどのような介入を行うべきか,今後ますます重要な問題になっていくと思う。 出典 MT pro 2010.4.6 版権 メディカルトリビューン社 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科関係の専門的な内容)
by wellfrog4
| 2010-04-07 00:16
| 糖尿病
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