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東札幌病院副院長・化学療法センター長の平山泰生先生の「酸分泌抑制薬と市中肺炎の発症リスク」に関する論評で勉強しました。 ##H2ブロッカーやPPI投与は市中肺炎の発症リスクを高める 「予防的に」と酸分泌抑制薬の投与を安易に開始していませんか? #研究の背景:重篤な患者において院内肺炎の誘因であることは以前から指摘されていた ■ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)やプロトンポンプ阻害薬(PPI)などの酸分泌抑制薬は胃内pH4以上を目標値とするが,この達成により胃内環境で多くの細菌が増殖可能となる(Infect Control 1986; 7: 23-26)。 Alteration of normal gastric flora in critical care patients receiving antacid and cimetidine therapy. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/3633241 ■集中治療室(ICU)で人工呼吸治療中の患者において酸分泌抑制薬と防御因子保護薬のスクラルファート投与の影響を検討したところ,酸分泌抑制薬投与患者はスクラルファート投与患者よりも院内肺炎の発症率が高かった(N Engl J Med 1987; 317: 1376-1382)。 Nosocomial pneumonia in intubated patients given sucralfate as compared with antacids or histamine type 2 blockers. The role of gastric colonization. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/2891032 ■こうした知見から,人工呼吸中の患者にストレス性潰瘍の予防薬を投与するのならばスクラルファートなど胃酸のpH値への影響が少ない薬剤を投与することが,米疾病管理センター(CDC)の院内肺炎ガイドラインでも推奨されている。 Guidelines for Prevention of Nosocomial Pneumonia http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/00045365.htm ■胃潰瘍による死亡例は出血穿孔例のごく一部にしか発生しないが,肺炎による死亡のほうがはるかに一般的である。 ■重篤な疾患の患者の院内肺炎ではなく,高齢者市中肺炎においても酸分泌抑制薬の投与は危険因子となることがカナダから報告された(Am J Med 2010; 123: 47-53)。 Recurrent Community-acquired Pneumonia in Patients Starting Acid-suppressing Drugs http://www.sciencedirect.com/science?_ob=ArticleURL&_udi=B6TDC-4Y0T775-D&_user=10&_coverDate=01%2F31%2F2010&_rdoc=13&_fmt=high&_orig=browse&_srch=doc-info%28%23toc%235195%232010%23998769998%231578166%23FLA%23display%23Volume%29&_cdi=5195&_sort=d&_docanchor=&_ct=27&_acct=C000050221&_version=1&_urlVersion=0&_userid=10&md5=92b0835031cbe42edbe54edb325ed772 #研究のポイント:肺炎のハイリスク高齢者への酸分泌抑制薬投与は肺炎再発リスクを増加 ■本研究は6病院における肺炎治療患者のなかから,65歳以上の高齢者を対象にしたコホート内ケースコントロール研究(Nested case-control design)である。 肺炎再発症例をケースとし,適正なサンプリング法(Incidence density sampling)によって年齢,性を一致させた非再発肺炎症例をコントロールとし,比較検討を行った。 ■5.4年のフォローアップで,ケースとして248例の再発肺炎症例を認め,コントロールとして2,476例が一致された。 ■ケース+コントロール例のうち608例がPPIまたはH2ブロッカーを投与されており,うち71例(12%)が肺炎を再発した。一方,PPI/H2ブロッカー非投与群の1,467例のうち130例(8%)が肺炎を再発した 〔修正オッズ比1.5,95%信頼区間(CI)1.1~2.1〕 。 ■608例のPPI/H2ブロッカー投与群を,その開始時期で層別化し検討したところ,投与開始後90日以内の群(303例)が,それ以前より投与を受けていた群より再発肺炎のリスクは高値であった。 ■90日以上前からPPI/H2ブロッカー投与を受けていた305例においては非投与群と再発肺炎のリスクは同程度であった。 ■以上から,肺炎の高リスク高齢者への酸分泌抑制薬投与は再発肺炎を増加させることが分かった。 #平山泰生先生の考察:医療者は酸分泌抑制薬のリスクを認識すべき ■胃の全摘出を受けた患者でも,その消化吸収機能に大きな問題は残さない。 では胃は何のために存在する臓器であろうか? ■胃の最大の機能は「胃酸による病原体の殺菌」と考えられている。 人類誕生あるいはそれ以前を考えると,摂取する食物は清潔なものだけとは限らない。 土の上に落ちている腐りかけの食物を摂取しても,消化管感染症を容易におこさないようなシステムが胃なのである。 しかし,現代社会において摂取される食物は病原体の少ない清潔なものが多く,病原体の殺菌はかつてほど重要ではなくなっていると言ってもよい。 だからこそ,H2ブロッカーや PPIで制酸しても殺菌という点ではほとんど不都合を生じないのである。 ■睡眠中には胃内容物が食道へ逆流し,そのごく一部は気管に無意識のうちに吸い込まれていることが知られている(Am J Med 1978; 64: 564-568)。 Pharyngeal aspiration in normal adults and patients with depressed consciousness. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/645722 酸分泌抑制薬により胃内で細菌が増殖していれば肺炎を発症しそうであるが,正常の免疫機能があれば,ほとんどの例で肺炎は抑制される。 免疫機能が正常ではないICU患者や移植患者では酸分泌抑制薬投与に伴うリスクが指摘されていたが,今回は市中肺炎を経験したことのある高齢者においても,酸分泌抑制薬の投与が市中肺炎の危険因子となることが示された。 ■酸分泌抑制薬投与開始後,間もない患者で肺炎の発症率が高まり,90日以上経過するとリスクが低下する理由は明らかではない。微量の胃液の気管吸入への防御機構が90日程度で誘導されるのかもしれない。 ■H.pyloriの感染率が高いためか,日本人は「胃が荒れる」ことを気にし,医療者も容易にH2ブロッカーやPPIを投与する傾向があるが,重篤な疾患を有する患者や肺炎の既往がある高齢者へのH2ブロッカーやPPI投与は肺炎のリスクを高めることを認識すべきである。 出典 MT pro 2010.1.5 版権 メディカル・トリビューン社 <番外編 その1> #米国で波紋呼んだ40歳以上のマンモグラフィ検診について厚労省が見解 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1001/1001015.html ■米国内で大きな波紋を呼んだ米国予防医療サービス対策委員会(USPSTF)の「40歳以上のマンモグラフィによる乳がん定期検診を推奨しない」とした新勧告を受け,現在の見解を示した。 それによると,日本では米国と違い,乳がんの好発年齢が40~50歳であること,今回のUSPSTFの勧告を日本に当てはめることは妥当ではない,との専門家の意見があることなどから,現時点で対象年齢を変更することはないという。 ■昨年(2009年)11月,USPSTFが40~49歳の女性のマンモグラフィによる定期検診を推奨しないとする勧告(Ann Intern Med 2009; 151: I44)を発表した。 これに関連学会や医師たちが次々と反発。同勧告が,医療保険改革を進めるオバマ大統領の医療費支出抑制策の一環として発表されたのではとの批判も出た。 Screening for breast cancer: U.S. Preventive Services Task Force recommendation statement. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19920272 ■結局,政府長官が現状の検診体制を変更しないことを発表したほか,修正前の2002年時点の勧告を引き続き採用するとの医療保険改革法案修正案を上院が可決するなど,事態の収拾が図られている。 ■厚労省では,米国では日本と異なり60歳以上の乳がん患者が多く,今回のUSPSTFの勧告を反映するのは妥当ではないとする専門家の意見を紹介。 「現時点においては,日本におけるマンモグラフィを用いた定期的な乳がん検診の対象年齢を変える必要はないと判断をしております」との見解を示し,引き続き動向を見ていくとしている。 <コメント> 医学的(科学的)にきちんと行った結果を学会や政治的レベルで感情的に否定してしまうという図式です。 また厚労省の見解も問題です。 きちんとした反論に値するデータを提示していません(提示出来ません)。 数年前に日本でも前立腺がんのスクリーニングにPSAを行うことの是非が、同じような経緯で話題になりました。 そちらの決着はどうなったんでしょうか。 <番外編 その2> 輸入ワクチン、来月中旬にも接種開始 http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/1/14/114360/ 読売新聞 2010.1.13 ■厚生労働省は13日、欧州の2社から輸入する予定の新型インフルエンザワクチンについて、早ければ来月3日に国内での出荷を開始し、同月中旬にも優先接種対象者以外の健康な成人への接種が始まる見通しを明らかにした。 ■医療機関に国産ワクチンが残っている場合、国産か輸入かを選べる。 <コメント> フランスだけではなくドイツでもワクチンメーカーとの契約解消をするというニュースが報道されています。 当院では、輸入ワクチンの安全性とは別に、接種希望者がどれだけいるかということが読めないというリスクもあり、輸入ワクチンが出荷する前にワクチン接種から撤退するつもりです。 予約受付も昨年12月中旬から中止しています。 「国産か輸入かを選べる」・・・医療機関で購入したワクチンについてそこまで指示されたくありません。 ここまで口出しするのなら、ワクチンを無料配布して接種料金のみ医療機関で徴収するシステムづくりをお願いします。 返品不可ということもあり何よりも不良在庫が心配です。 こういった「しばり」があるのなら、今後は是非とも公的医療機関で接種をしていただきたいものです。 <番外編 その3> [新型インフル] 輸入ワクチンの希望量等を調査開始 厚労省 http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/1/14/114374/ ■輸入ワクチンの供給量及び供給先については、受託医療機関の要望に応じて対応することを予定しているため、事務連絡では、 管内の受託医療機関について希望量等の調査を依頼している(p1-p2参照)。 資料では、 (1)輸入ワクチンの概要(p3-p8参照) (2)輸入ワクチン取扱希望調査表(p9-p10参照) (3)輸入ワクチンの出荷可能日(1月12日現在)(p11参照)-などが示されている。 なお、調査の第1次締め切りは、1月20日。 http://www.m3.com/tools/Document/WIC/pdf/201001_2/1219_3_1.pdf 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科関係の専門的な内容)
by wellfrog4
| 2010-01-15 00:08
| 呼吸器科
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