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SpO2測定に落とし穴 呼吸状態の簡便な指標としてルーチンに測定されているSpO2。 だが呼吸困難があっても低値を示すとは限らず、逆に末梢循環不全や体動など、指先の状態によっては異常がなくても低値を示すこともある。 「小型軽量で安価なパルスオキシメーターの登場によって、低酸素血症の有無を簡便に調べられるようになった。だが一方で、測定原理や適応を知らないまま誤った使い方をしていたり、測定値を過信している医師も少なくない」。 北大大学院保健科学研究院教授の宮本顕二氏は、こう注意を促す。 パルスオキシメーターは、指先や耳たぶにプローブを装着して、呼吸状態の1つの指標である経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定する器具(図1)。 採血時の有害事象リスクが高い動脈血液ガス分析に代わり、近年、急速に普及した。 個人差はあるが、SpO2の基準値は96~99%とされる。 90%以下の低値を示したり、平常時の値から3~4%以上の大幅な低下を認めた場合に、低酸素血症を起こしていると見なされる。 喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの鑑別、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングのほか、バイタルサインの一つとしても日常的に測定されている。 安易な評価で疾患の見逃しも しかし、低酸素状態であっても、SpO2が低値を示さないことがある。 「喫煙直後や一酸化炭素中毒の患者では、パルスオキシメーターで測定されたSpO2は、真の動脈血酸素飽和度(SaO2)よりも高くなる」と東京医大八王子医療センター呼吸器内科教授の一和多俊男氏は話す。 通常のパルスオキシメーターでは、酸化ヘモグロビンと一酸化炭素ヘモグロビンとを区別できないためだ。 また、貧血の患者では、酸素を運搬するヘモグロビン自体が不足しているため、低酸素状態でもSpO2が正常値を示す恐れがある。 SpO2は、息切れや呼吸困難の初期診断にもよく使われる。 ただし、呼吸困難の原因は低酸素血症とは限らないため、患者が強い自覚症状を訴えていても、SpO2が正常値を示す場合もある。 「よく陥りがちなピットフォールは、呼吸困難を呈していても、SpO2が正常値を示せば“問題なし”と判断してしまうこと。あくまでSpO2は診断の1つの目安なので、臨床症状や呼吸数、その他の検査所見と組み合わせて、総合的に鑑別疾患を絞り込む必要がある」。 こう指摘するのは、東京都立多摩総合医療センター救急科部長・救命救急センター長の樫山鉄矢氏。 同氏が経験したのは、次のような症例だった。 27歳の女性が、前夜から続く呼吸困難と手足の痺れの増悪を訴えて同院に救急搬送された。 来院時は意識清明、呼吸数30回/分で深く速い。 身体所見は体温36.1℃、脈拍104回/分、血圧128/72mmHg。SpO2は100%だった。 呼吸が速く、SpO2が正常だったことから、救急隊が疑ったのは過換気症候群。 だが、同院で静脈血液ガス分析を行った結果、pH 7.27、PO2 108mmHg、PCO2 26mmHg、HCO3- 12mEq/L、Na 142mEq/L、Cl 102mEq/Lで、代謝性アシドーシスを来していることが判明。 血糖525mg/dL、尿中ケトンも陽性だったため、ケトアシドーシスを契機に発症した1型糖尿病と診断された。 一方で、呼吸状態に異常はなくても、SpO2が低値を示すこともある(表1)。 例えば、末梢循環不全を来している場合。 極度の低血圧、強皮症などの膠原病、低体温などによって、測定部位の指先に血流障害があると、パルスオキシメーターで拍動を検出できず、SpO2が真のSaO2よりも低くなることがある。 ![]() 寒い屋外にいて患者の指先が冷え切っているときは、マッサージなどで指を温めたり、血流が良好な他の指で試すといい。 血流障害や体動でも低値に 激しい体動や震えがある場合も同様。 振動が加わると、パルスオキシメーターは動脈と静脈を区別しにくくなるためだ。 COPDの患者増加に伴い、最近は運動負荷試験がよく行われるようになったが、運動前後のSpO2の変化を見るときは、運動中に測定するのではなく、運動を終えた直後のSpO2を測定する。 一般にパルスオキシメーターは数秒間ごとの拍動を基に平均値を算出することから、装着直後の値ではなく、20~30秒程度置いてから値を読み取るようにしたい。 この他、強い太陽光の下で測定したり、爪に濃いマニキュアを塗っている場合も、透過光の検出が影響を受け、正しく測定できないことがある。 また、亜硝酸製剤の内服やアニリン中毒などによって血中のメトヘモグロビンが増加していたり、インドシアニングリーンやメチレンブルーなどの血管内色素を注入されている患者でも、パルスオキシメーターによるSpO2の測定値の信頼性は低くなる。 パルスオキシメーターに表示された数値にとらわれ、誤った診断をしないよう、測定原理や特性を理解した上で正しく活用したい。 出典 NM online 2011.3.29(一部改変) 版権 日経BP社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
日本小児科学会 水痘ワクチン,追加接種の推奨時期を「1歳6カ月~2歳」に早める 乳幼児ワクチンの接種スケジュールを作成している専門家団体が最近,相次いで水痘ワクチンの接種時期の変更を発表した。 5月21日,日本小児科学会が水痘ワクチンの2回目の接種時期を「18カ月以上2歳未満」に早めることなどを公式サイトで明らかにした。 国立感染症研究所および「NPO法人 VPDを知って,子どもを守ろうの会」(以下,VPDの会)も最近,水痘ワクチンの2回目の接種時期を「1歳3カ月~5歳」と変更することを発表している。 1回接種による有効率低いことが明らかに 日本小児科学会,感染研,VPDの会では,水痘ワクチンの1回目の接種を1歳以降から行うよう推奨している。 ただし,2回目の接種推奨時期は「5歳以上7歳未満」(日本小児科学会),「3~6歳」(VPDの会)とされていた。 日本小児科学会によると, (1)日本の最近の研究で水痘ワクチンの1回接種での有効率が低いだけでなく,接種後1年程度で水痘罹患率が上昇することが明らかになってきた, (2)1回接種かつ1年間水痘感染が認められなかった小児への2回接種で1回接種を大きく上回るブースター効果が確認された —ことなどが明らかになってきたという。 これを受け「小児への水痘ワクチン接種が十分に行われておらず,水痘の流行が抑制されていないわが国の現状では,同様の状況にあったドイツのスケジュールを参考に2回目の接種時期を18カ月以上2歳未満(初回接種後4~12カ月後)に変更した」と述べている。 なお,同学会は,インフルエンザ菌b型(hib)ワクチンの4回目の推奨接種時期を「生後12カ月以降」に早めることも発表している。 接種率は約40%,疾病負担の実態あまり知られず 水痘ワクチンは予防接種法上の任意接種に位置付けられている。 「接種率は約40%と決して高くない」と薗部友良氏(VPDの会理事長)。 しかし,日本では毎年約100万例が罹患し,2,500例が入院,いまだに水痘そのものや合併症による死亡例も少なくないと推計。 こうした実態は医療関係者,保護者にあまり知られていないという。 現在,予防接種法改正が山場を迎えつつある。同ワクチンも定期接種化のレールに載せられてはいるが(関連記事),現時点で政府が考える同ワクチンの優先順位は高いとはいえないようだ。 一方,昨年,国立感染症研究所が厚生科学審議会予防接種部会のワーキンググループで水痘ワクチンに関するファクトシートを作成している。 そこでは同ワクチンの費用効果について「抗ウイルス薬による治療費は低廉とは言い難く,重症水痘による入院医療費は一般的感染症の中でも上位を占める」「直接的な医療費と予防接種費用の比較では,医療費がより安価。 ただし,政策決定に重要な,家族の看護に伴う機会費用を含めると予防接種費がより安価。 定期予防接種を推進することが社会的視点からは優れていることが明らかにされている」などの評価がまとめられている。 (坂口 恵) 出典 MT Pro 2012.5.22 版権 メディカル・トリビューン社 <関連サイト> 水痘ワクチン初回接種後4週〜12カ月に2期接種を 出典 MT Pro 2012.4.26 ■落合小児科医院(三重県)の落合仁院長は,ここ数年で2回の水痘流行を経験した保育園在籍児のワクチン効果を調査し,高い抗体反応を期待するには1回接種では不十分で,1歳代の初回接種後,4週〜12カ月の間に2期接種をすることが望ましいと東京都で開かれた第15回日本ワクチン学会で報告した。 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
アジスロマイシンと心血管死リスクに関連,非使用に比べ約3倍 米の処方せんデータベースによる検討 以前からマクロライド系抗菌薬の一部に,QT延長などの催不整脈作用があることが知られている。 米バンダービルト大学のWayne A. Ray氏らはN Engl J Med 2012年5月17日オンライン版にアジスロマイシン使用と心血管死リスクに関する検討結果を報告した。 アジスロマイシンの心毒性は同クラス薬の中で小さいとされてきたが,否定的な報告も複数あると同氏ら。 処方せんデータベースに基づきpropensity score解析などによる検討を実施。 その結果,抗菌薬非使用の対照群に比べアジスロマイシン使用開始早期の心血管死の相対リスク(HR)は2.88倍と有意に上昇していた。 ただし,絶対リスクは小さかったと同氏らは結論付けている。 アモキシシリン,シプロフロキサシンとの比較でも有意なリスク上昇 検討の対象とされたのはテネシー州のメディケイドに加入する30~74歳の人。 各種循環器用薬やスタチン,インスリンの使用者,心血管疾患や糖尿病を合併する人が含まれている。 心血管疾患以外の重篤疾患を有する人,薬物中毒者,ナーシングホーム入所歴のある人,直近の入院歴のある人などは除外された。 米国でアジスロマイシンの発売が開始された1992〜2006年に発行された処方せんに基づき,同薬群(34万7,795件)を含む5群のpropensity scoreマッチングによる,心血管疾患死リスクの比較が行われた。 (1)同薬使用期間と「抗菌薬非使用の期間」をマッチングさせた対照群(139万1,180件), (2)アモキシシリン群(134万8,672件), (3)シプロフロキサシン群(26万4,626件), (4)レボフロキサシン群(19万3,906件)。 アジスロマイシン群の使用開始から5日の抗菌薬非使用群に対する心血管疾患死のHRは2.88(95%CI 1.79~4.63,P<0.001)。 全死亡のHRも1.85(同1.25~4.63,P=0.002)と有意に上昇していた。 アモキシシリン群における同期間の有意な死亡リスク上昇は見られなかった。 アモキシシリン群に対するアジスロマイシン群の心血管死のHRは2.49(同1.38~4.50,P=0.002),全死亡のHRは2.02(同1.24~3.30,P=0.005)であった。 この数値を心血管リスクスコア別に見ると,第6~9分位では100万件当たり47件の,リスクが最も高い第10分位では100万件当たり245件の心血管疾患による超過死亡が起こるとの試算が示されている。 なお,アジスロマイシン群における心血管疾患死のHRはシプロフロキサシンに比べ有意に高かった(P=0.01)が,全死亡のHRは有意ではなかった(P=0.09)。 一方,レボフロキサシン群との比較ではいずれも有意な差はなかった(各P=0.48,P=0.82)。 以上の結果からRay氏らは,アジスロマイシンの5日間の使用(*1)が心血管疾患死の絶対リスクのわずかな上昇に関連していたと結論。 リスク上昇はベースライン時の心血管リスクが最も高い例で顕著であったと述べている。 (坂口 恵) 出典 MT pro 2012.5.17 版権 メディカル・トリビューン社 <私的コメント> ■アジスロマイシンは、短期間使用の薬剤です。 そういった使用法で心血管死リスクが上昇するのはちょっとした驚きです。 ■心血管死リスクということではありませんが、個人的にはアジスロマイシンよりシプロフロキサシンの方が「強い、すなわち副作用が多い」薬剤という考えを漠然と持っていました。 この考えは改めなければいけません。 ■海外ではアジスロマイシンは5日間服用するのでしょうか。(*1) 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
〜英国の大腸がんスクリーニングプログラム〜 右側結腸がん発見率改善が課題 英国では2006年から,大腸がんによる死亡率を16%低下させることを目標に大規模な大腸がんスクリーニングプログラム,Bowel Cancer Screening Programme(BCSP)が実施されている。 今回,初回のスクリーニング結果100万件の解析結果が発表され,下行結腸がん(左側の結腸がん)の検出率が事前の予想よりも高いことが明らかになった。 詳細はノッティンガム大学(ノッティンガム)疫学・公衆衛生学部のRichard F. A. Logan教授らがGut(2011; オンライン版)に発表した。 ロンドン地区では検体回収率低い Logan教授らは,今回の知見について「下行結腸がんの発見率が予想よりも高いことから,両側の結腸がんを検出するにはこれまでと異なる戦略が必要かもしれない。上行結腸がん(右側の結腸がん)は,下行結腸がんより悪性度が高いと考えられている」と述べている。 英国では大腸がんによる死亡者は毎年1万6,000人に上り,英国と欧州におけるがんによる死亡原因では,肺がんに次いで2番目に多い。 また,英国では大腸がんの5年生存率は50%程度でしかなく,他の国と比べて著明に低い。 同教授らは今回,1回目の大腸がんスクリーニング参加の呼びかけで検査に応じた108万人の便潜血検査結果を解析した。 2006年に開始されたBCSPは,2009年末までには英国全土に展開され,60〜69歳を対象に2年置きに便潜血検査が3回実施されている。 2008年10月に英国の5地区(東部,ロンドン,北東部,北西部,南部)の200万人超に文書と検査キットが送付され,その約半数から検体が回収できた。 回収率は男性49.6%,女性54.4%であった。 回収率はロンドンを除く4地区では平均55〜60%であったが,ロンドン地区では平均40%と低かった。 回収された検体108万件の2.0%(2万1,106件)で便潜血検査が陽性と判定された。 この割合は女性(1.5%)より男性(2.5%)の方が高かった。 そのうち1万7,518人(98%)が主に大腸内視鏡検査などの精密検査を受けた。 免疫便潜血検査の導入も視野に 解析の結果,がん(1,772件)と前がん病変(6,543件)は女性よりも男性で多く発見される傾向にあった(それぞれ7.8%対11.6%,29%対43%)。 スクリーニングで発見されたがんの71%は早期がんであった。 また,部位別では,下行結腸がんが77%,上行結腸がんが14%だった。 この下行結腸がんの発見率の高さは英国がん登録の数字に基づく事前予測値よりもかなり高かった。 事前の予想では,スクリーニングプログラムによる下行結腸がんの発見率は67%,上行結腸がんで24%とされていた。 Logan教授らは,今回の初回調査結果について「大腸がんによる死亡率低減の目標に向け,同スクリーニングプログラムが軌道に乗っていることが確認できた」としつつも,「上行結腸がんはより悪性度が高く,スクリーニングでの発見率が低い。そのため,上行結腸がんを効果的にスクリーニングするには,便潜血検査以外に異なるスクリーニング戦略が必要かもしれない」と指摘。 将来的には免疫便潜血検査(fecal immunochemical test;FIT)の導入も検討しているという。 出典 Medical Tribune 2012.3.8 版権 メディカル・トリビューン社 <私的コメント> 便潜血検査というのが、結局は免疫便潜血検査ではなかったというオチ。 ちょっと信じられない。 <関連サイト> 〜大腸がん検診〜 CT colonographyで受診率向上 ■学術医療センター(AMC,アムステルダム)放射線学のJaap Stoker教授と消化器病学のEvelien Dekker博士らは「CT colonography(CTC)を大腸がん検診の中心に据えることで,従来の大腸内視鏡検査と比べ受診者の大幅な増加が見込める」とLancet Oncology(2011; 13: 55-64)に発表した。 ■大腸がんのほとんどはポリープから発生し,基本的には予防も治療も可能であるが,依然,欧州では2番目に多いがん死の原因となっている。 大腸内視鏡検査では,ポリープががん化する前の段階で発見し切除できるため救命に有効だが,検診への参加率は低い。 一方,CTCは標準的な大腸内視鏡検査と比べて侵襲性が低く,麻酔も不要であることから,より多くの人が受け入れやすいという利点があるとされる。 ■象はアムステルダムとロッテルダム在住で,平均的なリスクを有する50〜75歳のオランダ人。 大腸内視鏡(5,924人)またはCTC(2,920人)による大腸がん検診のいずれかにランダムに割り付け,参加を呼びかけた。 ■ その結果,CTC群では,大腸内視鏡群に比べて検診受診率が有意に高かった(34%対22%)。 Stoker教授らは,受診率にこのような差が生じた理由について「おそらく検査に対する負担感,あるいは手技に関連した合併症の差によるものと考えられる」と推測している。 ■同教授らは「両手技とも,住民を対象とした大腸がん検診に使用可能である。ただし,いずれの手技が優位かどうか決める際には,費用効果や受診者への負担度といった他の因子も考慮に入れなければならない」と結論している。 ■大腸がん検診の効果は,患者の参加意欲に左右されることが多い。 CTCを大腸がん検診の選択肢の1つに加えることで,進行がんの発見は従来と同等もしくはそれ以上になるだけでなく,合併症の発症率とコストは低下することから,患者のアウトカム向上が期待される。 出典 Medical Tribune 2012.2.16 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
インクレチンの臓器障害保護は臨床上意味ある? 佐賀大学循環器内科の野出孝一氏は第59回日本心臓病学会学術集会 (2011年9月23日~25日)のパネルディスカッションで講演し、血糖を過度に下げるとイベント抑制効果がなくなる「Jカーブ」が懸念されると現状を説明。 低血糖の回避にインクレチン製剤の活用は有効になると作用の仕方に基づいて解説した。 その上で、野出氏は、Prologue研究で、インクレチン製剤の処方による心血管イベントの抑制効果、IMT(頸動脈内膜中膜複合体肥厚)の抑制効果を検証していると自らの研究内容を報告した。 強化療法は避けるべきか 野出氏は、今、糖尿病治療の一つのトピックスとなっているのが「Jカーブ問題」を取り上げた。 高血圧ではかねて血圧を下げすぎた場合に、脳卒中をはじめとしたイベントを招きやすくなるとして「Jカーブ」現象として注目されてきた。 循環器領域では良く知られ、いまだに賛否両論のテーマになる。 さらに最近、血糖値の降下療法でも血糖を下げすぎない方がよいとの考え方が台頭してきた。 多数の論文報告が出てきている上、学会でも講演で報告されている。 大きく注目されたのは臨床研究の結果。 ACCORD試験、ADVANCE試験、VADT試験で軒並み血糖値を抑制する強化療法でイベントは減らなかった。 血糖を強く下げて、むしろ低血糖が問題になる可能性がある。 低血糖が心血管イベントに影響を及ぼすメカニズムを解明する課題が浮上した。 低血糖を引き起こさずに、いかに安全に血糖を下げて、いかにイベントを防ぐか。 野出氏の研究の方向は端的に言えば安全で効果的な血糖降下にある。 解決策として注目されるのが、新たに登場した薬剤インクレチン製剤である。 インクレチンは消化管から分泌されるホルモン。 インスリンの分泌を促す作用を持つ。 小腸上部から分泌されるGIPと小腸下部から分泌されるGLP-1がある。 いずれも膵島のβ細胞の表面受容体を刺激し、サイクリックAMPを増やして、インスリン分泌を促す。 DPP-4阻害薬は、半減期が短いGLP-1の分解酵素の作用をブロックしてインスリン分泌の降下を促す効果を長持ちさせる。 自然なインスリン分泌の機能に近く、余計なインスリンを出さないのがポイントだ。 血糖に反応して、その都度インスリン分泌を引き出す。 インクレチンには、胃からの食物排出を抑制し食後高血糖を防ぐといった副次的な効果も想定されている。 佐賀大学で研究進行中 では、臨床上の成績も、インクレチン製剤が優れているかが次なる課題だ。 原理に基づいて考えれば、血糖をほどよく下げるインクレチン製剤がほかの薬剤よりも優れていて不思議ではない。 半面で、穏やかに下げるだけで効果は十分か検証も必要だろう。 インクレチン製剤のメリットとして、血管内皮機能の改善効果があるとの報告がある。 TNF-α活性化を抑制する、IKKα、IKKβ抑制する。 GLP-1受容体作動薬は塩分の排泄、冠動脈疾患のリスクマーカーの改善につながるといった関連も可能性がある。 野出氏らの研究グループは多施設観察研究であるS-DOG研究を実施。 結果から、インクレチン製剤が従来の糖尿病薬と異なる機序で血糖を下げる可能性が浮かび上がった。 血糖の変動のほか、脂質の変動、血圧の変動などを分析したところ、血糖のみならず、中性脂肪、HDL-Cも低下し、血圧も低下した。 副作用として、心不全の増悪、発疹が見られた。 さらに、野出氏の研究グループはPROLOGUE研究も実施。IMTの変化を見て、DPP-4阻害薬の血管障害に対する効果を検証しようとしている。 PROLOGUE研究では従来の血糖効果療法と比較試験を実施。プラーク、酸化ストレスマーカーなどを調べる。血糖を下げて、実際に動脈硬化の抑制につながっているか、検討する。 http://www.m3.com/academy/report/article/143182/?pageFrom=conference 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
ACSががん予防の新ガイドライン,日本との最大の違いは? 米国がん協会(ACS)が1月11日,がん予防のための栄養と身体活動に関するガイドラインの改訂版を発表した(CA Cancer J Clin 2012; 62: 30-67)。 5年ぶりの改訂が行われた同ガイドライン,タイトルからも推察可能だが,日本のがん予防ガイドラインでトップに挙げられているリスク因子が全ページを通してほとんど見られない。 それは「たばこ」に関する項目だ。 実際,同ガイドラインの序文は「たばこを吸うことがないほとんどの米国人にとって,最も重要ながんのリスク因子は体重,食事そして身体活動」との文章で始まっている。 国民の3分の2が肥満ともいわれる米国では,糖尿病や心疾患同様,がんの予防においても肥満の防止が健康問題上大きな比重を占めるようだ。 生活の中で運動量増やすコツも 「同僚に電話やメールを使わない」「歩数計」 2010年の「日本人のためのがん予防法」(国立がん研究センターがん対策情報センター)では,エビデンスに基づく推奨として6つの項目が挙げられている。 そのトップは「禁煙」で,「たばこは吸わない。他人のたばこの煙をできるだけ避ける」とされている。 ACSは,喫煙者にとって「禁煙」が最も重要ながん予防策だとしながらも,同ガイドラインは「米国で大多数を占める非喫煙者に向け構成されている」とその位置付けを序言で説明している。 同ガイドラインの個人レベルのがん予防に関する項目は,肥満防止,身体活動,食事,アルコール摂取制限の4つの柱で構成されている。 肥満予防および身体活動については,成人期だけでなく,小児向けにも「週3日以上,各日少なくとも1時間は中等度~強度の運動を行うこと」を推奨。 ほかにも「生涯を通じて適正体重を保ちながら細身の体型を維持する」「いかなる年齢であっても,過剰な体重増加を起こさないようにする」などといった推奨も見られ,年齢にかかわらず,一貫した肥満の防止ががん予防につながることが強調されている。 また,テクノロジーの進化により,日常生活での身体活動量が減少しているとして,11の「座っている時間を減らすためのコツ」も示されている。 これは,肥満の有無にかかわらず,健康的な生活への意識を高めたい人にとって参考になりそうだ。 ・テレビやその他のスクリーンツールによる娯楽の視聴を少なくする ・テレビを見ている間,エアロバイクやトレッドミルを使用する ・エレベーターよりも階段を使用する ・できれば目的地までは徒歩か自転車で向かう ・会社の同僚,家族あるいは友人と昼休みを使って運動をする ・仕事中に運動休憩を取り,ストレッチや速歩などを行う ・会社の同僚には電話やe-mailを使わず,直接訪ねて用を済ませる ・配偶者や友人とダンスに出かける ・休暇には,乗り物の移動だけの旅行よりも活動的な内容を含める ・歩数計を毎日装着し,1日の歩数を増やす ・スポーツチームに参加する 出典 MT pro 2012.1.16 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
世界の認知症患者数,2050年には1億人を突破 HOの報告書 現在,約3,560万人いる世界の認知症患者数は2030年には6,570万人と倍増,2050年には1億1,540万人と3倍に増加-世界保健機関(WHO)が4月11日に発表した報告書“Dementia: a public health priority”の中でこのような試算を示している。 介護・医療のコスト増大に懸念,日本の「介護保険」解説も WHOの報告書によると,2050年には60歳以上の世界人口が20億人に達する見込み(図)。 低~中所得国における高齢者の増加が大きく影響するためと見られている。 ![]() 認知症は今や高所得国のみならず低~中所得国においても大きな問題となりつつあるという。 WHOは2030年には世界の認知症患者数は現在の3,560万人から6,570万人と2倍に,2050年には1億1,540万人に達すると予測。 特に低~中所得国における患者数増加が顕著だといい,世界の認知症患者数のこれらの国に住む人が占める割合は現在58%だが,2050年には70%に達すると見られている。 WHOは認知症の介護や医療にかかるコストは年間6,040億USドルと莫大で,今後も罹患率の伸びをしのぐ勢いで増加するだろうとしている。 また,認知症に対する診断の遅れは高所得国でも大きな問題で,きちんと診断されているケースは全体の5分の1~半分程度にすぎないという。 さらに認知症患者を介護する人の負担は深刻で,この背景には認知症に対する社会の理解が進んでいないことによるスティグマの存在やシステマチックなサポート体制が不足していることなどがあるとしている。 WHOは,認知症が世界の公衆衛生における優先課題であり,国の健康福祉システムにおける認知症患者や介護者向けのサービス体制の確立などが求められると述べている。 報告書では,認知症を含む高齢者の慢性疾患に対する社会保障の事例として,日本の介護保険システムに関する解説も行われている。 (坂口 恵) 出典 MT Pro 2012.4.12 版権 メディカルトリビューン社 〜認知症・大規模地域疫学調査〜 高齢化により有病率上昇の可能性 出典 Medical Tribune 2012.3.1 ■近年,少子化や高齢化に伴う人口構成の変化により,認知症の疫学的概要が既存の統計学的データでは十分に説明できなくなりつつある。 八潮中央総合病院(埼玉県)の池嶋千秋氏は,全国の認知症高齢者について,有病率,症状別分布,所在などを推計するための大規模な地域調査を実施し,その解析結果を報告。高齢化により有病率が上昇している可能性が示唆された。 ■池嶋氏は「有病率が高値であった背景には,余命の延長に伴う高齢者人口の増加が寄与していると考えられる。現在では新たに都市部3地域を加えて調査を継続しているが,今後はより詳細な解析を重ねることで,さらに精度の高い全国レベルでの有病率の推定を試みたい」とまとめた。 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
糖尿病の最新研究や新薬などテーマに討議,17日から横浜で 第55回日本糖尿病学会年次学術集会 第55回日本糖尿病学会年次学術集会(JDS 2012)が5月17日から3日間,横浜市で開催される。 メインテーマは「DREAMS come true」。 今学術集会会長の渥美義仁氏が,日本糖尿病学会のアクションプラン2010のDREAMSに,糖尿病専門医である同氏自身の夢の実現に向けた思いを込めたという。 糖尿病の最先端研究,新規治療薬,災害時医療など19のテーマ(セッション)で構成されるシンポジウムや,未決着のテーマの論点を整理して前向きな提言を導くための新企画「From Debate to Consensus」など,DREAMSの実現に向けたさまざまな企画が用意されている。 グルコキナーゼ活用の治療法や再生医療など話題のテーマめじろ押し JDS 2012におけるシンポジウムは19セッション。 まず,1型および2型糖尿病における最先端の研究について,「シンポジウム1:2型糖尿病 インスリン分泌」と「シンポジウム2:再生医療による糖尿病薬の可能性」が開かれる。 前者において治療面では,白川純氏(横浜市立大学大学院分子内分泌・糖尿病内科学)から,マウスを用いた研究でグルコキナーゼ(Gck)の活性化により小胞体(ER)ストレスが緩和されることが分かったとして,Gckアクチベータを用いた新たな治療の可能性について発表される。 後者では,膵β細胞や膵島細胞の再生に関する国内外での最先端の取り組みが紹介される。 また,生活習慣病における共通の病因とされ,いまだに解明されていない部分が多い慢性炎症についても,「シンポジウム3:慢性炎症とインスリン抵抗性」を通じて両者の関連についての研究成果が報告される。 薄井勲氏(富山大学大学院内科学第一講座講師)は,カロリー制限に伴う代謝改善などで重要な役割を果たす酵素SIRT1の特異的活性化薬を用いた慢性炎症およびインスリン抵抗性の抑制効果について,和田淳氏(岡山大学大学院腎・免疫・内分泌代謝内科学准教授)は,ホスファチジルN-メチル基転移酵素(PENT)の抑制によるインスリン抵抗性の改善について,それぞれ発表を行う。 災害時医療の課題や解決策も報告,新規治療薬への可能性も議論 昨年(2011年)3月11日の東日本大震災を機に,あらためて注目を集めている災害時診療についても,「シンポジウム4:災害時の糖尿病診療」において,大災害の発生で浮き彫りになった医療の課題と解決策に関する報告が行われる。 日本糖尿病学会では同震災の被災地における医療施設に対して大規模なアンケートを実施しており,シンポジウムでは中間解析結果が発表される。 「シンポジウム6:インクレチンの解明から治療薬の進化(Bydureonも含めて)」「シンポジウム10:糖尿病における新規治療薬(含む:SGLT2,GPR40)」では,インクレチン関連薬の最前線から,その“後継者”と目されるナトリウム/グルコース共輸送体(SGLT)2阻害薬やG蛋白共役型受容体(GPR)40選択的作動薬などの新規治療薬まで,治療における位置付けや可能性をめぐる議論が繰り広げられる予定。 がんとの関連や大規模研究に基づくエビデンスなども網羅 また,最近の世界的なホットトピックスの1つになっている糖尿病とがんの関連についても,「シンポジウム11:糖尿病と癌」でそれぞれの領域の専門家によるレビューや考察が発表される。 2009年に米国糖尿病学会(ADA)と米国がん学会(ACS)がコンセンサスレポートを発表しており,わが国においても両疾患の関連性に対する検討が進められている。 座長を務める春日雅人氏(国立国際医療研究センター研究所長)は「両疾患の関連性について,専門医だけではなく一般の臨床医やコメディカルスタッフにも知ってほしい」と呼びかけている。 さらに,日常臨床における治療選択肢を考える上で欠かせない大規模介入研究・観察研究についても「シンポジウム13:大規模試験からのメッセージ」で取り上げる。 国内の試験データだけではなく,ACCORD試験やADDITION-Europe試験といった海外の大規模試験についても米国およびデンマークから来日する専門家による発表が行われる。 「日本人にとって最もふさわしいカーボカウントを」 今学術集会の目玉の1つとされる新企画「From Debate to Consensus」は,優劣を競う従来型のディベートセッションをひと工夫し,未解決のテーマについて論点を整理した上でコンセンサスづくりに向けた前向きな提言を行うとしている。 ここでは,運動療法の治療ガイド作成,インスリンと経口薬の併用,食事中の適正な糖質量,カーボカウントなど7つのセッションが開催される。 わが国においても導入例が増えているカーボカウントについては,「From Debate to Consensus 6:『食品交換表』を用いるカーボカウントの意義と活用」において,糖尿病専門医のほか,人間・環境学や管理栄養士などの専門家らが一堂に会し,わが国におけるカーボカウントの在り方について議論が交わされる。 座長を務め,自身も登壇する石田均氏(杏林大学第三内科教授)は,日本と米国との食文化の違いを指摘し,「日本人にとって最もふさわしいカーボカウントへの道を切り開くことが重要」と意気込みを語っている。 (JDS 2012取材班) 出典 MT pro 2012.5.14 版権 メディカル・トリビューン社 医師不足問題、残る課題は診療科偏在との認識 (m3.com 2012.4.4) http://www.m3.com/iryoIshin/article/151169/ ■医学部定員は、既に13校分くらい(過去5年間に医学部定員が1366人分増加)ここ数年で増えている。 歯学部では定員増のために、入学者が定員割れし、50%のところもある。 ■今の「医師不足」問題は、絶対数の不足ではなく、地域あるいは診療科の偏在の問題である。 ■医師の地域偏在については、各大学が地域枠を広げているため、少しずつ、地域偏在も解決するだろう、残る課題は診療科の偏在である。 ■医療の不確実性を考えた場合、結果が悪ければ、医師が訴えられるような仕組みを少しずつ変えていくことが必要である。 ■大学病院とした大病院を中心として医療費が増加している。 これは本来、文部科学省が手当すべき部分であり、診療報酬で稼がなければいけない構図が作られている。 ■医薬分業で医療費がどれだけ伸びているのかも検討しなければならない。 (調剤の医療費の伸び率は 8%) 本当に医薬分業が国民のためになっているのかを考える必要がある。 <私的コメント> 民主党が掲げた医師数1.5倍増はどうなるんでしょうか。 実行力のない民主党のことですからきっと実現しないんでしょうが。 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
米FDA「ビスホスホネート長期使用のエビデンス不足」で学会が声明 米食品医薬品局(FDA)で薬剤評価を担当するMarcea Whitaker氏らがN Engl J Med 2012年5月9日オンライン版にBisphosphonates for Osteoporosis-Where Do We Go From Here ? と題する展望を発表した。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22571168 この中で,現在の臨床試験では,ビスホスホネート製剤服用開始から3~5年後の骨折予防効果に関するエビデンスが不足していると指摘。 一方,いくつかの重大な有害事象に関する報告があり,同製剤の服用を長期に継続すべきか,それとも中止すべきか明らかになっていないと述べている。 これを受け,米国骨代謝学会(ASBMR)は同日,医師および患者向けの声明を発表。 また,5月17日を皮切りに,同薬に関するウェブセミナーを開始,さらなる研究推進などを呼びかけていく姿勢を明らかにしている。 当初は3,000~7,500例規模の臨床試験も,延長試験では164~1,233例に 「FDAはビスホスホネートの長期的な安全性と有効性に重大な関心を寄せている」とWhitaker氏ら。 一方,まれではあるが,大腿骨非定型骨折や顎骨壊死など,いくつかの重大な有害事象に関する報告があるほか,至適な服薬・休薬期間,他剤への切り替えに関する検討も行われていないといった問題も挙げている。 独自に行ったシステマチックレビューの結果から,ビスホスホネート製剤の長期的な骨折予防効果に関するエビデンスは不足していると同氏ら。 1つの理由として,複数の薬剤に関する臨床試験で,1次評価項目が承認前の骨折発生率から,より検討期間を延長した検討では骨密度に置き換わっていることを挙げる。 その上で同氏らは,FDAとしては,延長試験でも骨折発生率を重視するとの立場を明らかにしている。 また,これらの臨床試験では当初,十分な症例数(3,000~7,500例)の患者が対象とされていたにもかかわらず,延長試験では症例規模が164~1,233例と縮小している点なども長期的な評価が不足している原因と見ているようだ。 学会「高リスク患者では3~5年時点の中止は最善策でない可能性」 ASBMRはこの展望を受け「FDAがビスホスホネート製剤による治療を3~5年受けている患者の再評価を行うべきとの見解を公表した」として同日,声明を発表。 ビスホスホネート製剤が骨粗鬆症治療の重要な武器との認識をあらためて強調した。 しかし,同声明では,同製剤の至適使用期間に関する情報がないことから,患者ごとの評価を行うようにとの医師向けの勧告も示されている。 一方,骨折リスクの高い患者の場合,服薬開始から3~5年時点の使用中止は最善策ではない可能性があるとの意見も述べられている。 また, (1)同製剤を3~5年以上使用した場合の安全性と有効性に関する確実なデータ, (2)同製剤中止後の患者評価の指標, (3)各製剤ごとの服薬中止後の反応の違い -といった点については,より詳細な検討が不可欠であるとしている。 (坂口 恵) 出典 MT pro 2012.5.15 版権 メディカル・トリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
月に1回のMRさんとの2012.5.10の面会記録です。 ①持田製薬 ■ビーソフテン外用スプレー0.3% スプレータイプのローション ■エパデールの紹介 ■ACHIEVE-ONE (シルニジピン) 自治医大・苅尾教授 心拍数低下 M/E比改善 ②武田 ■「糖尿病治療ガイド 2012-2013」配布 ■「アジルバ」(発売準備中) 紹介 ③日本ベーリンガー ■スピリーバ紹介 ■ミカムロ、ミカルディス紹介 ■プラザキサ服薬確認PTPホルダー ■「心房細動という病気をもっと理解うるために・・・」 パンフ配布 ■胆汁排泄型選択的DPP-4阻害剤 「トラゼンタ」紹介 H24.10〜長期投与可能 ④三和化学 ■セイブル紹介 ■ダイアート 「J-MELODIC」 ⑤田辺三菱 ■メインテート紹介 ■SGLT2阻害薬 発売予定 田辺三菱、SGLT2阻害薬 カナグリフロジン 12年にも糖尿病新薬申請 http://lobster666.blog.fc2.com/blog-entry-201.html 日本における糖尿病治療への貢献をめざした戦略的提携について 2型糖尿病治療薬「MP-513」および「TA-7284」の共同販売契約締結 (2012年3月6日、当社と第一三共との共同発表) http://www.mt-pharma.co.jp/shared/show.php?url=../release/nr/2012/MTPC_DS120306.html ⑥帝人ファーマ ■フェブリック フェブリック投与にてクレアチニンが低下? 薬価 10mg 31.10 20mg 56.49 40mg106.60 (ザイロリック100mg 25) ⑦協和発酵キリン ■ネスプ注射液プラシリンジの用法・用量 ⑧アステラス製薬 ⑨ノバルティス ■「降圧治療薬配合錠一覧」 ■エクア 使用上の注意改訂 追記 腹部手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者 (腸閉塞を起こす可能性がある) 急性膵炎があらわれることがある 重大な副作用 追加 横紋筋融解症 急性膵炎 腸閉塞 ■5月17日 「高血圧の日」 ポスター ⑩ツムラ ■「漢方がわかる本」配布 ■加味帰脾湯 大人しいタイプの認知症に有効 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
単純性虫垂炎への抗菌薬治療は有効で安全 虫垂切除術と比較した最新のメタ分析の結果 急性単純性虫垂炎に対する一次治療としての抗菌薬投与は、虫垂切除術と比べて合併症リスクは有意に低く、入院期間にも差はないことが、最新のメタ分析で明らかになった。 英Nottingham大学病院のKrishna K Varadhan氏らが、BMJ誌電子版に2012年4月5日に報告した。 急性虫垂炎患者のうち、複雑性虫垂炎(壊疽性/穿孔性/膿瘍形成性の虫垂炎)は全体の20%程度に留まる。 それ以外の単純性虫垂炎の患者には抗菌薬治療も選択肢になると考えられており、実際に適用されている。にもかかわらず、その有効性と安全性を支持する質の高いエビデンスはなかった。 そこで著者らは、近年行われた質の高い無作為化試験を対象に、急性単純性虫垂炎に対する一次治療としての抗菌薬投与と虫垂切除術について安全性と有効性を比較するメタ分析を行った。 分析対象としたのは、血液検査、超音波検査、CT検査などによって急性単純性虫垂炎と診断された成人患者を対象に、抗菌薬投与と虫垂切除術の転帰を比較していた無作為化試験とした。 主要評価指標は、各研究が共通して報告していた合併症に設定した。 具体的には、抗菌薬群については、「穿孔性/壊疽性虫垂炎または腹膜炎と、後に虫垂切除術を受けた患者の創感染」とし、虫垂切除術群については、「穿孔性虫垂炎または腹膜炎と創感染の発生件数」とした。 2次評価指標は、入院期間、再入院、複雑性虫垂炎(抗菌薬群では抗菌薬治療開始後、虫垂切除術群では手術時に同定されたケース)の罹患率などに設定した。 メタ分析では、診断時から抗菌薬が投与された患者を抗菌薬群とした。 Intention-to-treat分析を基本とし、抗菌薬投与を受けていたが改善せずその後虫垂切除術を受けた患者も抗菌薬群に含めた。 4件の無作為化試験が条件を満たした。合計900人の患者が登録されており、470人が抗菌薬、430人が虫垂切除術に割り付けられていた。 抗菌薬群に適用された薬剤は、「アモキシシリン+クラブラン酸を継続使用」が1件、「セフォタキシム+メトロニダゾール投与後、シプロフロキサシン+メトロニダゾールに切り替え」が1件、「セフォタキシム+チニダゾール投与後、オフロキサシン+チニダゾールに切り替え」が2件だった。 抗菌薬群470人のうち、32人がプロトコル逸脱により脱落し、93人は医師の判断や患者の希望などを理由に、手術にクロスオーバーされた。残る345人は抗菌薬投与により治療成功と判定された(短期的治療成功者)。 そのうち80%に相当する277人は1年後まで症状なしに過ごしていた(長期的治療成功者)。 残る68人は再入院し、うち3人は抗菌薬再投与のみで再び治療成功と判断された。 65人は虫垂切除術を受けたが、4人は虫垂炎ではなく、48人は蜂窩織炎性虫垂炎、13人が複雑性虫垂炎(壊疽性4人、穿孔性9人)だった。 一方、虫垂切除術を受けた患者は、当初から割り付けられた患者420人に抗菌薬群からのクロスオーバー組93人を加えた513人だった。 手術の結果、21人が虫垂に異常がなく、20人が他の診断を受けた。 残る472人が虫垂炎と確認され、うち343人が蜂窩織炎性虫垂炎、129人が複雑性虫垂炎(壊疽性 51人、穿孔性78人)だった。術後の再発は0件だった。 主要評価指標である1年間の合併症の発生率は、切除群(430人中108人、25%)に比べ、抗菌薬群(470人中84人、18%)で有意に少なかった。 Mantel-Haenszel推定によるリスク比は0.69(95%信頼区間は0.54-0.89、不均質性を示すI2=0%、P=0.004)で、抗菌薬群において合併症の相対リスクは31%減少した。 当初の入院期間には差はなく(P=0.29)、複雑性虫垂炎の罹患リスクにも有意差はなかった(P=0.09)。 急性単純性虫垂炎患者に対する一次治療として、抗菌薬治療は有効で安全だった。 合併症リスクは切除群に比べ有意に低く、その後の複雑性虫垂炎罹患のリスクは、最初から手術に割り付けられたグループとの間に有意差を示さなかった。 「この結果は、抗菌薬治療は早期の患者に対する選択肢として検討するに値することを示している」と著者らは結論している。 原題 Safety and efficacy of antibiotics compared with appendicectomy for treatment of uncomplicated acute appendicitis: meta-analysis of randomised controlled trials 全文 http://www.bmj.com/content/344/bmj.e2156 出典 NM online 2012.4.17 版権 日経BP社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
腎機能保持のために尿酸管理を 福岡歯科大学医科歯科総合病院内科の大田祐子氏は,高血圧患者の尿酸値の変化と腎機能の推移に関する10年間の観察研究の結果,血清尿酸値の変化は血圧とは独立して腎機能の低下を促進することが示唆されたと報告。 「腎機能保持のために減塩指導の強化だけでなく,尿酸管理も必要と考えられる」と述べた。 <私的コメント> このことは常識と思っていました。 こういった発表が出て来ることは喜ばしいことですが、同時に「何で今さら」感もあります。 近くの大学病院ならびに関連病院のドクターは、腎障害に伴う高尿酸血症は一切治療しないというスタンスです。 ある腎臓専門医に、このことを訊く機会がありました。 「腎臓専門医なら誰でもアロプリノールによる重症のTENを経験している。それが高尿酸血症を治療しない理由だ」という返事。 私は納得できませんでした。 尿酸値とeGFRの変化が負の相関 高尿酸血症の治療は慢性腎臓病(CKD)の腎機能保持に有用であることが報告されている。 そこで大田氏らは,高血圧患者の尿酸値の変化と腎機能の推移について10年間の観察研究を行った。 対象は,九州医療センター高血圧外来を受診した患者のうち,初回の24時間家庭蓄尿を1998〜2000年に,最終蓄尿を2008〜10年に実施し,期間中の蓄尿回数が5回以上で血清尿酸値を測定した104例(男性44例,女性60例,平均年齢70±9歳)。 随時血圧値,背景因子,降圧薬を調査し,食塩排泄量,腎機能,尿酸値の推移について検討した(平均観察期間10.4年)。 その結果, (1)最終蓄尿時の尿中食塩排泄量(7.9±3.1g/日)は,初回蓄積尿時(9.4±3.5g/日)と比べて有意な減少(P<0.01) (2)最終時の推算糸球体濾過量(eGFR)は初回と比べて有意に低下し,変化率は平均0.66mL/分/年 (3)観察期間中,尿酸値は有意な変化を示さなかったが,血清尿酸値の変化はeGFRの変化率と相関係数(r)−0.34の有意な負の相関—が認められた(図)。 ![]() また,全症例を尿酸値が0.5mg/dL以上低下した「低下群」,変化がなかった「不変群」,0.5mg/dL以上上昇した「上昇群」の3群に分けて各項目を比べた結果,低下群は上昇群に比べてeGFR低下率が小さいことが判明。eGFR変化率を目的変数とした多変量回帰分析では,平均食塩排泄量と血清尿酸値の変化が負の説明変数として検出された。 これらの結果について,同氏は「10年間の観察期間中,高血圧患者における血清尿酸値の変化は血圧とは独立して腎機能低下を促進することが示唆された。腎機能保持のために減塩指導の強化だけでなく,尿酸管理も必要と考えられる」と述べた。 出典 Medical Tribune 2012.5.10 版権 メディカル・トリビューン社
ロッテルダム研究で驚きの結果,認知症が10年で25%減少 世界的な高齢人口の増加に伴い,認知症は今後さらに増加するとみられている。 そんな中,驚きの結果が有名な疫学研究のサブコホートスタディで明らかにされた。 ロッテルダム研究に参加した60~90歳の約7,000人を1990年,2000年それぞれのサブコホートで最大5年間追跡。 2000年のサブコホートでは1990年に比べ,認知症の発症率が25%減少していたという。 オランダ・エラスムスMC大学医療センターのE. M. C. Schrijvers氏らがNeurology(2012; 78: 1456-1463)に報告した。 同検討では認知症との関連が指摘される心血管系合併症に関する評価も実施。 認知症の発症率とは裏腹に,なんと2000年の群において一部の心血管系危険因子が有意に悪化していたとの結果も同時に示されている。 すべての年齢層で減少を確認,死亡率も減少 Schrijvers氏らはロッテルダム研究の参加者のうち,ベースライン時に認知症のなかった60~90歳の人々を1990年,2000年にそれぞれ登録。 1990年のサブコホート(5,727例)と2000年のサブコホート(1,769例)における認知症の発症率を比較した。 追跡期間中に認知症を発症した人の数は1990年群(2万5,696人・年)で286人,2000年群(8,384人・年)で49人であった。 すべての年齢層において認知症の発症率は2000年群でより減少。年齢調整後の認知症発症率比(IRR)は, 25%低下しており(0.75,95%CI 0.56~1.02),ほぼ有意(reaching borderline significance)であったという。 死亡率も同様に低下が見られた(IRR 0.63,0.52~0.77)。 結果を読み解く鍵は「脂質低下薬と抗凝固薬の使用率増加」? しかし,60~80歳台のほとんどで高血圧と肥満を有する人の割合は2000年群で有意に増加。 一方,抗凝固薬および脂質低下薬の使用率が有意に増えていた。 降圧薬,糖尿病治療薬の使用率および心筋梗塞,脳卒中の発症率に有意な変化はなかった。 また,参加者のうち頭部MRIによる評価を受けた群の検討では,1995~96年に比べ,2005~06年群において全脳容積が有意に大きく(P<0.001),微小血管病変が少ない傾向(男性では有意差なし)が示された。 Schrijvers氏らによると,認知症の減少傾向が報告されたのは同研究が初めてではなく,既に米国の一部でも同様の報告が行われているという。 この研究はオランダのDutch Daily Newsでも報道されている。 同社の取材に対し,同氏は「(認知症発症率の減少だけでなく)心血管の健康という面で,1990年の群より2000年群の方が不健康であったとの結果にも驚いた。しかし,同時に後者では脂質低下薬や抗凝固薬といった危険因子を減じる薬剤を使用する人が増えていた」コメント。 ただし,これらの薬剤が認知症に直接どのように作用しているかは今後の検討が必要との見解を述べている。 (坂口 恵) 出典 MT Pro 2012.5.10 版権 メディカルトリビューン社
片頭痛予防に対する2つの薬物療法ガイドラインが同時改訂 米国神経学会(AAN),米国頭痛学会(AHS)が4月24日,片頭痛(episodic migraine)予防に関する2つの薬物療法ガイドラインの同時改訂を行った。 発表はAANの年次学術集会および同学会誌上で行われた。 1つは処方せんに基づく薬物療法に関するもの(Neurology 2012 ; 78: 1337-1345 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22529202),もう1つは米国ではOTCで入手可能な非ステロイド抗炎症薬(NSAID),ハーブやビタミンなどのサプリメントを含む補完療法に関するもの(Neurology 2012; 78: 1346-1353 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22529203)。 AANガイドライン2000年版の内容が,その後10年のエビデンスに基づき改訂されている。 西洋フキが片頭痛予防の最も有効性高いカテゴリーに AANによると,片頭痛発作の予防治療が有効な可能性のある人は片頭痛患者の約38%に上ると見られるが,実際,こうした治療が行われている人はそのうちの3分の1以下だという。 発作予防の治療は急性期の治療と異なり,基本的に毎日の服薬により,発作の頻度や重症化を抑えることが目標とされる。 こうした観点から,今回,米国内の処方せん薬またはOTCで入手可能な薬剤に関する2つのガイドラインが作成されている。 なお,ボツリヌス毒素による治療についてはAANが別途ガイドラインを発行。 2008年の時点ではレベルB(有効である可能性が高い)とされているが,現在,改訂作業が進められているという。 両ガイドライン作成に当たって,1999~2009年に発表された284報の論文がレビューされ,エビデンスレベルに基づく分類が示された。(表1,2) ![]() ![]() 効能としては同クラスに属する薬剤でもエビデンスレベルが異なっているほか,前回ガイドライン作成時に比べ,新たにエビデンスを追加された薬剤が多い。 NSAIDと補完療法編では,西洋フキがNSAIDよりも有効性が高いカテゴリーとされた。 なお,今年3月,日本神経学会はカンデサルタンの「片頭痛発作の抑制」に対する効能・効果の追加の要望書を厚労省に提出している。 (坂口 恵) 出典 MT Pro 2012.4.27 版権 メディカル・トリビューン社 <関連サイト> EMBARGOED FOR RELEASE UNTIL 4 PM ET, APRIL 23, 2012 New Guidelines: Treatments Can Help Prevent Migraine http://www.aan.com/press/index.cfm?fuseaction=release.view&release=1062 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
新ガイドライン登場、LDL-Cと黄色腫の2項目で診断可能 心筋梗塞のリスクが高く早期治療が求められる家族性高コレステロール血症(FH)。 今春、プライマリケア医にも使いやすい、FHの新たな診断基準がまとまる。 アキレス腱の触診が、早期発見のカギだ。 日本動脈硬化学会は、今年5月に発行予定の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012」の中で、FHの新たな診断基準を示す(表1)。 これまでのFH診断基準は、LDL受容体の検査を必要とするなど、プライマリケア医が日常的に使用するには実用的ではない部分があった。 新基準では、LDLコレステロール(LDL-C)と黄色腫の身体所見のみで、FHを診断できるようにする。 表1 家族性高コレステロール血症(FH)の診断基準案(日本動脈硬化学会による) ![]() FHとは、主にLDL受容体遺伝子の変異で生じる常染色体優性遺伝型の脂質異常症だ。 両方の染色体に変異を持つホモ接合体は100万人に1人程度とまれで、小児期から皮膚結節性黄色腫など特徴的な病態を示すので診断は容易だ。 一方、染色体の片方に同変異を有するヘテロ接合体のFHは、新たなガイドラインによると、人口の300~500人に1人と高頻度で存在する。 阪大循環器内科病院教授の山下静也氏は、「ホモ接合体ほど顕著な臨床症状を示さないので、見落とされている患者が多数存在する」と指摘する。 FHは、出生時から遺伝的に高LDL-C血症を呈しており、動脈硬化のハイリスク群だ。 生活習慣の是正だけでは治療は不十分で、スタチンなどの薬物療法が必要だ。 そのような事情から、「プライマリケアの現場で、FHを拾い上げやすいよう、簡便な診断基準を新たに設けることにした」と同ガイドライン作成に関わった山下氏は説明する。 アキレス腱肥厚の触診を 増田内科医院(大阪府茨木市)院長の増田一裕氏は、これまでもLDL-C値が180mg/dL以上のほぼ全ての患者を、FH精査のために国立循環器病研究センターに送ってきた。 増田氏は、「これらの患者の約半分がFHヘテロ接合体と診断されて帰ってくる」と、日常診療の場でもFH患者に遭遇する機会が多いことを実感している。 新たな診断基準では、LDL-C値180mg/dL以上で、腱黄色腫や皮膚結節性黄色腫を示す場合をFHとする。 黄色腫の身体所見で、特に有用なのがアキレス腱の肥厚の確認だ。 国立循環器病研究センター研究所病態代謝部特任部長の斯波真理子氏は、「アキレス腱の肥厚は、黄色腫の中で最も出やすい。また、生涯におけるLDL-Cの積分値ともいえる」と説明する。 皮膚結節性黄色腫は治療に反応して消失することがあるが、アキレス腱肥厚は治療後もほとんど消えないという。 アキレス腱肥厚の判断は、X線軟線撮影でアキレス腱の一番太い部分が9mm以上の場合を「肥厚あり」とする(図1)。 ただし実臨床では、全ての患者にX線検査を実施するのは現実的ではないだろう。 ![]() 斯波氏は、「コレステロールが高い患者に対しては、ルーチンでアキレス腱を触診する習慣を持ってほしい」と話す。 アキレス腱の触診は、患者を椅子などの台の上に、膝立ちさせて行う。 肥厚が存在する場合にアキレス腱は、「“ゴツゴツ”と感じられる」(斯波氏)。 肥厚している患者では、歩きにくさや痛みを感じている場合がある。 また、アキレス腱が弱くなっているため、通常ではアキレス腱断裂が生じないような軽度の運動で断裂しやすい。 血縁者の検査と治療も重要 新たな診断基準に当てはまるFH患者は、「まず、循環器専門医に送ってほしい」と山下氏は言う。 FH患者では、全身の動脈硬化の状態を精査する必要があるためだ。 加えて、血縁者に対する検査も重要となる。 親がヘテロ接合体FHの場合、2分の1の確率で子どもに遺伝する。 20歳代で心筋梗塞を発症するヘテロ接合体FHもいるので、FHを確認できた場合には、早期から治療を開始する必要がある。 特に男性では、動脈硬化の発症年齢が女性に比べて早いので要注意だ。 とはいえ、「早期に拾い上げ、適切な治療を行えば、FHでも心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の発症を予防できる」と、斯波氏は強調する。 実際、同氏は80歳代のFH患者も診ているという。 FHの診療において、かかりつけ医の果たす役割は大きい。 出典 NM online 2012.4.13 版権 日経BP社
ワルファリンによる脳卒中管理と転帰はこの20年で向上 心房細動患者を対象とした無作為化試験をメタ分析 非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の脳卒中予防には長い間ワルファリンが用いられてきた。 米Cleveland ClinicのShikhar Agarwal氏らは、近年行われた無作為化試験を対象にメタ分析を行い、その絶対的な有効性と安全性を分析した。 得られた値を約20年前の無作為化試験と比較したところ、ワルファリンによる凝固活性の管理は向上し、転帰も改善したことが示された。 論文は、Arch Intern Med誌2012年4月23日号に掲載された。 NVAF患者では、虚血性脳卒中リスクが約5倍に上昇している。 ワルファリンに代わる抗血栓薬として、いくつかの新薬が開発されており、臨床試験でワルファリンに対する優越性が示された薬剤もある。 こうした新薬は有効性以外にもワルファリンに比べて使いやすいなど複数の利点を持つが、コストは高い。 このため、著者らは、ワルファリン特有の使いづらさを考慮しても、世界的には多くの患者に従来通りワルファリンが用いられる状況が続くと予想している。 一方でNVAF患者に対するワルファリンの使用法にもかなりの進歩があり、安定した管理が容易になってきた。 そこで著者らは、脳卒中予防を目的としてNVAF患者にワルファリンを投与した最近の大規模無作為化試験を対象に、この治療の相対的な利益ではなく、絶対的な有効性と安全性を評価しようと考えた。 得られるデータは、医師が、担当した患者に、ワルファリンとより新しい抗血栓薬のいずれを選択すべきかを判断する際に役立つはずだ。 01~11年の10年間にMedline、Embase、コクランライブラリに登録された研究の中から、脳卒中の1次予防または2次予防を目的として、NVAF患者を登録しワルファリンまたは他の抗血栓レジメンに割り付けていた無作為化試験で、ワルファリン群の患者が400人以上であり、有効性の評価指標に脳卒中を設定していたものを選んだ。 さらにそれらの中から、Jadadスコアが3以上の、質の高い試験を選出した。 メタ分析における有効性の主要評価指標は、「虚血性または出血性の脳卒中もしくは中枢神経系以外に発生した塞栓症」とし、安全性の評価指標は、大出血や頭蓋内出血などに設定した。 8件の試験(3万2053人を登録)が条件を満たした。それらは、ワルファリン群の患者を5万5789人-年追跡していた。いずれも、目標治療域はプロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)2~3の間に設定。TTR(Time in Therapeutic Range: PT-INRが目標治療域にあった期間の割合)は55%から68%で、7件が60%を超えていた。 ワルファリン群の脳卒中または非中枢神経系の塞栓症の年間罹患率は1.2%から2.3%の範囲で、プールした罹患率は1.66%/年(95%信頼区間1.41-1.91)になった。 同様に、心筋梗塞のプールした罹患率は0.76%/年(0.57-0.96)、全死因死亡は3.83%/年(3.07-4.58)、複合イベント(脳卒中、非中枢神経系の塞栓症、心筋梗塞、全死因死亡)は4.80%/年(4.22-5.38)だった。 大出血の定義は試験ごとに異なっていたため、これらの転帰に関するプール解析は行えなかった。 大出血の年間発生率を試験ごとに見ると、1.4%から3.4%の間だった。 頭蓋内出血の年間発生率は0.33%から0.80%の間で、プールしたイベント発生率は0.61%/年(0.48-0.73)になった。 個々の研究が報告していた有害事象(主要な血管イベント、死亡、または大出血)の累積発生率は、3.00%/年から7.64%/年の間だった。 脳卒中と非中枢神経系塞栓症の発生率について、サブグループ解析を行った。 発生リスクが高かったのは、75歳未満(罹患率は1.62%/年)よりも75歳以上の高齢者(2.27%/年、相対リスクは1.44、1.18-1.76、P<0.001)、男性(1.60%/年)よりも女性(2.12%/年、相対リスクは1.29、1.13-1.49、P<0.001)、脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)歴がなかった患者(1.45%/年)よりも罹患歴があった患者(2.64%/年、相対リスクは1.88、1.31-2.71、P=0.01)、ビタミンK拮抗薬の使用歴が登録前にあった患者(1.70%/年)よりもなかった患者(1.96%/年、相対リスクは1.16、1.01-1.33、P=0.04)だった。 また、ベースラインで、血栓リスク評価指標であるCHADS2スコアが高かった患者ほど、脳卒中または非中枢神経系塞栓症の年間罹患率は高かった。 スコアが0~1のグループ(罹患率は0.89%/年)を参照群とすると、スコアが2のグループの相対リスクは1.46(1.13-1.89、P=0.004、罹患率は1.43%/年)、スコアが3~6のグループでは2.89(2.28-3.66、P<0.001、2.50%/年)になった。 著者らはさらに、過去に行われたメタ分析の対象になった、ワルファリンと偽薬の安全性と有効性を比較した無作為化試験のうち、1989~93年に行われた6件を選び、上記と同様の評価指標について分析した。 個々の研究が設定していたINRの目標域は様々で、TTRは42%から83%の間だったが、60%以上になっていたのは2件の研究のみだった。 プールした脳卒中または非中枢神経系塞栓症の発生率は2.09%/年(0.89-3.30)で、今回のメタ分析で得られた値に比べ高かった。大出血の発生率も最低が3%/年、最高は13%/年とかなり高かった。 脳卒中予防を目的としてワルファリンを使用しているAF患者の脳卒中または非中枢神経系の塞栓症のリスクは、現在では1.66%/年程度であることが示された。 また、この20年間にTTRは大きく向上し、脳卒中の発生率は低下していたことが明らかになった。 原題 Current Trial-Associated Outcomes With Warfarin in Prevention of Stroke in Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation: A Meta-analysis http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/short/archinternmed.2012.121 <関連サイト> 初診の心房細動患者、まずどんな情報を集めるべき? 「病型」分類をみたときは、その分類が何を目的とした分け方なのかを押さえておくことが大切 持続時間の「7日」、「1年」といった区切りは、「7日(多くは48時間)以内は自然に洞調律に戻ることが多い」「1年以上たったものは電気的除細動によっても洞調律に戻りにくい」という、「洞調律への易回復性」から経験的に算出した分け方なのです。 ESCのガイドラインで「48時間」と規定されているのは、ほとんどの場合、48時間を超えて持続した場合は自然停止が見込めず、洞調律回復には抗凝固療法が必要となるからです。 つまりこれらの分類は、洞調律回復を目指したい時に便利な分け方であると言えます。 ![]() ![]() 心房細動が疑われる患者、あるいは確定している患者に対する質問項目(2010年ESCガイドライン) ・エピソード発生時の心臓の拍動は規則的か不規則か? ・運動、情動、飲酒などの誘因があるか? ・エピソード発生時の症状は中等度か重症か? (重症度はEHRAスコアにより評価する。これはCCS-AFスコアと同等である) ・エピソード発生頻度は多いか少ないか? また、それは長時間持続するのか短時間で終わるのか? ・高血圧、冠動脈疾患、心不全、末梢血管疾患、脳血管疾患、脳卒中、糖尿病、慢性肺疾患などの合併疾患の病歴があるか? ・過度の飲酒はあるか? ・心房細動の家族歴はあるか? EHRA:欧州律動学会 CCS-AF:カナダ心臓血管学会心房細動重症度 心房細動関連症状に関するEHRAスコア(2010年ESCガイドライン) EHRA I 「無症状」 EHRA II 「軽症」:通常の日常活動に影響なし EHRA III 「重症」:通常の日常活動に影響あり EHRA IV 「日常生活に支障を来す症状」:通常の日常活動の停止 出典 NM online 2012.5.7 版権 日経BP社
「がんサバイバー」の定義 米がん協会が初の「がんサバイバーの栄養と運動に関するガイドライン」 米国がん協会(ACS)は4月26日,「がんサバイバーの栄養と運動に関するガイドライン」を公表した(CA Cancer J Clin 2012年4月26日オンライン版)。 今年(2012年)1月には,がん予防のためのガイドライン(関連記事)を発表しているが,がんサバイバーを対象としたガイドラインは初めてだという。 がんと診断されたその日から「がんサバイバー」 「がんサバイバー」とは,「がんと診断されてから残りの生涯を生きる人」を指す。 これは米国で生まれた概念で,この用語は数年前から米疾病管理センター(CDC)の報告書にも登場している。この報告書によると,2007年には米国のがんサバイバーの数は約1,200万人,米国民の25人に1人に達するまでに増加。 さらには,米国でがんと診断された人の70%近くが5年以上生存しているとのデータも示されている。 診断後の生存期間が延びたことに伴い,今度はがんの再発や新たながん,その他の慢性疾患予防が焦点になってきた。 ACSは,これらの目標を達成するには健康的な体重管理や食事,身体活動を取り入れた生活習慣が最優先課題として,今回最新のエビデンスに基づくガイドラインを作成した。 がんサバイバーを対象とした初の本格的なガイドラインだという。 医師の運動や栄養に関するアドバイスが患者の力に 同ガイドラインは医療関係者向けに作成されている。 しかし,こうした生活習慣に関連することは,がんの診断や治療とは独立してとらえられており,医師によるかかわり方の差が大きいともいわれる。 しかし,同ガイドラインでは,疾患予防にかかわる健康行動であっても,医師のアドバイスが患者にとって大きな力となることが強調されている。 ただし,医師が栄養学や運動医学に関する本格的なカウンセリングを行う必要はなく,例えば「運動することを勧めます」といった簡単なアドバイスであっても効果的,との報告もあるという。 同ガイドラインは,がんサバイバーの病期別の栄養や身体活動に関する項目,がんの種類による体重管理,身体活動,食事,アルコールや食品の安全性に関する項目,そしてがんサバイバーから多く寄せられる質問に対する答えの項目などから成る。 サプリメント使用前には医師と十分に話し合いを 運動や食事に関してはACSのがん予防ガイドラインの内容と重なる部分もあるが,がん治療中の貧血や免疫能低下に関連した注意も追加されている。 食品の安全性に関しては「食事前にせっけんと水で十分手を洗う」「レストランでの食事の際は,細菌が増殖する危険性のあるサラダバーやすし,生の肉・魚介類,卵などを避ける」「生のはちみつ,ミルク,未殺菌のフルーツジュースを避け,殺菌済みのものを摂取する」といった推奨項目が挙げられている。 また,がんサバイバーから多く寄せられる質問には,がんに関連したエビデンスの有無だけでなく,最新の知見に基づいて総合的な観点からの回答が示されている。 一例として,「がん治療中に抗酸化サプリメントを使用しても大丈夫?」といった質問に対しては,「現時点ではエビデンスは限られており,科学的に明快な答えは出せない」だけでなく「化学療法あるいは放射線療法中の同サプリメントの大量服用は賢明ではないかもしれない。同サプリメントががんの治療によって得られる効果,つまり細胞の酸化による障害を阻害(repair)する可能性も考えられる」など,かなり細かい情報までが網羅されている。 ACSが挙げる,同ガイドラインの主な項目は次の通り。 ・治療前の体重が標準か過体重かにかかわらず,がん治療中の体重増加を避ける ・治療後の体重減少は,過体重または肥満のがんサバイバーにとってベネフィットとなる可能性がある ・複数の研究から,がん治療中の運動に関する安全性が報告されている。その効果は筋力増強,平衡機能,疲労 感や抑うつ症状の改善など多岐にわたる ・診断後の身体活動は,その後の余命延長やがんの再発リスク低下に関連する。こうした知見は乳がん,大腸が ん,前立腺がん,卵巣がんで確認されている ・果物や野菜,全粒の穀物,鶏肉や魚の積極的な摂取と,精製された穀物や赤身の肉や加工肉,甘い食べ物,高 脂肪乳製品やフレンチフライなどの摂取機会を減らすことは健康上のメリットが大きいと考えられている。これ らの知見は主に乳がんの領域で報告されている ・ビタミン,ハーブその他の栄養サプリメントはがん患者の余命延長に効果がないばかりか,寿命を縮める可能 性も示唆されている。いかなるサプリメントでも使用前には主治医などと十分話し合うこと がんサバイバーが医療関係者に対し,特定の食事やサプリメントについて質問を行う場面は多いという。 ガイドラインでは,メディアによる報道の仕方にも言及。 ある研究成果が,ニュースでは従来の確立された治療法と対立する結果であるかのように強調されるほか,その研究が現在どのような位置付けにあるのかまで網羅されていないことが多いことなど,報道の問題も指摘されている。 その上で「1つの研究やニュースをきっかけに食事や身体活動に関する従来の知見が覆るようなことはほとんどありえない,というのが最良のアドバイス」だとしている。(坂口 恵) 出典 MT pro 2012.5.2 版権 メディカル・トリビューン社 <番外編> 血糖管理、生活介入より薬剤で 最近2型糖尿病を発症した若年患者(10-17歳)699人を対象に、3つの治療法の血糖コントロール持続性を無作為化比較試験で検討。平均3.86年の追跡の結果、血糖コントロール失敗率はメトホルミン単独群で51.7%、+ライフスタイル介入群で46.6%、+インスリン抵抗性改善薬rosiglitazone群で38.6%だった。 TODAY Study Group.A Clinical Trial to Maintain Glycemic Control in Youth with Type 2 Diabetes.April 29, 2012 (10.1056/NEJMoa1109333). http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1109333
結腸がん“診断後”のアスピリン使用に生存利益 オランダ・大規模観察研究,補助療法としての可能性示される アスピリンと非ステロイド抗炎症薬(NSAID)の大腸がん予防効果は知られているが,最近,発症後の治療効果もあるのではと示唆されている。 オランダ・ライデン大学医療センターのE. Bastiaannet氏らは,同国の一般人口ベースのがん登録データを用いた大規模な観察研究を実施。 大腸がん診断後のアスピリン使用により死亡率が改善していたと発表し,結腸がん診断後の補助療法としての可能性を示唆した。 なお,生存利益は結腸がんのみで確認され,非使用者と比べ死亡率は35%低かった(Br J Cancer 2012; 106: 1564-1570)。 NSAID使用者は非使用者より死亡率が高い Bastiaannet氏らは「PHARMO記録リンケージシステム」の処方データを,一般人口ベースのがん登録「Eindhoven Cancer Registry」で1998~2007年に大腸がんと診断された患者4,481人のデータとリンクさせた。 アスピリンとNSAIDの使用について「非使用」「診断前から使用」「診断後に使用」に分け, Poisson回帰モデルを用いて,アスピリンとNSAIDの生存への影響を調べた。 追跡期間は中央値3.5年(0~12年)で, 1,176人(26%)はアスピリンまたはNSAIDを非使用,2,086人(47%)は診断前から使用,1,219人(27%)は診断後に使用していた。 大腸がん診断後のアスピリン使用者は,非使用者と比べて死亡率が低く,性,年齢,合併症,発症年,グレード,ステージ,化学療法,放射線療法,手術を調整後,死亡の率比(RR)は0.77(95%CI 0.63~0.95,P=0.015)であった。 頻繁な使用(9カ月間に3回以上の継続的処方)になるとRRは0.70(同0.57~0.88,P=0.002)とさらに低下した。 結腸がん(2,793人)と直腸がん(1,688人)に分けて分析すると,結腸がんのみに診断後のアスピリン使用による生存利益が認められた。 非使用者と比べた死亡のRRは直腸がんでは1.10(95%CI 0.79~1.54,P=0.6)と変わらなかったが,結腸がんでは0.65(同0.50~0.84,P=0.001),頻繁な使用者では0.61(同0.46~0.81,P=0.001)とさらに低下した。 なお,大腸がん診断前にアスピリンを使用し,診断後3カ月以上継続して使用していた場合も非使用と比べ死亡率が低下したが(RR 0.88,95%CI 0.83~0.94,P=0.001),診断前のみの使用では非使用より死亡率が高かった。 一方,診断後のNSAID使用については,RR 1.93(同1.70~2.20,P<0.001)と,死亡率は非使用者の約2倍であり,結腸がんでも直腸がんでも同様の傾向が認められた。 同氏らは「プラセボ対照比較試験を実施し,結腸がん診断後の補助療法としてのアスピリンの役割を詳しく調べるべきだ」としている。 (木下 愛美) 出典 MT Pro 2012.5.1 版権 メディカルトリビューン社
抗菌薬は「time honoredな薬剤」を優先,神戸大・岩田氏が提言 第84回日本感染症学会より 抗菌薬の乱用は国際的な問題となっているが,近年はその適正使用に対する意識も徐々に浸透している。 では,抗菌薬の適正な選択方法とは何か。 神戸大学病院(感染症内科)教授の岩田健太郎氏は第84回日本感染症学会(4月5~6日,京都府)の教育講演で,抗菌薬に対する最新の考え方および使用方法などを紹介。その抗菌薬を使用する必然性を見出すことが重要とした。 また,代替薬の多い場合には「時間の批判に耐えた(time honored)抗菌薬」を優先して選択するよう推奨している。 代替薬多い場合は絞り込みが有効 岩田氏はまず,抗菌薬使用の前提は臨床診断にあるとし,いくつかの症例を提示。 そこから, (1)思いつきや思い込みによる診断に注意, (2)前医の診断が正しいとは限らない, (3)臨床症状から「おかしい」と思う感覚を大切にする, (4)病理診断は重要だが実施できない場合もある, (5)経過が長い感染症は広域型抗菌薬より狭域型抗菌薬を優先 ―などのポイントを挙げた。 (5)については,同氏は「最初から広域型を使用すると,その後も広域型を使用し続けなければならなくなる。抗菌薬投与を始める際には終わり方も考慮すべき」と述べている。 広域型抗菌薬の使用量を減らすには,医療機関内の感染制御部や薬剤部などによる妥当性の吟味が不可欠。そのためには,代替薬が多い場合は薬剤を絞り込んでチェック量を減らすことが重要だ。 同氏の施設ではカルバペネム系薬は1種類(メロペネムのみ。一部例外的にパニペネム・ベタミプロン),経口用第三世代セフェム系薬も1種類に絞り込んだという。 なお,同施設の感染制御部,薬剤部などによるチェックは,各診療科での使用は縛らずに後追いで吟味し,使用が妥当でなかった場合のみ介入する手法を取っている。 新しい薬剤は副作用情報の集積が不十分 また,抗菌薬治療においては,どの薬剤をどの場面で使用し,どの場面では使用しないかという各薬剤の位置付けも重視される。 薬剤の効果と副作用のバランスなどを勘案し,その薬剤でなければならない必然性を認識するということだが,その把握には感受性や薬物動態・薬理学(PK/PD)だけでは情報が不十分で,他の抗菌薬との関係性から模索する必要があるという。 例えば,教科書には黄色ブドウ球菌に対してイミペネム・シラスタチンやパニペネム・ベタミプロン,緑膿菌に対してメロペネム,ドリペネムがよりよいとされている。 しかし,岩田氏は「イミペネム・シラスタチン,ドリペネム,メロペネムはいずれも大きな差がなく,多くの状況で代替が可能」であることを紹介。 同氏の施設では,前述のようにカルバペネム系薬を絞り込んでいる。 また,カルバペネム系薬内のサイクリング(例えば,メロペネムが無効だった症例にパニペネム・ベタミプロン,さらにドリペネムを使用する)は避けるべきと主張した。 同氏は「新しい薬剤こそよい薬剤だと思いがちだが,新しい薬剤は副作用情報が集積されていない。しかし,例えばペニシリンGは現在知られている以上の副作用は,製造上のミスがない限り考えられないだろう」とし,同じ効果を持つ薬剤であれば時代,経験,批判をすべて乗り越えてきたtime honoredな抗菌薬を重視するよう提言した。 そのうえで,グラム陽性菌をターゲットとしてカルバペネム系薬を用いる必然性はほとんどなく,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や腸球菌へ特化した使用は避けたほうがよいとしている。 ガイドラインや慣例に流されず根拠を明確に 岩田氏は,広範囲ペニシリン系薬のピペラシリンを予防的抗菌薬として使用することが慣例となっていることも問題として提起した。 これはガイドラインなどにも記載されていることだが,同氏は「ブドウ球菌に効果がなくて緑膿菌に効果があるものを術中抗菌薬に使う必然性はない」と説明。 記載されているガイドラインの質を吟味し,慣例に流されず根拠を持って実施するよう求めた。 なお同氏は,ガイドラインの記載内容を吟味した「感染症診療ガイドライン総まとめ」(総合医学社刊)を出版している。 キノロン系薬についても,同氏は第一世代のキノロンや海外で使用制限が推奨されている薬剤,効果と副作用のバランスが取れていない薬剤,発売直後の薬剤などを除外。 レボフロキサシン,シプロフロキサシン(経口剤,注射剤ともに),パズフロキサシンのみに絞ることが可能とした。副作用について,同氏は「抗菌薬に副作用は付きものだが,より安全な代替薬がある場合はその薬剤を使用する必然性はなくなる」と付け加えている。 マクロライド系薬については,鼻水,鼻づまり,上気道炎,急性咽頭炎,急性副鼻腔炎,急性中耳炎,急性気管支炎,慢性の咳のマネジメントに対し,マクロライド系薬である必要がないことに言及。 異型肺炎,急性期の百日咳,性感染症の一部,Helicobacter Pyloriの除菌など特殊な状況以外は,マクロライド系薬でなければならないわけではないとした。 同氏は「これまで抗菌薬は,効くか否か,治るか否か,耐性か否かなどで語られることが多かった。しかし,それぞれの薬剤に適した菌や効果,副作用,他の薬剤との関係を考慮し,その薬剤を使用する必然性を見出すことが重要」と結論。 こうした努力を怠らなければ,A群溶血性連鎖球菌のマクロライド系薬耐性を1990年の44%から6年後には8.6%まで減少させたフィンランドのように,耐性菌を減らすことが可能かもしれないとしている。(小島 領平) 出典 Medical Tribune 2010.4.9 版権 メディカル・トリビューン社
プライマリケアでの「べからず集」トップ5とは 全米医師連盟がJAMA関連ジャーナルの名物コーナーに発表 全米医師連盟(National Physicians Alliance;NPA)のワーキンググループはThe “Top 5”Lists in Primary Care – Meeting the Responsibility of Professionalismと題する勧告を発表した。 家庭医学,一般内科,小児科の3領域において,エビデンスがあり患者の健康に寄与する治療やリスク低減にかかわる医療活動について加盟医師らに調査が行われた。 実はこの項目,Archives of Internal Medicine(5月23日オンライン版)の名物(?)コーナー“Less is More”で発表された,実質上の「べからず集」だ。 その背景には何があるのか。 http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/short/archinternmed.2011.231 リスト化で不要な検査・治療に対する患者側の理解を深める狙い このトップ5リストはヘルスケアの質と費用効果向上を目的に活動するワーキンググループが,会員医師に行った調査結果を基に作成した。 プライマリケアを代表する家庭医学,一般内科,小児科の3領域で一般的に行われる5つの医療活動-腰痛での画像撮影,年1度の心電図や頭部外傷の小児の画像撮影や滲出性中耳炎例の紹介など-が,「遭遇頻度」「治療の質」「経済効果(economic impact)」「エビデンスの強さ」「実施しやすさ」の5項目で評価された。 オンラインで行われた一次調査に83人のプライマリケア医が,二次調査にはさらに172人の医師が参加した。 調査結果から,ワーキンググループが示したプライマリケア各領域の医療活動に関するトップ5リストは表の通り。 ![]() 同ワーキンググループは一連の調査から「リストに挙がったどの医療行為も治療の質を向上させ,不要なリスクを減らし,費用効果を考える上で重要との会員間の同意が得られた」としている。 今後,各領域の会員医師にこのリストを配布するほか,医師,患者向けの啓発ビデオを作成し,消費者や患者団体などの承認を得ていくという。 その背景には,患者側のプレッシャーに応える形で抗菌薬を処方してしまう場合のように,不要かつ,時には有害な検査や治療が多く行われている現状があると同グループ。 こうしたリストを患者に示し理解を求めることで,臨床的意義や医療資源を保護しつつも,患者の立場を尊重した医療が可能になるのではないかと述べている。 (坂口 恵) 出典 MT Pro 2011.5.24 版権 メディカルトリビューン社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
出典 http://mrp.carenet.com/project/249/m/ ■エクア投与12週後、プラセボからのHbA1cの変化量は-1.2%と、強力な低下を示した。 ■DPP-4阻害薬の中でも優れた血糖降下作用を発揮する。 ■食後血糖と空腹時血糖のいずれにおいても強力である。 空腹時血糖の変化量 ー24.7mg/dl 食後血糖2時間の変化量 ー62.1mg/dl ■強力な血糖降下作用の理由 DPP-4と長時間強固に結合する特徴がある。 解離半減期は55分と長く、DPP-4によるGLP-1の不活化を効果的にブロックする。 「共有結合」が長時間にわたる結合を可能にしている。(これが、優れた血糖降下作用のカギ) ・・・エクアのニトリル基の部分が、DPP-4と強力な共有結合を形成する。] ■インスリン初期分泌を改善することにより、優れた食後血糖改善効果を発揮する。 (食後血糖2時間の変化量 ー62.1mg/dl、前述) ■グルカゴン分泌を抑制することにより、夜間を通して内因性糖産生を抑制する。 (→優れた空腹時血糖改善効果、空腹時血糖の変化量 ー24.7mg/dl、前述) ■外国人2型糖尿病患者16例に、クロスオーバー法によりエクア100mgまたはプラセボを17時30分に単回投与し、18時に放射標識したブドウ糖が含まれる食事を摂取させたときの、内因性糖産生の投与前からの変化量の推移 エクアの投与により、 内因性糖産生は大幅に抑制され、20時以降はいずれの測定時刻においてもプラセボと比較し有意な 抑制が示された。 ■主な副作用 883例中240例(27.2%) 空腹 3.4% 便秘 3.1% 無力症 2.2% 血中CPK増加 1.7% 血中CPK-MB増加 1.6% http://mrp.carenet.com/project/249/m/ <自遊時間> 糖尿病専門医って必要? http://community.m3.com/doctor/showMessageDetail.do?boardId=5&topicListBoardTopicId=184776&messageId=1818014&messageRecommendationMessageId=1818014&F=rm <私的コメント> ちょっと面白かったので載せてみました。
急性鼻副鼻腔炎の90%以上がウイルス性,「念のため」の抗菌薬はNG IDSAが学会初の診療ガイドライン発表 米国感染症学会(IDSA)は3月21日,同学会としては初の急性細菌性鼻副鼻腔炎(Acute Bacterial Rhinosinusitis;ABRS)の診療ガイドラインを策定したと発表。 タイトルには「細菌性」との文言が含まれているが,同学会は急性鼻副鼻腔炎の90~98%はウイルスにより引き起こされるとしており,こうした症例に「念のために」と抗菌薬を使用すべきでないというのが最大のポイントのようだ。 第一選択薬はアモキシシリン・クラブラン酸,成人には鼻洗浄も推奨 米国では毎年およそ7人に1人が急性鼻副鼻腔炎の診断を受けているほか,抗菌薬処方せん数全体に占める同病名の頻度は第5位の多さだとIDSA。 「鼻感染症がウイルス性か細菌性かを簡単に判断する検査はないが,多くの医師が“念のために”と抗菌薬を処方している」とガイドライン作成委員長のAnthony W. Chow氏(ブリティッシュコロンビア大学名誉教授)。 しかし,IDSAによると急性鼻副鼻腔炎の90~98%はウイルスが原因だという。 同氏は「ウイルス性の鼻感染症に対する抗菌薬の使用はベネフィットがないばかりか,薬剤の耐性獲得,本来さらされるべきでない有害事象リスクや医療コストの増加につながる」と指摘している。 今回のABRS診療ガイドラインはIDSAとしては初で,GRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)システムに沿った評価が行われている。 しかし,既存のガイドラインで参照されているランダム化比較試験(RCT)には感染症が細菌性かウイルス性か区別されていないものがあり,IDSAはそうしたエビデンスを用いることは最良の勧告につながらない可能性があるとの見解を示している。 IDSAによる,今回のガイドラインのポイントは次の通り。 ●ABRS(小児,成人)のエンピリック治療における第一選択薬として,従来のアモキシシリン(AMPC)単剤よりもアモキシシリン・クラブラン酸を推奨する ●広く用いられているアジスロマイシン,クラリスロマイシン,トリメトプリム・スルファトキサゾール(ST)合剤は,薬剤耐性の拡大が見られるためABRSへの使用を推奨しない ○以下の項目があれば,ABRSとして速やかな治療を行うべき 10日以上症状の改善が見られない場合(既存のガイドラインでは7日間経過観察とされている) ○38.9℃(102F)以上の発熱,鼻閉あるいは顔面痛が3~4日間続くなどの重度の症状が見られた場合 ○新たな発熱,頭痛あるいは鼻閉の増悪など,ウイルス性上気道感染症後に典型的な症状がいったん改 善傾向にあったにもかかわらず,5~6日続いている場合 ●抗菌薬の使用期間を短縮する:ほとんどのガイドラインでは細菌性感染症に対し10~14日間の抗菌薬使用を推奨している。 しかし,本ガイドラインでは薬剤耐性のリスクがなく十分な治療を行える期間として5~7日間を推奨する ●ABRSに局所血管収縮薬や抗ヒスタミン薬を使用しない:鼻感染症が細菌性,ウイルス性のいずれであっても,これらの薬剤は症状を改善しないだけでなく,悪化させる可能性がある。 アレルギー歴のある鼻感染症患者の場合,経鼻ステロイドは症状を緩和する可能性がある ●生理食塩水による鼻洗浄は有効な可能性がある:本ガイドラインではスプレーやドロップ,液体などによる鼻洗浄法について触れている。 これらの方法によりある程度症状緩和が期待できる。 しかし,本ガイドラインでは小児に対する鼻洗浄法は治療で生じる不快感の理由から,必ずしも症状緩和が期待できないかもしれないとしている また,ガイドライン共同著者の1人であるThomas M. File, Jr. 氏(ノースイーストオハイオ大学)は,鼻感染症の症状を緩和するために,痛みがあればアセトアミノフェンを服用,あるいは鼻洗浄を受けたり,水分をたくさん取ることを個人的に推奨するとのコメントを寄せている。 IDSAは,今回のガイドラインは医師の決定を左右するものではないが,個々の患者の状況に合わせた意思決定過程をサポートするものとして利用してほしいとしている。 米国では,医師が患者からの要望で抗菌薬を処方してしまう問題も指摘されている。 日本では2010年にガイドライン発行 日本では2010年に「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン」(編集:日本鼻科学会)が発行されている。 同ガイドラインでは鼻処置を優先した上で,AMPCやセフェム系抗菌薬,レスピラトリーキノロン系抗菌薬などの投与を5日間から最長10日間まで推奨。 AMPCは日本では副鼻腔炎への適応記載はないが,同ガイドラインでは適応菌種などの詳記により投与可能との見解が示されている。 両ガイドラインの最大の違いの1つは,IDSAの治療アルゴリズムが1つであるのに対し,日本では小児,成人別に臨床症状および鼻腔所見から成るスコアリングに基づく重症度分類を実施,軽症から重症まで計6つの治療アルゴリズムが設けられている点だ。 この背景には,もともと想定しているガイドラインのターゲットが一般医と専門医とで異なることがあると見られる。 また,日本のガイドラインでは生理食塩水による鼻洗浄に関する記載は見当たらないが,鼻処置,自然口開大処置やネブライザー治療が有効との推奨がある。 局所血管収縮薬の使用は一過性の鼻閉改善には有効との理由から「急性期3日に限り推奨」と記載。 しかし「副鼻腔に薬剤が到達しないため副鼻腔粘膜の腫脹には無効」とされている。 (坂口 恵) 出典 MT Pro 2012.3.22 版権 メディカルトリビューン社 <関連サイト> 急性鼻副鼻腔炎,抗菌薬使用してもQOL変わらず 欧米の最新ガイドラインを支持する結果 出典 MT Pro 2012.3.22 ■急性鼻副鼻腔炎に対する抗菌薬使用の妥当性は明らかではないが,欧米では処方は一般化し,患者がそれを希望するケースも多い。 米ワシントン大学(ミズーリ州セントルイス)のJane M. Garbutt氏らは,アモキシシリンとプラセボの効果を逐次的に比較するランダム化比較試験(RCT)を実施。 疾患特異的QOLや症状改善に差がなかったことを発表した(JAMA 2012; 307: 685-692)。 http://jama.ama-assn.org/content/307/7/685.abstract 同氏らは「合併症のない急性鼻副鼻腔炎へのルーチンの抗菌薬使用は避けるべきとする英国や米国の最新ガイドラインの推奨を支持する結果だ」としている。 副鼻腔炎に関する新ガイドライン策定 抗菌薬投与は慎重に 出典 Medical Tribune 2011.11.10 ■ドイツでは最近,学術的医学専門学会連合(AWMF)により副鼻腔炎に対する新ガイドラインが策定された。副鼻腔炎の病態は多様化し,それに伴い治療も複雑化しているが,今回のガイドラインにより治療の方向性が明確になった。 マンハイム大学病院耳鼻咽喉科のBoris Stuck教授らは,同ガイドラインの中で「急性副鼻腔炎のほとんどはウイルス性であるため,むやみに抗菌薬を全身投与すべきではなく,また細菌性であっても抗菌薬を投与すべき患者は限られている」と指摘。 また,急性,慢性に限らず,適切な保存療法を行えば,手術を回避できることも多いという。 ■同ガイドラインでは,急性副鼻腔炎が明らかに細菌性であっても, (1)副鼻腔炎の症状が重い (2)38.3℃を超える発熱がある (3)症状が次第に悪化している (4)合併症発症の危険が迫っている (5)慢性炎症性肺疾患を有している (6)免疫不全あるいは免疫抑制療法を受けている (7)重篤な基礎疾患または特殊な危険因子を有している —といった患者に限り,抗菌薬を投与すべきとしている。 ■この場合の第一選択薬はアモキシシリンで,その代替薬としてアミノペニシリン+βラクタマーゼ阻害薬,第2世代経口セファロスポリン系薬,マクロライド系薬,ドキシサイクリン,クリンダマイシンが挙げられている。 ただし,クリンダマイシンは,狭域スペクトル薬である。こうした抗菌薬を適切に投与すれば,前頭洞の炎症や,眼窩周囲浮腫などの合併症が生じていても,手術を回避できる可能性があるという。 ■慢性副鼻腔炎では,手術を施行せずに,抗菌薬とステロイド薬を長期間(3週間以上)併用投与するという選択肢もある。 この場合,抗菌薬の第一選択薬は,アミノペニシリン+βラクタマーゼ阻害薬または第2世代セファロスポリン系薬とされている。
ワルファリンの至適範囲内時間——欧州の成功例 【原題】Time in Therapeutic Range for Warfarin — A European Success Story A Swedish registry and quality-improvement program resulted in a mean TTR of more than 75%. In studies of warfarin, the average time in therapeutic range (TTR) of international normalized ratio (INR) values has ranged from 56% in retrospective studies to 65% in randomized controlled trials. To improve anticoagulation treatment, the Swedish national quality registry for atrial fibrillation (AF) and anticoagulation was founded in 2006. Participating anticoagulation centers use a Web-based dosing algorithm and are located in both primary care and hospital-based settings. These investigators analyzed registry data from 2008 on 18,391 patients (mean age, 70; 40% women) with 250,142 INR samples at 67 centers (mean time between samples per patient, 23 days; mean samples/ patient-year, 13.6). Indications for warfarin included AF (64%), venous thrombosis (19%), and heart valve dysfunction (13%). In 15,601 patients with a target INR of 2.0, the adjusted mean TTR was 76.2%. With an expanded target INR of 1.8—3.2, the mean TTR increased to 88.4%. Mean TTR was >70% in all age groups, and higher percentages correlated significantly with increasing age. Mean warfarin dose fell with increasing age from 43 mg/week in patients aged 41—50 to 24 mg/week in those aged 81—90 (P<0.001). In an outcomes analysis involving 4273 patients at two centers, risk for major bleeding was 2.6% per treatment year, and risk for thrombosis was 1.7% per treatment year overall and 1.4% in patients with AF. Incidence of major bleeding increased significantly with increasing age (P<0.001). COMMENT These findings suggest that high TTR percentages with warfarin treatment can be achieved in an organized system. Potent emerging competitors to warfarin are expensive and lack extensive safety data beyond 2 years; moreover, TTR rates in the warfarin arms of recent noninferiority trials were surprisingly low (JW Hosp Med Sep 2011, p. 72; N Engl J Med 2011; 365:883; and N Engl J Med 2011; 364:806). Thus, warfarin treatment cannot yet be dismissed; however, its quality can and must be improved. — Beat J. Meyer, MD,Journal Watch Cardiology Wieloch M et al. Anticoagulation control in Sweden: Reports of time in therapeutic range, major bleeding, and thrombo-embolic complications from the national quality registry AuriculA. Eur Heart J 2011 Sep 18; 32:2282. http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/jwhospital/201201/523041.html
〜急性鼻副鼻腔炎〜 抗菌薬の効果は認められず ワシントン大学(ミズーリ州セントルイス)のJane M. Garbutt准教授らは「急性単純性鼻副鼻腔炎の治療で抗菌薬アモキシシリンを使用しても,プラセボと比べた有意な症状軽減は認められなかった」との試験結果をJAMA(2012; 307: 685-692)に発表した。 同疾患の治療では抗菌薬がよく使用されるが,有効性を裏付けるエビデンスは限られていた。 疾患特異的QOLの改善を評価 急性鼻副鼻腔炎は日常でよく見られる疾患で,重大な病的状態,労働時間損失,高額な医療費と関連することが知られている。 Garbutt准教授らは,論文の背景情報で「抗菌薬耐性の増加が公衆衛生上の脅威になっていることを考えると,治療をしなくても治ることが多い同疾患の治療で抗菌薬の処方を正当化するためには,抗菌薬が実際に症状を軽減することを示すエビデンスが必要である。抗菌薬の効果を評価するプラセボ比較試験では一貫した結果が得られていないが,これはおそらく試験間で診断基準やアウトカムの評価法が異なるためではないか」と説明している。 同疾患のガイドラインでは,症状が中等度あるいは重度の患者に優先して抗菌薬を処方するよう推奨されている。 しかし実際には,こうした処方は一般化しており,米国では成人への抗菌薬処方の5回に1回は副鼻腔炎が占し ている。 同准教授らは今回,急性細菌性鼻副鼻腔炎と診断された成人患者を対象に,アモキシシリンが対症療法以上に疾患特異的QOLを改善するか否かを検討。 2006〜09年に同州の10地域医療施設で登録された166例(男性36%)を,アモキシシリン(1,500mg/日,1日3回,10日間)を投与する群(アモキシシリン群,85例)と,プラセボを投与する群(プラセボ群,81例)のいずれかにランダムに割り付けた。 全患者とも必要に応じて疼痛,発熱,咳,鼻閉の対症療法を受けた。 患者の92%が対症療法薬を1種類以上,試験薬と併用した(アモキシシリン群94%,プラセボ群90%)。 1次評価項目は治療開始から3〜4日後の疾患特異的QOLの改善とし,Sinonasal Outcome Test-16(SNOT-16)を用いて評価した。 2次評価項目は,患者自身の評価に基づく副鼻腔症状や機能状況の変化,症状再発の有無,治療満足度,副作用などとした。 治療から3,7,10,28日後に電話インタビューを行い,これらのアウトカムを評価した。 対症療法以上の効果認められず 試験の結果,SNOT-16スコアの変化(平均値)は3日後と10日後では両群間で有意差はなく,7日後ではアモキシシリン群が優れていた。 症状の改善を報告した患者の割合も,3日後と10日後では両群間で有意差はなく,7日後ではアモキシシリン群の方が高かった。 また, (1)仕事を休んでいた日数と通常の活動が制限された日数 (2)28日後までの再発率 (3)追加の医療サービスの利用状況 (4)治療満足度 —に関しても群間差はなかった。さらに,重篤な有害事象もなかった。 Garbutt准教授らは「急性単純性鼻副鼻腔炎の患者に対してアモキシシリンを10日間投与しても,治療3日後の症状改善においてプラセボを上回る効果は認められなかった」と結論しつつも,「今回の研究では重度の合併症を伴う症例は除外された。こうした患者には,別の管理方法が必要になるだろう」と付け加えている。 出典 Medical Tribune 2012.4.19 版権 メディカル・トリビューン社 <番外編> 腎機能は夏悪くなるか? 腎機能の季節性変動 71歳・女性 ![]() 昨日、CKDで某病院の腎臓内科に通院されている方が、その病院の検査結果を持参されました。 担当医いわく、「夏は脱水になるから腎機能は悪くなるものですよ」。 そんなら水をいっぱい飲めばいいことになる。
PSAスクリーニングは前立腺癌死亡を21%減らす 欧州ERSPC試験参加者を11年追跡、全死因死亡には差なし 前立腺特異抗原(PSA)をベースとした前立腺癌スクリーニングによって、前立腺癌死亡リスクが減少することを示した無作為化試験「European Randomized Study of Screening for Prostate Cancer(ERSPC)」の長期追跡結果が、NEJM誌2012年3月15日号に掲載された。 著者のオランダErasmus大学医療センターのFritz H. Schroder氏らが、55~69歳の登録男性について追跡期間を2年延長し、中央値11年の時点で再分析したところ、PSAスクリーニング群の前立腺癌死亡のリスク減少は変わらず、スクリーニングを受けなかった群と比べて21%低かった。 全死因死亡には差はなかった。 PSA検査が前立腺癌死亡率に及ぼす影響を調べた研究は複数あるが、一貫した結果は得られていない。ERSPCは、欧州8カ国(オランダ、ベルギー、スウェーデン、フィンランド、イタリア、スペイン、スイス、フランス)で、50~74歳の男性18万2160人を登録。 このうち、中核年齢群として設定された55~69歳の男性16万2388人を今回の分析対象とした。 中核年齢群のうち、介入群に割り付けられたのは7万2891人で、PSA検査をベースとするスクリーニング(カットオフ値3.0ng/mL以上なら6カ所生検を勧める)を原則4年間隔で行った。 8万9352人(対照群)にはスクリーニングを提供しなかった。 主要転帰は前立腺癌死亡率に設定、intention-to-screen分析した。 追跡期間の中央値が4.6年と短かったフランスのデータは、今回の分析から除外した。 なお、著者らによる09年の報告では、中央値9年の追跡で、スクリーニング群で前立腺癌死亡リスクが20%減少していた。 中核年齢群の男性は、平均2.27回(間隔は中央値4.02年)のPSAスクリーニングを受けていた。 延べ13万6689回のスクリーニングで、16.6%の男性が陽性判定を受け、うち85.9%が生検を受けた。 前立腺癌は6963例診断され、累積罹患率は9.6%だった。 一方、対照群の前立腺癌診断は5396例で、累積罹患率は6.0%になった。 両群の1000人-年当たりの前立腺癌罹患率は、介入群が9.66、対照群が5.95で、差は3.71(95%信頼区間3.44-3.99)、率比は1.63(1.57-1.69)となった。 前立腺癌死亡は、介入群299人、対照群462人で、死亡率は1000人-年当たり0.39と0.50。介入群の前立腺癌死亡の相対リスク減少は21%(率比0.79、0.68-0.91、P=0.001)となった。 介入群のプロトコル不遵守(スクリーニングを受けなかった)と選択バイアスで調整すると、相対リスク減少は29%(率比0.71、0.58-0.86、P=0.001)になった。 11年間の追跡で、前立腺癌死亡を1例予防するためには、1055人の男性にスクリーニングへの参加を呼びかけ(介入必要数;NNI=1055)、37例の前立腺癌患者を同定する必要がある(診断必要数;NND=37)と推定された。 前回の報告から追跡期間が2年伸びたことで、NNIとNNDは減少したが、相対リスク減少の21%にはほぼ変化はなかった。 なお、両群間の全死因死亡には差はなかった。 介入群は1000人-年当たり18.2、対照群は18.5で、率比は0.99(0.97-1.01)だった。 追跡期間を2年延長した今回の分析では、中核年齢群において、「PSAベースのスクリーニングは前立腺癌死亡を有意に減らすが、全死因死亡には影響は見られない」という前回の分析結果が再び確認された。 著者らは、PSA値に基づくスクリーニングを広く行う前に、リスクと利益のバランス、そして費用対効果について、さらに情報を集める必要がある、と述べている。 原題は「Prostate-Cancer Mortality at 11 Years of Follow-up」、概要は、NEJM誌のWebサイトで閲覧できる。 http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1113135 出典 NM online 2012.3.30 版権 日経BP社
腺腫性ポリープの内視鏡的切除により大腸がんによる死亡が半減 腺腫性ポリープを内視鏡的に切除することにより大腸がんの死亡が半減することを示す研究結果が,米スローンケタリング記念がんセンターなどのグループによりNew England Journal of Medicineの2月23日号に発表された。 全米ポリープ研究(NPS)で,大腸内視鏡による腺腫性ポリープ切除の大腸がん予防効果が認められた。 同グループは,内視鏡的ポリープ切除の大腸がん死亡率への長期的な影響を検討した。 対象は,1980〜90年に初回の大腸内視鏡検査のためにNPS参加施設へ紹介され,腺腫性または非腺腫性ポリープが確認された患者。 追跡期間は最長23年間で,死亡登録により死因を特定した。腺腫性ポリープを内視鏡的に切除された患者における大腸がんの死亡率を,一般集団および同研究内の非腺腫性ポリープ患者の大腸がん死亡率と比較した。 その結果,中央値15.8年間の追跡で,腺腫性ポリープが切除された2,602例中1,246例が死亡し,うち12例が大腸がんによる死亡であることが確認された。 一般集団における大腸がんの期待死亡数は25.4例と推定されたことから,内視鏡的に腺腫性ポリープの切除を受けた患者の標準化死亡比は0.47と,死亡率が53%低下することが示唆された。 腺腫性と非腺腫性ポリープ患者のポリープ切除後10年間の大腸がんによる死亡率に差はなかった。 Zauber AG, et al. N Engl J Med 2012; 366: 687-696. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/22356322 出典 Medical Tribune 2012.3.8 版権 メディカルトリビューン社
インフル出席停止、「解熱後2日を経過かつ治療開始後4日を経過」が妥当 インフルエンザにおける出席停止期間を見直した「学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令」が、4月1日からの施行となった。 しかし、長年にわたり学校医として、またインフルエンザ診療の専門家として学校保健に携わってきた廣津医院(川崎市)院長の廣津伸夫氏は、これまでの議論とその結論に違和感を覚えるという。 ―― 結局、インフルエンザの出席停止期間の基準は、これまの「解熱した後2日を経過するまで」に、新たに「発症したあと5日を経過」が加わりました。 さらに、「保育所における感染症対策ガイドライン」を倣うかたちで、幼稚園に通う幼児の場合は「解熱した後3日を経過するまで」と改訂されました(表1)。 表1 インフルエンザにおける出席停止期間 ・改訂前:解熱した後2日を経過するまで ・改訂後:発症したあと5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで(ただし、保育所や幼稚園に通う幼児は「解熱した後3日を経過するまで」) 廣津 「インフルエンザの出席停止期間の見直し」に関しては、2002/03年シーズンから2010/11年までに行った「インフルエンザウイルスの検出期間の検討」の結果をもとに意見をパブリックコメントに提出しました。 ―― 詳しくご説明ください。 廣津 私は、家族内感染の防御のためにウイルスがいつまで検出されるかの検討を続けています。 0歳から6歳の乳幼児と7歳から15歳の小中学生(以下、生徒)では、明らかにウイルスの検出期間は異なりますので、年齢により出席停止期間を考慮することに関しては同意しています。 両者におけるウイルス検出期間の違いは、年齢の違いからくる治療効果の差によるものであって、乳幼児は一般に治療効果は低く、その結果ウイルス検出は治療後でも、より長引きます。 治療の効果にしたがって発症後のウイルス検出が影響を受けますので、当然、乳幼児はより長くウイルスを排出します。 ましてや、無治療の患者ではウイルスがさらに長く排出し続けます。 一方、解熱後の検出は、熱の経緯がウイルスの消長を反映することから、年齢の差、治療の差には大きく影響されないのです。 したがいまして、「出席停止期間を発症後の日数により規定すること」および「解熱後の出席停止期間を年齢により規定すること」に対しては、異った意見を持っています。 ―― なぜ「発症後の日数」ではだめなんでしょうか。 廣津 いつ発症したのか問われて、しっかりと答えられる保護者は、どれだけいるでしょうか。 「昨日の夜中、いや昨日の昼ごろから、ひょっとしたら一昨日の夜かも」などと、発症日の起点は不確かになりがちです。あやふやになりがちな発症日を起点にするのは、やはり危険だと思います。 ―― 解熱後の出席停止期間の基準に「年齢」を持ち込むこともだめなんでしょうか。 廣津 まず、私が行った研究の結果を見ていただきたいと思います。 H3N2、H1N1(2008/09年のタミフル耐性を含むが、H1N1pdm2009は含まない)のA型500例、およびB型370例のうち、0歳から6歳の乳幼児と7歳から15歳の小中学生、および無治療者(A型26名、B型14例)を対象に、ウイルス検出の推移を調べました。 なお、以下は、発症した後5日を経過した後の登校は、発症6日後、すなわち第7病日と理解して考察しました。 ―― 縦軸は、ウイルスが検出された患者さんの割合ですね。 廣津 そうです。 ご覧のように、治療開始5日後(治療を開始した後4日を経過した後)にウイルスが検出される割合(以下、残存率)は、A型の場合、乳幼児19.8%、生徒4.9%でした。 図には示しませんでしたが、B型ではそれぞれ19.6%、2.1%となります。 また、治療開始6日後の残存率はA型の場合、乳幼児6.8%、生徒1.0%、B型ではそれぞれ、2.3%、0.7%となります。 この結果から、A型およびB型ともに治療開始5日後における生徒でのウイルス残存率は、治療開始6日後における乳幼児のウイルス残存率と近似していることがうかがえます。 ―― 生徒では治療開始後5日(治療を開始した後4日を経過した後)、乳幼児では6日(治療を開始した後5日を経過した後)が、それぞれ1つの目安となりうるわけですね。 廣津 次は、発症後いつまでウイルスを検出するかということです。 発症6日後のウイルス残存率は、インフルエンザA型の場合、乳幼児15.3%、生徒3.1%、無治療者30.0%となっています。 これでは、一律に「発症後5日を経過した後はウイルスがほとんど検出できない」とは言えないと思います。 ―― 無治療者の30.0%という結果は、驚きの数字です。 廣津 無治療者を含めて、発症後の日数を基準にして出席停止期間を定めることには反対です。 なお、B型ではそれぞれ14.6%、0.8%、12.5%となりました。 また、発症7日後の残存率は、A型でそれぞれ2.4%、0.0%、7.7%となり、B型ではそれぞれ2.3%、0.7%、9.1%となっています。 このような年齢の差および治療の有無によるウイルス残存率の違いに加え、ウイルスが発症後いつまで検出されるかは、治療開始時期に大きく影響されますので、今回、「発症したあと5日を経過」を加えたことには疑問が残ります。 ―― 「発症したあと5日を経過」を新たに追加する根拠が揺らいでいるということですか。ではこれまでの基準だった「解熱した後2日を経過するまで」には、根拠となるデータはあるのでしょうか。 廣津 「解熱後いつまでウイルスを検出するか」ですが、たとえば解熱3日後のウイルス残存率は、A型では乳幼児31.5%、生徒17.3%、無治療28.6%、B型では乳幼児20.5%、生徒5.7%、(無治療は症例が少ないため不明)となりました。 解熱4日後の残存率は、A型ではそれぞれ、12.9%、4.2%、16.7%、B型ではそれぞれ4.8%、0.8%(無治療は無)でした。 つまり、解熱後、無熱状態を2日間家庭で過ごした後の登校までには、解熱後3日近く経過している場合が多いですから、ウイルス残存率は3日後を参照することで充分と思われます。 また実際に、3年間にわたり延べ7小学校を調査した結果では、2日間の出席停止期間を守った児童からの感染は起きていないことを認めています。 ―― 保育園や幼稚園に通う幼児の場合は「解熱した後3日を経過するまで」と、1日長く設定されました。 廣津 「年齢によるウイルス残存率の違いについて」ですが、乳幼児と生徒のウイルス残存率の差をそれぞれのグラフで見てみますと、「発症後」や「治療開始後」より、「解熱後」の方が小さいことが分かります。 なお、詳細は、乳幼児と生徒のウイルス残存率の差(ポイント)は、発症後4日、5日、6日、7日で、A型の場合それぞれ20.6、24.0、12.2、2.4、B型では37.0、36.9、13.8、1.6でした。 治療開始後3日、4日、5日、6日で、A型では24.1、26.9、14.9、5.8、B型では23.2、29.0、17.5、1.6でした。 一方、解熱後1日、2日、3日、4日で、A型では-7.7、9.5、14.2、8.8、B型では4.6、19.2、14.8、4.0となっています。 解熱後のデータは、解熱とウイルス残存率は比較的相関していることを示しています。 これはとりもなおさず、「ウイルスが少なくなることにより解熱していく」ことを意味し、熱の経過はウイルス量を反映していると思われます。 また、乳幼児と生徒のウイルス残存率の差は、「解熱後」が小さいわけですから、解熱後の出席停止期間を年齢によって変えることには違和感を覚えます。 ―― 解熱後のウイルス残存率は、乳幼児、生徒、成人、無治療とも似たようなカーブをたどっています。解熱後4日では、すべての群で20%を切っています。 廣津 繰り返しになりますが、「解熱後の出席停止期間」を年齢によって変える必要性は低いということです。 むしろ、図1で見たように、「治療開始後のウイルス残存率」には年齢差がありましたから、治療開始後の日数を基準とする場合は、年齢の違いで変える意義があります。 ―― 治療開始5日後における生徒でのウイルス残存率は、治療開始6日後における乳幼児のウイルス残存率と近似していました。 廣津 私は、出席停止期間を見直すのであれば、これまでの基準に、治療開始後の日数を加えるべきだと考えています。 発症からの日数では、さきほどお話したように、「発症の起点」が不明確になりがちです。 また、年齢あるいは治療の有無で、同じ発症後の日数でもウイルス残存率に差があります。 それよりは、医療機関を受診し、インフルエンザの治療を開始した日を起点とする方が明確で分かりやすいはずです。 以上の検討から、出席停止の期間の基準としては、「インフルエンザにあっては、解熱した後2日を経過し、かつ、治療を開始した後4日(幼児にあっては5日)を経過するまで」を提唱したいと思います。 出典 NM online 2012.4.6 版権 日経BP社
アスピリンの常用は腺癌の転移を抑制する アスピリンの使用が、固形癌の転移リスクを下げることが、英国で行われた5件の大規模無作為化試験データ分析で明らかになった。 さらに分析すると、アスピリンによる癌転移リスク低減効果は腺癌でのみ有意だった。 英Oxford大学のPeter M Rothwell氏らが、Lancet誌電子版に2012年3月21日に報告した。 著者らは以前、低用量アスピリンの常用が一部の癌の罹患率と死亡率を下げることを報告している。 アスピリンによる癌死亡リスク低減は、アスピリンの使用開始から2~3年という短期間でも見られている。 癌死亡率の低下がアスピリンによる癌の発生予防によるものならば、効果が現れるまでにもっと長い時間を要するはずだ。 そこで著者らは、アスピリンは癌の転移も予防するのではないかと考えた。 動物実験では、血小板が癌の血行性転移に重要な役割を果たすこと、その機序をアスピリンが阻害することが示されている。 また、ヒトを対象とする観察研究では、アスピリンが特定の腺癌の遠隔転移と再発のリスクを低下させる可能性が示されていた。 そこで、無作為化試験に登録され、アスピリンを毎日服用した介入群と、アスピリンを服用しなかった対照群について、追跡期間中の癌罹患、癌診断時の遠隔転移の有無、その後の遠隔転移の発生を調べることにした。 アスピリンの血管イベント予防効果を評価するために英国で行われた5件の大規模な無作為化試験(BDAT、UK-TIA、TPT、POPADAD、AAA)に登録され、アスピリン(75mg以上/日:介入群)またはアスピリン服用なし(対照群)に割り付けられた人々の癌罹患に関する情報を得た。 追跡期間中の癌診断に基づいて固形癌罹患者を同定し、さらに腺癌とそれ以外の癌に分類した。 また、癌診断時または追跡期間中の転移に関する情報に基づいて、患者を (1)血行性転移(遠隔転移)確定 (2)部位不明だが転移あり (3)追跡終了まで遠隔転移なし (4)不明 の4群に分けた。 5件の試験の平均追跡期間は6.5年で、登録された1万7285人を追跡中に、あらゆる癌の罹患者は1101人になった。 あらゆる癌による死亡は563人だった。アスピリンはあらゆる癌の新規罹患を12%減らし(オッズ比0.88、95%信頼区間0.78-0.99、P=0.04)、癌死亡を23%減らしていた(0.77、0.65-0.91、P=0.002)。 あらゆる癌罹患者のうち、94人は血液癌で、20人は原発性の脳腫瘍だった。 これらを除いた987人の固形癌患者について、転移の有無を調べた。遠隔転移確定例は210人(27%)、部位不明だが転移ありが183人(24%)、癌診断時または追跡期間中の遠隔転移なしが382人(49%)、不明が212人(21%)だった。 遠隔転移確定例210人のうち92人が介入群、118人が対照群で、それぞれの中で52人と76人が腺癌患者だった。 転移に関する分析は、転移確定例の210人を対象に行った。 アスピリンへの割り付けは、試験期間中に固形癌の遠隔転移が発見されるリスクを減らしていた。 ハザード比は0.64(95%信頼区間0.48-0.84、P=0.001)。 腺癌については、介入群の遠隔転移のハザード比は0.54(0.38-0.77、P=0.0007)になったが、その他の固形癌では0.82(0.53-1.28、P=0.38)で、差は有意ではなかった。 介入群と対照群の割り付けから腺癌診断までの時間には差はなかった(P=0.74)。 また、腺癌患者のうち、転移はなく限局性の病変のみが見つかった患者は、介入群が122人、対照群は86人で、ハザード比は1.24(0.94-1.63、P=0.14)となり、アスピリンの利益は見られなかった。 転移が癌診断時点で既にあった患者と、診断後の追跡で転移が見つかった患者に分けて、アスピリンの利益を調べた。 介入群では、診断時点で転移があった腺腫患者が少なく(ハザード比0.69、0.50-0.95、P=0.02)、診断時に転移がなかった腺癌患者で追跡期間中に転移が見つかるリスクも低かった(ハザード比0.46、0.29-0.73、P=0.0009)。 診断時に転移がなかった腺癌患者にその後転移が生じるリスクを下げるアスピリンの効果が最も大きかったのは大腸癌で、ハザード比は0.26(0.11-0.57、P=0.008)だった。 非腺癌では、最初の診断時に転移があった患者の割合に有意な差はなく(0.95、0.66-1.36、P=0.78)、追跡期間中の転移発生にも有意差は見られなかった(1.00、0.53-1.88、P=1.00)。 アスピリンは腺癌死亡のリスクを全体として低下させていた。 ハザード比は0.65(0.53-0.82、P=0.0002)。 しかし、それ以外の固形癌の死亡リスクには低減は見られなかった。 ハザード比は1.06(0.84-1.32、P=0.64)。 アスピリンの影響は、年齢、性別とは関係がなかったが、絶対利益は現在喫煙者で大きかった。 6年強の追跡でもアスピリンの腺癌遠隔転移予防における利益は明らかだったことから、著者らは「アスピリンによる癌死亡リスク低下は、遠隔転移予防効果で説明できる可能性がある」との考えを示している。 また、「今回の結果は、癌と診断されてもアスピリンの日常的な使用を中止する必要はないこと、さらに腺癌診断後に新たにアスピリンの投与を開始しても生存利益が得られる可能性を示した」と述べている。 原題 Effect of daily aspirin on risk of cancer metastasis: a study of incident cancers during randomised controlled trials http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2960209-8/abstract# 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
アルツハイマー病と癌の罹患に逆相関 癌サバイバーはADリスクが低く、AD患者は癌リスクが低い 高齢者の癌サバイバーは、癌の既往がない高齢者に比べてアルツハイマー病(AD)の罹患リスクが33%低く、AD患者の癌罹患リスクもまた、ADでない患者に比べて61%低いことが、米Brigham and Women’s HospitalのJane A Driver氏らがFramingham研究の参加者を対象に行った前向きコホート研究で明らかになった。 論文は、BMJ誌電子版に2012年3月12日に掲載された。 癌サバイバーのADリスクは低く、AD患者の癌リスクは低いことを示唆した報告はこれまでにもあった。 パーキンソン病と癌の間にも同様の関係が指摘されている。 ADやパーキンソン病などの神経変性疾患ではアポトーシスが活性化されており、癌では逆にアポトーシスは起こらず異常な細胞増殖が続く。 これら2通りの疾患では相反する経路が活性化されていることから、それぞれの罹患リスクにも逆相関の関係が見られる可能性は想定できる。 しかし、これまでに行われた研究については、「癌サバイバーはAD発症前に癌で死亡しているのではないか」との疑念が提示されたり、「ADを発症すると癌のスクリーニングを受ける機会が減るだろう」という推測に基づく批判が行われてきた。 そこで著者らは、想定されるバイアスを極力排除して、ADと癌の関係を調べようと考えた。 対象に選んだのはFramingham Heart Studyの登録者だ。 この研究は1948年に始まったコホート研究で、オリジナルコホートに登録された人々は2年ごと(子孫研究に登録された人々は4年ごと)に医療歴の調査と診察、一連の検査を受けた。 その際に、癌の罹患と、認知症またはAD罹患についても、情報収集や検査を受けた。 今回の分析はまず、Framingham Heart Studyに登録された人々のうち、1986~90年(ベースライン)に65歳以上で認知症ではなかったオリジナルコホートの1278人を対象に、ベースラインで癌の既往があった癌サバイバーのその後のAD罹患リスクを調べる前向きコホート研究を行った。 次に、オリジナルコホートと子孫コホートを対象に、AD罹患者とそうでない人々のその後の癌罹患リスクを評価するネステッドケースコントロール研究を行った。 1278人中38.8%が男性だった。癌サバイバーは176人で、平均年齢は77歳。 癌の既往がない人々の平均年齢は76歳だった。 追跡期間は最長22年で、平均は10年だった。 その間に認知症と診断された患者は323人で、それらのうち221人(86%)がprobable AD(ADの高可能性例)と診断された。 また36人はpossible AD(ADの可能性例)と判断された。 ADではない認知症患者66人のうち、24人はレビー小体型認知症、15人が脳血管型認知症、2人が前頭側頭型認知症、25人がその他の認知症に分類された。 ベースラインで癌の既往があった癌サバイバーのprobable ADリスクは低かった。 年齢、性別、喫煙歴と追跡期間中の癌罹患で調整したハザード比は0.67(95%信頼区間0.47-0.97)。Possible AD(ハザード比0.81、0.59-1.11)とあらゆる認知症(0.83、0.63-1.10)のリスクも低下傾向を示した。 Probable ADのハザード比は、喫煙関連の癌(口腔癌、咽頭癌、喉頭癌、食道癌、胃癌、膵臓癌、肺癌、子宮頸癌、膀胱癌、腎臓癌)のサバイバーで顕著に低く、0.26(0.08-0.82)だった。 一方で、喫煙と関係しない癌のサバイバーでは、probable ADリスク低下は有意にならなかった(ADのハザード比は0.82、0.57-1.19)。 出典 NM online 2012.3.28 版権 日経BP社
白米の摂取量が多いと2型糖尿病リスクが上昇 摂取量が多い東洋人ではより顕著、メタ分析の結果 白米摂取量と2型糖尿病の関係を調べた複数の前向きコホート研究のメタ分析で、特に東洋人では、白米摂取量が多いと2型糖尿病リスクが上昇すること、両者の間には用量反応関係があることが明らかになった。 米Harvard公衆衛生大学院のEmily A Hu氏らが、BMJ誌電子版に2012年3月15日に報告した。 穀類のGlycemic Index(GI)は精白度の違いにより大きく異なる。 白米は64(SDは7)、玄米は55(SDは5)、全粒小麦は41(SDは3)、大麦は25(SDは1)と報告されている。 また、白米は、米を主食とする人々においてグリセミック負荷(GI/100×炭水化物重量)を高める主な要因であるとの報告もある。 大規模観察研究では、GIまたはグリセミック負荷が高い食事は2型糖尿病リスクを高めることが示されている。 これまでにも、白米摂取と2型糖尿病の関係を調べた研究は複数行われていたが、研究の規模や対象集団の白米摂取量、登録者の特性などが様々で、一貫した結果は得られていなかった。 加えて、用量反応関係があるのかどうかも明らかでなかった。 そこで著者らは、白米の摂取と2型糖尿病の関係を調べた前向きコホート研究を対象として、これらの関係を明らかにし、用量反応関係の有無を調べるためのメタ分析を実施した。 MedlineとEmbaseに2012年1月までに登録された研究の中から、ベースラインで糖尿病ではないと自己申告した人々を追跡して、米の摂取量と2型糖尿病リスクの関係を報告していた前向きコホート研究を選出。 それらに記載されていた引用文献も調べた。 4件の研究が条件を満たした。 それらは、東洋人(中国人、日本人)と西洋人(米国人、オーストラリア人)を対象に7件の比較を行っていた。 白米の平均摂取量は試験ごとに大きく異なっていた。 中国の研究では、1日の平均摂取量が調理後重量にして625g(4皿)。 これに対し、米国の研究の対象者の98%、オーストラリアの研究では71%が、1週間に5皿未満しか摂取しておらず、平均摂取量は1~2皿/週だった。 4件の研究は、計35万2384人を4~22年追跡していた。 その間に計1万3284人が2型糖尿病を発症していた。 それぞれの研究が設定した白米摂取量に基づく層別化の基準をそのまま利用して、最低摂取群に対する最高摂取群の糖尿病リスクを求め、東洋人と西洋人に分けて、プールした相対リスクを推定した。 米国で行われた3件の比較は、いずれも、1日の摂取量が5.3g未満を最低摂取群、112.9g以上を最高摂取群とし、オーストラリアの研究は23g/日未満を最低摂取群、56g/日以上を最高摂取群としていた。 中国で行われた研究は500g/日未満を最低摂取群、750g/日以上を最高摂取群としていた。 日本で行われた2件の比較は、男性を対象とする研究が315g/日以下を最低摂取群、560g/日超を最高摂取群に、女性を対象とする研究は278g/日以下を最低摂取群、437g/日以上を最高摂取群に設定していた。 東洋人では、白米最低摂取群と比較した最高摂取群の2型糖尿病相対リスクは1.55(95%信頼区間1.20-2.01)と有意なリスク上昇を示した。 同様に西洋人についても求めたところ、1.12(0.94-1.33)になった。 東洋人と西洋人のリスクの差は有意(P=0.038)だった。全体では、相対リスクは1.27(1.04-1.54)になった。 用量反応関係を調べたところ、白米摂取が1日1皿増加当たりの2型糖尿病の相対リスクは1.11(1.08-1.14、線形傾向のP<0.001)になった。 得られた結果は、白米摂取量と2型糖尿病リスクの間には有意な関係が見られること、この関係は白米の摂取量が多い東洋人(中国人と日本人)の集団でより顕著に見られることを示した。 原題 White rice consumption and risk of type 2 diabetes: meta-analysis and systematic review http://www.bmj.com/content/344/bmj.e1454 出典 NM online 2012.3.26 版権 日経BP社 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「葦の髄」メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版) 井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
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