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2型糖尿病における早期血糖コントロールの重要性 -DPP-4阻害薬ビルダグリプチンに期待される役割とは- http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2011/M44420061/
アスピリンの一次予防効果は出血リスクに相殺される アスピリンの使用によって非致死的心筋梗塞などの初回心血管イベントは予防できるが、そうした利益を超える出血リスク上昇が起こりうる―。 そのような結果が、英St George’s University of LondonのSreenivasa Rao Kondapally Seshasai氏らが行ったメタ分析で得られた。 論文は、Arch Intern Med誌電子版に2012年1月9日に掲載された。 アスピリンの予防的投与の利益の全体像は明らかではない。 著者らは、心血管イベント一次予防に加えて、これまであまり評価されてこなかった非血管イベント、特に癌の一次予防におけるアスピリンの有効性と安全性を評価し、出血リスクの増大とイベントリスク低減のバランスを明らかにするために、無作為化試験のメタ分析を行った。 Medlineとコクランライブラリに、11年6月までに登録された研究の中から、心血管疾患の既往がない1000人以上の患者を登録しており、冠動脈疾患または心血管イベント(冠動脈疾患、脳卒中、脳血管疾患、心不全、末梢動脈疾患)の発生を1年以上追跡していた無作為化試験を選んだ。 日本で行われたJPAD試験を含む、9件の質の高い研究が分析対象になった。 登録患者の合計は10万2621人(加重平均年齢は57歳、46%が男性)。心血管イベント、非血管イベント、死亡に関するデータと、出血イベントに関するデータを入手した。 出血については、分析対象とする出血の定義が異なっていたため、著者らは独自に、重要な出血(あらゆる部位の致死的出血、脳血管または網膜の出血、管腔臓器からの出血、入院または輸血を必要とする出血、個々の研究で定義された大出血)の発生件数を調べた。 研究ごとに個々のエンドポイントについて未調整オッズ比を求め、それらを集めてランダム効果モデルを用いて分析し、アスピリンの利益を評価した。 さらに、心血管リスク低減と出血リスク上昇のバランスを推定した。 平均追跡期間は6.0年で、約70万人-年の追跡が行われていた。 その間に冠動脈イベントは2169件発生し、うち1540件が非致死的心筋梗塞、592件は致死的冠動脈イベントだった。 脳卒中は1504件、心血管イベントは4278件、心血管死亡は1285件発生していた。 非血管死亡は2587件で、うち1512件が癌死亡だった。 全死因死亡は3895件になった。 出血イベントは4万712件発生しており、重要な出血イベントは1万49件だった。 プールした1000人-年当たりのイベント発生率は以下のようになった。 非致死的心筋梗塞はアスピリン群が4.1、偽薬群は5.1、致死的心筋梗塞はそれぞれ1.9と1.9、冠動脈イベントは7.0と8.1、脳卒中は3.8と4.0、心血管イベントは12.8と14.1だった。 心血管死亡は3.9と4.0、非心血管死亡は6.6と7.2、癌死亡は5.3と5.9、全死因死亡は11.0と11.7だった。 出血イベントは36.0と21.2で、重要な出血イベントは9.7と7.4になった。 アスピリンの使用は心血管イベントを10%減らしていた(オッズ比0.90、95%信頼区間0.85-0.96)。 有意なリスク低減に大きく貢献していたのは、非致死的心筋梗塞の減少だった(オッズ比0.80、0.67-0.96)。 有意差はないがリスク低減傾向が見られたのは、冠動脈イベント(0.86、0.74-1.01)、非血管死亡(0.92、0.85-1.00)、全死因死亡(0.94、0.88-1.00)。 アスピリンの好ましい影響が見られなかったのは、致死的心筋梗塞(1.06、0.83-1.37)、脳卒中(0.94、0.84-1.06)、心血管死亡 (0.99、0.85-1.15)、癌死亡(0.93、0.84-1.03)だった。 一方、出血リスクはアスピリン群で70%上昇(オッズ比1.70、1.17-2.46)、重要な出血のリスクは31%上昇していた(オッズ比1.31、1.14-1.50)。 最も利益が大きかった非致死的心筋梗塞であっても、1件回避するためには、162人に6年間アスピリンを投与しなければならず、心血管イベントを1件予防するためには120人に6年間アスピリンを投与しなければならなかった。 一方、73人に6年間アスピリンを投与すると、重要な出血が1件発生することが明らかになった。 今回、著者らは、心血管一次予防を目的とするアスピリン投与の利益とリスクについて、過去最大規模のメタ分析を行った。 その結果、癌死亡リスクの有意な低減は見られず、心血管イベントの予防においても利益は小さいことが示された。 その利益は、臨床的に重要な出血イベントによって相殺されるレベルだったことから、著者らは「心血管イベントの一次予防を目的とする日常的なアスピリンの使用は支持されず、適用するかどうかは患者ごとに考慮する必要がある」との考えを示すと共に、「利益が大きくリスクは小さい患者集団を同定する方法を明らかにしなければならない」と述べている。 原題 Effect of Aspirin on Vascular and Nonvascular Outcomes http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/short/archinternmed.2011.628 出典 NM online 2012.1.24 版権 日経BP社
アリスキレンとACE阻害薬/ARBの併用で高K血症リスクが1.5倍 10件の無作為化試験のメタ分析で単剤と比較 直接的レニン阻害薬のアリスキレンと、ACE阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を併用すると、それぞれを単剤で用いた場合に比べて高カリウム血症のリスクが1.5倍超になることが、無作為化試験のメタ分析で明らかになった。 カナダToronto大学のZiv Harel氏らが、BMJ誌電子版に2012年1月9日に報告した。 ONTARGET試験の事後解析などにより、ACE阻害薬とARBを併用すると腎機能などに好ましくない影響が見られることが示されて以来、これら2剤の併用には注意が払われるようになった。 これらの薬剤と同じ経路に作用する直接的レニン阻害薬のアリスキレンもまた、ACE阻害薬またはARBと併用すれば同様の影響を及ぼす可能性を持つ。 レニン・アンジオテンシン系を阻害した場合に発生しうる重症有害事象は、高カリウム血症と急性腎障害だ。 これまで、アリスキレンとACE阻害薬またはARBを併用した場合の安全性を評価した質の高い研究はなかった。 著者らは、アリスキレンの処方が増えていることから、他のレニン・アンジオテンシン系阻害薬との併用の安全性に焦点を当てた評価が必要だと考え、無作為化試験の系統的レビューとメタ分析を行った。 Medline、Embase、コクランライブラリと2つの臨床試験登録に、11年5月7日までに登録された研究の中から、アリスキレンとACE阻害薬またはARBを併用した患者群と、それらの薬剤を単剤投与した患者群の転帰を比較していた無作為化試験で、治療期間が4週間以上、有害事象として高カリウム血症または急性腎障害の発生件数を報告していたものを選出した。 主要アウトカムは高カリウム血症(血清カリウム値が5.5mmol/L超)に、2次アウトカムは急性腎障害(血清クレアチニン値が2.0mg/dL超)と高カリウム血症の重症度(血清カリウム値が5.5~5.9mmol/Lを中等症、6.0mmol/L以上を重症とした)に設定、ランダム効果モデルを用いて分析した。 10件の研究(4814人を登録)が条件を満たした。 7件はアリスキレン+ARBとARB単剤を比較しており、うち5件はアリスキレン単剤との比較も行っていた。 2件はアリスキレン+ACE阻害薬またはARBと、ACE阻害薬単剤またはARB単剤を比較。 1件はアリスキレン+ACE阻害薬と、アリスキレン単剤、ACE阻害薬単剤を比較していた。 用量は研究によって異なっていたが、ほとんどの試験が最大推奨用量の適用を目標に設計されていた。 試験期間は8週から36週だった。 6件の試験で他の降圧薬(β遮断薬、アルドステロン拮抗薬など)が併用されていた。 アリスキレンとACE阻害薬またはARBの併用(以下、併用群)は、高カリウム血症リスクを有意に高めていた。ACE阻害薬またはARBを単剤で投与された患者群と比較した相対リスクは、1.58(95%信頼区間1.24-2.02)。リスク差は0.02(0.01-0.04)で、害必要数(NNH)は43(28-90)になった。 また、アリスキレン単剤群と比較した場合の相対リスクは1.67(1.01-2.79)、リスク差は0.02(0.01-0.03)、害必要数は50(33-125)だった。 出典 NM online 2012.1.27 版権 日経BP社
ビタミンDが骨粗鬆症とサルコペニアに有効な可能性 骨粗鬆症,サルコペニア,認知症などは,それぞれが加齢とともに進行するため,相互に関連があるように見えているのか。 それとも,加齢以外にも相互が関連するメカニズムが存在するのか。 国立長寿医療研究センター病院先端診療部副院長・原田 敦 副院長は「このことに関してはいまだほとんど解明は進んでいない」と話す。 しかし,最近の興味深い知見として「ビタミンDの活性不足が骨粗鬆症とサルコペニアの両方の進行に関与することが示唆されている」と言う。 ビタミンDが骨代謝に関連し,その活性不足が骨粗鬆症の発症と進展に関連することはこれまでにも知られてきた。 しかし,最近では筋にもビタミンDの受容体があり,その機能に影響することが分かってきた。 こうしたことから「現在,骨粗鬆症の治療薬として投与されているビタミンDは,骨代謝に対する影響だけでなく,筋の機能への影響を介して転倒・骨折を予防している可能性もある」と同副院長は指摘する。 ロコモが問題となる世代では,他の合併症に対して治療薬を投与されていることが少なくない。 したがって,ロコモ予防のための薬剤を開発するとすれば,できるだけ有害事象がなく,しかも単剤で種々の危険因子に対する是正効果のあるものが望ましい。 「そのような薬剤の候補として,差し当たってはビタミンD製剤が挙げられるかもしれない」と同副院長。 薬剤以外にも,例えば大腿骨骨折のリスクの高い患者には,ヒッププロテクターの装着を勧めることなどが要介護の抑制につながる。 同副院長らは,種々の素材によるヒッププロテクターを開発し,その骨折予防効果の検討なども行っているという。 「NILS-LSAは一見すると気の長い疫学研究のように思われるかもしれないが,われわれは直ちにロコモ対策につながることを目指して研究を推進している。なぜなら,高齢化社会が急速に進展する日本では,ロコモ対策は待ったなしの課題となってきているからである」と同副院長は結んだ。 出典 Medical Tribune 2011.10.20 版権 メディカル・トリビューン社 <関連サイト> サルコペニア 筋肉は健康のバロメーター サルコペニアを知ろう ■サルコペニア(Sarcopenia)とは,骨格筋・筋肉(Sarco)が減少(penia)していることです。 狭い定義では加齢に伴う筋肉量の低下1),つまり老年症候群のひとつです。 筋肉量は30 歳ごろがピークであり,その後は加齢とともに低下します。 一方,広い定義では,すべての原因による筋肉量と筋力の低下を意味します。 70歳以下の高齢者の13-24%,80歳以上では50%以上に,サルコペニアを認めるという報告があります。 ■サルコペニアは高齢化が進む日本で,深刻な健康問題となり得ます。 例えば四肢体幹の筋肉,嚥下筋,呼吸筋のサルコペニアが進めば,それぞれ寝たきり,嚥下障害,呼吸障害となります。 いずれもリハビリテーションの重要な対象です。 寝たきりと嚥下障害の原因疾患の第1位は脳卒中ですが,第2位はサルコペニアだという仮説もあります。 http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02920_02 <医学雑誌より> ■膵癌の危険因子 ①糖尿病 膵癌の危険率は約2倍 ②喫煙 膵癌の危険率は約2〜3倍 禁煙により男性は膵癌の22%を予防できる ③分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍 ④家族性乳癌 遺伝性膵癌症候群とも呼ばれる 日内会誌 H24.1.10 P141 ■主膵管型IPMN ◯主膵管型の60~92%は悪性 ◯国際診療ガイドラインでは、手術リスクが許容範囲内で、妥当性のある余命が期待できれば、切除を推奨している 日内会誌 H24.1.10 P143 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
新基準導入を正式に決定,日本リウマチ学会 鑑別疾患難易度別リスト・問診票の併用求める 日本リウマチ学会は,昨日(1月16日),米国リウマチ学会(ACR)/欧州リウマチ学会(EULAR)による関節リウマチ(RA)の新基準導入を正式に決めたことを発表した。 ただし,新基準を用いる場合は,他疾患との鑑別診断を適切に行うことが重要であり,同学会新基準検証委員会作成の鑑別疾患難易度別リストと問診票を併用することが望ましいとした。 リストと問診票が鑑別診断や診断困難例の解決策に ACRが作成し1987年に改訂したRAの分類基準は,発症後8~10年経過したRA患者の症状に基づいていたため,早期診断にはつながりにくかった。 そこで,より早期に診断し治療を開始する目的でつくられたのがこの新基準だ。 同委員会では,わが国の5つのRA患者コホートおよび代表的なRA例を対象に,RAの新基準をわが国として導入するための妥当性を検証してきた。 いずれのコホートにおいても,抗リウマチ薬(DMARD)投与前の新基準による診断の感度は,1987年基準の50%弱から75%前後と大きく向上したことが分かった。 その一方で,特異度はやや低いこと,血清反応陰性例や大関節罹患例の中には診断困難例が存在することが示され,その解決策として同委員会は鑑別診断の難易度を示した疾患リストおよび鑑別診断時の診察・検査チェック項目リストを用いることを提案していた。 この報告を受けて,会員にパブリックコメントを求めていた同学会理事会は,寄せられたコメントを含めて審議。 このほど,わが国へのACR/EULARによるRAの新基準導入の妥当性に問題はないが,他疾患と鑑別診断する上で鑑別疾患難易度別リストと問診票を併用することが望ましいとの結論を発表した。 近年,RA患者の関節破壊は発症早期の段階で進行することが明らかになった。 新基準を導入することで,RAの早期診断・治療が可能となるため,わが国においても患者QOLを著しく損ねる関節破壊に対し,進展抑制という恩恵がもたらされることになる。 (田上 玲子) 出典 MT Pro 2012.1.17 版権 メディカルトリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
スタチンと糖尿病発症リスクの安全性情報,英国医薬品庁 医療関係者向け 最近,スタチンと糖尿病新規発症リスクの関連を示唆する報告が複数発表されている。 いずれも,スタチンによるベネフィットがリスクの懸念を上回るとの一貫した見解を踏まえた上の発表だが,糖尿病患者あるいは同高リスク患者が服用する機会の多い薬剤であり,これらの知見が同薬の臨床現場での使用に今後どのような影響を与えるのかが注目される。 そんな中,英国医薬品庁(MHRA)が医療関係者向けの安全性情報にこの話題を取り上げている(2012年1月Drug Safety Update)。 http://www.mhra.gov.uk/Safetyinformation/DrugSafetyUpdate/CON140667 アットリスク例には検査による経過観察を 昨年(2011年),スタチン使用と糖尿病発症リスクの上昇に弱いながらも有意な関連があるとの報告が行われた。 同時に同薬使用による高リスク因子の存在も明らかになっているとMHRA。 現時点で十分なエビデンスがない部分もあるものの,次のような点に留意するよう呼びかけている。 ●スタチン使用と糖尿病新規発症リスクの関連を支持する十分なエビデンスがある。 ●同リスクは主に糖尿病リスクが既に高い人に起こりやすいと見られる。 ●ベースラインの空腹時血糖上昇がスタチンによる糖尿病発症の主要なリスク因子。その他のリスク因子はベースラインにおける高血圧の既往,トリグリセライド高値,高BMI。 ●アットリスク患者に対しては,ガイドラインに沿って臨床・生化学検査による経過観察を実施する。 ●糖尿病新規発症リスクはスタチンの種類により異なるかもしれない。しかし,個別の薬剤によるリスクを判断する十分なエビデンスはない。 ●スタチン治療による血管疾患発症リスク減少(によるベネフィット)は糖尿病のリスクを上回る。したがって,(糖尿病リスクを懸念して)スタチンを中止する理由にはならない。 (坂口 恵) 出典 MT Pro 2012.1.16 版権 メディカルトリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
故ジョブズ氏罹患の膵神経内分泌腫瘍でエベロリムスが効能追加 九大・伊藤鉄英氏が日本人含むRADIANT-3を解説 米アップル社元CEOの故Steven Jobs氏が罹患していたことで広く知られるようになった膵神経内分泌腫瘍(pNET)。 pNETは膵臓を原発とする希少がんで,治療の基本は手術による切除だが,進行例については切除困難なため,有効な治療選択肢がなかった。 しかし,昨年(2011年)12月,わが国でも経口哺乳類ラパマイシン標的蛋白質(mTOR)阻害薬エベロリムスがpNETの効能・効果の追加を取得した。 1月24日,東京都で開かれたメディアセミナー(主催=ノバルティス ファーマ)において,九州大学大学院病態制御内科学准教授の伊藤鉄英氏は,同薬の追加承認を決定付けた日本人を含む国際共同第Ⅲ相試験RADIANT-3※および同試験の日本人サブ解析の結果から「エベロリムスは,日本人の進行性pNET患者に対する標準治療となりうる」との見方を示した。 ※ RAD001 in Advanced Neuroendocrine Tumors-3 わが国でも最近5年で罹患率増加 これまでpNETとは神経内分泌細胞に由来する神経内分泌腫瘍(NET)の1つだが,診断時の遠隔転移が60%以上と早期診断が難しく,生存期間中央値は33カ月と予後不良であることが,James C. Yao氏らによって報告されている(J Clin Oncol 2008; 26: 3063-3072)。 米国ではこの30年間で罹患者の増加が認められているが,この傾向はわが国も同様であり,年間新規罹患者は2005年の人口10万人当たり1.01人であったのが, 10年には1.30人に増えていることが伊藤氏らの調査で明らかになった。 これまでpNETにおいて,治癒を唯一期待できるのは外科的切除であり,切除不能例または転移例の場合は,ホルモン過剰分泌による症状緩和を目的とした内科的治療や,膵がんの適応症がある抗がん薬が施行されていた。 そのような中,「根治切除不能または転移性の腎細胞がん」の適応で2010年から使用されているmTOR阻害薬エベロリムスに,わが国初の「pNET」の適応症が昨年(11年)12月に追加承認された。 同薬の標的は,細胞増殖・代謝,生存,血管新生の調整に関与するmTORであり,がん患者ではPI3K/Akt下流に位置するmTORの経路が活性化されていることから,同経路を阻害することで抗腫瘍効果を発揮するというものだ。 日本人ではPFSが16カ月以上延長 エベロリムスにおける有効性および安全性は,進行pNET患者410例(日本人40例を含む)を対象としたプラセボ対照試験RADIANT-3(病勢進行後はエベロリムス群にクロスオーバー)で証明された。 主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は,プラセボ群(203例)の4.6カ月に対し,エベロリムス群(207例)では11.0カ月と,有意に延長されていた〔ハザード比(HR)0.35,95%CI 0.27~0.45,P<0.001〕。 また,同試験サブ解析では,アジア人のPFS(19.5カ月)は,欧州(10.8カ月)および米国(11.0カ月)との比較でも,有意差はなかったが最も延長されていたことが示された。 そこで,日本人のみを対象としたサブ解析を実施。 その結果,日本人におけるPFS中央値は,プラセボ群(17例)の2.83カ月に対し,エベロリムス群(23例)は19.45カ月であり(図),「本試験の結果以上にエベロリムス群でPFSの有意な延長が認められた(HR 0.19,95%CI 0.08~0.48,P<0.001)」(伊藤氏)。 ![]() 日本人におけるグレード3・4以上の全薬物有害反応は,エベロリムス群は23例中16例(69.6%),プラセボ群では17例中5例(29.4%)に見られたが,中でも感染症および間質性肺炎には注意が必要だと同氏は指摘する。 しかし,エベロリムスの場合,間質性肺炎が認められると,直ちに投与中止となる他の分子標的薬とは異なる。 間質性肺炎生じても休薬,再開可能 同試験に参加し,実際に間質性肺炎を発症した1例を同大学病院肝臓・膵臓・胆道内科の五十嵐久人氏が紹介した。 抗がん薬による間質性肺炎というとゲフィチニブ(商品名イレッサ)が頭に浮かぶ。 しかし,「エベロリムスは休薬後の再開基準が設けられており,これに基づく限り治療継続が可能だ。この患者もエベロリムスを休薬しステロイド治療を行った後,投与を再開し,現在も治療中である」(同氏)。 これまで,わが国では進行性pNETに対する治療薬がなかっただけに,伊藤氏は前述の試験結果は日本人の進行性pNET患者に対する標準治療となりうることを証明したものとの見方を示した。 Jobs氏によって知られることとなったpNETだが,現実は一般市民のみならず医療従事者においても疾患に対する認知はいまだ不十分である。 全米有数のすい臓がん患者支援団体PanCANの日本支部PanCANJAPAN事務局長の眞島善幸氏は,専門医の数や情報が少ないことから,pNET診断までに時間を要するという現状を指摘。 疾患啓発とともに,がん対策推進計画に希少がんを加え,希少がんの情報センターを設置するなどの対策を講じてほしいと呼びかけた。 出典 MT pro 2012.1.26 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
4月1日からHbA1cは+0.4%,日常臨床でも国際標準化 日本糖尿病学会が決定 日本糖尿病学会(JDS)は,懸案となっていた日常臨床におけるHbA1c値の国際標準化問題について,今年(2012年)4月1日から国際標準値であるNGSP※換算値の使用を開始する方針を決定した。 現在使用されているJDS値はNGSP値に比べおおむね0.4%(0.3~0.5%)低いため,今後はそれを加算した値が診療の場で使用されることになる。 なお,来年(2013年)3月31日までの1年間を移行期間に充てるという。 同学会が学会員および関連学会・団体向けに通知したもので,明日(1月20日)記者会見を開き,社会への浸透を図る方針だ。 日本糖尿病学会発表「基本方針・運用指針 http://www.jds.or.jp/jds_or_jp0/modules/news10/article.php?storyid=45#45 特定健診の結果は1年間JDS値で通知 日本糖尿病学会は2010年に糖尿病の診断基準を改訂し,診断の第一段階である糖尿病型の判定にHbA1cを新たに取り入れ,そのカットオフ値はNGSP換算値で6.5%,JDS値で6.1%とされた。 この際,英文誌論文や国際学会発表ではNGSP換算値の使用が推奨されたが,日常診療においては当面はJDS値を継続使用することとし,「本学会が別途告示する日時以降」全国一斉にNGSP換算値に移行する方針が示されていた。 今回,その「別途告示する日時」が今年4月1日と決定されたことになる。 ただし,来年3月31日までの1年間は移行期間とする方針だ。 この間,特定健診・保健指導においてはシステム変更に伴う問題などを避けるため,受診者や保険者への結果通知には従来通りJDS値のみを用いる。 来年4月1日以降の取り扱いについては関係者で協議する。 日常臨床においてもJDS値とNGSP換算値の違いやHbA1cの意義などを浸透させる期間に充て,当面はJDS値も併記するという。 なお,NGSP値とJDS値の間には下記の換算式が確定しており,これに従うと,JDS値をNGSP値に換算するには,HbA1c 4.9%の場合は0.3%を,同5.0~9.9%の場合は0.4%を,同10~14.9%の場合は0.5%を加算することになる。 NGSP値(%)=1.02×JDS値(%)+0.25% JDS値(%)=0.980×NGSP値(%)-0.245% (平田 直樹) 出典 MT Pro 2012.1.19 版権 メディカルトリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
新規薬剤の登場でC型肝炎治療に新展開 C型肝炎に対する抗ウイルス療法は,C型肝炎ウイルス(HCV)選択的抗ウイルス薬や免疫修飾薬などの登場により,新たな展開を迎えようとしている。 福岡市で開かれたJDDW 2011の第53回日本消化器病学会では,C型肝炎治療における最新知見が報告された。 ALT・AFPの低下を目指した治療介入を 武蔵野赤十字病院(東京都)消化器科の朝比奈靖浩部長らは,ウイルス学的治療効果を規定する因子,19番染色体のインターロイキン(IL)28B近傍のSNPがインターフェロン(IFN)治療後の肝発がんや線維化進行に与える影響について検討し,「IL28Bマイナーアリル(non-TT)の症例は,IFN治療例における発がんリスクが高いが,HCVの排除またはALT・AFPの低下により発がん抑止効果が得られる可能性がある」と報告した。 カットオフ値はALT値が35IU/L,AFP値が6ng/mL 朝比奈部長らは,同院にて肝生検により診断されたC型慢性肝炎・肝硬変のうち,IFN治療を行った773例を対象に,Cox比例ハザードモデルを用いて累積発がん率と発がん危険因子を解析した。 対象例のうち,IL28B遺伝子座の代表的なSNPであるrs8099917のメジャーアリル(TT)が574例,non-TTが199例で,平均観察期間5.0年間のうちに,肝細胞がん(HCC)の発症が40例に認められた。 累積HCC発がん率は,TT群に比べてnon-TT群で有意(P=0.002)に高かった。 治療法別の検討として,PGE-IFN/RBV併用療法を施行した症例と,PEG-IFN+RBV以外の治療を施行した症例に分けて比較すると,前者でのみ,non-TT群はTT群に比べて,有意(P<0.001)に累積HCC発がん率が高かった。 またウイルス学的著効(SVR)が得られた症例ではnon-TT群でのHCC発症は認められなかったが,非SVR例では,non-TT群はTT群に比べて有意に累積HCC発症率が高かった。 多変量解析で非SVR例におけるHCC発症の危険因子を検討すると,従来報告されている年齢(高齢)や性(男性),高度線維化とは独立して,IL28B non-TTが抽出された。 さらに同部長らは,IFN治療後のアルカリホスファターゼ(ALT)値およびαフェトプロテイン(AFP)値に着目。IFN治療後のALT値(IU/L)が35未満,あるいはAFP値(ng/mL)が6未満に低下した症例では,累積HCC発症率が低いことを見いだした。 IL28B non-TT例を多く含む非SVR例のみにおける検討でも,IFN治療後のALT値が35未満,あるいはAFP値が6未満に低下した症例では同様に累積HCC発症率が低かった。 高発がんリスク群では積極的な抗ウイルス治療の導入が基本 難治性C型肝炎症例に対する,現時点でのPEG-IFN/RBV併用療法の適応について検討した大阪大学消化器内科の平松直樹講師らは「高齢者や線維化進展例などの高発がんリスク群では,抗ウイルス治療の効果予測のいかんによらず,積極的に抗ウイルス治療を導入する必要がある」と指摘。 治療早期の抗ウイルス効果を考慮に入れて治療の継続・中止を決定する個別化治療が必要とした。 低発がんリスク群では待機も考慮を まず平松講師らは,Osaka Liver Forum(OLF)の関連施設において,PEG-IFN/RBV併用療法を施行したC型慢性肝炎4,062例のうち,2008年12月末までに治療を終了した2,098例(年齢56.3±10.7歳,男性1,042例)を対象に,Cox比例ハザードモデルによる多変量解析により,肝発がんに関与する因子を抽出した。 その結果, (1)年齢(55~65歳,65歳以上) (2)性(男性) (3)線維化進展例(F3-4)(4)ウイルス学的効果〔再燃群,ウイルス学的持続著効(SVR)群〕 —が抽出された。 また同講師らは,OLF関連施設においてPEG-IFNα2b/RBV併用療法を施行し,HCV-RNA測定が可能であったGenotype1型高ウイルス量のC型肝炎347例を対象に,HCV-RNA陰性化の時期や治療期間による著効予測,およびHCV-RNA減少率による著効/無効予測について検討。 結果,治療開始4週時のHCV-RNA減少率とSVR率には,1log未満/1-2log/2-3log/3-4log/4log以上/HCV-RNA陰性化:4/18/55/66/89/100%と強い相関が認められた(P<0.001)。 さらに,OLF関連施設においてPEG-IFNα2b/RBV併用療法を施行し,経時的なHCV量測定とIL28B遺伝子座のSNP測定が可能であったGenotype1型高ウイルス量のC型肝炎609例を対象に,IL28B遺伝子多型と治療反応性との関連を検討。 その結果,前述の治療開始4週時のHCV-RNA減少率を除いたSVRに関与する因子の検討では,線維化進展度と血小板数,IL28B遺伝子多型がSVRに関与する独立因子として抽出されたが,4週時のHCV-RNA減少率を含めた検討では,4週時のHCV-RNA減少率のみがSVRに関与する独立因子として抽出された。 同講師は「低発がんリスク群(非高齢者かつ非線維化進展例)では,次世代プロテアーゼ阻害薬をはじめとした新規抗ウイルス薬の臨床導入までの待機を考慮に入れる必要がある」と考察した。 PEG-IFNα2a少量長期投与で発がん抑制 武蔵野赤十字病院消化器科の泉並木部長らは,厚生労働省「ウイルス性肝炎における最新の治療法の標準化を目指す研究班」で全国多施設共同研究(21施設)を行い,PEG-IFNα2a少量長期投与療法の肝発がん抑止効果について検討。 PEG-IFNα2a少量長期投与群はコントロール群に比べて有意に発がん率が低く,特に線維化進展例で顕著に低かったことを示した。 治療24週目のALTあるいはAFPの正常化例では肝発がんが低い 対象は,48週以上の治療あるいは経過観察であったC型肝炎693例である。 うち,PEG-IFNα2a少量長期投与を行ったのは594例(PEG群)で,コントロール群99例(肝庇護療法施行32例,未治療67例)との比較により,肝発がんに寄与する因子を検討。 またpropensity matched control studyによる両群間の肝がん発生率を比較するとともに,PEG-IFNα2a投与中の発がん抑止にかかわる因子について検討した。 その結果,多変量解析により抽出された肝発がんに寄与する因子は (1)性 (2)年齢 (3)進行度(Staging) (4)血小板数 (5)総ビリルビン —であった。 また肝発がん率の比較では,PEG群の同率はコントロール群に比べて約6分の1で,発がんリスクが有意(P=0.0187)に抑えられていた。 特に,F3-4の線維化進展例では,PEG群の同率はコントロール群に比べて約12分の1と顕著に低かった(P=0.0036)。 さらにPEG群では,PEG-IFNα2a投与24週目に (1)ALT 40IU/L以下 (2)AFP 10ng/mL未満 (3)HCV-RNA陰性化 —のいずれか1つ以上が満たされていれば,肝発がん率が低いことも示された。 PEG-IFNα2a投与中に1度もHCV-RNAが陰性化しない場合にも,AFPが10ng/mL未満に改善されていれば,肝発がん率は低かった。 また,AFP値はPEG群では有意に低下していたが,コントロール群では低下していなかった。 新規治療薬の強力な抗HCV作用を示唆 虎の門病院肝臓センターの鈴木文孝部長らは,C型肝炎に対する新規薬剤の治療効果として,PEG-IFN/RBV併用療法にHCV非構造蛋白質5A(NS5A)阻害薬のBMS-790052を追加する3剤併用療法,およびBMS-790052とプロテアーゼ阻害薬のBMS-650032による2剤併用療法の同院での治療成績から,新規薬剤による治療で高い効果が認められていることを報告した。 特に内服2剤併用療法で良好 PEG-IFN/RBV+BMS-790052併用療法(24週投与)の対象は,Geno-type1型の高ウイルス量慢性肝炎17例(男性7例,年齢中央値61歳)で,うち未治療は9例,PEG-IFN/RBV併用療法の不応例(non-responder)は8例であった。 鈴木部長は「未治療例のSVR率は高率であるが,現在検討中で,不応例についても検討中である」と報告。副作用は,PEG-IFN/RBV併用療法によるものが主体であり,NS5A阻害薬による副作用の増加や悪化は明らかでなかったとした。 またBMS-790052+BMS-650032併用(24週投与)の対象は,Genotype1型の高ウイルス量慢性肝炎23例(男性7例,年齢中央値61歳)で,うち未治療は12例,PEG-IFN/RBV併用療法のnull-responder(治療開始12週でHCV RNA量が2logも下がらない非応答者)は11例であった。 null-responder 5例(コホート1)については,4例が治療開始8週目までにHCV RNAが陰性化。 1例は2週目に総ビリルビン上昇のため中止したが,その後SVRとなり,最終的なSVR率は5例中5例100%であった。 未治療の12例,null-responderの6例は現在検討中であるという。 同部長は「開始前のNS3またはNS5A領域に薬剤耐性ウイルスが認められる症例があり,治療効果に関して今後の検討が必要である」と指摘した。 出典 Medical Tribune 2012.1.12 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
ワインが健康に良いはウソか,米研究が“都市伝説”を暴く 酒にまつわる怪しい都市伝説は多い。 その1つが,ワインは他のアルコール飲料より健康に良いというものだ。 実際のところどうなのだろう。 米テキサス大学のCharles Holahan氏らが,J Stud Alcohol Drugs(2012; 73: 80-88)に発表した論文によると,どうもこの都市伝説はウソらしい。 「フレンチパラドックス」が生んだワインの都市伝説 フランス人が肉や乳製品を中心とした高脂肪な食生活を送っているにもかかわらず,心疾患などの生活習慣病に罹患する率が低いという「フレンチパラドックス」を説明する理由として,フランス人はよくワインを飲むからだといわれた時期が1990年代にあった。 おそらくこのころから,健康に良いというワインの都市伝説が生まれたのだろうが,既に「フレンチパラドックス」自体が否定されている(Arch Intern Med 2009; 169: 659-69)現在でも,ワインに特別な効能を期待する向きは多い。 Holahan氏らは,55~65歳までの男女802人を,飲酒習慣によって3つのグループに分けた。 内訳は,全く飲酒をしないグループ(345人),ワインを主に(飲酒量の3分の2以上)適度に(1日1~2杯程度)飲酒するグループ(176人),ワインはほとんど飲まない(飲酒量の3分の1以下)が他のアルコールは適度に飲むグループ(281人)の3群。 その後の寿命を,20年にわたり追跡調査した。 ワイン好きが長生きなのはワインのせいではない その結果,飲酒群は非飲酒群より有意に長生きしたが,主にワインを飲む群とワインはあまり飲まない群では,寿命に有意な差が見いだせなかった。 解析を行った当初は,主にワインを飲むか飲まないかだけで単純に両者を比較した場合,後者は前者より死亡率が1.85倍も高かった。 しかし,ワインをあまり飲まない群は,より高齢で,男性の比率,健康に問題を抱える人の割合,喫煙率がすべて高く,社会経済的な地位も低い上,積極的な運動もしないという傾向が認められたため,それらの要因で補正したところ,両者の間の差がなくなってしまったという。 つまり,主にワインを飲む人がワインをあまり飲まない人より長生きしたのは,ワイン自体のせいではなかったというわけだ。 ワイン信奉者には少し気の毒な研究結果ではあるが,アルコールを適度にたしなむ人は,全く飲まない人より長生きできることは実証されたようなので,それで良いのではないだろうか。 (サイエンスライター・神無 久) 出典 MT pro 2012.1.23 版権 メディカル・トリビューン社 <番外編> インフルエンザ,今後,学校などで流行本格化する可能性 9割がA香港型 出典 MT pro 2012.1.23 ■現在,国内で得られている検体の約90%をAH3亜型(A香港型)が占める。 ■同週の都道府県別の定点当たり報告数では東海3県が上位を占めた。 ■受診患者の年齢層の過半数は20歳以上の成人であった。 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
CETP阻害薬torcetrapibで2型糖尿病の糖代謝,インスリン抵抗性が改善 ILLUMINATE試験のpost-hoc解析 シドニー大学心臓研究所(オーストラリア・シドニー)のPhilip J. Barter所長らは,Investigation of Lipid Level Management to Understand its Impact in Atherosclerotic Events (ILLUMINATE)試験のpost-hoc解析から,HDLコレステロール(HDL- C)値上昇に働くコレステロールエステル転送蛋白質(CETP)阻害薬のtorcetrapibが,脂質異常症治療薬を服用中の糖尿病患者において糖代謝とインスリン抵抗性,HbA1c値をいずれも改善することが示されたとCirculation(2011; 124: 555-562)に発表した。 2型糖尿病患者を事後解析 心筋梗塞や脳卒中,末梢血管疾患などの既往歴のある心血管疾患高リスクの約1万5,000例を対象に実施されたILLUMINATE試験では,torcetrapib投与による心血管系の有害イベント発生率および死亡率の上昇が認められ,同試験は2006年に早期中止となった。 この結果を受け,同薬は開発中止に至ったが,その後,これらの有害事象はCETP阻害作用によるものではないことが判明した。 現在,同試験で問題とされた副作用が起こらないとされるdalcetrapibとanacetrapibが承認を受けるための臨床試験の段階にある。 今回,同試験の対象のうち2型糖尿病患者6,661例(アトルバスタチン+torcetrapib群3,271例とアトルバスタチン+プラセボ群3,390例)を抽出して事後解析を行った。 両群でベースライン時の患者背景や血糖値,インスリン値,HbA1c値に差は見られなかった。 その結果,治療開始から3カ月後のtorcetrapib群の空腹時血糖値は,プラセボ群より0.34mmol/L(6.1mg/dL)有意に低かった(P<0.0001)。 また,空腹時インスリン値は,プラセボ群に比べてtorcetrapib群で11.7μU/mL有意に低く(P<0.0001),インスリン抵抗性にも改善が見られた。 さらに,6カ月後の平均HbA1c値(国際標準値)はプラセボ群の7.29%に比べてtorcetrapib群で7.06%と有意に低かった(P<0.0001)。 以上から,2型糖尿病患者ではtorcetrapib投与により糖代謝やインスリン抵抗性,HbA1c値の改善が認められた。 一方で,アトルバスタチン+プラセボ群では,これらの改善は見られなかった。 非糖尿病患者でも改善効果 また,torcetrapibは,非糖尿病患者においても同様に血糖値およびインスリン値を改善したが,その改善幅は糖尿病患者に比べて小さかった。 また,torcetrapib群では1年後のHDL-C値が66.8%上昇したのに対し,プラセボ群ではわずかな変化しか認められなかった。 しかし,糖代謝やインスリン抵抗性の改善が,torcetrapibのHDL-C値への影響に部分的にも起因しているのか否かは不明としている。 筆頭研究者のBarter所長は「CETP阻害薬は心筋梗塞や脳卒中リスクを低下させるだけでなく,糖尿病患者では血糖値の改善をもたらす可能性が示された。このことは,糖尿病患者の臨床に大きな恩恵をもたらす非常に画期的な発見だ」と述べている。 また同所長は,torcetrapibでは,スタチン系薬投与下でよく見られる血糖への悪影響が少なかった点を指摘し,「CETPの阻害は,スタチン系薬の服用患者でよく観察される糖代謝管理の悪化を予防する効果があるのかもしれない」としている。 一方で,同所長は「torcetrapibによる血糖管理の改善がCETP阻害作用によるものかどうかなど,その機序は依然不明だ。現在行われている新薬の試験により,これが明らかにされるはずだ」と期待を示している。 出典 Medical Tribune 2012.1.12 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
福岡市で開かれた第47回日本腹部救急医学会のワークショップ「急性虫垂炎の治療方針−保存的治療vs開腹手術vs腹腔鏡手術−」から,急性虫垂炎治療の現状についての報告の紹介記事で勉強しました。 急性虫垂炎は腹部救急疾患の中で高頻度に見られるものだが,保存的治療とするか緊急手術に踏み切るかは術者や施設環境によって判断が異なる。 また手術も,可能ならば腹腔鏡下で行う施設が増えてきている。 単孔式腹腔鏡手術は日常的に実行可能 静岡市立静岡病院外科では,急性虫垂炎に対してポート(切開創)が1カ所のみの単孔式腹腔鏡手術を2009年初めに導入。 同科の宮下正科長(副院長兼任)は自施設の腹腔鏡手術の大半を単孔式が占めるようになったことを紹介し,こうしたポートを減らした術式は外科医に依存する要素が多いものの,日常的な治療として実行可能との考えを示した。 開腹理由の半数は環境・人的因子 従来の腹腔鏡下虫垂切除術では離れた3カ所にポートを作製するが,整容性を高めるためポートの数を減らした術式(単孔式,二孔式)も開発され,とりわけ臍部の単一切開創からすべての操作を行う単孔式腹腔鏡手術が最近注目を集めている。 同科では急性虫垂炎に関して,原則としてカタル性程度以下は保存的治療,化膿性程度以上は手術療法の適応としている。 術式(開腹,従来型腹腔鏡下,単孔式腹腔鏡下)は,緊急・臨時手術の特性を考慮し,医学的な判断に,医師や手術室の状況といった環境的な理由も加味して,個々の症例ごとに選択されている。 2009年1月~11年7月に同院で急性虫垂炎のため急性期に虫垂切除術を受けた患者は116例。開腹が57例,腹腔鏡下が59例とほぼ半々だった。 腹腔鏡下のうち,従来型は12例にとどまり,残り47例がポートを減らした術式(単孔式41例,二孔式5例,直径3mm以下の細径鉗子を用いる方式1例)となっていた。 開腹群,従来型腹腔鏡群,ポート減数腹腔鏡群の3群に分けて比較すると,開腹群でやや高齢者が多い傾向が見られた。 手術時間は腹腔鏡の両群で手術群よりも20分ほど長く,一方,出血量は開腹群で多かった。 炎症の程度はポート減数群でやや軽く,同群では穿孔例も少ない傾向にあり,膿瘍・腹膜炎の併発も最も少なかったことから,より軽症の症例にポート減数腹腔鏡下虫垂切除術が行われていることがうかがえた。 また,重症例のより多い開腹群では半数にドレーンが施行されていた。 術後入院期間は従来型腹腔鏡群6.6日,ポート減数腹腔鏡群5.1日に比べて,開腹群では9.8日と長かった。合併症は,腹腔鏡群では8%で軽度の創感染・皮下出血が多く,開腹群では14%で遺残膿瘍やイレウス,胆嚢炎も認められた。 単式腹腔鏡下虫垂切除術を導入した2009年からの術式の推移を見ると,従来型も含めた腹腔鏡下手術が短期間で着実に増えて,2年で開腹と腹腔鏡下の比率が逆転したことが分かる。 なお,昨年までは腹腔鏡下手術のうち単孔式が大半を占めていたが,今年に入って術者の制限を緩めたため,従来型腹腔鏡下も増えているという。 さらに,なぜ開腹手術が行われたかについて後ろ向きに検討したところ,純粋に医学的理由で開腹しなければならなかったのは54%で,残りの46%は環境因子や人的因子(外科医や麻酔医の都合)によって開腹が選択されていたことも分かった。 最後に,宮下科長は「単孔式手術は決してスタッフ全員に強要するものではないし,また,強要してはいけないと考えている」と述べた上で,「単孔式は環境や外科医に依存する要素が多い手術だが,ポートを減らした腹腔鏡下虫垂切除術は日常的な治療として実行可能である」と締めくくった。 腹腔鏡手術のさらなる普及にはバックアップ体制整備なども必要 三田市民病院(兵庫県)は外科医7人を擁する300床の一般病院だが,腹腔鏡下虫垂切除術はあまり普及していないという。 同院外科の藤原英利診療部長はその原因を検討し,麻酔科との連携や必要機材の確保といったバックアップ体制を整え,新人外科医の教育を進めれば,今以上に腹腔鏡で行えるようになるとした。 時間内に行われていること多い 2009年3月~10年9月の急性虫垂炎手術症例72例で,うち炎症が回盲部に及んでいた4例を除く68例を検討対象とした。 同科では急性期の手術を中心としており,interval appendectomy(IA,保存的治療で炎症を鎮静化させ,炎症が収まった数カ月後に虫垂を切除する待機的手術)は行っていない。 術式の選択は主治医の判断に任されているが,開腹手術例に関しては腹腔鏡手術を選ばなかった理由を確認している。 患背景を見ると,腹腔鏡群(27例)と開腹群(41例)で平均年齢に差はなかったが,女性比率は前者でより高かった。炎症の程度は両群で変わらなかった。 腹腔鏡群は全例全身麻酔だが,開腹群は全身麻酔は3割のみで,残りは脊椎麻酔。平均手術時間はそれぞれ83分,66分と,腹腔鏡群で長かった。 術後入院期間は腹腔鏡群6.4日,開腹群7.5日。手術部位感染(SSI)として皮膚感染が両群に1例ずつ,開腹群では体腔内感染も2例に認められた。 開腹となった理由を種類分けしてみると,まず麻酔科関連では,呼吸機能低下のため全身麻酔が危険で脊椎麻酔となった1例や,休日で非常勤麻酔科医との連絡が取れなかった2例など。 機材関連では,同院の腹腔鏡セットが3セットでオートクレーブ(高温高圧減菌)に対応していないため,手術が続いたときに機材が間に合わず開腹した6例など。 病状関連では,術前の画像診断で腹腔鏡手術が困難と予想された3例のほか,「若年男性で腹壁が薄く,虫垂が腹壁直下に認められたから」が多く,8例がこの理由で開腹となっていた。 また,抗凝固薬内服のため腹腔鏡手術を断念した症例も2例見られた。 手術開始時間を比べると,腹腔鏡群は7割以上が時間内であったが,開腹群は時間外の比率が時間内と同程度に高かった。 術者の外科経験年数別に見ると,意外なことに腹腔鏡群の方が経験年数が短い者(前期臨床研修終了後の外科専修期間が1~2年)が多いことも分かった。 さらに,虫垂切除術の月別変化を調べたところ,新入外科医を迎える春に一時的に腹腔鏡手術が選択されなくなり,彼らが慣れたころから増えてくるという人為的な差が認められた。 藤原診療部長は「腹腔鏡下虫垂切除術は全身麻酔が必要で,機材の準備もあるため,緊急手術といえども時間内に多く行われていた。性差では女性に多く選択されていた。 また,外科経験年数が1~2年の若い外科医が行っており,数カ月の経験を積んでから同術を選択しているようだ」と考察。「麻酔科との連携やプラズマ減菌機の導入といったバックアップ体制を整え,新人外科医の教育を進めれば,腹腔鏡下虫垂切除術をより普及させることも可能と思われる」と期待を示した上で,熟練外科医の若年男性に対する手術選択(開腹に傾きやすいこと)に関しては再考の必要があると付言した。 保存的治療後のIAとすることで不要な手術や手術合併症が減少 沼津市立病院(静岡県)外科では,急性虫垂炎に対して保存的治療後のIAを基本方針としている。 同科の福長徹第一外科部長は,IAにより不要な手術や手術合併症が減少すると強調。 救急医が手術適応を判断しなくてもよく,夜間緊急手術からも解放されるため,外科医や手術スタッフのストレス軽減にも寄与しているとした。 急性期手術の大半は患者の希望 同院では,以前は急性期手術を原則としていたが,2006年に治療方針を変更し,急性期は保存的治療を基本とするようになった。 患者の希望があれば準緊急手術も行うが,炎症のために合併症リスクが高くなることを十分に説明する。 保存的治療3カ月後に腹腔鏡下IAを勧めている。 福長部長はIAのメリットとして, (1)軽症例を経過観察したり拡大手術(特に回盲切除,ドレナージ)を回避することにより不要な手術が減る (2)待機手術なら正確なリスク評価ができ,また寛解期に手術を行うことで手術部位感染といった合併症も避けられる (3)夜間などで救急医が手術適応を判断しなくてもよくなり,夜間緊急手術から解放されるため医療者のストレスが減る —点を挙げた。 同部長は今回,2006年以降にあえて急性期手術を選択した症例のアウトカムを検証。 対象は2006年1月~10年12月に急性虫垂炎の診断の下,急性期手術を施行した29例で,対照群として同期間のIA 145例を設定した。 年齢や性には差はなかったが,急性期手術群では最初から開腹を選択した症例が多かった。 急性期に手術を行った動機としては,臨床所見上の理由(全身状態の悪化,憩室炎疑い,血友病)によるものは少数(4例)で,大部分(21例)は患者・家族の意思や都合(受験,仕事,旅行,前医の勧め)によるものだった。 残り(4例)は適応外だがやむをえず急性期手術となった症例。 アウトカムの評価として, (1)術式の変更がない (2)術後合併症がない (3)術後在院が4日以内である —を基準として検討したところ,アウトカム未達成率はIA群で1.4%と極めて少なかったのに対し,急性期手術群では37.9%と高率であった。 診断群分類包括評価(DPC)医療費について比較してみると,手術だけで見た場合,急性期手術群の方がIA群よりも在院日数が長い分,DPC医療費も高かった。 ただし,IAにその前段階の保存的治療でのDPC医療費を足すと,急性期手術よりも高額になった。 また,アウトカム達成の有無で見ると,未達成群では達成群の倍近いDPC医療費がかかっていることが明らかとなった。 同科では,急性虫垂炎の診断には主として造影MDCTを用いている。 初回CT所見とアウトカムを比較したところ,膿瘍形成例では,急性期手術群の10例中7例でアウトカムを達成できなかったが,IA群では未達成は32例中5例にとどまった。 腫瘤形成例も,急性期手術群では全例(2例中2例)がアウトカム未達成だったが,IA群では全例達成できていた。 この結果から,同部長は「初診時CT所見は急性期手術のリスク予測に有用」との考えを示した。 さらに,IAの意外なメリットとして, (1)内視鏡手術の入門として好都合 (2)周術期のクリティカルパスの導入に最適(3)保存的治療を介して地域医療とも連携しやすい —を挙げた。 出典 Medical Tribune 2011.10.20 版権 メディカルトリビューン社 <自遊時間> 米国イーストマンコダック社が経営破綻のニュース。 日本勢は多角化が奏功し脱フィルムで危機を乗り越え。 富士フィルムでは10年度の写真フィルム事業は1%とのこと。 それはそれで慶賀の至りだが、フィルムを使って胃カメラをやっている当院としては、数年後にフィルムの供給がなくなるということで手放しでは喜べない。 眼底カメラに至ってはポラロイドフィルムがなくなって機器が「お釈迦」になって久しい。 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
インフルエンザワクチン 有効性を裏付けるエビデンスは不十分 ミネソタ大学(米ミネソタ州ミネアポリス)のMichael T. Osterholm教授らは,インフルエンザワクチンの効果を評価した試験のメタアナリシスを行い,「米国で承認されているインフルエンザワクチンの有効性を裏付けるエビデンスは,依然十分に得られていない」とする研究結果をLancet Infectious Diseases(2011; 12: 36-44)に発表した。 効果が過大評価された可能性を指摘 2010年,米国の予防接種実施諮問委員会(ACIP)は季節性インフルエンザに対する予防接種について初の提言をまとめ,生後6カ月以上のすべての人に三価不活化ワクチン(TIV)の年1回接種を,2~49歳の妊娠していない健康な人にTIVか弱毒生ワクチン(LAIV)の年1回接種を推奨するとした。 インフルエンザワクチンを全死亡やインフルエンザ様疾患などの大まかなアウトカムに基づき評価した研究は多い。 しかし,それらの研究では同ワクチンの効果が過大評価されていた可能性があると指摘されている。 そこで,インフルエンザワクチンの効果について信頼度の高いエビデンスを得るため,Osterholm教授らは今回,1967年以降に発表された研究(ランダム化比較試験または観察研究)のうち,特異度の高い診断テスト(RT-PCR法またはウイルス培養)でインフルエンザ感染を確認した研究のみを対象としたメタアナリシスを実施。基準を満たす研究は31件に絞られた。 弱毒生ワクチンが小児で高い効果 解析の結果,TIV(米国でインフルエンザワクチンの90%を占める)によるインフルエンザ予防効果は,健康成人全体で59%にすぎないことが分かった。 一方,LAIVによるインフルエンザ予防効果は,7歳以下の小児で83%と著明に高かった。 しかしACIPは現在,これらの年少児に対するワクチンとしてTIVよりもLAIVを優先して推奨してはいない。 2009年のH1N1型パンデミックインフルエンザに対する一価ワクチンの予防効果の中央値は,65歳未満の人で69%であった。 Osterholm教授らは「この程度の予防効果は,抗原適合性が理想的で抗原に連続変異の起こっていないパンデミックのような状況では十分とはいえない。重篤な病的状態や死亡率上昇を招くようなパンデミックでは,有効性が69%か90%以上かで公衆衛生上の影響は大きく異なる」と懸念を表している。 また「現在のインフルエンザワクチンが高い予防効果を一貫して持つことを裏付けるエビデンスは,合併症リスクの高い者や65歳以上の高齢者に関しては得られていない。季節性インフルエンザによる公衆衛生上の負担が依然大きいことや,パンデミックが引き起こす地球規模の重大な影響の可能性を考えると,現在のワクチンより有効性が高く交叉防御効果があり,迅速に製造できる次世代ワクチンの開発が急務である」と指摘。 一方,「そのようなワクチンが開発されるまでは,季節性インフルエンザに対する最善の介入法である現在のワクチンの接種をこれからも支持していく必要がある」と述べている。 出典 Medical Tribune 2012.1.12 版権 メディカルトリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
意外と少ない!? マラソン中の心停止発生率 肥大型心筋症などでは要注意,米研究 近年,日本でもマラソン人気が過熱しているが,毎年およそ200万人の大会参加者を有するという米国で,マラソンと心停止との関連についての研究が行われた。 米マサチューセッツ総合病院心臓センター心血管機能プログラムのAaron L. Baggish氏らが同国における過去10年余りに起きたマラソン大会中の心停止例を検討したところ,10万人当たりの心停止発生率は0.54と,イメージに反して低いことが分かったという(N Engl J Med 2012; 366: 130-140)。 http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1106468?query=featured_home ただし,死亡例の約半数が肥大型心筋症や動脈硬化症であったことから,注意が必要であると述べている。 男性の心肺停止発生率は女性の5倍超 Baggish氏らは,米国で2000年1月1日〜10年5月31日に開催されたフルマラソンおよびハーフマラソン大会中(競技中もしくはゴール後1時間以内)に発生した参加者の心停止発生例とその転帰について評価を行った。 無意識かつ無呼吸状態を「心停止」と定義付け,サバイバーもしくは死亡者の最親近者への面接,カルテおよび検死データから各発生例の臨床的特徴について検討を行った。 対象期間中に開催されたフルマラソンおよびハーフマラソン大会の延べ参加者数は1,090万人であった。 そのうち59例(フルマラソン40例,ハーフマラソン19例)で心停止が発生(平均年齢は42歳,男性51例)していた。 参加者10万人当たりの心停止発生率を求めたところ,0.54(95%CI 0.41〜0.70)であった。 フルマラソンとハーフマラソンを比較した結果,10万人当たりの心停止発生率はフルマラソン〔1.01(同0.72〜1.38)〕がハーフマラソン〔0.27(同0.17〜0.43)〕の約4倍有意に高く,男女別では,男性〔0.90(同0.67〜1.18)〕が女性〔0.16(同0.07〜0.31)〕の5倍以上有意に高かった(いずれもP<0.001)。 男性のみで検討したところ,10万人当たりの発生率は1.41(同0.98〜1.98),対象期間別では前半〔2000〜04年;0.71(同0.31〜1.40)〕より後半〔2005〜10年;2.03(同1.33〜2.98)〕の方が男性の心停止発生率は有意に高いことが認められた(P=0.01)。 心停止例における死亡率は71% 一方,心停止による死亡例は,心停止発生59例中42例(71.2%)で認められた。 参加者10万人当たりの死亡率は0.39(95%CI 0.28〜0.52)であった。 フルマラソンとハーフマラソンを比較したところ,心停止死亡率はフルマラソン〔0.63(同0.41〜0.93)〕がハーフマラソン〔0.25(同0.14〜0.39)〕に比べ2倍以上有意に高かった(P=0.003)。 さらに,心停止発生59例のうち完全な臨床データが集計できた31例について,死因および蘇生因子を検討した。 31例中の死亡例は23例あり,死因の内訳は,肥大型心筋症(8例)および同症の疑い(7例)が過半数を占めた。 加えて,これら15例中9例の死因として,閉塞性冠動脈性疾患(3例),心筋炎(2例),大動脈二尖弁もしくは冠動脈奇形(2例),房室結節副伝導路(1例),異常高熱(1例)が追加記載されていた。 蘇生については,Fisherの正確検定により蘇生因子を求めた。 その結果,心肺蘇生(CPR)および肥大型心筋症以外の基礎的診断が最も強い蘇生因子として有意差が認められた(いずれもP=0.01)。 なお,サバイバーと死亡例の平均年齢を比較したところ,サバイバー49歳,死亡例39歳と,死亡例に比べてサバイバーの平均年齢は有意に高かった(P=0.002)。 今回の結果から,Baggish氏らは「フルマラソンおよびハーフマラソンの大会中の心停止リスクは極めて低いことが明らかになった」と結論付けた。 「71%という死亡率も,日常生活における心停止による死亡率が92%というデータと比較して極めて低い」とまとめた。 ただし,男性参加者においては心停止発生率が高く,最近5年の絶対リスクが上昇している点には要注意であるとした。 また,医療者に対し,肥大型心筋症や動脈硬化症の患者には特に注意すべきと主張した。 (松浦 庸夫) 出典 MT pro 2012.1.13 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
抗肥満薬としても有望? GLP-1は糖尿病の有無にかかわらず体重を減らす デンマーク・25試験対象のシステマチックレビューとメタ解析 デンマーク・コペンハーゲン大学のTina Vilsbøll氏らは,25件のランダム化比較試験(RCT)を含むシステマチックレビューおよびメタ解析から,グルカゴン様ペプチド(GLP)-1受容体作動薬が2型糖尿病の有無にかかわらず肥満のある人の体重を減少させるとの報告を行った(BMJ 2012; 344: d7771)。 http://www.bmj.com/content/344/bmj.d7771 今回の解析からは体重減少だけでなく血圧や総コレステロール(TC)の改善効果も見られたという。 同クラス薬の体重減少効果は以前から知られており,一部の薬剤では実際,抗肥満薬との二重盲検RCTも行われるなど,糖尿病だけでなく肥満治療薬としての位置付けも期待されているようだ。 非糖尿病例でも糖尿病患者と遜色ない効果 「肥満例の体重減少は容易なことではない」とVilsbøll氏ら。実際,非薬物療法による体重減少効果は1~6kgと報告されているものの,減少した体重の維持は困難であるともいわれている。 また,抗肥満薬による体重減少効果は平均3~5kgとされているが,有害事象の問題などから実臨床で同様の効果が得られないことも多いと指摘。 GLP-1受容体作動薬は,それまでの糖尿病治療薬で問題とされていた体重増加や低血糖,消化器系の有害事象が少ない薬剤として期待されているとして,同氏らは肥満例での同薬の効果について,今回の解析を実施した。 コクランライブラリーなどの文献検索データベースから,糖尿病の有無にかかわらずBMI 25以上の肥満成人を登録したGLP-1受容体作動薬関連のRCTを抽出。 いずれもエキセナチド(1日2回および週1回製剤)またはリラグルチドを少なくとも20週以上継続され,かつ対照薬にはプラセボあるいは経口糖尿病治療薬,インスリンが設定されている25件の試験(3報が肥満例のみ,22報が2型糖尿病の肥満例対象)が選定された。 21報,6,411例による解析の結果,GLP-1受容体作動薬群において対照群に比べ,明らかな体重減少が認められた(加重平均の差-2.9kg,95%CI -3.6~-2.2kg)。 試験間の異質性は認められたが,出版バイアスあるいは小規模試験による影響(small study effects)は見られなかった。 GLP-1受容体拮抗薬による体重減少の程度は非糖尿病の場合(3報の肥満例対象の試験:同-3.2kg,-4.3~-2.1kg)でも糖尿病患者への効果(18報の2型糖尿病患者対象の試験:同-2.8kg,-3.4~-2.3kg)に比べ遜色がなかったと同氏らは述べている。 さらに全体解析からは,GLP-1受容体作動薬群で血圧およびTCに対する良好な効果も認められたという。 一方,肝酵素への有意な影響は見られなかった。 また,同薬では対照群に比べ悪心,下痢や嘔吐などが多く(相対リスク1.70~4.33)見られたが,低血糖の有意な増加はなかった。 同氏らは今回の結果から「GLP-1受容体作動薬は2型糖尿病の有無にかかわらず,肥満例における体重減少をもたらす証左が得られた」と結論。 非糖尿病例の肥満改善効果に関しても詳細な検討が必要と述べている。 なお,既に同クラスの薬剤によるBMI 30超の肥満例564例を対象としたリラグルチドおよび抗肥満薬orlistat,プラセボの二重盲検RCTが報告されており(Lancet 2009; 374: 1606-1616),今回の解析対象にも含まれている。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19853906 (坂口 恵) 出典 MT pro 2012.1.12 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
卵巣がんの一般医向け予測ツールを開発,2年間で63%が“的中 英ノッティンガム大学” 英ノッティンガム大学プライマリケア医学教授のJulia Hippisley-Cox氏らは,一般医向けの卵巣がんリスクを予測する簡易オンラインツールを開発したとして,BMJ 2012年1月4日オンライン版に報告した。 同ツールで高リスクと判定された人では,その後2年間に63%が卵巣がんを発症した。 115万例超を2年追跡,8項目の予測因子を最終評価 世界で毎年22万5,000人が新たに診断されるという卵巣がんは,その多くが5年生存率5〜20%というステージⅢ〜Ⅳで診断されることから,早期発見が課題になっている。 そこで,Hippisley-Cox氏らは英国の大規模な患者データベースQReseach※を基に,一般医向けの卵巣がん簡易予測ツールの開発および評価を行った。 まず,同氏らは年齢30〜84歳,データ登録時(2000年1月1日〜10年9月30日)に卵巣がん未診断で,過去12カ月に卵巣がんの予測因子として知られる食欲不振,体重減少,腹痛,腹部膨満,直腸出血,閉経後出血が認められなかった女性115万8,723例(平均年齢51歳)を derivation群として,卵巣がん簡易診断ツールに採用すべき予測因子として17項目を評価した。 同群を2年追跡した結果,976例で卵巣がんが発症した。17項目について補正後の卵巣がん発症ハザード比(HR)を求めたところ,年齢のほかに卵巣がんの家族歴〔家族歴なしに対するHR9.8(95%CI 5.4〜178)〕,過去12カ月のヘモグロビン11g/dL〔11g/dL以上に対するHR 2.3(同1.7〜2.9)〕など計8項目が有意な因子として検出されたため,これらを卵巣がん簡易予測ツールの最終評価対象とした(表)。 患者自身が入力し,かかりつけ医に見せることも可能 次に,これら8項目の予測因子で構成される簡易予測ツールを作成。derivation群の条件に加え,両側卵巣摘出術未経験の60万8,862 例(平均年齢50.9歳)をvalidation群として,同予測ツールの妥当性を検証した。同群では2年間に538例で卵巣がんが発症。卵巣がん発症までの推計変化率(R2)は57.6%(95%CI 54.8~60.4%),識別尺度(D統計量)は2.38%(同2.24~2.51%),受信者動作特性曲線(ROC)は0.84%(同 0.83~0.86%)をそれぞれ示した。 さらに,同予測ツールで発症リスクが上位10パーセンタイルの者を高リスク群と定義したところ,新たに卵巣がんを発症した538例中340例が高リスク群であり,追跡2年間の卵巣がん発症率は63.2%と高い陽性率を示した。 今回の結果を受けて,同氏らは「単純変数に基づいて開発した簡易予測ツールの高い精度が立証された」と結論。 「一般医による卵巣がん高リスク者に対する確定診断につながる」と自信を見せている。 なお,同簡易予測ツールはオンラインで一般公開されているため,患者自身が入力し,その結果をかかりつけ医に見せることで啓発効果もあるとしている。 (松浦 庸夫) 出典 MT Pro 2012.1.13 版権 メディカル・トリビューン社 <私的コメント> 先週、下肢浮腫と腹部膨満を主訴とした60代女性が来院されました。 左下腹部腫瘤と腹水(本人は自覚せず)も認められたため腹部エコーを行いました。 検査の結果、卵巣がん+腹水+肝転移ということが判明しました。 症状が出たのは2週間前ということで進行の速さにただただ驚くばかりでした。 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
2010年から2011年にかけて相次いで新薬が登場し、大きな転換期を迎えた骨粗鬆症治療。 「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」2011年版の改訂作業も大詰めになっています。 多様性を増した骨粗鬆症薬のそれぞれの特徴を専門家に聞いた記事で勉強しました。 2010年、骨吸収抑制薬しかなかった骨粗鬆症治療薬に、骨新生を促進するという新たな機序の骨形成促進薬が登場し、大きな注目を集めた。 2011年には新規の活性型ビタミンD3製剤に加えて、週1回製剤が主流だったビスホスホネート製剤で初めて4週1回製剤が発売となり、さらにはテリパラチド週1回製剤も登場した。 この2年間で、骨粗鬆症薬はまさに百花繚乱の状態になった。 さらに今後も、新しい作用機序の骨吸収抑制薬や異なる剤形のビスホスホネート製剤の発売が続くとみられている(表1)。 表1●現在使用できる主な骨粗鬆症治療薬 ![]() 導入にはビタミンD3やSERM 活性型ビタミンD3製剤は腸管からのカルシウム吸収を促進することから、カルシウム不足の患者に適している。 また、骨折抑制効果はさほど大きくないものの服用が簡便なので、閉経前患者や男性患者、軽度骨粗鬆症患者の導入薬剤としてよく使用される。 2011年1月に承認されたエルデカルシトールは従来のビタミンD3製剤よりも血中濃度を長時間維持できることが特徴だ。 ビタミンD受容体との親和性は低く、有害事象の減少も見込まれている。 骨密度を増加させ、椎体骨折を防ぐ効果についても、従来薬のアルファカルシドールよりも有意に優れていることが明らかになっている。 東京大学整形外科学准教授の田中栄氏は、「米国ではビタミンD3を含む牛乳やジュースが販売されており、サプリメントでビタミンD3を補充する動きが盛んだ。日本ではまだビタミンD3製剤の他の薬剤への上乗せ効果が十分に解明されているとは言い難い。今後研究が進めば、より優れた有効性が明らかになる可能性もある」と見込む。 SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)は骨内のカルシウムが血液中に溶け出すことを防ぐ。 女性ホルモンのエストロゲンと似た作用のため、更年期症状を悪化させることがあり、適応は閉経後女性に限られる。 近年、心血管イベントや乳癌の発生を抑制する効果があるとの報告がなされ、副次的な効果に注目が高まっている。 服用も簡便で、閉経後比較的早期の患者への導入薬剤として適している。 骨折リスク高い患者にPTH 2010年に登場したテリパラチドは、骨芽細胞を増加させ骨新生を促進する。 最初に発売された1日1回製剤に加え、2011年には週1回製剤が登場した。 1日1回製剤は自己注射、週1回製剤は病院や診療所での注射となる。 腰椎骨密度の増加ではビスホスホネート製剤を上回る効果が示されており、高い骨折予防効果を有する。 「骨粗鬆症患者がいったん骨折すると、骨は元には戻らない。骨折後の患者や骨密度が非常に低く骨折リスクの高い重症患者、骨形成が大きく抑制されているステロイド性骨粗鬆症患者など、骨量を増やす必要性の高い患者に対し、テリパラチドを積極的に使用すべき」と田中氏は話す。 週1回製剤と1日1回製剤では、薬物動態が異なる可能性も指摘されている。 臨床試験での骨代謝マーカーの推移をみると、1日1回製剤では骨形成マーカー・骨吸収マーカーともに増加していたのに対し、週1回製剤では骨形成マーカーが高値を示し、骨吸収マーカーは低値を示すという結果だった。 メカニズムは明らかになっておらず、今後の臨床経験の蓄積が待たれる。 新たな機序の薬剤開発も進む 従来とは異なる機序の薬剤としては今後、どのような薬剤が登場するのだろうか。 まずは、破骨細胞分化因子(receptor activator of nuclear factor κB ligand:RANKL)の完全ヒト型モノクローナル抗体であるデノスマブが挙げられる。デノスマブはRANKLと受容体の結合を阻害し、骨吸収を抑制する。 半年に1回の皮下注射剤という点も特徴だ。 9月に米国で開催された第33回米国骨代謝学会では、8年間投与を続けても骨密度の改善が継続したとする結果が発表された。 2010年に欧米では骨粗鬆薬として認可されており、日本で承認されれば骨粗鬆症薬で初の生物学的製剤となる。 介護施設の入所者などビスホスホネート製剤の使用が難しかった患者や全身性疾患である関節リウマチ患者への使用が考えられる。 カテプシンK阻害薬であるオダナカチブも、従来薬とは異なる作用機序の薬剤だ。 カテプシンKは破骨細胞に特異的に発現し、骨のコラーゲン分解に関与しているプロテアーゼ。 この酵素を選択的に阻害するため、破骨細胞への直接的な作用は少ない。 従来の骨吸収抑制薬のように骨代謝回転を過剰に抑制することなく、骨吸収を抑制できるのではないかと期待されている。 ビスホスホネート製剤が第1選択 鳥取大学保健学科教授の萩野浩氏は、「新しい薬剤が登場しているとはいえ、ビスホスホネート製剤が多くの患者に対する第1選択薬であることは変わらない」との見方を示す。 その理由として挙げられるのが、ビスホスホネート製剤では、骨粗鬆症の治療目標である各部位の骨折抑制効果が明確に示されていることだ。 例えば、アレンドロン酸とリセドロン酸には、椎体骨折・非椎体骨折・大腿骨近位部骨折の抑制効果を示すエビデンスレベルの高い試験結果がある。 2011年内に発行される予定となっている新しい「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」でも、最も高い推奨度が示される見通しだ。 他の薬剤では、椎体骨折または椎体骨折と非椎体骨折の抑制効果は示されていても、大腿骨近位部骨折の抑制効果まで検討した報告はないことが多い。 これを踏まえて萩野氏は、「ビスホスホネート製剤は幅広い部位の骨折を確実に抑制できることが明らかになっている。安価な薬剤でもあり、治療の中心と位置付けられる」とする。 4週1回製剤が今後の主流に? ただし、ビスホスホネート製剤にはいくつか未解決な課題がある。 1つ目は、服用しにくく服薬コンプライアンスが悪いという点だ。 ビスホスホネート製剤は、骨表面に吸着すると骨半減期が非常に長い一方で、血液中でカルシウムイオンなどと結合すると速やかに体外に排泄されてしまう。 このため、食後に服用することが多い他の薬剤とは異なり、朝起きてすぐに服用し、30分は上体を起こしたまま水以外の飲食を控えなければならない。 「週1回製剤の登場で、毎日服用するよりも投与間隔は空いたが、今でも服用する際には緊張すると話す患者がいる。起床後すぐに服用し、その後30分は飲食を控えるというのは、やはり患者にとって大きな負担に感じられるようだ」と田中氏。 そこで期待されているのが、2011年7月に承認されたミノドロン酸の4週1回製剤だ。 他のビスホスホネート製剤でも4週1回経口剤や注射剤の開発が進んでおり、いずれは4週1回製剤が主流になるとみられる。 「1カ月に1回の服用で済むことから、週1回製剤よりも服薬コンプライアンスは上がると推測される。投与間隔が空くことで、胃腸障害などの副作用も減少する可能性があるのではないか」と萩野氏はみる。 52週での骨折発生頻度を1日1回製剤と比較したところ、4週1回製剤で総骨折発生数が1日1回製剤より低下する傾向が得られており、長期の間欠投与で骨折抑制効果が増強する可能性もありそうだ。 長期の服薬は休薬の検討が必要 2つ目の課題は、骨表面に吸着して破骨細胞の活性を低下させ、骨吸収を抑制して骨破壊を抑制するというビスホスホネート製剤の機序自体に関連している。 骨半減期が非常に長いビスホスホネート製剤は、服薬を中止しても一定期間は効果が続くとされている。 裏を返せば、骨形成が低下して骨代謝回転が過剰に抑制され、骨脆弱性が増悪する危険性の高い状態が継続するとも言える。 2010年に米国University of CincinnatiのNelson B. Watts氏らはビスホスホネート製剤の骨への蓄積を考慮すると、患者の骨折リスクに応じた休薬期間が必要ではないかと提言した(表2、J Clin Endocrinol Metab 2010;95:1555-65.)。 表2●ビスホスホネート製剤の休薬期間に関する提言 ![]() だがその後、休薬によって骨折リスクが上昇したとの報告も出され、ビスホスホネート製剤を休薬すべきかどうかについては、日本でもまだコンセンサスは得られていない。 「漫然と長期にわたり投与するのではなく、5年ほど使用した段階でいったん骨代謝マーカーや骨密度を計測し、ビスホスホネート製剤の有効性を評価する必要はあるのかもしれない」と萩野氏は指摘している。 もう1つは、ビスホスホネート製剤の長期服用中に非定型大腿骨骨折を来す患者が発生するのではないかという疑念だ。 海外では約0.05%の頻度とされているが、日本での発生頻度は不明だった。 そこで、日本整形外科学会骨粗鬆症委員会は全国調査を行い、このほど結果を公表した(下図)。 ![]() 非定型大腿骨骨折患者が大腿骨近位部骨折全患者に占める割合は約0.5%だった。 ビスホスホネート製剤の使用割合は約30%で、ビスホスホネート製剤と非定型大腿骨骨折の関連性について明確な結論は出なかった。 萩野氏は、「関連性を明らかにするためには今後、コホート研究などを実施する必要があるだろう。また、非定型大腿骨骨折の手術成績についてもデータ収集を行うべきではないか」と指摘している。 ビスホスホネート製剤と非定型大腿骨骨折との関連は判明せず 日本整形外科学会骨粗鬆症委員会では、ビスホスホネート製剤と非定型大腿骨骨折との関連性を調べるため、全国調査を行った。 対象は日本整形外科学会臨床研修認定施設2016施設および臨床整形外科有床診療所1100施設で、2010年1~12月に非定型大腿骨骨折と診断し治療した症例の情報を収集した。 解析対象は398例で、ビスホスホネート製剤を使用していたのは119例(29.9%)、使用期間は3年以上が45.4%と最も多かった。 第33回米国骨代謝学会より 第33回米国骨代謝学会(ASBMR)が9月16~20日に米国サンディエゴで開催された。 新しい治療薬に関しては、2011年9月に日本で承認されたテリパラチド週1回製剤の最新の臨床試験成績を、産業医科大学整形外科教授の中村利孝氏が発表した。 試験は脆弱性椎体骨折を来す危険性が高い65~95歳の骨粗鬆症患者を対象にしたランダム化二重盲検プラセボ対照多施設比較試験で、全国65施設が参加した。 プラセボ群286人(男性10人、女性276人、平均年齢75.5歳)、テリパラチド群286人(男性13人、女性273人、平均年齢75.1歳)が解析対象となった。 観察期間は72週、主要エンドポイントはX線撮影による新規椎体骨折累積発生率だった。 新規椎体骨折の累積発生率は、プラセボ群14.5%に対しテリパラチド群3.1%と、相対危険度を79.9%減少させる著明な低下がみられた(P<0.001)。 72週を24週ごとに分けて検討したところ、いずれの週でもプラセボ群では約5%の骨折発生がみられたのに対し、テリパラチド群では2.3%、0.9%、0%と徐々に減少していた。 安全性に関しては、死亡および重篤な有害事象の発生率において、両群に有意差はなかった。 吐き気や嘔吐、頭痛といった有害事象に関して、プラセボ群よりもテリパラチド群で多い傾向がみられたが、一過性であり制吐剤の投与などで対応可能だった。 また、骨吸収抑制作用を持つ抗RANKL抗体であるデノスマブの臨床試験成績も注目を集めた。 RANKLとは、破骨細胞の分化・活性化に必須の蛋白質であり、日本でもデノスマブの臨床試験が進行中だ。 閉経後骨粗鬆症女性患者200人にデノスマブを半年おきに60mg最長8年間投与したところ、ベースライン時に比べて腰椎骨密度は16.8%、大腿骨近位部骨密度は6.9%増加した。 米国オレゴン骨粗鬆症センターのMichael McClung氏は、「骨粗鬆症は長期の治療を必要とする疾患であり、今回の試験でデノスマブは少なくとも8年間にわたり骨密度を改善する効果があることが示された」と結論付けた。 出典 日経メディカル2011年12月号特別編集版「特集1」 2012.1.5 小又理恵子=日経メディカル開発 版権 日経BP社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
月に1回のMRさんとの面会記録です。 ①持田製薬 ②武田 ■ネシーナのHbA1c低下作用 ■「実験 治療 2011 No.704」 冬期疾患の診療ポイント〜患者さんへのアドバイスを含めて ■「ロゼレムによる不眠症治療のポイント」 配布 MRさんいわく夜間排尿による不眠に有効と。 「③ノバルティス ■ラジレスALTITUDE中止のパンフ配布 ■「VISION研究」 ④アステラス製薬 ⑤帝人ファーマ ■フェブリク 「ガイドラインから学ぶ高尿酸血症のリスク」パンフ配布 ⑥第一三共 ■「HONEST Study News」配布 ■「Daiichi-Sankyo循環器2011 心不全Up-to-date 記録集」 ■イナビル吸入粉末剤20mg 紹介 ■メマリーノート ⑦シオノギ製薬 ■サインバルタ 紹介 ■点滴静注用抗インフルエンザウイルス剤 ⑧大塚製薬 ⑨中外製薬 ■「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2011年版」配布 ■エディロールカプセル 紹介 ⑩協和発酵キリン 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
アスピリンを除くNSAIDの長期使用 腎細胞がんリスク増加に関連 ハーバード大学とBrigham and Women's病院(ともにボストン)内科のEunyoung Cho助教授らは,アスピリンを除く非ステロイド抗炎症薬(NSAID)の長期使用が腎細胞がん(RCC)リスク増加に関連していることをArchives of Internal Medicine(2011; 171: 1487-1493)に発表した。 10年超でリスクは約3倍に 研究の背景情報によると,腎がんは米国の男性では7番目,女性では9番目に多いがんである。 腎がんの最も一般的な種類であるRCCは,全患者の85%を占める。 一方,鎮痛薬は米国で最も使用されている薬剤群の1つで,がんから保護する作用を示すものもあるが,Cho助教授らは「主に症例対照研究で得られた多くの疫学的データでは,鎮痛薬の使用とRCCのリスク増加との関連性が示唆されている」と述べている。 同助教授らは前向きコホート研究である女性看護師保健研究(NHS)とHealth Professionals Follow-up Studyのデータを用いて,鎮痛薬使用とRCCリスクとの関連性について検討した。 前者のデータは1990年から,後者のデータは86年から解析を始め,その後2年ごとにアスピリン,その他のNSAIDおよびアセトアミノフェンの使用について調査した。 フォローアップ期間はそれぞれ16年と20年であった。 同助教授らはベースラインと鎮痛薬の使用期間ならびに体重,喫煙,身体活動および高血圧の病歴など,RCCに関する他の危険因子を評価した。 研究に登録された女性7万7,525例,男性4万9,403例のうち,333例がRCCを発症した。 アスピリンおよびアセトアミノフェンの使用とRCCリスクとの間には関連性は見られなかった。 一方,アスピリンを除くNSAIDの常用とRCCリスク増加との間には関連性が認められ,相対リスクが51%増加した。 また,アスピリンを除くNSAIDの使用期間とRCCリスクとの間には用量反応関係が認められた。 非常用と比べた相対リスクは,鎮痛薬の常用年数が4年未満の場合には19%減少し,4~10年では36%増加し,10年を超えるとほぼ3倍であった。 同助教授は「これらの大規模な女性と男性の前向き研究で,われわれはアスピリンを除くNSAIDの使用が,特に長期間服用していた人々の間でRCCリスク増加に関連していたことを見いだした。鎮痛薬を使うかどうかを決めるときには,リスクと効果を検討すべきだ。われわれの研究結果が追認されれば,RCCリスク増加も検討されるはずだ」と述べている。 出典 MT pro 2012.1.5 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
睡眠呼吸障害(SDB)は,動脈硬化や高血圧,糖尿病など,さまざまな慢性疾患との関連が示唆されており,24時間社会の現代においては,その対策が最も急がれる疾患の1つといえる。 京都市で開かれたWorldsleep 2011〔会長=シドニー大学(シドニー)睡眠統合研究センター(CIURS)睡眠医学・Ronald R. Grunstein教授,組織委員長=滋賀医科大学睡眠学講座・大川匡子特任教授,アジア睡眠学会理事長〕のプレナリーシンポジウム“The Burden of Sleep-Disordered Breathing Across the Globe”〔座長=ジョンズホプキンス大学(米メリーランド州ボルティモア)内科/疫学・Naresh M. Punjabi准教授,日本大学内科学系睡眠学分野・赤柴恒人教授〕では,米国,オーストラリア,ブラジル,日本のSDBのエキスパートが最新の知見を紹介,その機序と臨床的意義について活発な議論を展開した。 ~Sleep Heart Health Study~ 睡眠時無呼吸症候群とさまざまな疾患の有病率および発症率が関連 座長のPunjabi准教授は,Sleep Heart Health Studyの結果を紹介。 睡眠時無呼吸症候群(SAS)は高血圧や脳卒中の発症リスクおよび総死亡率の上昇と有意な関連が認められたと述べた。 ベースラインのAHI高値は高血圧,CVD,CHF有病率と関連 Sleep Heart Health Studyは米国各地から6,400人以上を登録して1994年に開始された大規模前向き試験。 対象は40歳以上の男女で,持続陽圧呼吸(CPAP)治療,酸素補給,気管切開を受けた患者は除外。 登録時にポリソムノグラフィー(PSG)を行い,ベースライン時の各種疾患の有病率や健康関連の習慣(喫煙,アルコール摂取,カフェインなど)を調べ,縦断的にアウトカムを追跡。2011年8月31日に最終追跡を終了した。 ベースライン時の各種疾患の有病率を見ると,無呼吸低呼吸指数(AHI)5.0以上で高血圧のオッズ比(OR)が有意に高く,AHI 30以上ではOR 1.37〔95%信頼区間(CI)1.03~1.83〕と高かった。 心血管疾患(CVD)はAHIを四分位で区分したところ,AHI 11.0以上の群でOR 1.30(95%CI 1.01~1.67)と第1四分位群と比べ有意に高かった。 同様に心不全(CHF)もAHI 11.0以上の群でOR 2.20(同1.11~4.37)であり, SDBの重症度とこれらの疾患の有病率が有意に相関していることが確認された。 SDB重症は疾患発症リスクや死亡率上昇と関連 ベースライン時にCVD,CHFを有していなかった者の発症率とSDBとの関連を前向きに検討したところ,ベースライン時に正常血圧だった者のうちBMI 27.3以下の群で,ベースライン時AHI 30以上の場合,高血圧発症リスクは2.71倍に上ることが判明した。 BMI 2.73超の群でもベースライン時のAHIが高いほど高血圧発症リスクは上昇する傾向にあるものの,有意ではなかった。 一方,CVDの発症リスクに関しては,70歳未満の男性で,ベースライン時のAHIが5.0未満と30.0以上を比較したところ,後者のハザード比(HR)は有意ではないものの1.68倍(95%CI 1.02~2.769)と高くなる傾向が報告されている。 脳卒中に関して男女別に見ると,男性ではベースライン時の閉塞型AHI(OAHI)が四分位の最高群で発症リスクが2.86倍(95%CI 1.10~7.39)になるが,女性では1.21倍(同0.65~2.24)と,リスクは有意に上昇せず,これは症例数の少なさによる統計学的パワーの小ささが関係しているであろう,とPunjabi准教授は述べた。 脳卒中に関しては,2006年4月~11年8月31日の新規症例の解析が現在進行中だという。 総死亡率に関しても,AHIがベースライン時に高いほど上昇する傾向が認められるが,男女とも70歳以下の群でその傾向が著明に認められ,特に男性のAHI 30以上の群では5.0未満の群と比べて総死亡率は2.09倍(95%CI 1.31~3.33)と有意に高かった。 総死亡率に関しても最新のデータ解析が現在行われている。 これ以外に,糖や脂質代謝とSASとの関連を示すデータも得られている。 最後に同准教授は,Sleep Heart Health Studyで得られた知見として「SASは,CVD,高血圧,脳卒中,代謝障害,総死亡,日中の眠気,QOLの障害,心不全のすべてに関連する重大な疾患だ」とまとめた。 出典 MT pro 2012.1.5 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
2011年に作成された新しい「腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン」の主な内容を紹介した記事で勉強しました。 腰部脊柱管狭窄症 - 新しい診療ガイドラインから 腰部脊柱管狭窄症は、腰部の神経圧迫によって脚のしびれ・痛み、歩行障害などを来す一連の症候群である。また、ロコモティブシンドロームの主要な要因としても知られている。 はじめに 医療の進歩・高度化が著しい現在、安全で有効かつ効率的な医療は社会的要請である。 このような中で、日本整形外科学会では各種疾患について、エビデンスに基づく診療ガイドラインの作成を行っており、今回新たに「腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン」が作成された。 腰部脊柱管狭窄症は、高齢社会を迎えたわが国において、ロコモティブシンドロームの主要な要因の1つである。 本ガイドラインは、2008年4月から日本整形外科学会と日本脊椎脊髄病学会の監修により作成が開始され、2011年11月1日に刊行された。 作成メンバーは日本整形外科学会の腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン策定委員会の10名であり、日本脊椎脊髄病学会診療ガイドライン策定委員会も同一のメンバーから構成されている。 本ガイドライン作成にあたり、北米脊椎学会(North American Spine Society:NASS)のガイドラインに収載された2006年までの英文論文については改めて精読の上、選別し採用することとした。NASSのガイドライン以後2008年までの英文論文については、NASSのガイドラインと同じ検索式を用い、新たに767編を選定した。 一方、和文論文については1989年から2008年までの271編を選定した。 さらに論文内容を精査し、最終的には英文29編、和文6編の合計35編をNASSのガイドライン後の採用論文とした。 新診療ガイドラインの概要 本ガイドラインは、病態・自然経過、診断、治療、予後の4章からなり、合計17のクリニカルクエスチョンについて記載されている。 作成に際しては、日本における質の高い研究成果を積極的に採用するとともに、わが国の実地医療にも配慮した。 本ガイドラインでは、腰部脊柱管狭窄症を症候群として定義し、表1のような診断基準(案)を提示した。 神経性間欠跛行は腰部脊柱管狭窄症にてよくみられる症状であるが、立位のみにて殿部から下肢の疼痛やしびれが増強して歩行できない例や、歩行にて殿部から下肢の疼痛やしびれが増強するものの休息せず歩行し続けることができる例があり、神経性間欠跛行を必須条件とはしなかった。 推奨度については表2のような内容を採用した。 表1●腰部脊柱管狭窄症の診断基準(案) ![]() 表2●新診療ガイドラインで記載された推奨度 ![]() 腰部脊柱管狭窄症の自然経過はどのようなものか ・腰部脊柱管狭窄症の軽度または中等度の患者のうち、1/3ないし1/2では自然経過でも良好な予後が期待できる。(推奨度B) ・腰部脊柱管狭窄症の軽度または中等度の患者では、神経機能が急激に悪化することはまれである。(推奨度B) 腰部脊柱管狭窄症患者のすべてが症状の増悪を来すとは限らないことは、日常診療にてよく経験することであり、患者へのインフォームドコンセント、手術適応の決定に際して考慮する必要がある。 また、腰椎MRIなどでは無症候性の狭窄所見がみられることがあり、神経機能が急激に悪化した場合は、椎間板ヘルニア、脊椎腫瘍、脊髄腫瘍など、他の病変が原因である可能性を含めた検索を行う必要がある。 腰部脊柱管狭窄症を診断するために有用な病歴および診察所見は何か ・患者が中高齢で、座位により改善あるいは緩和する下肢痛がある場合は腰部脊柱管狭窄症の可能性が高い。・・・歩行時に下肢痛が増強しなければ、腰部脊柱管狭窄症の可能性は低い。(推奨度I) ・「腰部脊柱管狭窄診断サポートツール」は、患者をスクリーニングするために用いられるツールとして簡便で有用である。(推奨度B) 腰部脊柱管狭窄診断サポートツール(表3)は、わが国で作成された有用な患者スクリーニングツールであり、本症の診断において活用が期待される。 ![]() 腰部脊柱管狭窄症における薬物治療の意義は何か ・経口プロスタグランジンE(1)は神経性跛行ならびに両下肢のしびれを伴う馬尾症状を有する腰部脊柱管狭窄症の治療に短期間は有効である。(推奨度B) 神経性間欠跛行ならびに両下肢のしびれを伴う馬尾症状を呈し、MRIにて退行性中心性狭窄を認める腰部脊柱管狭窄症患者に対する、経口プロスタグランジンE(1)(リマプロスト15μg/日)の有用性をNSAIDsと比較した結果、QOLならびに下肢しびれ、間欠跛行距離の有意な改善がリマプロスト投与群でみられた。 腰部脊柱管狭窄症における薬物治療・その他の保存治療の長期成績はどのようなものか ・保存治療の予後を左右するものは、病態と初期治療の成績であった。 神経根症状が主体の患者、初期治療の成績が良好であった患者では、長期成績も良好であった。 一方、変性側弯合併例では保存治療の長期成績は劣っていた。(推奨度C) これらの推奨内容は、保存治療に関する患者への説明の際に有用と思われる。 腰部脊柱管狭窄症の手術治療成績に影響する因子は何か ・75歳以上の腰部脊柱管狭窄症患者は、除圧術により65歳以上75歳未満の患者とほぼ同等の手術成績を期待できる。高齢という理由だけで手術回避を強く勧める理由とはならない。(推奨度C) ・手術適応と判断された患者において、罹病期間が長すぎると十分な改善を得られないことがある。(推奨度B) ・安静時の下肢しびれは消失しにくい。(推奨度B) ・術前にうつ状態があると成績が低下する。(推奨度B) 腰部脊柱管狭窄症に対する手術治療の長期成績(4年以上)はどのようなものか ・腰部脊柱管狭窄症に対する手術治療の長期成績は、4~5年の経過では総じて患者の70%~80%において良好であるが、それ以上長期になると低下することがある。(推奨度C) これらの推奨度は、患者へのインフォームドコンセントや手術適応の決定の際に参考になると思われる。 おわりに 本ガイドラインは系統的な文献検索により、執筆時における最新の知識を中立的な立場からまとめたものであり、日常診療に活用されることを心より希望している。 しかしながら、本ガイドラインが腰部脊柱管狭窄症に関する疑問にすべて答えるものではなく、個々の患者の診療においては、医師と患者間の十分なインフォームドコンセントによる合意形成が基本となることは言うまでもない。 また、腰部脊柱管狭窄症という病名が示すように、現在のところ、神経や血管自体の変化ではなく、それらを入れる脊柱管あるいは椎間孔の形態により病態が論じられている。 しかし、同じように圧迫されている神経でも、可逆的な循環不全の状態にあるものから、ウォラー変性に近いものまでさまざまな変化がありうるし、神経障害の範囲、程度、時間的変化も圧迫部位での横断的な広がりから、頭尾側方向への広がりまで多彩なものが考えられる。 病態の解明や診断・治療法の進歩により、将来、本ガイドラインの執筆内容が大きく変化する可能性もあり、むしろ変化すべきものと考えている。 出典 NM online 2011.12.29 版権 日経BP社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
北里研究所病院糖尿病センター長・山田悟先生による“糖質制限食 vs. カロリー制限食”問題の本質と展望についての解説記事で勉強しました。 “糖質制限食 vs. カロリー制限食” 山田悟氏に聞く 熱い議論が展開されそうな今年の注目テーマ 今年(2012年),糖質制限食(低炭水化物食)※をめぐる議論が熱くなりそうだ。 ※ 炭水化物は糖質と食物繊維から成る。 糖尿病食事療法において,摂取制限の対象となるのは糖質であり,低炭水化物食は実質的に糖質制限食だが,英語に低糖質食に相当する言葉がないため,低炭水化物食と糖質制限食が混用されている(この概念を示す英語はlow-carbohydrate diet)。 他に,低糖質食,ローカーボ食という表現も見られる。 わが国において,学会公認の糖尿病食事療法はカロリー制限食である。 しかし近年,糖質制限食の有用性を示すエビデンスも蓄積されつつあり,米国糖尿病学会(ADA)の2011年のガイドラインでは,カロリー制限食と糖質制限食がともに糖尿病食事療法の選択肢として推奨されている。 一方,わが国でも,一部専門家の間では糖質制限食が高く評価されている。 糖質制限食に引かれる糖尿病患者も多いようで,出版界においてはちょっとしたブームとなっている。 このような動向を受けてか,カロリー制限食一辺倒であったわが国の医学界も糖質制限食に目を向け始めており,今年開催のいくつかの学会では,“糖質制限食 vs. カロリー制限食”をテーマとしたディベートなどが企画されている。 カロリー制限食は有効だが,継続できない患者が少なくない ――糖尿病食事療法の基本はカロリー制限食だ。それに何も問題がなければ,糖質制限食が注目されるはずがない。カロリー制限食の何が問題なのか。 カロリー制限食の臨床的有効性は確立済み。 ただし,継続できない患者が少なからずいるのも事実だ。 入院中は実践できても,外来に移行した途端に放棄してしまう患者をわれわれは数多く見ている。 わたしの担当する外来患者でも,半数程度は自分の守るべき摂取カロリー量すら答えられないのが現状だ。 そのような患者に対して,糖質制限食は試みるべき価値のある選択肢だと思う。 糖尿病患者の食事療法において,わが国には日本糖尿病学会の「食品交換表」というバイブルが存在し,これに基づいた指導が広く行われている。 食品交換表では標準体重に基づいて摂取カロリー(エネルギー)量を設定しており,男性では1,400~1,800kcal,女性では1,200~1,600kcalが推奨されている。 しかし,国際的にも専門的にも,基礎代謝量から摂取カロリー量を設定するのが一般的だ(基礎代謝量の実測が困難な場合はその人の現体重から推測する)。 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」でも,この方法に基づいて摂取カロリー量が設定され,男性で2,400~3,000kcal,女性で2,200±200kcal(18~69歳,普通以上の身体活動量の場合)が推奨されている。 「食品交換表」が推奨する内容は一般の人の健康増進食ともなるとしているだけに,「日本人の食事摂取基準(2010年版)」と同等の摂取カロリー量であるべきだが,両者の乖離はあまりにも大きい。 現時点ではどちらが糖尿病患者にとって適切か判断するエビデンスがないが,わたしは一部の患者(除脂肪体重量の大きい人など)には過小な摂取カロリー量を押し付けている可能性があるのではないかと考えている。 このことは患者の自己効力感の低さにつながり,ことによってはうつの原因ともなりかねない。 食事療法は生涯にわたり行うべきものだけに,“楽しくて続けたくなる”ようでなければならない。 “カロリー無制限”でも糖質を制限すれば摂取カロリー量も抑えられる ――糖質制限食とはカロリー摂取量は無制限にして,糖質だけを制限する食事療法のこと。糖質制限食を批判する意見の中で必ず見られる論点が「糖質以外からのカロリー摂取量が過剰になって悪影響を及ぼすのではないか」ということだ。そのような懸念はないのだろうか。 わたし自身の経験から,糖質を制限すればカロリー摂取量も抑えられると考えている。 DIRECT試験などの臨床試験の結果を見ても,糖質制限食におけるカロリー摂取量はカロリー制限食に比べると多いが,導入前に比べると低下している。 “カロリー無制限”というのは“摂取カロリーを設定しない”という意味で,“カロリー摂取が過剰になる”ことを意味しない。 患者への指導上のスキルとしては「カロリーに制限はかけないが,常識的に食べ過ぎは体によくないですね」くらいで十分であろう。 長期的予後に関するエビデンスは糖質制限食にもカロリー制限食にもない ――糖質制限食に関するエビデンスを概括すると,どのようなことが言えるのか。 食後高血糖の是正という点では,糖質制限食が非常に優れた食事療法であることは明らかだ。 また,体重減少,HbA1cの改善,トリグリセライド(TG),HDLコレステロール(HDL-C)など血清脂質値の改善においてもカロリー制限食と同等かそれ以上の効果を示している。 長期的な予後改善効果は不明だが,それはカロリー制限食も同様だ。 なお,サルを用いた研究では,カロリー制限食に寿命延長効果が認められている。 ――糖質制限食を批判する意見の中では,動脈硬化を促進するという指摘もあるが。 少なくともヒトを用いた研究では,そのようなデータはないと理解している。 確かに糖質制限食による動脈硬化の促進を示したとする論文は存在する。 しかし,それらの研究は,データの強引な曲解が目立つ。 “ここまで強引な解釈をしないと糖質制限食による動脈硬化の促進は示しえない”わけで,逆に糖質制限の安全性を示唆する内容になっている。 むしろ,上述のように短期的には脂質代謝の指標は改善している。 ――米国では最近,糖質制限食を高く評価する方向にあるのか。 ADAが毎年,年初に発表する臨床ガイドラインの栄養指導に関する勧告内容の変化に如実に示されている。2007年までは「1日130g以下の糖質制限は勧められない(専門家のコンセンサス)」であったのが徐々に変化し,2009年には「糖質制限食もカロリー制限食も短期的には減量に有効(明確なエビデンスあり)」となった。2011年にはその有益性を保証できる期間を1年から2年に延長しており,研究の進展に合わせて糖質制限食を評価しようという柔軟な姿勢を取っている。 ――それにしても,食事療法に関する臨床試験では症例数が少ない。カロリー制限食と糖質制限食の効果を比較した代表的な試験でも1群数十例程度の規模だ。 製薬企業の絶大な支援のある薬剤の臨床試験とは事情が異なる。 試験参加者に対する謝礼も支払われないことが多いようだ。 食事療法は糖尿病治療の基本であるだけに,今後の課題といえる。 アトキンスダイエットは適切な糖質制限食とはいえない ――糖質制限食の安全性という点では,動脈硬化発症の懸念以外にも,ケトアシドーシスを惹起する可能性も指摘されている。 それは糖質制限のレベルによる。 これまでにケトアシドーシスの発生が報告されたのは, 20g/日の極端な糖質制限を行った事例だ(Lancet 2006; 367: 958,N Engl J Med 2006; 354: 97-98)。 日本でも有名なアトキンスダイエットでも導入期糖質摂取量20g/日(1食7g)を推奨している。 これらの方法では安全性に問題があるといえるし,そもそもおいしく食事できず,継続が困難であろう。 1食20~40gくらいの糖質制限ならおいしく食べて継続できる ――適切と考える糖質制限のレベルは。 1食20~40gくらいが適当だろう。 これなら患者もおいしく食事ができ,続けられる。 「糖尿病の解決」などの著書で知られるBernstein博士も130g/日(1食40g)を糖質制限食の定義としている。同博士は自身,糖尿病患者であるだけに,患者の立場に立って考えている。 ――先生の外来ではどのようにして,糖質制限食を実施しているのか。 初診の糖尿病患者に対しては,まず標準的な食事療法としてカロリー制限食を指導している。 それでうまくいく場合はカロリー制限食を継続してもらうが,カロリー制限を心がけながらも血糖コントロールがうまくいかない患者や,体重が増加してしまう患者には糖質制限食への切り替えを提案している。 場合によっては3食の中でカロリー制限食と糖質制限食を使い分けることも可としている。 このような方法で,上記のようなカロリー摂取量が過剰になった患者はこれまでのところ皆無だ。 遵守面でも,管理栄養士が指導を行った場合は,ほぼ全例が継続できている。 ――糖質制限の表示方法としては,全体の摂取カロリーに占める糖質の割合で表示することもあるようだが。 糖質制限食では,カロリー制限を行わないのだから,全体のカロリーの何%といっても意味がない。患者にとっても何gと指導された方が理解しやすいはずだ。 ――糖質制限食を禁忌とすべき症例はあるのか。 糖質制限による蛋白質の摂取増加を懸念するなら,3期以上の糖尿病腎症患者には行わない方がよいだろう。また,1型糖尿病患者に糖質制限を導入する場合はインスリン量の調節が必要になるので専門医に任せてもらいたいと思う。 学会として臨床試験を行うのが理想 ――“糖質制限食 vs. カロリー制限食”の議論を深め,臨床に役立てるためには,今後どのようなことが必要か。 糖尿病治療の基本であるはずの食事療法の検証がこれまでおろそかにされてきた。 食事療法を科学的に検証するという姿勢が必要だ。 “糖質制限食 vs. カロリー制限食”の議論では,糖質制限食派は糖質制限食の利点のみを強調し,カロリー制限食派は糖質制限食の欠点を突くことに走りがちだ。 エビデンスに基づいた冷静な議論が求められるが,糖質制限食にもカロリー制限食にもエビデンスが不足している。 現在,日本のガイドラインで示されているカロリー設定量は,専門家の経験に基づいたコンセンサスでしかない。最初はそれで仕方がないかもしれないが,盲目的に受容し続けるのは問題で,本当に適切なのか検証する必要がある。 糖質制限食にしても,どの程度の糖質制限が適切なのかなど検証すべき問題は多い。 検証のポイントとしては,血糖などの検査値や体重だけでなく,患者の精神的・社会的満足感も考慮すべきだ。理想的には,日本糖尿病学会などが主導して臨床試験を行うべきだろう。 わたしは現状では,糖質制限食もカロリー制限食も同等に有用であり,カロリー制限食が合う患者にはカロリー制限食を,糖質制限食の方が向く患者には糖質制限食を勧めればよいと思っている。 (平田 直樹) 出典 MT pro 2012.1.5 版権 メディカル・トリビューン社 <関連サイト> カロリー制限は霊長類においても寿命延長法なのか? ■カロリー制限は寿命延長法として注目されており,酵母(Science 2000;289:2126-2128),線虫(Aging Cell 2006;5:514-524),ハエ(Science 2001;292:104-106),マウス(J Gerontol 1985;40:657-670)と多くの種において寿命延長効果が証明されていた。 しかし,これまで霊長類での証明はなされていなかった。 今回,ついに霊長類(アカゲザル)でのカロリー制限の効果が報告された(Science 2009;325:201-204)。 ■脳や筋肉の萎縮に対してもカロリー制限が予防的であった。 → カロリー制限により単に寿命が延長されるのみでなく,生産性を持った状態の維持も見込める可能性がある。 出典 MT pro 2009.8.24 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
夜の高血糖と朝の低血糖の予防が重要――ACCORD試験の自己モニター血糖値の解析から 夜の高血糖と朝の低血糖の予防が重要であることが、ACCORD試験の自己モニター血糖値の解析から明らかになった。 2008年に発表されたACCORD試験では、標準療法群と比較してHbA1cを正常値にすることを目標とした強化療法群で2型糖尿病患者の死亡率が増加することが示された。 今日までACCORD試験での血糖管理については、HbA1c値、空腹時血糖値および報告のあった重度の低血糖症で特徴付けられてきた。 Wake Forest大学のRichard Bergenstal氏らは、今回初めて血糖管理の自己モニター血糖値(SMBG)を解析し、その結果を6月24日から28日まで米サンディエゴで開催された米国糖尿病学会(ADA2011)のセッション「Late Breaking Clinical Studies」で発表した。 演者らは、少なくとも180日間のSMBGデータがあるACCORD参加者のデータを収集した。 1万251人の登録者の中で、ACCORD試験参加施設 77カ所のうち50カ所の4332人のデータを抽出し分析した。 ACCORDのSMBGコホートの患者背景は、適切なSMBGデータを持たない5919人と比べても臨床的になんら違いはなかった。 解析の結果、SMBGコホートは平均2年間のSMBGデータがあり、強化療法群で1日当たり 2.7±1.1回、標準療法群で2.0±0.8回(p<0.0001)の血糖値の検査を行っていた。 また、平均SMBG血糖値は、強化療法群で 124.9±22.8mg/dL、標準療法群で156.8±23.7mg/dLと強化療法群が有意に低かった(p<0.0001)。 24時間のSMBGの推移をみると、強化療法群は全ての時点において、標準療法群より血糖値が低かった(p<0.0001)。 強化療法群と標準療法群のSMBGのパターンは、午前4-6時で最低値、夜遅い時間で最高値を示し、両群で似ていた。 また、強化療法群では標準療法群に比べ70mg/dL以下の値が3倍、140mg/dL以上の値が半分あることも分かった (p<0.0001、両方とも)。 結論として、ACCORD試験におけるSMBGデータは、強化療法群の方が標準療法群に比べて、より多い回数でモニターしていた。 また、SMBG値の平均が低く、頻度としては8.2%と少ないものの70mg/dL以下の値が標準療法群の2.6%より有意に多かった。 演者らは、これらの結果から「24時間血糖値プロファイルは、夜の高血糖と朝の低血糖の予防が重要であることを示している」と結論した。 その上で「ACCORD試験のSMBGデータをさらに解析することは、試験のアウトカムを理解するのに役立つであろう」と指摘した。 出典 NM online 2011.7.1 版権 日経BP社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
中年の心血管疾患危険因子は寿命を10〜15年縮める オックスフォード大学(オックスフォード)疫学・公衆衛生学のRobert Clarke博士らは, (1)喫煙習慣 (2)高血圧 (3)高コレステロール値 ―の3つの心血管疾患(CVD)危険因子がある中年男性では,それらの危険因子がない男性と比べると50歳以降の予測寿命が10〜15年短いとする研究結果をBMJ(2009; 339: b3513)に発表した。 再調査時には3分の2が禁煙 英国ではCVDによる死亡率は1970年代早期から着実に減少しており,その結果として予測寿命が大幅に延長している。 この延長は禁煙,食事やライフスタイルの変化,CVD患者に対する治療の向上によるものと考えられており,これまでの研究ではCVD危険因子の違いによる予測寿命の延長の程度については調査されていなかった。 Clarke博士らは,中年で記録されたCVD危険因子との関連から予測寿命の評価を行った。 今回の研究は1967〜70年に行われたホワイトホール研究の一環として最初の調査を受けたロンドンの男性公務員約1万9,000例(40〜69歳)を対象としたものである。 被験者は試験参加時にそれまでの病歴,喫煙習慣,職制階級,結婚状況に関する質問票に記入し,最初の調査では身長,体重,血圧,肺機能,コレステロール値,血糖値を測定した。 その後,1万8,863例を追跡調査し,最初の調査から約28年後に生存していた7,044例について再調査を行った。 調査開始時には,喫煙者42%,高血圧患者39%,高コレステロール患者51%であった。 再調査時点では被験者の約3分の2が禁煙しており,調査期間で血圧値とコレステロール値の平均との差が縮小した者も3分の2にのぼった。 CVDによる死亡率が3倍に CVDに関連する危険因子が変化していたにもかかわらず,中年期に3つの危険因子があった者では,危険因子のなかった者と比べてCVDによる死亡リスクが3倍高く,CVD以外の疾患による死亡リスクも2倍に増加していた。 試験参加時に危険因子のなかった男性と比べて,3つの危険因子すべてを持っていた男性は50歳時点での予測寿命が10年短かった(23.7年対33.3年)。 Clarke博士らは,データがあるすべての危険因子(喫煙,糖尿病,職制階級,血圧の連続レベル,コレステロール値,BMI)に基づいたリスクスコアによって被験者を分類した。 リスクスコアが最も高かった5%の男性は,最も低かった5%の男性と比べて50歳時点での予測寿命が15年短かった(20.2年対35.4年)。 同博士らは,CVD危険因子を軽減させる公衆衛生戦略を継続した結果,予測寿命が延長したと結論している。 出典 Medical Tribune 2009.11.26 版権 メディカル・トリビューン社 <関連記事> 喫煙で医療費1733億円増加…脳・心臓疾患で 脳梗塞や心筋梗塞などの医療費が、喫煙によって1733億円増加しているという推計を、厚生労働省研究班(主任研究者=辻一郎東北大教授)がまとめた。 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)による増加分の1・5倍に上り、研究班は禁煙指導の強化を訴えている。 研究班は、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)が1989~2007年に行った吹田市民4285人(40~74歳)の健康調査の結果を分析。 様々な病気の発症率と、喫煙の有無との関連を調べた。 その結果、脳梗塞や脳出血などの「脳血管障害」は、喫煙によって男性は25%、女性は5%増加。 また、心筋梗塞や狭心症などの「虚血性心疾患」は、同じく男性は12%、女性は19%増えていた。 この増加率から、全国の同じ年齢層の脳血管障害と虚血性心疾患の医療費総額1兆781億円(08年度)のうち、1733億円は喫煙によって余計にかかった分と算出された。 読売新聞 1月5日(木)14時35分配信 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
VCIの理解深め血管性危険因子の管理を AHAとASAが合同声明 米国心臓協会(AHA)と米国脳卒中協会(ASA)は,血管性の危険因子と認知障害および認知症との関連について,これまでのエビデンスをまとめた合同声明をStroke(2011; 42: 2672-2713)に発表した。 声明では脳卒中のほか,軽度認知障害(MCI)から認知症まで,重症度にかかわらず脳血管を介した脳の損傷に起因する認知機能障害全般を血管性認知機能障害(vascular cognitive impairment;VCI)ととらえ,VCIに対する血管性危険因子の影響について解説している。 心疾患予防に良いものはVCI予防にも役立つ 認知障害や認知症は,血管性疾患やアルツハイマー病(AD)のいずれか,あるいは両疾患が原因となる場合がある。 また,アテローム動脈硬化が進展して動脈内プラークが脳への血流を減少させたり遮断すると,脳血管疾患が発症し,VCIにつながる可能性がある。 声明の執筆委員会の共同委員長でイリノイ大学(シカゴ)脳卒中研究センターのPhilip B. Gorelick所長は「これまでの研究で,脳血管疾患とADが相互に影響し合い,認知症を引き起こすことが分かっている。 高齢者で最も一般的な種類の認知症は,こうした複合疾患である可能性が高い」と述べている。 声明によると,認知症の罹患率は加齢とともに上昇し,米国では80歳以上の人口の約30%を占め,認知症患者1人当たりの年間医療費は4万ドルを超えるという。 同所長は「生活習慣の改善や医学的管理などにより心疾患および脳卒中の危険因子に対処することで,一部の患者では認知症の進行を予防あるいは遅延できるかもしれない。 運動,健康的な食事,体重管理,禁煙,血圧とコレステロールの管理は,多くの患者にとって高齢期の知能を維持する上で重要な役割を果たす」と述べている。 さらに「まだ十分なエビデンスはないが,一般的に心疾患予防に良いとされるものはVCI予防にも役立つのではないか。 今後,脳卒中や心疾患の主要な危険因子に対する治療や予防が,加齢に伴う認知機能の低下を抑制しうるか否かについて検討する必要がある」と付け加えている。 脳卒中リスクはVCIリスクにも 高齢者の認知機能障害と認知症の共通原因の理解は進んでおり,従来の脳卒中危険因子の多くがADおよびVCIリスクマーカーでもあることが判明している。 例えば,今回の声明は以下のような関連を指摘している。 (1)VCIリスク予防には高血圧治療が推奨される。中年期の高血圧は,高齢期における認知機能低下の重要な危険因子である可能性がある (2)高コレステロールと血糖異常の管理もVCIリスクの低下に役立つと考えられるが,さらなる研究が必要である (3)禁煙はVCIリスクの低下に有効である可能性がある (4)運動,アルコール節制(男性で1日2杯,女性で1日1杯まで),体重管理もVCIリスクを低下させうるが,これらの有用性を確認するにはさらなる研究が必要である (5)ビタミンB群や抗酸化物質のサプリメントのVCIおよび心疾患,脳卒中に対する予防効果は認められていない さらに,今回の声明は「認知症リスクのある人の同定は,認知症の予防や遅延,公衆衛生に必要な費用の削減に有意義な戦略となる。 臨床医には,高齢患者の認知症をスクリーニングツールにより検出し,全国的またはその地域で受容されているガイドラインに従って血管リスクの治療を継続することが奨励される」としている。 声明によると,VCIは脳卒中の発症後に最も顕著に認められるが,明白な神経学的症状を引き起こさない脳内の血流低下や一過性脳虚血発作,脳内微小出血が原因となって認知機能への影響が現れることもある。 多くの場合,VCIの危険因子は高血圧,高コレステロール,心拍異常,糖尿病など脳卒中の危険因子と同一である。 出典 Medical Tribune 2011.9.29 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
北里研究所病院糖尿病センター・山田悟先生の痛風関節炎に関する記事で勉強しました。 痛風診断にもCTの時代が到来するのか? 研究の背景:確定診断には関節液の穿刺が必要,臨床診断では他疾患との鑑別が困難 2010年に日本痛風・核酸代謝学会が8年ぶりに「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」を改訂したことは記憶に新しい。 しかし,痛風の診断法については大きな変更はなく,いずれの版でも「痛風関節炎の発症は,以前から高尿酸血症を指摘されている患者の第一中足趾節(MTP)関節または足関節周囲に発赤,腫脹を伴う急性関節炎が出現した場合に診断しうる」と本文に記載され,1977年の米国リウマチ学会(ACR)の診断基準(表1)が示されるのみであった(Arthritis Rheum 1977; 20: 895-900 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/856219)。 ![]() 大項目1にある関節液中の尿酸塩結晶を証明するためには関節液の穿刺が必要であり,関節液を得られない症例には用いられない。 大項目2にある痛風結節は高尿酸血症の治療の普及により頻度が激減しており,日常臨床で見ることはほとんどない。 よって,痛風関節炎の診断は大項目3にある小項目を用いて診断されることがほとんどであり,偽痛風や変形性関節炎,化膿性関節炎といった他の急性関節炎を起こす疾患との鑑別に苦労することが多かった。 このたび,CT(二重エネルギーCT)を用いて,痛風関節炎を的確に診断できることを示唆する論文がRadiology(2011; 261: 516-524)に報告された。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/21926378 研究のポイント1:二重エネルギーCTを用いることで物質組成を同定 物理学が苦手なのではあるが,わたしなりに二重エネルギーCTをご説明させていただきたい。 二重エネルギーCTは,物質におけるX線の透過性がX線の平均エネルギーによって異なることを利用した画像化手法だそうであり,異なる2つの管電圧に依存し,おのおのの組織組成(物質)に応じて異なるコントラスト(色調)が得られるらしい(図)。 このことを利用すると,二重エネルギーCTによって尿酸塩の沈着を証明しうることが,これまでにも報告されていた(Acad Radiol 2007; 14: 1441-1447)。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18035274 本研究では,急性関節炎の患者を対象に二重エネルギーCTを撮影し,その後1カ月以内に関節液を得られた患者を対象にして二重エネルギーCTの痛風関節炎の診断能力を検討したものである。 研究のポイント2:二重エネルギーCTの感度は100%,特異度は79~90% 147例の急性関節炎の患者が登録されて二重エネルギーCTの撮影を受けた。 そのうち,53例は別な試験に組み込まれたので,本研究に組み込まれたのは94例であった。 そのうち,1カ月以内に関節液の穿刺を受けたのが43例。 さらに,そのうち良好な検体を得られたのは31例であったため,今回の報告では,31例についての検証がなされている。 略 山田悟先生の考察:装置があれば有用な診断法か 本試験でも関節液穿刺をトライした43例のうち,良好な検体を得られたのが31例であったことからも分かるように,痛風関節炎の診断のゴールドスタンダードであるところの関節液における尿酸塩結晶の証明は困難であることが多い。 その意味で,感度100%,特異度79~90%で二重エネルギーCTにより痛風関節炎の診断を得られたことは意義深いことである。 既存の報告(Arthritis Rheum 1977; 20: 895-900,J Clin Rheumatol 2009; 15: 22-24)における診断基準の感度・特異度と今回の報告とを比較してみると以下のようになる(表5)。 ![]() こうして見てみると,二重エネルギーCTの撮影装置が施設にありさえすれば,痛風関節炎の正しい診断にCTを用いうることが理解できる。 さらに,最近の報告は,一般に大関節にばかり起こると考えられがちだった痛風関節炎が腰椎,仙骨にも起こりうることを示している(J Rheumatol 2010; 37: 2190-2191)。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/20889613 これからは,肥満者における腰痛のように,体重のせい,変形のためだと安易に診断されがちだった関節炎にも,それなりの頻度で痛風が関与していたことが証明されるようになるかもしれない。 ただ,痛風関節炎は直接生命にかかわることは少ない。 また,現在では新たな治療薬も含めて高尿酸血症の管理がやりやすくなっている。 よって,今回の論文だけを元にして病院の管理者に二重エネルギーCTの必要性を訴えることは難しいかもしれない。 出典 MT Pro 2011.12.27 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
無症状の頸動脈狭窄:薬物による管理と血行再建術の比較 【原題】Asymptomatic Carotid Stenosis: Medical Management or Revascularization? Intensified medical management seems to be the better choice, for now. Increasingly, primary care physicians encounter patients with no history of stroke or transient ischemic attack who have high-grade stenosis on carotid ultrasound. No guidelines endorse carotid screening in patients without cerebrovascular symptoms, yet these patients are identified in various ways: Some cardiologists and vascular surgeons routinely get carotid studies in patients with coronary disease, some clinicians order ultrasound for patients with asymptomatic carotid bruits, some clinicians inappropriately include routine carotid ultrasound in their “syncope work-up,” and some ultrasound screening companies offer direct-to-consumer carotid studies. Because many of these patients end up with surgery or stenting, a brief look at current thinking on asymptomatic carotid stenosis (ACS) is warranted. Carotid endarterectomy (CEA) was compared with medical therapy in ACS patients in two large randomized trials ― a North American study published in 1995 ( JAMA 1995; 273:1421) 1 and a European trial published in 2004 (Lancet 2004; 363:1491). 2 In both trials, the 5-year risk for stroke (including perioperative stroke or death) was significantly lower with CEA than with medical therapy, but the difference was only about 5 percentage points (5%―6% vs. 11%―12%), and no benefit was seen in women. 3 Given the 2%―3% rate of perioperative stroke or death, it took several years for the benefit of CEA to clearly surpass that of medical therapy. Because medical therapy has improved since these trials were conducted, researchers have examined whether stroke rates in patients with ACS have declined during the past decade. In fact, rates have fallen to around 1% annually in medically treated patients. 4,5 Thus, we must ask whether CEA has any role in patients with ACS. Recently, researchers have proposed several imaging findings that might identify high-risk subgroups ― plaque echolucency, plaque ulceration, and embolic signals on transcranial Doppler ultrasound of the ipsilateral middle cerebral artery. In one study of 435 patients with ACS (>70% stenosis by ultrasound), only 10 patients (2%) had strokes during average follow-up of 2 years. 6 However, four of these strokes occurred among the 27 patients with both echolucent plaque and embolic signals (15% stroke rate). In contrast, only 1.5% of patients without these two findings had strokes. In another study of 253 patients with ACS (>60% stenosis by ultrasound), only 6 patients (2.4%) had strokes during average follow-up of 3 years. 7 Three of these strokes occurred in the 42 patients with at least two carotid ulcerations (7%); in contrast, the stroke rate was only 1.4% in the 211 patients with one or no ulcers. Additionally, the stroke rate was 13% in patients with embolic signals (2 of 15 patients), but only 1.7% in those without embolic signals (4 of 238 patients). The most striking aspect of these two studies is their confirmation of a very low overall incidence of stroke ― about 1% annually. Thus, many asymptomatic patients who now undergo CEA (or carotid stenting, which is not safer than CEA) are likely risking harm without commensurate benefit. Use of embolic signals and plaque characteristics to identify candidates for CEA is promising but requires larger studies and assurance that the techniques are reliable in community settings. Editorialists argue for “intensified medical management rather than revascularization procedures in patients with ACS,” until strategies to identify high-risk patients have been thoroughly investigated. 8 Their position is compelling. http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/jwhospital/201112/522776.html 出典 NM online 2011.12.28 版権 日経BP社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
思春期に牛乳を毎日摂取した男性は進行性前立腺がんリスク3倍 アイスランド・レイキャビック研究 アイスランド国内で牛乳摂取量が異なる地域住民を対象に,若年期の牛乳摂取が前立腺がんの発生リスクと関連するか否かを調査した結果,思春期に牛乳を1日1回摂取していた男性では,摂取していなかった男性に比べて進行性前立腺がんのリスクが3.2倍高いことが,アイスラインドのコホート研究であるレイキャビック研究で明らかになった(Epidemiol 2011年12月20日オンライン版)。 報告者であるアイスラインド大学公衆衛生学のJohanna E. Torfadottir氏らによると,中年期以降に毎日摂取していた男性ではリスクとの関連はなかったという。 これまで,牛乳を含む乳製品を多く摂取する男性の前立腺がんリスク上昇が報告されているが,今回,20歳前にさかのぼって摂取習慣による影響が示唆された。 出生年代でリスクに差 Torfadottir氏らは,レイキャビック研究において1907~35年に出生した男性一般住民8,894例(居住地域はアイスランドの首都レイキャビック,海岸にある村,農村,海岸にある村と農村の混合地域)を対象に,前立腺がん発症およびそれによる死亡を09年まで追跡した。 なお,サブグループとして2,268例には若年期,中年期,現在の牛乳摂取量を報告してもらった。 平均追跡期間24.3年の間に前立腺がんと診断されたのは1,123例であり,そのうち371例はステージ3以上または前立腺がんによる死亡が確認された。 20歳まで住んでいた地域と前立腺がんの関係を解析したところ,農村地域の男性では,都心の男性に比べて進行性前立腺がんの発症リスクが高い傾向にあったが,差は見られなかった〔オッズ比(OR)1.29,95%CI 0.97~1.73〕。 明らかなリスクの上昇が認められたのは,1920年代以前に生まれ20歳まで農村地域に住んでいた男性であった(同1.64,1.06~2.56)。 さらに,思春期(14~19歳)に1日1回以上牛乳を摂取していた男性は,摂取していなかった男性に比べて進行性前立腺がんのリスクが3.2倍高いことが分かった(同3.22,1.25~8.28)。 しかし,中年期(40~50歳)および最近牛乳を1日1回以上摂取していた男性では,摂取していなかった男性との間にリスク差はなかった(中年期:OR 1.31,95%CI 0.75~2.29,最近:同1.03,0.80~1.34)。 Torfadottir氏らは,若年期の積極的な牛乳摂取が進行性前立腺がんのリスク上昇と関連することを示唆する結果であるとしている。 わが国では,厚生労働省研究班が実施した大規模疫学研究(主任研究者=国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部部長・津金昌一郎氏)において,乳製品を多く摂取する男性の前立腺がんリスクはほとんど摂取しない男性に比べて1.6倍高いことが示されている(Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2008; 17: 930-937)。 同研究では,乳製品に含まれる飽和脂肪酸やカルシウム(Ca)による前立腺がんへの影響が指摘されている。 (田上 玲子) 出典 MT pro 2011.12.27 版権 メディカル・トリビューン社 <関連サイト> 乳製品以外からのCa摂取にも注意を アジアの食事でも前立腺がんリスク ■欧米の研究では乳製品の多量摂取が前立腺がんリスクを上昇させる可能性が示唆され,乳製品に含まれるカルシウム(Ca)がその原因とされている。 そこで,コロラド州立大学(コロラド州フォートコリンズ)のLesley M. Butler助教授らは,中国系シンガポール人を対象に研究を実施。 「豆腐や野菜など乳製品以外からCaを摂取するアジアの食生活においても,Caが前立腺がんリスクを上昇させる可能性が示された」とCancer Research(2010; 70: 4941-4948)に発表した。 ■今回の研究では,乳製品以外の食品による比較的少量のCa摂取と前立腺がんリスクとの関連が初めて示され,Caが前立腺がんの危険因子であるとする考えを支持する結果が示された。 欧米で行われた以前の研究で,牛乳に含まれるCaが前立腺がんリスクの上昇に関連することが示唆されているが,明らかなエビデンスは得られていない。 アジアの食生活では乳製品以外の食品,例えば豆腐や穀物,ブロッコリー,ケール,チンゲンサイなどの野菜が主なCa源である。 Butler助教授らは,アジアではこのようなCaを豊富に含む食品を摂取している人で前立腺がんリスクが上昇するのではないかと考えた。 ■その結果,1日平均211mgのCaを摂取した男性と比べ,同659mgを摂取した男性では前立腺がんリスクが25%上昇した。 主なCa源は,野菜(19.3%),乳製品(17.3%),穀物(14.7%),大豆製品(11.8%),果物(7.3%),魚(6.2%)であった。 前立腺がんリスクと特定の種類の食物との関連は認められなかった。 また,BMI(中央値22.9)が平均を下回る男性では,前立腺がんリスクが2倍に上昇した。 出典 Medical Tribune 2010.11.4 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
降圧薬による余命の延長,初めて証明 SHEP試験の終了後解析結果 米・UMDNJ-Robert Wood Johnson Medical SchoolのJohn B. Kostis氏らは,高齢の収縮期高血圧患者を対象とするSHEP(Systolic Hypertension in the Elderly Program)試験の終了後解析結果を発表した(JAMA 2011; 306: 2588-2593)。 利尿薬(クロルタリドン)をベースとした降圧療法を4.5年間受けた群で,プラセボ群に比べ22年後の心血管死回避による余命(life expectancy)の有意な延長などが示された。 同氏らによると,長期の追跡で降圧薬の使用と余命の延長との関連を証明できた試験は初だという。 割り付け期間における全死亡,心血管死の有意な減少は証明されず 同試験では60歳以上の収縮期高血圧患者(170.3/76.6mmHg)4,736例が対象とされた。 登録期間は1985年3月~88年1月,ランダム割り付け下の検討期間は4.5年で,割り付け解除後は全員が降圧療法を受けるよう勧められている。 これまで,同試験により,実薬による各種心血管イベント発生の有意な低下が確認されているが,割り付け期間における全死亡,心血管死の有意な減少は認められていなかった。 Kostis氏らは今回,米国死亡記録(National Death Index)を用いて,対象患者の試験登録時からおよそ22年経過した2006年12月時点の死亡に関する情報を分析した。 心血管死回避による余命が1月当たり1日延長 両群間の生存カーブで示された,同時点での全死亡における余命の差は105日(95%CI −39~242日,P=0.07),心血管死では158日(同36~287日,P=0.009)となった。 これを月単位に換算すると,4.5年間の実薬治療により,全死亡回避による余命が1月当たり約半日(0.59日),心血管死回避による余命は1月当たり約1日(0.89日)延びるとKostis氏らは述べている。 実薬群の心血管死回避による生存率は,プラセボ群に比べ有意に改善していた〔ハザード比(HR)0.89,95%CI 0.80~0.99,P=0.03〕が,全死亡回避による生存率に関しては両群同等であった(HR 0.97,同0.90~1.04,P=0.42)。 さらに生存率が70パーセンタイルに達するまでの期間は,実薬群で全死亡回避による生存率は0.56年(同−0.14~1.23,11.53年 vs. 10.98年,P=0.03),心血管死回避による生存率では1.41年(同0.34~2.61,17.81年 vs. 16.39年,P=0.01)とプラセボ群に比べ有意な延長が認められた。 同氏らは同試験の対象患者において,4.5年間のクロルタリドンをベースとした降圧療法が22年後の余命の延長に関連していたと結論。心血管死回避により余命が1月当たり約1日延長したことについては「同試験のベースラインにおける年齢中央値が72歳であることを考えると重要」と考察した。 また,今回の結果は患者のアドヒアランスおよび医師の降圧薬に対するモチベーションの低さを打開する強いメッセージとなるのではないかとの見解を示している。 (坂口 恵) 出典 MT pro 2011.12.26 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
スタチン投与で成人入院患者のインフルエンザ死亡が4割減米CDC新興感染症プログラムの観察データを分析 スタチンには抗炎症,免疫調整作用があり,インフルエンザによる死亡率を下げる可能性が指摘されている。 米・オレゴン公衆衛生局のMeredith L. Vandermeer氏らは,米疾病対策センター(CDC)新興感染症プログラムの観察データを用いて,確定診断されたインフルエンザにより入院した成人患者におけるインフルエンザ死亡とスタチン投与の関係を分析。 スタチン投与はインフルエンザによる死亡リスクを4割低減していたと発表した(J Infect Dis 2011年12月13日オンライン版 http://jid.oxfordjournals.org/content/early/2011/12/12/infdis.jir695.abstract)。 若年でのRCTが必要 Vandermeer氏らは,CDC新興感染症プログラムが2007~08年,10州の59地域で行ったインフルエンザの確定診断を受けて入院した成人患者(平均年齢70.4歳,四分位範囲51.0~82.9歳)の観察データを分析した。 分析対象となった3,043人は56%が女性で,57.1%はインフルエンザワクチンを接種していた。 33.3%(1,013人)が入院前か入院中にスタチンを処方されており,入院前と入院中の両方が76%を占め,入院前のみは13%,入院中のみは11%だった。 スタチンを処方された者は,年齢が高く,男性,白人が多く,心血管疾患,代謝性疾患,腎臓疾患,慢性肺疾患を有し,インフルエンザワクチンの接種率が高い傾向があった。 インフルエンザの検査から30日以内に死亡したのは全体の5.0%(151人)だった。 分析の結果,入院前や入院中のスタチン投与はインフルエンザ死亡を予防し,多変量ロジスティック回帰モデルを用いて年齢,人種,基礎疾患(心血管疾患,腎疾患,慢性肺疾患),ワクチン接種,48時間以内の抗ウイルス薬投与を調整後のオッズ比(OR)は0.59(95%CI 0.38~0.92)であった(表1)。 スタチン投与が入院前のみの患者は少なかったが,入院前の投与でも調整後OR 0.58(同0.37~0.92)とほぼ同等の結果が得られた。 診断から死亡までの期間(7日以内,14日以内,21日以内,30日以内)別の分析でも,スタチン投与で死亡リスクが低減。 死亡までの期間が短いほど調整後ORは低下しており,1週間以内が最も低かった。診断後1週間を超えての死亡にはインフルエンザ以外の要因が関与していることも考えられた(表2)。 同氏によれば,同研究はインフルエンザ確定診断例でスタチンとインフルエンザ死亡の関係を調べた初めての観察研究。 今後,スタチンの用量反応,若年での効果,効果の高いクラスをランダム化比較試験(RCT)を行って検証すべきと指摘。 抗ウイルス薬が効きにくい,あるいはワクチンが合わない株が流行した場合において,スタチンは有用な補助薬となりうるとしている。 (木下 愛美) 出典 MT pro 2011.12.15 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
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