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慢性腎臓病(CKD)に対する低蛋白食療法は,90年以上の長い歴史があります。 この低蛋白食療法を高く評価する専門家も多いのですが臨床現場の腎臓専門医は栄養指導の栄養士ほどには情熱のこもった食事指導をしていないのが現状のようです。 1990年代に発表されたMDRD(Modification of Diet in Renal Disease)研究をはじめとするランダム化比較試験(RCT)では効果が認められませんでした。 しかし、その後のメタアナリシスなどで有効性を示唆するデータが報告されています。 低蛋白食の効果や望ましい方法を現時点でどう捉えるべきなのか。 腎臓専門医も出来るだけこういった議論を避けて来た気配があります。 そんな中で、第13回日本病態栄養学会(会長=川崎医科大学病院栄養部・河原和枝部長、京都市)のワークショップ「CKDにおける低たんぱく食の再評価」(座長=岡山大学腎・免疫・内分泌代謝内科学・槇野博史教授,東京家政学院短期大学生活科学科・金澤良枝教授)で,腎臓専門医や栄養士が見解を示したという記事がありました。 個人的に以前から興味のあった分野です。 今後、患者指導はどうすればいいのか。 ワクワクしながら勉強しました。 #CKDに対する低蛋白食:有効性,方法巡り専門家が見解 ##~2型糖尿病性腎症~ 推奨に足るエビデンス得られず #0.8g/kg/日で平均約3年 金沢医科大学の古家教授らは,2型糖尿病性腎症に対する低蛋白食の有用性を全国7施設共同で前向きに検討した。 登録基準に合致した112例を無作為に0.8g/kg/日の低蛋白食群(A群)または試験前と同じ1.2g/kg/日の通常蛋白食を続ける群(B群)に分けた。 主要評価項目としたクレアチニンクリアランス(Ccr)と1/クレアチニン(Cr)の変化,血清Crが前値の2倍以上になるまでの日数,副評価項目とした尿蛋白排泄量,尿アルブミン値を5年間観察した(平均観察期間A群38か月,B群31か月)。両群の背景に有意差はなかった。 蛋白摂取量は,尿中尿素窒素,食事調査のいずれによる場合もA群で低下したが,B群では不変だった。 Ccr,1/Crはいずれも両群ともに低下しており,有意差は認められなかった。 推算糸球体濾過量(eGFR)の年間低下率も6mL/分/1.73m2前後で差がなかった。Cr倍化日数は1,000日前後の割合がA群で高かったが,全体では有意差がなかった。Cr倍化症例の割合や末期腎不全進展例の割合にも有意差はなかった(図)。 尿蛋白排泄量,尿アルブミン値,QOL調査結果にも有意差は見られなかった。 さらに,到達した蛋白摂取量とeGFR,Ccrとの間に相関は認められなかった。また,Cr倍化にかかわる因子についてCox回帰分析を行うと,収縮期血圧は有意な関連因子であったが,蛋白摂取量は関連因子にならなかった。 以上から,同教授は「2型糖尿病性腎症に低蛋白食を推奨するに足るエビデンスはまだない」と結論した。 なお,同教授が以前在籍していた滋賀医科大学の顕性腎症を対象とした前向きコホート研究でもポジティブな結果は得られていないとした。 ##~ステージ4・5への長期的影響~ 動脈硬化促進や骨塩量低下の可能性 #0.6g/kg/日未満達成の長期例で 浜松医科大学病院血液浄化療法部の加藤准教授らは,ステージ4・5のCKDで低蛋白食が有効であった症例を少なからず経験してきた。 特に蛋白量0.3~0.5g/kg/日を長く維持できた症例で高い効果が認められている。 しかし,低蛋白食の問題点も指摘されているとした。 まず,目標とする蛋白量への達成率が低い(25~30%)。 また,適切な蛋白量についてコンセンサスが得られていない。 MDRD研究の継続研究では,過去に超低蛋白食(実質0.66g/kg/日)を行った群の死亡リスクが,低蛋白食(実質0.73g/kg/日)を行った群に比べて有意に高い成績が報告されている。 さらに,低蛋白食実施時に必要となる糖質中心のエネルギー補給による血圧上昇,大動脈中膜石灰化(動物実験),カルシウム(Ca)不足に伴う骨量減少などの問題もある。 同准教授らは,蛋白摂取量0.6g/kg/日未満を達成できたCKDステージ4・5症例で頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT),骨塩量を測定した。 すると,低蛋白食実施期間が2年程度の3例では異常が軽度だったのに対して,約10年以上の3例では最大IMTが多くの頸動脈部位で正常値を上回り,腰椎骨塩量は3例とも同年齢の標準値を下回った(表)。 同准教授は「長期に低蛋白食を行う場合は動脈硬化や骨塩量についても定期的にチェックしていく必要がある」と述べた。 ##~透析患者への食事療法継続~ 週1回透析で経過良好,医療費は半減 #尿素窒素,Crなど良好に推移 慢性腎不全に対する食事療法は,低蛋白,低塩および必要十分なエネルギー(炭水化物,脂質)摂取が基本となる。 東京医科大学腎臓内科の中尾教授によると,その意義は,ステージ4・5の腎不全で,糸球体濾過量(GFR)が低い患者ほど大きく,透析導入後も透析回数を減らせる可能性があるため,患者の時間的,社会的なQOLが向上し,さらに医療費節減も期待できる。 同教授らはこれまで,ステージ5のCKDでGFR 6mL/分以下を呈し,透析導入に至った患者に対して,導入前から行っていた低蛋白(0.60~0.69g/kg/日),低塩(6g/日未満),高炭水化物(29~34kcal/kg/日)による食事療法を導入後も継続しながら,透析回数を週1回とする方法を,希望する患者に試みてきた。 今回,2年後まで観察した結果をまとめた。 実施した症例は107例(男性76例,女性31例,平均年齢59.5歳)。開始時のCcrは平均4.2mL/分,血清中の尿素窒素は104.2mg/dL,Crは11.5 mg/dL。食事療法下での週1回透析を行ったところ,治療に要した時間(通院時間含む)は平均週5.9時間で,通常透析の3分の1に有意に減少した。 尿素窒素は80~85mg/dL,Crは12mg/dL前後,β2-ミクログロブリンは23~24mg/Lと,いずれも透析患者としては良好なレベルを維持できた。 アルブミン,トランスフェリン,BMIなどを指標とした栄養状態も悪化しなかった。 さらに,医療費は通常透析の月平均49万6,200円のほぼ半分の24万5,100円へと有意に減少した(図)。 ##~有効な蛋白制限量~ 0.3~0.8g/kg/日での検討が必要 #10年後のCr上昇もわずか 昭和大学豊洲病院栄養科の島居美幸氏は,同大学で得られた3つの成績を報告した。 まず,血清Cr6mg/dL以上の慢性腎不全121例を蛋白摂取量(0.3~0.75g/kg/日以上)により6群に分け,6か月後のデータを比較した成績によると,Cr6mg/dLからの腎機能障害進展速度は,0.5g/kg/日以下の3群が0.6g/kg/日以上の3群に比べて著しく遅く,0.6g/kg/日以上の3群間では有意差がなかった(図)。 Cr,尿素窒素,アシドーシス指標(HCO3),カリウム,P,Caはいずれも0.5g/kg/日以下の3群,特により低値の群で良好だった。 長期に観察した未透析率も,0.5g/kg/日以下,特に最も低い0.3g/kg/日群で有意に高かった。 次に,Cr 1.9~10.3mg/dLの時点から0.5g/kg/日以下の低蛋白食を10年以上続けた慢性腎不全18例の成績では,蛋白摂取量は開始時平均0.42g/kg/日,10年後0.39g/kg/日。Crは10年後に有意に上昇したが,上昇幅は2mg/dL程度にとどまった。 他の各指標に有意の変化は見られなかった。 さらに,Cr3mg/dL以上の糖尿病性腎症38例の成績では,蛋白摂取量0.5,0.6,0.7,0.8g/kg/日以上の4群で比較した結果,腎機能障害進展は0.5g/kg/日群ではほどんど見られず,明らかに進展速度が大きかった他の3群との間に有意差が認められた。 未透析率も同様の成績が得られたが,糸球体腎炎患者に比べると有意に低かった。 以上から,同氏は「有効な蛋白制限量を明らかにするには,(一般に多い)0.6~0.8g/kg/日以上の比較のみで評価せず,0.3~0.8g/kg/日に広げて検討することが必要だ」と結論した。 ~透析患者の高リン血症~ ##摂取食品,リン吸着剤服用などもチェック #栄養障害なく6.0mg/dL以下に 蛋白とPの摂取量は強く相関するため,高P血症を改善する手立ては蛋白制限が基本となる。 横浜第一病院栄養部の佐藤恵美子氏は,蛋白制限の指導に際し,摂取エネルギー量減少による栄養障害の危険性を十分認識すべきことを強調。 アルブミン値やドライウエートを低下させることなく,血清P値を6.0mg/dL以下まで低下させる必要があると述べた。 血清P値の改善に際しては,まず患者の蛋白異化率から食事による蛋白摂取量を求め,1日蛋白摂取量(g)×15で1日P摂取量(mg)を計算する。 得られたP摂取量に比べ,血清P値が高すぎる場合は次の4点を確認する。 (1)Pを極端に多く含む食品(小魚,小エビ,チーズなど)摂取 (2)蛋白摂取量 (3)P吸着剤の服薬不良 (4)二次性副甲状腺機能亢進症による骨から血中へのCa,P遊離。血清P値の早急な改善が必要な場合は,主治医と相談し,蛋白量を必要最低限に抑えるが,それに伴うエネルギー減少の回避方法も含め,Pの自己管理能力が付くまで栄養指導を続けるのがベストだとした。 ##適切な蛋白量はいまだ議論の余地 「日本人の食事摂取基準2010年版」によると,成人の蛋白摂取推奨量は0.9g/kg/日,CKDに対する推奨量は,「慢性腎臓病に対する食事療法基準2007年版」でステージ別に示されている。ステージ3の尿蛋白量0.5g/日以上とステージ4・5は0.6~0.8g/kg/日が推奨されているが,ステージ5に関しては「0.5g/kg/日以下の超低蛋白食が透析導入遅延に有効との報告もある」と付記されている。 推奨量よりも低い蛋白量でなければ効果はないと指摘する腎臓専門医もいる。 ちなみに「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2009」では,ステージ3~5に対して「病態に応じた蛋白制限を考慮する」とだけ記載され,具体的なレベルは示されなかった。 透析は患者に大きな身体的・社会的負担となり,全体の医療費も年間1兆円を超える。 透析患者を少しでも減らしていくうえで,低蛋白食に寄せられる期待は大きい。 出典 Medical Tribune 2010.2.11 版権 メディカル・トリビュ−ン社 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科関係の専門的な内容)
by wellfrog4
| 2010-02-12 00:10
| 腎臓病
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