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北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟先生の書かれた記事で勉強しました。 4T試験(以下参照)のその後についての報告がN Engl J Med 2009; 361: 1736-1747に掲載され,どのレジメンがベストかについての結論が出されたということについての解説です。 結論は「インスリン治療は,経口剤への基礎インスリンの追加で開始し,ベーサル・ボーラス療法に強化していくべきである」という臨床ガイドラインをサポートするものであったということです。 ##2型糖尿病へのインスリン導入法ついての研究,その後 #研究の背景:1年後の時点ではどのレジメンがベストか結論が出なかった ■2007年秋に報告された4T試験は,インスリン未使用の2型糖尿病患者にインスリンを導入する際にはどのようなインスリンレジメンが適切かを検討したものであった(N Engl J Med 2007; 357: 1716-1730)。 Addition of biphasic, prandial, or basal insulin to oral therapy in type 2 diabetes. N Engl J Med. 2007 Oct 25;357(17):1716-30 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/17890232 ■本研究は英国およびアイルランドの58施設で実施された多施設共同研究であり,SU薬とメトホルミンを内服していてHbA1C 7.0%以上の2型糖尿病の男女708人が以下の3群に割り付けられた。 1.BOT (Basal supported Oral Therapy)群:持効型インスリンアナログであるインスリンデテミル1回うち(必要なら2回うち) 2.混合型群:2相性インスリンアナログであるインスリンアスパルト30%混合製剤2回うち 3.超速効型群:超速効型インスリンアナログであるインスリンアスパルト3回うち 1年後の時点では,平均HbA1CはBOT群7.6%,混合型群7.3%,超速効型群7.2%であり,BOT群とそれ以外の群に有意差があったが,1人の患者が1年当たりに経験する低血糖発作の回数が,BOT群2.3回に対して混合型群5.7回,超速効型群12.0回であり,どのレジメンがベストとは言い難かった。 #研究のポイント1:HbA1C 6.5%ならば別のインスリンを追加して血糖をコントロール ■4T試験のデザインでは,1年を経過してHbA1C 6.5%以上の患者はSU薬を中止して別のインスリンを追加するということになっており,この追加インスリンを含めた計3年の研究報告である。 BOT群の追加インスリンは毎食前の超速効型インスリンアナログであり,結果としてベーサル・ボーラス療法となった。 BOTでの使用インスリンの10%の量で毎食前に追加するのだが,各食前とも4単位を最小用量,6単位を最大用量としていた。 混合型群の追加インスリンは昼食前の超速効型インスリンアナログであり,やはり1日量の10%を原則とし,4単位を最小用量,6単位を最大用量としていた。 超速効型群の追加インスリンは就寝前の10単位の持効型インスリンアナログであり,結果としてベーサル・ボーラス療法となった。 #研究のポイント2:HbA1Cに有意差はなかったが… ■その結果,BOT(開始)群の81.6%がベーサル・ボーラス療法になり,混合型(開始)群の67.7%が昼に超速効型インスリンアナログを追加され,超速効型群の73.6%がベーサル・ボーラス療法になっていた。 HbA1Cの中央値はBOT(開始)群6.9%,混合型(開始)群7.1%,超速効型群6.8%で3群間に有意差はなかった。 ■しかし,HbA1C 6.5%以下を達成した患者の比率は,BOT(開始)群43.2%,混合型(開始)群31.9%,超速効型(開始)群44.7%と混合型(開始)群が有意に少なかった。 HbA1C 7.0%以下で検討しても63.2%,49.4%,67.4%と混合型(開始)群が有意に少なかった。 ■一方,低血糖については,BOT(開始)群が1.7回/人・年,混合型(開始)群が3.0回/人・年,超速効型(開始)群が5.5回/人・年であり,依然としてBOT(開始)群が有意に少なかった。 ■また,体重増加についてもBOT(開始)群が3.6kgで,混合型(開始)群の5.7kgや超速効型(開始)群の6.4kgよりも少なくてすんでいた。 <山田 悟先生のコメント> 本当にBOTで開始するのがよいことなのか? ■本論文を読んだ私の率直な印象は,「結局4T試験は何を調べたかったのだろうか」という疑問であった。純粋にどんなインスリンレジメンで開始するのがよいのかという研究であるならば,変更後はいずれの群でもベーサル・ボーラス療法にしておくべきだと思うし,どんなインスリンレジメンに変更していくのがよいのかという研究であるならば,開始法はBOTで統一し,変更後を混合型,超速効型,ベーサル・ボーラスの3群にしておけばよかったのではなかろうか。 私にとって4T試験のデザインは理解に苦しむものであった。 ■本論文の著者らは,BOTで開始してベーサル・ボーラスに変更していくのがよいと結論付けている。 しかし,最初の治療レジメンのままで3年を経過した者はBOT群で18.4%,混合型群で32.3%,超速効型群で26.4%とBOT群で最も少なかった。 BOTでのインスリン開始は80%以上の確率でのベーサル・ボーラスへの移行を前提としたものということである。 その点,インスリンレジメンの変更が最も少なかったのが混合型群であり,混合型2回注射という治療法が患者あるいは主治医にとって選択されやすい治療法であることが示唆されよう。 EQOL-5Dというアンケートで差異が出ていなくても,他のQOL評価法であれば差異が生じていた可能性がある。 ■同じベーサル・ボーラスへの移行という点で比較すると,超速効型(開始)群よりもBOT(開始)群のほうが,同じ程度の血糖コントロールを体重増加や低血糖発作を少ないままで達成できているかのように見える。 しかし,本研究では,食前血糖値72~99mg/dL,食後2時間血糖値90~126mg/dLを目指してインスリン量を調節されたため,特に超速効型群の初期においてはインスリン量過剰,低血糖発作の増大,その対処・予防のためのスナック摂取,体重増加は当然のことと思われる(参考までに日本糖尿病学会の「良」の基準では食前血糖値130mg/dL未満,食後2時間血糖値180mg/dL未満である)。 したがって,本研究におけるBOT(開始)群と超速効型(開始)群の差異は,本来の差異ではなく試験デザインによりつくられた差異である可能性がある。 実際,2.5年目から3年目の低血糖頻度が3群で違っているとは到底思われない(図)。 ■4T試験は初期レジメンでHbA1Cが超速効型群と同等に良好で,超速効型群よりも低血糖が少なく,その後2種類目のインスリン追加に至る率が最も低かった混合型で開始し,治療目標に達成しない場合にベーサル・ボーラスに切り替えていくのが最良であることが示唆された試験と言えよう。 ■食前血糖120mg/dL未満ないし130mg/dL未満(食後血糖180mg/dL未満)を目標とした場合の超速効型3回注射の血糖コントロール能力(Diabetes Res Clin Pract 2007; 75: 278-284) や,混合型で開始しベーサル・ボーラスに移行する前に混合型3回注射を試みることの意義(Diabetes Obes Metab 2006; 8: 58-66)は別途検証されるべきだと思う。 Factors associated with improvement of fasting plasma glucose level by mealtime dosing of a rapid-acting insulin analog in type 2 diabetes. Diabetes Res Clin Pract. 2007 Mar;75(3):278-84. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/17069922 Attainment of glycaemic goals in type 2 diabetes with once-, twice-, or thrice-daily dosing with biphasic insulin aspart 70/30 (The 1-2-3 study). Diabetes Obes Metab. 2006 Jan;8(1):58-66. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/16367883 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/17069922 出典 MT pro 2009.11.13 版権 メディカル・トリビューン社 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr091104.html <番外編> 論文を読むための実践統計学【共分散分析法(ANCOVA)】 http://banyu.m3.com/ck9a5125bb867d1b21d8efd63429701c0d5ad/contents/ronbun/08/index.html?cid=2009111NN0 口腔粘膜スプレーによるインスリンの供給が有望 2009年10月29日 提供:Medscape http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/10/29/110184/ #αGIと炭水化物消化酵素製剤 アカルボースは併用注意薬として炭水化物消化酵素製剤が記載されていますが、 ボグリボースとミグリトールには記載されていません。 アミラーゼに対する作用の相違によるものと思いますが、 ボグリボースとミグリトールは本当に問題ないのでしょうか? 私も気になったので,三和化学と武田のMRに問い合わせました. アカルボースは,例えば,ジアスターゼやアミラーゼなど多糖類を分解する酵素を阻害 するため,ジアスターゼとの併用注意(ジアスターゼの効果がなくなってしまうため) ということのようです. 先生が書いておられるように,アカルボースは,αグルコシダーゼだけでなく,アミラー ゼも阻害しますが,ボグリボースやミグリトールは,αグルコシダーゼ選択性が高く, 前者のαアミラーゼ阻害作用は,アカルボースの1/3,000ということです. 従って,ボグリボースやミグリトールは,ジアスターゼなどの炭水化物消化酵素製剤と の併用は,その作用を妨げないため,OKということになります. 以上の違いから,アカルボースの場合は,比較的大きな多糖類が大腸まで到達する結 果,腹部膨満や便秘が生じやすく, 一方,ボグリボースやミグリトールの場合は,二糖 類が大腸まで到達する結果,浸透圧効果で,軟便,下痢が生じやすい,という消化器症状 の相違が起こり得ます. そもそも,炭水化物消化酵素製剤とαGIを併用しなければならないケースというのがよ くわからない気がします.(αGI間での違いがあるにしても)ある意味,相反する作用同士 の薬剤ということになりますよね. こんなケースでは併用するべきという例があれば,どなたかご教示下さい. 2008年11月14日、東京タワーブルーライトアップの模様(写真撮影:田部智彦) http://www.wddj.jp/
by wellfrog4
| 2009-11-23 00:14
| 糖尿病
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